このヘラヘラ騎士の寄り道にも祝福を!   作:名無しのガーディアン

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(未推敲投稿なんて無かった)
ガーディアンテイルズ11章を進めたりZCONに全通したりで執筆が遅れましたがなんとか間に合いました(;¬ω¬)

ガデテルと言えば各種パロディだと思うのでこの作中でも隙あらばパロディを入れてますが、案外丁度いいネタを思いつくのは難しいですね……
色々と感想をいただけると大いに励みになります!


01-3 :女騎士、異世界で冒険者になる

「と、言う事でぇ……いつまでもカズマくんたちにタカる訳にもいかないし、何か仕事を紹介してもらう事って出来たり、する?」

 

 無一文宣言を終えて着座したディアンのやや困ったような言葉に、カズマは内心ガッツポーズを決めていた。

 

 この異世界人は騎士だけあって戦闘のエキスパートだ。

 事実、彼女はカズマたちが詰みかけた五体ものジャイアントトードを一蹴してみせた。そんな逸材が、なんのしがらみもなく転がっているのだ。

 カズマは咳払いすると、真っ直ぐに彼女を見つめ――。

 

「居場所がないなら、俺達と組んで冒険者をやらないか?」

 

 ――彼は精一杯のキメ顔でそう言って、手を差し伸べた。

 

「カズマ、顔が気持ち悪いです」

「いやねめぐみん、それは元々よ?」

 

「ぶっ飛ばされたくなきゃちょっと黙っててくれる?」

 

 彼は後ろから突き刺さる辛辣な言葉に青筋を立てながらも、大きく咳払いをして怒りを押し殺し、「冒険者?」と首を傾げる彼女に視線を戻した。

 

「そう、冒険者。街の困りごとを解決したり、野山に繰り出して素材を集めたり、さっきみたいに周辺のモンスターを駆除したり。そうやって社会に貢献しながら報酬を得られる素敵なお仕事だ」

 

 実際はほとんど左官工事のアルバイトで汗を流した記憶しかないカズマだったが、あくまで一般的なイメージはそうなっている。

 

「なるほど、冒険家とは違うんだね。街の治安を維持するのが目的みたいだけど、身分証明ができなくてもなれるの?」

 

 そんな説明に、納得した様子で頷くディアン。

 

「あー、俺もアクアも流れ者でな、身元を証明する物が何もないんだ。むしろ、この街にある“冒険者ギルド”に登録することでこの地での身分と食い扶持を確保できたから、そういった意味でもおすすめだ」

 

 むしろ流れ者が賊に落ちぬよう職を与えつつ首輪を着けるのが大きな目的となっている、とカズマは現場の仲間に聞いたことがあった。

 

「なるほど、それはイイね! それじゃ、善は急げ! ってところで、ゴハンも食べ終わったし、案内頼んでいいかな?」

「ああ、丁度カエル討伐の報酬ももらいに行かなきゃだし」

 

 そもそもがここはギルド内に併設された酒場である。

 一行はディアンを連れ、受付の元へと移動した。

 

 

「討伐数が目標に達してませんね」

なんで!? ちゃんと討伐数五匹超えてるぞ!?」

 

 ギルドの受付嬢、ルナの言葉にカズマは愕然とする。

 

 まず、彼が初挑戦時にアクアを囮に殴り倒したのが一匹。

 そしてめぐみんがオーバーキルしたので一匹、ディアナが蜂の巣にしたのが五匹。

 クエストの要求数が五匹なので二匹超過している、とカズマは主張するが、ルナは困ったように首を振る。

 

「そちらの方は冒険者カードをお持ちではありせんね? 規則として、冒険者カードに記録されていなければたとえ死体を持ち帰ったとしても依頼達成とはなりません」

 

 カエル肉自体は運搬手数料を差し引いて買い取らせて頂きますが、という彼女の言葉に、彼は涙をのんで引き下がるしかなかった。

 

 トボトボと戻ってくる彼の肩に、ポンと手が置かれる。

 カズマが顔を上げると、そこにはへらへらとした笑みがあった。

 

(まっか)せて! 登録終わったらサクッと倒しちゃうから!」

 

