ぶくぶく茶釜が復活す 作:タイタンの掟
<ぶくぶく茶釜>
帝国の皮を被った、法国の工作員に襲撃され、リ・エスティリーゼ王国は、幾つもの村を失い多くの村人が死んだ。生き残った村人たちは、エ・ランテルを経由して、同じように襲われたけど、被害の少なかった、カルネ村で生計を立てるために移住していった。
多くの働き手を失ったことで、畑は荒れて、収穫も少なく、食料難にも陥ったが、アインズ・ウール・ゴウンからの支援として、小麦とかが運ばれて、一応の落ち着きを取り戻していた。カルネ村の村娘だったエンリは、働き手として、ゴブリン将軍の角笛を使って、ゴブリン19体を召喚して、使役することとなった。
結果として、ゴブリンたちが、村の防衛や力仕事を担い、復旧活動が早く進められるようになった。特に
ルプルレギナの報告書は、エンちゃんがンフィ君を担いで運んだとか、その姿を弄ると、視線が恐かったとか、色々と細々な報告が多く、概要として纏めるのは、結構大変だった。
ゴブリンリーダーが、Lv12とすれば、ユグドラシル時代だと雑魚モンスターだけど、この世界ではそれなりに強いことが判ってきた。エ・ランテルで、ンフィーリア・バレアレの誘拐事件があって、
大量に保有しているとは言っても、ユグドラシル時代のポーションは、この世界では手に入らない。それにしても、流石アインズ様、アインズ・ウール・ゴウンのギルド長、よく考えているねぇ。
ゴブリンという戦力を支配下としていて、村長さんとしては、エンリの取扱いに困ってもいた。渉外担当ということで、エンリに他の村から移住してきた者達への対応を任せていた。村に訪れる、今回の私達のような来訪者の相手は、エンリが対応することになっていた。村長は、第三位の魔法が使える、リージーに頼もうとしたが、リージーにはポーション研究の邪魔だって断られ、エンリとなったねぇ。ルプルすレギナの報告は、結構こまかく見ているし、色々なところに出没して、情報を集めている。
ルプスレギナは、村に着いた私達を迎えてくれた、ルプスレギナには、「流石、獣王メコン川さんの娘だ、良い働きだよ、報告書ありがとね」を言って、頭を撫でると感激していた。
「はじめまして、わたしがカルネ村、エンリ・エモットと言います」
「私は、チャア・ガマって言う、旅の商人です。アインズ・ウール・ゴウン様が代表を務める、ナザリック商会で、働かせて貰っています。チャーとお呼びください」
「え、アインズ・ウール・ゴウン様は、アルベドって女の方、あ、すみません」
「いいんだよ、アルベド様は正妻だからね、私はナザリック商会で、アインズ様が必要とする、材料の調達を任されている。ナザリック商会は、私にアインズ様が創ってくれた商会でね、立ち上げたばっかしなんだ」
すらすらと言葉を繋いで
「ナザリックからは、支援の小麦や、今年生まれた豚が12頭ほどいるから、持って来たんだ。暖かい間に増やして、寒くなったら何割かを食料とすると良いよ」
荷馬車から小麦の袋が降ろされて、豚が十二頭の引き渡しがすすめられた。ゴブリンたちは、力仕事をおこなって運んでいく。
「ありがとうございます。助かります。あ、ンフィー」
「エンリ」
「もう、遅いよンフィー」
「良いねぇ、若い子は」
「あ、すみません、チャアさん。こちらが薬師ンフィーリア・バレアレです」
「可愛い男じゃないか、エンリちゃんは、ンフィー君を男にしてやったのかい」
「え。そんな、えッ」「な、、、」
慌てるエンリと、真っ赤になるンフィー君か、周囲に弄られるのが判る判る。しばらく、楽しんでいて、二人が再稼働しそうになかったので、弄るのをやめた。
「そろそろ、商談に入っても良いかい、エンリちゃん」
「え、は、はいッ」
「頼みっていうのはトブの大森林で採れる、薬樹の採取と加工、をエンリとンフィーで仕事として頼みたいのさ」
