僕は敵に恋してる。   作:ヒドラ

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カップルが完成するまでの話は書きやすいが、完成済みのカップルの話を書くのは難しいんだなって分からせ食らってました。

そしたらいつの間にかこんなに更新空いてましたごめんなさい許してください何でも書きますから。


05.理想の休日の過ごし方。

僕は夜が好きだ。痛みや快楽と言った刺激にしか生を実感出来ない僕にとって、そうした物が集まり渦巻く夜は昼より遥かに胸が高鳴る。それは一人だった時から変わらず、今思えば誘われるがままに何処までも深く沈むのが好きだった。

 

………しかし。今日ばかりは違った。

 

「………あっ、りゅーくん。ちょっと物陰行きましょう。」

 

「??………うん。いいけどぉ……ひぃちゃん、誰かいた?」

 

「はい。そこの先に刑事さん居ます。……目で見ちゃダメだよりゅーくん。」

 

ひぃちゃんが僕の手を引き、さらに深い路地裏の闇へと導く。長い間警察の捜査を潜り抜けて来ただけあり、ひぃちゃんは嗅覚が優れてるっていうか……警察やヒーローと言ったものの発見が上手かった。それこそ敵にプロというものが居るのなら、ひぃちゃんみたいなのを言うのだろうと思うほどに。

 

彼女は僕が気付くより先に自身の害になりそうな人間を見つけ出し、巧みに姿を晦ます。その芸当は変身という彼女の個性抜きにある種の特殊技能と言えるほどで、完全に人の目の届かない場所まで導いた時点でひぃちゃんは血液製剤をカバンから取り出す。そしてそれを一口だけ口に含むと、目の前で蝋に似た物質に身を包んだ。

 

「………うん。これでよし。りゅーくん、お店行きましょうか!!」

 

「これは……確かに警察も捕まえようが無いねぇ。」

 

「でしょう!!今度りゅーくんにもやり方教えてあげるからね!!」

 

すっかり別人の少女の姿に変身したひぃちゃんが得意げに笑い、再び僕の手を引いて人通りの中へと躍り出る。楽しそうに僕の腕に抱きつき、僕の反応を窺うかのように見上げてくる。

 

……僕としてはなんか彼女いるのに他の女の子と遊んでるみたいで、すごい背徳感というか……罪悪感がすごい。それに本当の姿のひぃちゃんにこういう事されたいってモヤモヤして……僕の方から素直に甘えられそうに無いのがすごい辛い。今のひぃちゃんはひぃちゃんじゃないから、甘えたらひぃちゃん以外の子に甘えたみたいになって……でもひぃちゃんに甘えたい。ぎゅうってしたい。お預けされてるみたいですごい苦しい。

 

けどそんな感情が表に出ていたのか。ひぃちゃんは不意に僕の回り込むと、僕の胸に顔を押し付ける。そして腰へと両手を回す形で抱きしめると、宥めるかのように軽く叩いてくる。

 

 

「はー……っ、はー………ひぃちゃん……ごめんねぇ………」

 

「大丈夫?りゅーくん、我慢しなくてもいいよ?そこの路地裏で一回しますか??」

 

「んーん……平気ぃ………」

 

 

ひぃちゃんを抱きしめ返そうとする腕を必死に抑え、代わりにひぃちゃんの頭を撫でる。今ひぃちゃんのこと抱きしめたら絶対それだけで終わる自信が無かったから。最低でも貪るように唇は奪ってしまうし、その最低ですら公衆の面前でひぃちゃんに恥をかかせてしまう。何より他の女の子の姿にベロチュウしたとか絶対自己嫌悪でハイパー自傷(メンヘラ)モード突入するから。元々ほぼ持ち合わせてない僅かな理性で、どうにか強すぎる衝動を抑える。我慢我慢。おうち帰るまでは我慢だよ。

 

……だからねひぃちゃん。いい加減ぎゅうって抱きしめてるの離してくれないかな?なんか耳赤くなってるし胸に顔押し付けて隠してるけど。もしかして頭撫で撫でってされるの好きだった?ていうか胸に顔ぐいぐいってして甘えるのやめて……我慢するの拷問だから………

 

 

「………りゅーくんってさ。顔の割に身長ありますよね。」

 