 そう言って鎧に包まれた胸をゴンと叩くディアンの頼もしさに、曇っていたカズマの顔がパッと晴れる。

 

「……そうだ、今の俺には()()()()戦力がいるんだった!」

 

「ちょっとカズマ!? それどういう意味よ!」

「そうです! 私が戦力にならないとでも!?」

 

 そんな希望に満ち溢れた表情の彼に、抗議が殺到する。

 

「だーっ! 実際なってなかったろ、方や無駄に威力が高いだけのネタ魔法をブッパしてダウン、方や学習せず頭から食われるし!」

 

「なんですってぇ!」

「この私の前で爆裂魔法を馬鹿にしましたね!? 怒らせていいんですか? 使いますよ、爆裂魔法!」

 

 掴みかかるアクアをいなすカズマに、目を赤く光らせためぐみんがいきり立って杖を構える。

 

「おうやってみろよ、できるもんならな!」

 

 それでも彼が強気に返すと、めぐみんはやがて苦虫を噛み潰したような顔で杖を下ろした。

 

「運が良かったですね、今日は魔力が足りないようです」

「だろうな! さっき撃ったばかりだからな!!」

 

 

 

 

「それではディアンさん、さっそく冒険者カードを作成しましょう。この魔導具の水晶の部分に手を触れてください」

「よーし、いってみよっか!」

 

 ルナの指示に従い、ディアンは水晶に触れる。

 ――すると、水晶は淡く光を放ち取り付けられた魔導具がせわしなく動き始める。

 魔導具から放たれた光がカードを包み込むと、魔導具はゆっくりと動きを止めた。

 

 ルナはカードを装置から拾い上げると内容に視線を走らせ、感嘆の声をもらした。

 

「ディアンさんのステータスは……おお、流石は元騎士ですね! 筋力、生命力、器用、敏捷性が軒並み高水準、これなら魔法使いやプリースト系列以外なら大抵の職業に適性があります。特に剣士系統ならいきなり上級職のソードマスターすら選択できますよ」

 

「おおっ、やったじゃねーか!」

 

 転がり込んで来た戦力が想像以上に優秀だった事にカズマは思わず我が事のように喜びの声を上げる。

 

「流石は異界の騎士、優秀ですね。これは私も油断せず、より爆裂の道を極めなければ……!」

「ふうん、私ほどじゃないけどやるじゃない! 何の職業を選ぶつもりなの?」

 

 口元へ人差し指を当てながら思案していた様子のディアンは、アクアの質問に「よし」と決意を表す。

 

「“冒険者”にする!」

「「「「えええ――――っ!?」」」」

 

 ふんすと鼻を鳴らしながら出した彼女の結論に、その場にいた全員が驚愕の声を上げた。

 

「ちょ、ちょっと待って下さい、上級職すら選べるのに!? 冒険者にはステータス補正が殆どないんですよ!?」

「冒険者の俺が言うのもなんだが、選択肢があるのにわざわざ選ばなくてもいいんじゃねぇかな?!」

「そうよ、勿体無いわ!」

 

 一同から殺到する反対意見をディアンは笑顔で受け流し、冒険者を選んだ理由を話し始めた。

 

「私が得意なのはもちろん剣術なんだけど、弓や銃みたいな飛び道具の扱いにもかなり自身があるんだ。あとちょっとだけ拳法もね」

 

 彼女はそう言って空気の弓を引き絞り、射る動作をして見せる。その動きは堂に入っており、こちらの腕も十二分に実践レベルであることを感じさせた。

 

「どっちかに特化した職業にしたら、せっかく磨いてきた他の技術がただの添え物になっちゃうじゃない? それなら、補正より私の強み(アイデンティティ)を取りたいかなって」

 

 必要に応じて武器を替え、仮に一人でも万能に立ち回れるという己の特性を活かしたいという彼女に、反対の声は鎮まった。

 

「……そっか。ならまあ、仕方ないか。元々横から言うことでもないしな」

「おのれの信念がためあえて困難な道を行きますか……それもまた良し、ですね!」

 

「せっかく前衛の上級職がパーティに加わると思ったのにぃ……」

「あはは、ごめんね? でも前衛はちゃんとやるからさ!」

 