「助けてくれた、礼金として収めるということでしょうか」
「違う違う、私にしても異国から来てるんだ、こっちの相場が判らない。だから、二人で売値を決めて欲しいのさ。カルネ村で決めた価格で、私達が買い取り、エ・ランテルや王都で売ることを考えている。その差額が、私らの儲けになる」
「良いんですか、チャアさん。高く設定してしまったら、売れなかったりするかもしれませんよ」
「だから、この村に来たのさ、モモンの旦那は、ンフィー君の恩人だし、商会代表はこの村の恩人なんだろ」
「は、はい。アインズ・ウール・ゴウンさまは、本当に凄い方です」
「なら、適正な値段で売ってくれるんじゃないかってね、王都では金額を倍にして、売る予定にしているからね、それを踏まえて売値を決めとくれよ」
「村の復興にも金がかかるだろ、私の処では、ドリアードの薬樹を扱っているから、それを薬にしてもらっても良いよ一樽持ってきた」
「ドリアードの薬樹ですか」
「そのまま食べても、上手いからね、村人たちにも食べて貰って良いよ」
ザイトルクワエを倒して、ナザリックの六階層に住むことになった、ドリアード達は、薬樹栽培を初めて、ナザリックに薬樹を提供していた。偽装ナザリックが完成したことで、ドリアード達の何人?かに、偽装ナザリックで薬樹の栽培を始めて貰った。マーレに手伝って貰って、かなりの生産量が上がってきたので、今回は十樽分用意できた。先行で、エ・ランテルで樽一つ分を売ったら、交金貨100枚で売れたと言っていた。初期資金としては、ちょっと怪しいけど、まぁ、金を稼ぐ目途がついたってこと。
「判りました」
「薬樹の効果は、鑑定で対応できるけど、実際にどんな薬が造れるかわ判らないからね、そういった処も貴方達に頼みたいのさ」
「わかりました。少しお待ち頂けますか、皆とも相談して決めたいと思います」
「あぁ、判ってるよ、私達は村の外で、キャンプを張って待ってるよ」
「ダメです。村の中でお待ちください、村の中央に広場がありますから、そこには、共同の水道やトイレもありますから、ご利用ください」
「判った。ありがとうね」
「いえいえ、アインズ様に受けた恩義は、まだまだ、こんなんじゃ返せないです」
「そうかい」
笑って、エンリに案内されて、村の広場に行くと、広場の中央に水場が設けられ、壺に注ぎ口が八つあって、ずっと水が流れ続けていた。広場は水場を中心に外側の一角にトイレが設置されていた。北側に村長の家があって、村人たちが集まって話せるように、二階がバルコニーになっていた。
報告は呼んでいたけど、水魔法を封じた魔石を用いて、水を溢れさせて、魔石は消耗品だが、魔力を充填すれば、水を造り続けることができる。トイレの方は、土魔法を封じた魔石を使っているらしい。歴史で聞いた中世ファンタジー世界ではなく、異なる文明世界という感じが面白いものね。
西側には、小屋のような建物があって、入り口には扉がなかった。厠の説明を受けると、視察と称して、見に行くとこまめに掃除されているようで、綺麗に使われていた。トイレを覗いていると、一緒についてきたマーレが、おずおずと文句を言ってきた。
「あ、あの、お母様、汚いです」
「綺麗なもんだよ、マーレ。ナザリックと同じ、水洗だよ。ナザリックには無い、魔法技術体系の産物だよ」
ナザリックのトイレは、理解できない汚水処理技術だが、この異世界の汚水処理は、理解はできないけれど、魔法によって、体系化された技術によって生み出され、一般的に使えるように活用されていた。エンリは村長として、畑の手伝いをゴブリンさんたちとネムに頼んで、案内についてきたのだが、マーレという女の子との関係がわからなかったみたいで、疑問符が飛んでいた。
「娘さんっ、」
ですかの前に、ツッコミを入れる。
