スパイたちの日常   作:固床式

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Case-アネット

クラウスは、とある少女と対面していた。その少女こそ、クラウスを今の状況まで追い詰めた装置を作った張本人であり、灯メンバーの中でも異彩を放つ存在。

「俺様!グレーテの兄貴に捕まりましたっ!」

「混乱するからその呼び方はやめてくれ」

ひとまず、自分の体を取り返さなければ。取り返せない

、ということは無いはずだがそれでも今後の任務に支障が出るのは避けなければ。

「俺様、逃走しますっ!」

「捕まえた」

隙あらば逃走しようとするアネットを、普段よりも筋力が落ちた体で捕獲する。その度にアネットは「捕まりましたっ!」と楽しそうに言う。相変わらずの無邪気振りにこちらの毒気も抜けてしまう。それに、アネットは僕でも考えが読めないことが多々ある。今のうちに聞くべきことを聞いておかなければ。

「さて、アネット。お前には聞かなければいけないことが多いが」

「俺様、黙秘しますっ!」

今回の襲撃はグレーテと2人きりで実行していた。そして他のメンバーも部屋に入ってきた時には知らないふうだったので、グレーテに口止めされているのだろう。

「アネット、お前に交渉を持ちかける。」

「俺様、聞く耳を持ちませんっ!」

こう言うのは折り込み済みだ。アネットとの会話は読みやすいときがある。そこを狙わなければ、恐らく情報は引き出せない。

「僕のフィナンシェを分けてやろう。」

「俺様、その程度ではどうじませんっ!」

その割にはこちらにだいぶ傾いているように感じる。リリィ、エルナを裏切らせた実績のある僕のフィナンシェだが、アネットへの切り札はやはりこれだろう。

「なら、牛乳プリンを作ってやろう。」

「俺様、その言葉を待っていましたっ!」

やはりか。アネットらしい交渉術だ。子供のような素振りをしているが、その実かなり計算して発言している。並のスパイでは真意を探ることすらできないだろう。そんなアネットに母親と認められるティアは、やはり極上だ。

「では、この装置の作成方法と効果の持続期間の情報とトレードだ。」

「分かりましたっ!このメモに全部書き記してありますっ!」

用意がいいな。そう言おうとした時に違和感に気付いた。やはり、このチームは極上だ。

突如、部屋のドアが吹き飛ぶ。そのドアとほぼ同じスピードでエルナが飛んでくる。さすがに思うところがあり、エルナを近くにあった毛布で絡め取り床に転がす。その間にリリィの毒ガスが部屋に撒かれ、同時にモニカ、ジビアが肉弾戦を挑んでくる。いい連携だ。作戦立案はやはりグレーテ。

「極上だ。」

決着は、いつもより先にあった。




アネットを操るティアさんは凄い。
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