 パーティーの意志がまとまった所で、ルナが小さく咳払いする。

 

「こほん、わかりました。確かにディアンさんは元騎士ですし、基礎ステータスも高いので上級職を選ばずとも十分お強い筈です。それではギルド一同、ディアンさんの活躍をお祈り申し上げます」

 

 かくして、異世界の騎士は冒険者としての第一歩を踏み出したのであった。

 

 

 

 

「おおっ、いるねいるねぇ!」

 

 まだ日も高く気温も上がって来たことで、平原では活動的になったジャイアントトードたちがのそのそと餌を求め歩き回っていた。

 

「あの数、爆裂魔法で吹き飛ばせばさぞ気持ちいいことでしょう……ああ、今日は既に使ってしまったのがなんとも惜しいッ」

 

 そう言ってめぐみんが歯噛みする前で、ディアンはどこからともなく例のガトリング砲を取り出す。

 当たり前のようにスッと行われる奇術に、カズマの口から疑問がついて出た。

 

「気になってたんだけど、そんなデカい武器何処に収納してんの?」

 

「うん? ああ、この姫様が下さった魔法のポーチに入れてるんだよ、大きさや重量をある程度無視して一定個数の物が入るんだ」

 

 腰に着けた使い込まれた革製のポーチを手で軽く叩いて見せると、黒い箱のような物が彼女の手の中に現れた。彼女はそれをガトリング砲へセットすると、銃口を敵陣へと向ける。

 

「さ、それじゃあそこの三匹を獲ろうか、なっ!」

 

 そう言った次の瞬間、抱えた物の重量を感じさせない動きでディアンが風となった。

 その先には三匹のカエルがまとまって日光浴に興じており……脅威に気づいた一匹が振り返ると。

 

「――いまッ!」

 

 強く地を蹴り跳躍した彼女がカエルの頭上を取る。カエルがそれを見上げる間もなく、黒鉄(くろがね)の砲身が火を噴いた。

 

「ゲコ!?」

 

 弾丸の雨に晒されたカエルがどうと倒れた横に着地するディアンの姿を遠目に見たカズマ達は思わず歓声を上げる。

 

「まずは一匹! 次っ!」

 

 次は横にいたもう一匹に弾丸の嵐が襲う。

 なすすべなく蜂の巣となるカエルの姿は、辛酸を舐めさせられた彼らにとってはなかなかに爽快感のある光景だ。

 彼女は先程取り付けた黒い箱をガトリング砲から取り外すと、その場に放った。

 

「さあて、仕上げだよ――!」

 

 そして彼女は魔法のポーチを叩き――。

 

「………………あれ?」

 

 叩いたが――その手には、何も現れない。

 

「え……えっ?」

「ゲコォ?」

 

 周囲に倒れた同族と同じ末路を辿るはずだったそのカエルは、ポーチに手を添えた姿で硬直するディアンを視界に収め首を傾げる。

 

「……え? 嘘っ!?

 

 ディアンは慌てた様子でもう一度ポーチを叩くが――やはり手の中に黒い箱は現れなかった。彼女の頭上に黒い影が落ちる。

 

 そして――。

 

「にゃっ!? ちょ、ちょっとまっ――ぽぇっ!

 

 しゅぱんっと長い舌が勢いよく彼女の胴に巻き付き、ぱくりとそのままカエルの大きな口の中へ吸い込まれていった。

 

 脱げ落ちた兜が地面を転がる音が辺りに虚しく響く。

 

「「「…………………………」」」

 

「……ディアンさんんんんん!?」

 

 弾切れというあんまりなミスで食われたパーティ最強の新入りの姿に、カズマが思わず叫んだ。

 

「カズマ、落ち着いて下さい」

「アレのどこに落ち着く要素が!?」

 

 思わず剣を抜き駆け寄ろうとするカズマをめぐみんが制止する。

 

「ジャイアントトードは金属が苦手です。とはいえニブい所があるので、ああやってウッカリ口に含む事はあるのですが……ほら」

 