「んっ……一応190あるけど、あの……太もも揉み揉みしないでぇ………」

 

「こんなおっぱいも太もももむちむちしてて……抱き心地いいのに頭撫でないでよ。こっちまで我慢できなくなるじゃないですか。ほんとりゅーくんメスみたいな身体だねぇ……かぁいいねぇ………」

 

 

別人の声色なのに明らかに入っちゃいけないスイッチが入りかけたのが分かり、僕はひぃちゃんの頭から手を離した。……ひぃちゃんのは我慢しないと現行犯になっちゃうからね。刺激しちゃってごめんね?そうだよね……我慢するのが苦しいのは僕だけじゃないもんね。

 

けどそんな既にお互いに生殺しの状態。このままだとどっちかがいずれ暴発すると読んだ僕は、苦渋の決断だがひぃちゃんにある提案をする事にした。

 

 

「……ひぃちゃん。用事終わるまでお互いの身体触るのやめよ。手を繋ぐ以外禁止。ね?」

 

「えっ。」

 

「買い物終わったら好きにしていいから。……だからそんな残念そうな顔しないの。ごめんってぇ。」

 

 

涙目で膨れるひぃちゃんは凄く物申したげに僕を睨んでくるが、僕はひぃちゃんの手を引いて目的地であるショッピングモールへと向かった。

 

………そんな一人のときならまず有り得ない、年相応の青春とでも呼ぶべき二人の時間。既に爛れて大惨事になる兆候が見えてるが、二人して待ちかねた買い物デートが始まる。ていうか始まった。

 

 

 

始まった………のだが。

 

 

 

 

「りゅーくん。お待たせしました。」

 

「うぅん、待ってないよぉ……って。ひぃちゃんまだ怒ってる?」

 

「怒ってます。イチャイチャしたいです。」

 

 

御手洗で変身の個性を一度解き、僕が好きな本来の姿でひぃちゃんが出てくる。人の多いショッピングモール内なら本来の姿でもバレる事は無いし、店の中にまで警察関係者は居ないだろうってことで戻ってもらったんだけど……血液製剤だと変身時間が普通より短めみたいだしね。人の見てるところで変身解けてもヤバいから戻ってきてってお願いしたんだよ。

 

それでせっかく元の姿に戻ったのに、僕がまだ抱きついたり甘えたりするの禁止って言ったから。ひぃちゃんは今こうして頬を膨らませてへそを曲げている。ごめんって。

 

おまけに僕も元の姿のひぃちゃんを見て身体が疼いている。……さっきより酷い生殺しの状態なんだけど。お互いに我慢して誰が幸せになるんだこれ。ひぃちゃんも僕に色々したい衝動を抑えてるみたいで、僕の手を握る力が痛いくらいに強くなってる。僕もめっちゃひぃちゃんのこと後ろからぎゅうってしたい。髪の毛とかに顔押し付けて匂いとか嗅ぎたい。さっき他の女の子の姿でやったみたいに抱きついて欲しいし思いっきり抱きしめ返してそのままベロチュウしたい。ひぃちゃんのしたいように甘やかしてあげたい。

 

………って、また抑制が効かなくなりかけた。ひぃちゃんも僕が我慢してるのが分かるみたいで、チラチラとこちらを誘惑するように見てくる。……買い物とかしてたら気が紛れるかもしれないし、お店回ろうか。今は警察とか気を回す対象が無いから余計にキてるもんね。何か他の楽しい事してたら忘れられるかもしれない。それにさっさと買い物済ませて甘えたいし。

 

 

「むぅ……珍しくりゅーくんがしっかりしてる。」

 

「んじゃねぇ、まずひぃちゃんの服買いに行こっかぁ。」

 

「ていうかりゅーくん、いいの?今さらだけど私お金持ってませんよ??」

 

 

などと遠慮がちにひぃちゃんが尋ねてくるが、そこは心配ない。こう言っては何だが僕は資金面にはそれなりの当てがあるし、こういう時のために普段から貯蓄してるんだ。

 

それにひぃちゃんに僕の好きな服とか着せたいしね。そのための投資なら僕の服を買うのよりもよっぽど有意義というもの。ひぃちゃんの好みもあるから無理強いはしないけど、ここだけの話ひぃちゃんに服を買うのは楽しみにしていた。好きな人を自分の好みに着飾るのって楽しいんだよ。それこそ出費が気にならないほどに。

