クラウスは、追い詰められていた。
世界最強のスパイたるクラウスを追い詰めた人物は、彼にこう告げた。
「ボス、お体お借りします····」
「俺様、早く試したいです!」
何故だ。まずグレーテ、君は変装できるのだから体を乗っ取る必要なんてないだろう。そしてアネット、なんだその禍々しい機械は。体の入れ替わりをその機械でやろうというのか。
「お前ら、少しは話を」
「俺様、待ちきれません!」
「話を聞け」
飛びつこうと突っ込んで来たアネットをひょいと躱しワイヤーで拘束する。この瞬間を待っていたのもあるが、なかなか機械の発動条件を掴めなかった。今回、2人だけで来たのは油断させるためか。
「ボス、チェックメイトです」
グレーテが僕に告げる。何を···と言おうとした瞬間、例の機械が発光した。時限装置が隠されていたらしい。閃光弾にも勝るほどの光量。回避は難しく、最低限のダメージに抑えることに念頭をおいた。
その光が収まる頃、体に異変があった。視界が低い。そして身体能力の低下も認められる。そして、残光も収まる頃開けた視界に飛び込んできたのは僕の姿だった。
「ボスの···ボスの体···」
「やめてくれ、僕がナルシストのような行動をしているように見えてしまう。」
どうやら本当に体が入れ替わったらしい。アネットの潜在能力には感服するばかりだ。ワイヤーで拘束されたアネットは床に転んでいるが、成功したのが嬉しいのかニッシッシと笑っている。
「ああ····ボスの体····」
「恍惚とするな」
傍から見たら完全にヤバい人だ。自分で自分を抱き締めている。
あの後、アネットが「大成功です!」と言って部屋を飛び出してから既に10分経っている。しかし、どう作ったのだろうか。全く分からないのが不気味だ。
「グレーテ、元に戻す方法はあるんだろうな?」
僕の姿をしたグレーテに聞く。
「ボス····私の体、自由にしてくれていいんですよ?」
「話を聞いていたか?」
「ボスになら、何されてもいいですので····」
「会話をしてくれないか」
「ボスの体、とても魅力的です····」
「今はお前の体だがな」
「それゆえです」
「ようやく会話できたな」
なかなか、グレーテの今の思考はぶっ飛んでいる。普段のクールな彼女とはかけ離れた思考をしている。何とかならないものかと考えていた頃、部屋のドアが勢いよく開いた。
「俺様!みんなに言って来ました!」
「ホントになんてことしてくれたんだ。」
先頭のアネットを皮切りにぞろぞろと少女達が部屋に入ってくる。
「おー!そのまんま!分からない!」
「おい、これほんとに入れ替わってるのか?」
「俺様!ちゃんと成功させましたっ!」
「へー、おもしろそうだね」
「グレーテ、よくやったわ」
「ティア先輩、これは良くないのでは····?」
どうしてだろうか、まともな感想がサラしかいない。そしてグレーテは相変わらず自分で自分を抱き締めていた。
「ボス····では、抱きますね」
「どうしてそうなった。」
僕と少女たちの少し異常な日々を、ここに報告する。
スパイ教室のdiscord鯖でとある人宛に書いてたヤツを残すためだけです。
読んでくださりありがとうございます、続きます。