 そう言って指差した先では、粘液まみれのディアンがカエルからちょうど吐き出されるところであった。

 べしゃりと粘っこい音を立てて地面に投げ出された彼女は、緩慢な動作で起き上がると、側に転がっていた兜を拾い上げて粘液でべとべとの髪の上から被った。

 

「………………」

 

 嫌なものを口に入れたとばかりに舌を手で拭うカエルと向き合うと、彼女はポーチを二度叩く。

 

 最初の一度でガトリング砲が消え、次の一度ではその右手に古びた剣が手に握られる。

 ――ちゃき、と剣の柄を鳴らし、彼女は無言で構えた。

 

 

 

 

「やだあの男、また違う女の子を粘液濡れにしてるわ……」

「女の子三人を代わる代わるヌメヌメにして、一体どんなプレイを……」

 

 街中から聞こえて来る人聞きの悪いひそひそ話を努めて無視しながら、カズマは最後尾を歩いていた。

 

「ゔぅっ……ぎぼぢわるいしくさいぃ……」

 

「うんうん、わかる、わかるわ! 生臭いし、ネチャネチャするし、肌にひっついた服に風が当たると冷たいしでサイアクよね」

「髪が特にイヤですよね。顔に張り付くのもそうですし、ニオイが染み付きそうで……ディアは髪が長いから特に気をつけないと」

 

 粘液濡れの体でトボトボと歩くディアンの左右で経験者たちが互いに頷き合っているのを見て、カズマは深くため息をつく。

 

 その手には黒い箱――ガトリング砲用の魔力タンクが握られていた。先程の戦闘で使われた最後の一つと、最初に戦った時に使ったもの二つで合計三個。

 だいたいどの辺りで戦ったかは覚えていたので四人かかりでなんとか見つけ出したのだ。

 

 無敵にも思われたガトリング砲だったが、よくよく考えなくとも毎秒とんでもない数の弾丸をバラ撒く省エネと無縁の兵器である。

 補給が絶たれたこの状況で気軽に使えばご覧の有様。これで米帝プレイは夢のまた夢となってしまった。

 

 幸いなのは実弾ではなく魔力による弾丸であり、リチャージが可能であることだろう。とはいえ本来は使い捨ての品であり専用の器具もない現状だと効率が悪く、摩耗もする為常用は厳しいとか。

 なんか電池みたいだな、とカズマは思った。

 

「とりあえず、私はもっかいお風呂行ってくるね……」

 

「お、おう、そうしてくれ。ギルドの場所はわかるよな? 俺達は先に討伐報告だけして待ってるから」

 

 カズマの言葉にコクリと頷きべとべとの体を引きずって公衆浴場に足を向けるディアン。

 

「髪の毛しっかりと洗うのよ? 綺麗な髪なんだからちゃんとケアしないと勿体無いわ!」

「体も相当冷えてるでしょうし、ゆっくり暖まって下さい」

「うん。それじゃあ、また後でねー」

 

 

「カエル5体討伐とカエルの買い取りでこれだけ。4人で割ったら……割に合わねぇなぁ。そもそも殆どディアンの手柄だけど」

 

 むしろガトリング砲を使った事で気分的には赤字感まである、と討伐報酬を受け取ったカズマからは深いため息が漏れた。

 

(いっそのこと俺とディアン、アクアとめぐみんで2つのパーティーに分けるか? 分けてしまうか?)

 

 そんなとんでもない事を考えつつ落胆した様子でテーブルへ戻ってくる彼に、やや興奮した様子で目を薄ぼんやりと赤く光らせためぐみんが駆け寄ってきた。

 

「カズマカズマ、これ凄いですよ!」

「はいはいカズマです。で、何が凄いんだ?」

 

 見て下さい、と彼の前に差し出されたのは綺麗に透き通った結晶のようなものであった。

 

「これは、ディアの武器のエネルギー源の中身です」

「何勝手に分解してんの!?」

 

 知らぬ間に仲間の私物を分解したという彼女の凶行にカズマは思わず目を剥いた。

 

「まあいいじゃないですか、魔力を込められると聞いてどんな仕組みなのかと気になりまして……これは、再充填ができるマナタイトのような物質ですよ! 凄くないですか!?」