 

 

「……心配しなくても、資金面ならそれなりに当てがあるから。気にしなくても大丈夫だよぉ。可愛く着飾らせてあげるからねぇ。」

 

「それなら遠慮しないけど……今度ちゃんとお返しさせてよ?」

 

「んん……じゃあなんか考えとくねぇ。」

 

 

そう返しながらも僕らはひぃちゃんの手を引き、レディース専門店へと足を進める。こういうショッピングモールのってブランドも豊富で、そもそもひぃちゃんはあまりこういうお店に来たことは無いらしい。来るまでは少々気が引けた様子であったものの、いざ中へと入ったらひぃちゃんは目をキラキラさせてあちこち見渡していた。かわいい。

 

いや……そりゃ来たこと無いか。ひぃちゃんは敵なんだから。こんな人の多い場所に自分から訪れるような事はまず無いし、誘ってくれる相手はきっとその前にひぃちゃんの本性を知って逃げるか死ぬかする。だから年相応の女の子の楽しみってものをひぃちゃんは知らないわけで。

 

 

「りゅーくん見て見て!!これとか超かぁいいです!!ほんとにこういうの買ってもらっていいの!?」

 

「買うのはいいけど……まず試着室行こうねぇ。着てみて良かった服は僕が買っておくから。」

 

「本当にありがとうねりゅーくん!!」

 

 

………楽しそうに笑うひぃちゃんに思わず僕まで笑顔が零れる。本当ならここにも僕一人で来るつもりだった。いくら人の多い場所とは言ってもやはりひぃちゃんを表立って連れ歩くのは危険だし、遊びに行くというよりは殆ど買い物に来たってだけだったから。一緒に連れ歩いたところでひぃちゃんもそう楽しいものではないだろうと思ってた。

 

けど、こうして連れてきて良かった。本当は危なくて良くないことなんだけど、年頃の女の子らしい笑顔を浮かべるひぃちゃんを見てるとそう思わずには居られない。こういう普通の恋人らしい事をしてみたかったのはきっとお互い様で、それ以上にひぃちゃんが女の子らしく買い物できる。犯罪者の彼女にとってはそれだけでも十分なほど幸せなんだって僕は知った。

 

 

 

 

が、それはあくまで二時間くらい前の話。女の子は服とか選ぶの好きなものだが、それは敵とはいえひぃちゃんも例外ではなかったみたいで。普段こういう場所に来れないから余計だろうね。僕は『こういう服が着たい』って大雑把に決めてから買い物に行くが、ひぃちゃんはそれは無軌道に服を選んでは試着室に直行しての反復横跳びを繰り返していた。

 

それはいいんだよ。その反復横跳びのうちの五分の一くらいは僕が『似合いそう』って言って着せたものだから。実際そういう服はもうレジに持ってって既に僕が持ち歩いてるし。それにはしゃぐひぃちゃん見守ってるのは僕も幸せだったから。

 

 

………ただね?

 

 

「わぁっ!!りゅーくん……やっぱり超似合いますね!!ほんとかぁいいねぇ!!」

 

「………ひぃちゃん。ちょっといぃ……?」

 

「なんですか!!!」

 

 

………なんで、レディース専門店で()()()()()()選んでるのかな。確かにこの個性が多様化した時代、女物も大きさの種類はかなりあるからね?身長ある僕でも問題なく着れるサイズは普通にあるけどさ。

 

そして僕が女みたいな顔と身体で着用したところで一切問題ないのも知ってる。それは分かる。でもだからって女の人しかいないレディース専門店でこうして試着させられるのは僕でも恥ずかしいし、ましてや着せられてるのがサイドカットチャイナドレスともなれば僕じゃない女の人でも赤面すると思うの。絶対これ夜伽用のやつでしょひぃちゃん。なんでこんなもの売ってんの。しかもひぃちゃんはそんな僕の姿をスマホで撮りまくってるし………

 

 

「………ひぃちゃん。なんでさっきから写真撮りまくってんのぉ……」

 

「自分用です!!りゅーくんいない時に使おうかと思って!!それにしてもりゅーくん、ほんっとスタイルいいねぇ……肌も綺麗だしズルいです。」

 

