スパイたちの日常   作:固床式

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めっちゃひさびさに書きました。なんなら半年くらい書いてなかった気がする。




番外編:先生と生徒の任務報告
番外:任務報告 No.1


ある日のこと。

「ねえボス」

「あら、どうしたの?」

このスパイチームで最年少の少年が尋ねてきた。

「スパイでも、死んだら死体は投げ捨てるのか?」

それは、劣悪な環境で生き伸びて来た彼ならではの質問。

このチームのボスであり彼の母親のような存在である彼女には、答えにくい質問でもあった。

「そうね、状況にもよるわ。」

彼女には、これが現実を伝える言葉としての最大の言葉だった。これ以上は、伝えれなかった。

「でも、このチームのみんなはしっかり送り届けたいわね」

心からの願い。このチームのボスとして、ここの住民を愛す者として。

「····ふぅん」

少年は、まだ何となくしか分からないようだった。

「あなたにも、きっとわかる日が来るわ。」

少年は、彼女の言葉に耳を傾ける。

「きっと、あなたを支えてくれる人達が私たち以外にも現れる。その人たちと、いくつも困難な任務をこなすことになると思う。それが例え私達でも出来ないような任務でも、チームが分裂するような任務でも、裏切り者が出る任務でも、仲間が死にかけている状態からの任務でも、よ。」

「ここ以外に行く意味なんて、ない」

少年は、僅かに不機嫌だった。このチームが無くなることを恐れたのだろう。それを母のような優しく包み込む目で、慈しむ目で見た彼女は言う。

「大丈夫よ。あなたは、クラウスはきっと大丈夫。」

 

 

クラウスはいつまでも、心の中にその思い出を仕舞っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んせ、先生?」

呼ばれていることに気づいていなかったらしい。頭を振る。一瞬、物思いに耽っていたようだ。「母」と慕い、長い時を共にしたあの人。

「あぁ、どうした?」

声をかけてきていた銀髪の少女に尋ねる。キョトンとした顔でこちらの顔を覗いてくるが、こちらがなんでもない事を示すといつもの明るい笑顔で話しかけてくる。

「先生、とりあえずあそこの屋台の串焼きを買ってください!この天才美少女リリィちゃんのお腹を満たすのです!」

「仮にも任務中なのだがな」

こちらの返事を待たずに彼女は屋台の方へ駆けていく。

ここは、この共和国でも経済的に発達した街である。

海沿いにあり、商業・工業だけでなく観光業も盛んで通りにはいろいろな屋台が出ていて活気に溢れている。

 

 

「おじさん、これ5本ください!」

そう明るく注文する彼女。傍から見ればなにも変なところなどない活発な少女に違いない。

しかし、彼女は立派な1人のスパイだ。この港町での情報収集を任務とし、僕と行動を共にしている。

「僕の分はあるのか?」

「え」

どうやら考えていなかったらしい。僕は店主に「1本追加で」と言いつつ金を支払う。店主は笑顔でそれを受け取る。

「いやぁ...てへへ」

そんな反省の意の感じられない言葉を発する彼女と僕の任務は3日目となっていた。

毒による集団制圧が可能な彼女は、今回の武器密輸組織に対する切り札となっている。

「ところでおふたりさんは何しに来たんだい?」

店主が「ちょっと時間かかりますわ、すんません」と言いつつこちらに話しかけてきた。

ここの串はこの辺りの肉をその場で焼くのが売りらしい。香ばしいスパイスの香りも漂ってきている。

「お勉強です!先生のお知り合いの方の所まで!」

隣で肉を見つめながら彼女が答える。どちらかと言うと肉に話しかけているような構図になっているが。

「おお、そりゃあ良いね。それじゃあ今のこっちの状況は知らないって所かな?」

店主は少し声のトーンを下げて言ってきた。

「あまり大きな声で言えない話なんだけどな、どうにも最近ここらのゴロツキがなにやら変な動きを見せているらしくてな」

そのような情報はこちらでは掴めていない。思わぬ所での収穫にリリィと目を合わせる。「ほう」と言うと店主は焼けた串を紙袋に包みながら続きを話す。

「別の街の奴らと抗争でもするのかって噂でね、どうにも不気味でしょうがないんだよ。」

そう言いながら「オマケの1本入れといたよ」と串を手渡してくる。感謝を述べつつ屋台を後にする。店主は「気を付けろよ〜」と背後から言ってくれている。

「いやぁ、思わぬ収穫でしたね」

やっぱり天才美少女リリィちゃんには情報を集める才能がッ?!と隣で喧しく騒ぎ始めたのを横目に通りを進む。

 

 

僕の嫌な予感は、よく当たる。

 

 




とあるFFさん向けに書いてます。続きものの方が面白くなりそうなので続かせます^^
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