「マナタイ……なに?」

 

「マナタイトです! 魔力の詰まった鉱石のようなもので、私のような大量の魔力を必要とする魔法使いからすると垂涎の品です」

 

 首を傾げるカズマに対し、彼女は鼻息荒く語る。

 

「大容量の魔力を溜め込んだ高純度のマナタイトはとても高価です。これは恐らく魔力源としては同じサイズの中品質のマナタイト程度の物だと思われますが……」

 

 具体的にどのくらいかとカズマが問えば、爆裂魔法を撃つのにコレが10個くらいあればいいとの事だった。

 

「コレの凄いところは、魔力を後から込められることなんです! マナタイトによる魔力供給は不可逆ですが、これは魔力を込め直して再利用できるんです。画期的ですね」

「はー、便利なんだな。……つーことは、これをこの世界で量産するのは無理ってことか」

 

「マナタイトがあれば使い捨て品は作れなくもないですよ、ただ赤字を嫌というほど垂れ流す武器になるでしょうが」

 

 まさに米帝プレイ並の財力が必要になるとのことで、カズマは即座にその案を廃案とする。

 と、二人がそんな話をしているところに湯上がりのディアンがやってきた。

 

「お待たせー! あれ、アクアさんは?」

「アクアなら向こうでなんか宴会芸を披露してる」

 

 ずっと身に着けていた鎧を外し、長袖の黒い肌着の上に麻のシャツを着た黒のパンツコーデというシンプルな装いをした彼女の姿は、まだ一日の付き合いしかない彼の目にとって新鮮に映った。

 

「そだ、髪の臭い落ちてる? 自分じゃわからなくってさ」

「どれどれ……ふんふん、シャンプーの良い香りがしますね。大丈夫ですよ」

 

 ほらほらと淡い金色の長髪を手で掬い差し出すディアンに、カズマは自分も嗅ぎに行きたい欲求をグッと堪えた。

 

「それより、この魔力結晶なんですが! チャージできるのはわかりましたが、どうも効率が悪いようでして……」

「うん? ああ、めぐみんは見たところ火属性っぽいからじゃないかな。これ無属性用だからね、私がそうなんだけど魔力低いからなぁ」

「……なるほど、魔力の相性ですか。確かに、私の魔力は火属性と相性がいいですね。もちろん爆裂魔法もですが」

 

 そう言って謎に無い胸を張るめぐみん。対するディアンは普通にしてても存在感があるな、とカズマは密かに思った。

 そんな失礼な事を考えていると、彼の背後で一つの足音が止まる。

 

「……ちょっと、いいか!?」

「うん?」

 

 そんな声にカズマが振り返ると、そこには鎧を着た背の高い金髪の女性が立っていた。

 ディアンが使う無骨な鎧とは違ってデザイン性を重視した黄色の鎧を着た、正にファンタジーの女騎士といった装い。

 

 ――そしてなにより、美人であった。

 カズマが内心「顔面偏差値は高いな」と評している彼のパーティーメンバーに勝るとも劣らない程に。

 

 同じ女騎士で言えば、ディアンが親しみを感じる近所の美人お姉さんだとすれば、目の前の女性は手の届かぬどこかのご令嬢といった高嶺の花を思わせる。

 

「パーティーメンバーの募集はまだ、やっているのか? やっているな! 終わっていないだろうな!?」

 

 そんな女性が、なにやら肌を上気させて興奮した様子でそんな事をまくし立ててきた。はっきり言って意味がわからなかった。

 

「私の名はダクネス……私は、っん! あなたのような者を、待ち望んでいたのだ……!」

 

 そう言って一人で身悶えしながら熱い視線を向けてくる女性に、カズマは全力で嫌な予感を覚えた。

 

 


 

 

〘皇女の私兵に加えて宰相捕縛を終えた国境警備隊まで駆り出してあの周辺一帯は調べ尽くした。……で、成果はさっき言った通りよ〙

 

「見つかったのはインヴェーダーの痕跡、そしてディアンの……」

 

 あれから数日が経ち。ソヒからの報告を受けた私は、膝から崩れ落ちそうになるのを堪えるのが精一杯だった。

 