「んえぇ……そういう写真欲しいならおうち帰ってから着るからぁ………」

 

 

涙ながらに訴えてみるも、ひぃちゃんは無言の眩しいほどの笑顔で僕の拒否権を奪ってくる。……自分の服で満足したからターゲット変えてきたんだよね。しかも今思い出したんだけど、今僕が着せられてるやつはひぃちゃんもさっき買ってた。色とサイズは違ってたけど。

 

確かひぃちゃんは好きな人と同じものを身につけたりするのが好きって言ってたけど、それって相手に自分と同じものを身につけさせるのもOKなのか。お腹周りとか太もも見えるやつは流石にやだって断ったけど、それでも結果として随分と僕の服までも買わされてしまった。……今更だけど収納し切れるかな。最悪タンスを新調するか、古い服を処分するか。

 

とにかくこの量の服を持ち歩くのも大変だから、ひとまず買い終えた服は僕の部屋へと飛ばしてもらう。あと今日買うのはひぃちゃんの化粧品とかタオルとか、あとシャンプーとか歯ブラシとかの日用品。そう嵩張りはしないけど買うもの多いな。あと用事済ませたあとは外出たついでにご飯も買って帰りたいし、残り時間でどこか遊びにも行きたい。服買うのに随分時間かかっちゃったし、そろそろ次行こうか。

 

 

「りゅーくん?私メイクとかシャンプーはりゅーくんのやつでいいよ??」

 

「肌に合う合わないあるからだぁめ。僕のは今度試させてあげるから。今日のところはひぃちゃん用の買うよ。」

 

「りゅーくんってたまにお母さんみたいだよね。」

 

 

ひぃちゃんのお母さんこんなヤバいやつだったの。って言葉が(ここ)まで出かかったけどぐっと飲み込む。ひぃちゃんさてはもう買い物飽きてるね???服だけ買って満足したか。それとも買い物とかより僕と遊びたいのか。気持ちは分かる。僕も同じこと考えてるから。

 

「でも僕学校あるから土日しかお買い物出来ないのぉ……遊ぶのは平日の放課後でも行けるから。むしろそっちのが空いてるしぃ……」

 

「むぅ。……………ん??」

 

「あれだったら日用品は明日学校帰りに買ってくるから。せめてメイクやシャンプーだけ……ね?」

 

僕は渋るひぃちゃんを説得しながらも次の店へと足を進める。幸い店に連れて行ってさえしまえばひぃちゃんはなんだかんだ色々と自分のものを選んでくれた。化粧品とかは選ぶの楽しいもんね。それと同時に僕はひぃちゃんの好みとかリサーチして次に一人で買いに来れるようにしておく。けど、そうすると荷物を抱えたひぃちゃんが僕の顔を不思議そうに見つめてくる。

 

 

「………ひぃちゃん?どうしたのぉ。」

 

「いいえ。……りゅーくんってさ、学生なんですか?」

 

「?僕いちおう中学生だよぉ。……って、言ってなかったっけ。」

 

「????????????????」

 

 

脳みそバグって固まったひぃちゃんの荷物を受け取りつつ頬をペちペちと軽く叩いて正気に戻す。……そういえば言ってなかったかもしれない。なまじ僕がひぃちゃんの年齢を察してたから、そもそも僕の歳とか話題にすら出てなかったかもしれない。会ったの昨日で今日だけで色々あり過ぎたものね。どうにもひぃちゃんは僕のことを成人男性か何かと思っていたらしく、バグった脳で今日あったことを色々と思い返してるようだった。

 

 

「ちなみにひぃちゃん……僕のこと何歳くらいだと思ってたのぉ。」

 

「二十代後半。綺麗でエッチなお姉さんだなって思ってました。話したらお兄さんって知ってまだ半信半疑なのに、これ以上情報増やさないでください。」

 

「僕そんなに年増じゃないよぉ……僕ってそんな老け顔かなぁ。」

 

 

こんな成人男性(二十代後半)野に放たれてたら嫌だよ???って思ったけど学校にいるのももっと嫌だなって気付きを得てしまった。僕の存在意義ってなんだろうね。ていうか後半に至っては倍近いんだけどひぃちゃん???褒めてくれてたから悪気は無さそうだけど、中身の爺臭さが表に流出しちゃってるのかな。それとも化粧がケバいとか??……改善点はまだまだ多そうだ。