「息子のマーレよ、可愛いでしょ」
「あ、はい。すみません」
トイレの方にあるいて、トイレの中を覗く。
「魔法技術はわかりしんすが、男用まで覗くのは、良くないでありんす」
護衛のシャルティアが、文句をつける。
「視察よ視察、こんな時じゃ無いと、覗けないでしょ」
「困った叔母様でありんす」
「姪ッ子さんですか」
「そうでありんす。チャー・ガマ様の弟、ぺロロ・ンチーノ様の娘でありんす」
「あんたは綺麗いで可愛かったから、弟のお気に入りだったからねぇ、寂しくなったら、あんたの姿絵をよく見てたよ、シャルティア」
「そ、それは、嬉しいでありんす」
涙ぐんでいるシャルティアを見ながら、色々と倫理規定にかかる絵が多かったということは、内緒にしてあげる、エロ弟よ。転移だけでなく、転生とかもあれば、あんたも来ればいいのにね。
「エンリ様の家にも、水道やトイレがあるのかい」
「エンリでいいですよ、チャー様。水道は、家庭にありますよ、どうしてですか」
「私も、チャーでいいよ。魔石の価格と、どのくらい使えるのか、知ってるかい」
「チャーさん、こんな辺境の村だと、高くなるので、銀貨一枚です。一年に一回、行商人が交換に来てくれますよ」
「トイレの魔石もかい」
「はい。トイレは銀貨二枚で、一年一回です」
年間で、水道銀貨1枚、下水道銀貨2枚、
「銀貨三枚か、結構な金額だねぇ、支払いとか大丈夫かい」
「以前だと、トブの大森林に行って、薬草を取って華族で加工して、ンフィーの店でお金にしてもらってました」
エンカイシという薬草は、採取時期が限定されている薬草で、ンフィの店は金貨で100枚くらいで購入してもらう、商取引であったそうだ。造られる薬は、貴族が重宝する薬らしく、実際の販売価格はかなり高いらしい。貴族向け商品として、価値があるようね。
「ンフィー君、エンカイシから作れる薬って、どのくらいの価値があるんだい」
「え、あれは、たくさん創れないから、家で加工してから王都にもっていくと、金貨200枚ほどになるんです。王都でポーションに加工して、オークション販売しているそうです」
「オークションって、競争になるくらい、人気ってことかい」
「みたいです。エンカイシからポーションを造ると、500本くらいになりますが、一本金貨3枚から7枚くらいで落札されてるって言ってました」
「どんな効果があるのさ」
「えっ・・・その」
エンリを見て、真っ赤に染まるンフィー君からすると、そういう方面の薬か。
「わかったよ、後で、ルプスレギナに教えてあげて、頼むねルプス」
「はい。ちゃんと聞くっす、ヒヒヒ」
悪い笑みを、浮かべている。こつんとマーレが、軽くルプスを殴った。
「母様の前で、その笑いは、ダメです」
「は。わ、わかりました、マーレ坊ちゃま」
跪いて、マーレにこたえる。
「マーレ。そのくらいで怒らなくても」
「ダメです。ルプスレギナは、最初に言わないと、エスカレートします」
「そうなのかい」
「はい。ユリさんが言ってました」
「ユリ姉ひどい」
「ルプス。私は、いいけど、子供たちの前ってのは、あるからね。マーレが嫌なら、私も嫌だってことだ、いいね」
「はッ」
跪いて応える、神妙なルプスレギナーの姿に、疑問符を浮かべている、エンリとンフィーの様子を見ながら、
「ほら、立って立って、」
私はルプスレギナを立たせると、ギュっとしてあげて、
「この村は、アインズ様にとっても、私にとっても、大切な村だからね、彼らの事は頼むよ。何かあれば、すぐ報告だからね」
「はいッ」
「さ。みんな、天幕の設置と、野営の準備だよ」
「「「「「はいッ」」」」」
カルネ村での野営は、ナザリック商会が持参した、食糧や酒の配布もあって、大宴会となったのである。コンティニュアルライトが灯り、ゴブリンたちが騒いで、宴会は喧騒に包まれるように続いていた。