〘確かにあいつはいつもヘラヘラしてて、殺しても死にそうに無いってくらいしぶといけど。この状況じゃ、流石に厳しいと思うわ〙

「……そう、か」

 

 脳裏にはいつもの笑顔を浮かべるディアンの姿が浮かぶ。

どれほどの強敵相手にも一歩も引かず、粘り強く勝機を見出して常に勝利してきたのが彼女だ。

 

 ……しかし、思えばそれはいつも仲間と肩を並べてのもの。

 孤立した瞬間を狙われたのだとしたら、いくら彼女でも――。

 

〘――とにかく、今日で大規模な捜索は一旦打ち切られた。これから正式に同盟を結ぶための使節団が浮遊城の巡航ルートに向かうから、しっかりと対応しなさいよ、団長さん〙

 

 それだけ言って、通信は打ち切られた。私は無音となった受話器を緩慢な動作で耳から離すと、深くため息をついた。

 

 ……姫様は、ディアンが行方不明となったあの日から笑っていない。

 

 皆を心配させまいと努めていつも通り明るく振る舞おうとされてはいるが、誰の目から見ても無理をされているのは明らかだった。

 あのロレインですら、毎日の献立からピーマン料理が減るという分かりにくい配慮をする程だ。

 

――『大丈夫! ディアは絶対帰ってくるから!』

 

 姫様がまるで自分に言い聞かせるように繰り返すあの言葉が、私の頭の中をリフレインしていた。

 私はその場で跪くと、信仰する神へ祈りを捧げた。

 

「どうかあの子に……ディアンに、プリトヴィツェ様のご加護があらんことを……!」




・「運が良かったな、今日はMPが足りないみたいだ」
MPが足りてれば本当に撃ってくるかもしれない。

・“冒険者”を選ぶ騎士ちゃん
ソードマスターにはなれそうだけど、そうしちゃうと多数の武器カテゴリに適正があるという個性が死んでしまうのではという理由。

・食われる騎士ちゃん
ベトベトにしたかった(性癖)
鎧抜きの私服は公式4コマ漫画「かんたべりーでいず!」に出てくる騎士ちゃんのアレですが、下半身がいつも見切れててよくわがにゃいので黒いズボン履いてることにしました。

・ガトリングガンの仕様
多分ゲーム中では実弾だと思いますが、それだとすぐに撃ち尽くして終わるのでこういう形に。マガジン(魔力タンク)の少なさと補充への制限で多用もし辛くすることに成功。
魔力適正システムはガデテル仕様。別属性も使えるけど、適正の者を選べば威力が上がる。

・古びた剣(Lv1 見習い用の剣)
「この武器の事は永遠に忘れないでしょう」

・うーん…騎士ちゃんとダクネスで女騎士がダブってしまった
騎士ちゃんは遠近両用アタッカー、ダクネスは命中率ゼロの純タンクなので役割は被っていません。
多分この二人、いろんな意味で相性が良さそう

・ソヒ
魔法学校に通っていた“魔科学”使い。
一見自身の頭の良さを鼻にかけた嫌な奴ではあるが、社会性が無いだけで悪い奴ではなかったりする。
ゲーム本編や外伝からしてマリアンとセットみたいな所があるので、ここでも実質コンビとして扱う。

・プリトヴィツェ
浮遊城の一角を占める美しい結晶に封印されたランドマーク戦と炎とプリンを司る女神。
封印を解く事で仲間にできるSSRキャラだが、その見栄えの良さから素敵なオブジェとして保存する騎士ちゃんも多い。

・ロレイン
人の形をした名状し難い旅館の主ようなもの。
腹黒でちょっと意地悪だが美味しいご飯を作ってくれるしそれなりに世話も焼いてくれる。怒ると怖いし怒らなくても時々怖い。

・チビ姫さま
騎士ちゃん不在時にこれ以上心配事を増やすわけにはいかないと健気にも辛うじて作り笑顔を浮かべている。
どこか上の空で苦手なピーマンすら気付かずに食べる姿の痛ましさに、ロレインも思わずピーマン料理を出す頻度を三日に一度程度まで減らしたという。
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