 

 

「ちがうちがう!!りゅーくん女の子の扱い手慣れてる感じ出てたから!!背も高いし大人なんだなーって思ってたんです!!」

 

「ほんとぉ……??」

 

「ほんとです!!………まぁ、私より歳下なのにあんな手慣れてるのはそれはそれで嫌ですけど。大人だししょうがないなって思ってたのに。」

 

 

大慌てでフォローしてきたと思ったのもつかの間。ひぃちゃんは不意にそう呟くと、僕の腰に腕を回して不満そうな目で見上げてくる。……しかも服の下に手を入れて、僕の腰の付け根辺りを指先で摩るように愛撫しているし。それだけでもヤバいのにひぃちゃんは視線を下ろすとぐいっと僕の胸元に顔を押し付けてくる始末。あーヤバい。これなんかひぃちゃんの地雷踏んだ気がする。

 

しかもひぃちゃんは舌をべっとすると僕の胸に唾液で湿った舌を押し付け、服越しに乳首に擦り付けて吸ってくる。ひぃちゃんの舌で湿った布が擦れるのもヤバいし、腰撫でられて身体がスイッチ入っちゃってる。ここお店の中なのに………!!

 

 

「ひぃちゃん……用事終わるまで身体触っちゃダメってぇ………」

 

「これでもう買うものないよ。……りゅーくん、このエロい身体でいっぱい女の子を泣かせてきたんですね。私と一緒で悪い子なんですね。」

 

「ひぃちゃんダメ……!!ここ人いっぱいいるからぁ………!!」

 

 

何がヤバいって、僕荷物持ってるから抵抗出来ないんだよ。傍から見たらひぃちゃんが僕にぎゅって顔押し付けて抱きついてるだけに見えるだろうけど。それでもマスクしてるとはいえ僕は蕩けた顔を晒しているだろうし、そうした顔を色んな人に見られるんじゃないかと考えると不安と羞恥心からさらに身体が敏感になる始末。なにこのえげつない拷問。性癖開花しそうなんだけど。

 

ていうかひぃちゃん、なんでこんな怒ってるの!?上目遣いでこっち見てるけど凄い目付きがじっとりしてて、明らかに妬いてるっていうか……僕の発言にそんな嫉妬するとこあった!??

 

 

「りゅーくん……私のことも、する事して飽きたら捨てるんですか。りゅーくんは私のこと分かってくれると思ったのに………」

 

「んえぇ……僕、そんなひぃちゃんの事捨てたりなんて────」

 

「じゃあなんであんな女の子の扱い手慣れてるんですか。したい時に昨日みたいに女の子持ち帰ってたんじゃないんですか。」

 

 

あっ。これなんか酷い勘違いされてる。僕が身体目当てでひぃちゃんの事を巣に連れ帰ったと────いや何一つ間違ってないな??え、これなんて修正するのが正解??確かに犯罪者なら連れ帰っても大丈夫とか思ってはいたけどさ。でも僕がここまで依存したのはひぃちゃんだったからで、他の女の子相手だとあそこまで酷いことにはならなかったと思う。

 

それに何より。ひぃちゃんは僕が女の子を取っかえ引っ変えしてると思って怒りのスイッチが入ったみたいだけど、それは違う。違くはないけど違うんだよひぃちゃん。

 

 

「ひぃちゃん……あのねぇ、落ち着いて聞いて……??」

 

「なんですか。言い訳するんですか。」

 

「僕が女の子の扱い慣れてるのはねぇ……それだけ女の子に逃げられまくってるからなのぉ……ひぃちゃん分かるでしょぉ………」

 

 

ふとした拍子に入るハイパー自傷(メンヘラ)モードに異常性癖の数々。そして理性ゼロの思考回路にクッソめんどくさい依存体質。普通の女の子なら付き合って一週間以内には間違いなく逃げるんだよ。最短なら手を出してホテルでする事して、その日のうちに逃げられたことだってある。それだけ僕は()()()女の子にとっては手に余るんだよ。

 

そんな僕が、僕の嫌なところ大体見てなお逃げないでくれるひぃちゃんをどうして捨てるものか。ひぃちゃんは僕に捨てられるんじゃないかって心配になったみたいだけど、僕が付き合ってる女の子を僕の方から捨てるなんて絶対にしないよ。むしろ捨てないでってなってるんだから。

 

 

「………あっ!!そういうことですか!!」

 

「そういうことぉ。……だからおっぱい吸うのやめてぇ………」

 

「私てっきり、りゅーくんが女の子を速攻でヤり捨てる悪い子だとばっかり!!そうですね!りゅーくん私以外じゃ手に余るもんね!!」

 

 

幸い理解してくれるとひぃちゃんはパッと表情を明るくして僕から離れてくれる。いや何も幸いじゃないけどね?ひぃちゃん吸った部分涎が染みになってるし、身体のスイッチ入っちゃったせいで全身がゾクゾクする。完全にひぃちゃんに甘えたいってなっちゃってるし、絶対発情して見せられない顔になってるよ。

 

ていうかひぃちゃんも甘えててスイッチ入っちゃったのか、多分僕と似たような顔してる。……こうなるから買い物終わるまではお互い触らないようにって言ってたのに。いや、一応終わりはしてるけどさ。

 

 

「はー……はー……ひぃちゃんのバカぁ……!!僕がひぃちゃん居るのに浮気なんてするわけ……うぅ………」

 

「あー……ごめんねりゅーくん?発情しちゃいました?しちゃいましたよね??」

 

「なぁんで嬉しそうなのぉ……この後ゴム買ったりご飯買いに行かなきゃなのにぃ………」

 

 

こんな状態で僕が店を回ったり出来るわけない。現に今ひぃちゃんを後ろから抱きしめながらも彼女の頭にぐいぐいと顔を押し付け、シャンプーの匂いを吸引することで興奮を鎮めようとしている始末。彼女の胸元の下に腕を回して抱きしめているものの、抑制が効かなくなっている僕にひぃちゃんはえらくご機嫌な様子であった。

 

 

「いいじゃないですかそんなの。ゴムならホテルにもありますし。ご飯も落ち着いた後になんか買いに行こう?」

 

「………ホテルのゴム気持ちよくないからやだ。けど……うぅ………!!」

 

「じゃありゅーくん我慢したまま他のお店回れますか?……出来るわけないですよね??私も無理だから大丈夫だよ。」

 

 

情けないことに返す言葉が無かった。結局僕はひぃちゃんに連れて行かれる形でホテルに向かい、部屋に着くなりひぃちゃんにベッドへ押し倒された。

 

後で知ることになったのだが、ひぃちゃんはこう見えて(?)非常に独占欲が強いらしい。ましてや自分の性癖を理解し受け入れてくれるだけでなく、積極的に満たしてくれる僕に対する執着は僕の想像を超えるわけで。依存してくれてるのは既に知ってたが、思想に至るまで彼女と同じものを抱く僕をひぃちゃんはこの時から()()()()()()()()()()傍に繋ぎ止めるつもりだったみたいだ。

 

それを僕が年端も行かないのに女慣れしてると知り、あまつさえ僕が女の子にモテると勘違いした結果。ひぃちゃんは嫉妬と独占欲でより手が付けられなくなってしまった。そのせいで彼女の存在が今後の僕の高校生活に置ける『爆弾』となったのはまた別の話。

 

 

結局その夜は独占欲の爆発したひぃちゃんに昨日より激しめに愛でられ、陽が昇るまで夜通し抱かれた。ナイフこそ持ち込んでいなかったから身体を刺されたりはしなかったけど、その分ひぃちゃんは首を噛んで血を吸ってきた。それも服を着ても見える位置を、まるで『自分のものです』と言わんばかりに。同じ場所を何度も何度も。

 

血が出やすいようにとお風呂でされたのもあり、頭がふらつく程に僕は血を失った。そのせいで途中からは記憶も朧気だが、ひぃちゃんがすっごい満足気にニコニコしてたのだけは覚えてる。




トガちゃんのヤンデレ度はこの時点で原作から三割くらい増してます。全部あのメンヘラのせいです。あーあ。

トガちゃんは彼氏に浮気された場合…

  • 問答無用で刺し殺す。殺さなくても刺す。
  • 浮気相手を刺しに行く。ついでに血も奪う。
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