転生したらポケモン世界だった件。ただし人類は未実装のものとする(白目) 作:水代
―――突っ走る。
「待てやガキどもぉ!」
「走れ、走れ、走れ! 捕まったら一発でお陀仏だぞー!!」
深い森の中を、仲間たちを引き連れてわき目も振らずに走る。
背後からどすんどすん、と森を物理的になぎ倒しながら迫って来るソレとの距離を少しでも引き離さんと、走り続ける。
「いい加減に! せんかああああ!」
“ヘドロウェーブ”
「って、何か出してきたあああ! ああ、もう! おい、“サムライ”!」
「……了解」
放たれた紫色の毒々しい粘性の波を前に“サムライ”が立ち塞がり。
“ホネブーメラン”
その手から放たれた巨大な骨がまるで鋭利な刃物のようにすっぱりと毒々しい波を切り裂く。
「よっし、ナイスだ、“サムライ”!」
「くあ~! 見よったか、今の! やっぱガラガラはんは最高やで! ガラガラはんが本気になりゃあ、あんなボケくさった『ぬし』なんぞ一発で捻り倒してくれるで!」
「できるわけねえだろ! さっさと走れ、この“オシャベリ”!」
視界の先に見えてきた川に、目的地が近いことを理解しながら、そっと後ろを見る。
「待たんかあ、小僧どもぉぉぉ!!」
ソレとの距離は予定通り。
やはり巨体だけあって、移動速度はそう高くないらしい。
とは言え、こちらが木々を躱しながら走っているのに比べて、相手は
何より一歩あたりの歩幅が違い過ぎる。
「何度見てもやべえわ、あれは」
そこに見える
だが結局のところどこに行ったところでアレクラスが待ち受けているのだ。
だったら一番やりやすい相手を選ぶしかない。
「“サムライ”、“オシャベリ”、そろそろ川だ!」
「…………」
「分かっとるで! ガラガラはんも頷いてはるわ! それよりあんちゃんこそ、大丈夫なんやろな?」
「当然っ!」
川を超える。と言っても森の中にある中でもそれほど大きくない川だ、精々幅数メートル程度。
ポケモンの身体能力ならばひとっ飛びに飛び越えられるし、そもそも川の水位は常より低くなっている。
そうして川を超えると同時に空に向かって指を突き出し。
“ねらいうち”
指先から圧縮した水を放つ。
空へと飛びあがった水が空中で飛散し、キラキラと虹を輝かせる。
―――それが合図。
こちらが川を超えてから十秒もしない内にダイマックスダストダスが川へと足を踏み入れて。
「今だ! “のんき”!」
“だくりゅう”
上流で流れを堰き止めていたせいで
「いっくよぉ~」
その流れの上で濁流をコントロールする“のんき”が相変わらず呑気な声を出しながらそれでもダストダスの足元を濁流ですくいとるようにしてぶつかっていく。
「ぬわあああああ!!!?」
例え小川だろうと、上流で散々堰き止められた膨大な水の乗せた“のんき”の技にさしもの巨体も足を取られて横転する。
ドドドドド、とその巨体が森を
「“へっぽこ”!」
「ひいい、い、いい、行きます!」
その瞬間を見計らって飛び出した“へっぽこ”が大きく跳躍し。
“ハードプラント”
大きく振り上げた両手を着地と同時に振り下ろす。
直後、森の大地を引き裂きながら巨大な植物の根が飛び出していき、横転したダストダスを大地にはりつけにする。
「で、できました!」
「良いぞ! 後は仕上げだ! “サムライ”」
「……応」
“はらだいこ”
どん、どん、と自らの腹を叩きながら足踏み。
自傷しながらも急速に膨れ上がる“サムライ”の力に思わず背筋が凍る。
未だ巨大な根に絡まれ身動きが取れないダストダスをしっかりと見据えて。
“きあいだめ”
その巨大な骨を構え―――投げる。
“ホネブーメラン”
ごうんごうん、と唸りを上げながら風を切って飛ぶブーメランがダストダスを一発、二発と切り裂く。
―――――ッ!!!
弱点タイプの一撃に声にもならない悲鳴を上げるダストダスだが、それでもまだ落ちない。
ダイマックスの影響か、それとも『ぬし』ポケモンというのがそういう特別性を持つのか。
とにかく凄まじいタフネスぶりだった。
けれど、こっちだってそんなことはとっくに分かっていて。
「仕上げだ……“お嬢”」
「任されましたの!」
ぴょん、と森の木陰から飛び出した“お嬢”が静かにダストダスを見つめ。
「すでに『めいそう』は済ませましたわ」
都度六度の『めいそう』によってその精神を最大にまで昂らせた“お嬢”がゆっくりとダストダスへと近づき。
“アシストパワー”
放たれた一撃は致命の一撃となってダストダスを
30mを超えるほどの巨体を浮き上がらせるほどの凄まじいサイコパワーがダストダスを大地へと再び叩きつける。
“サムライ”の一撃によって大ダメージを負っていたダストダスにさしものこの一撃はトドメとなったらしく、爆風が吹き荒びダストダスがぐんぐんと縮んでいく。
それはつまり『ひんし』になった、ということだ。
「……勝った?」
「勝ち、だねぇ~」
「勝ちましたの!」
「……勝った」
「よっしゃあああ! ワイらの勝ちやで!」
「かか、勝った、勝ったよぉぉぉ」
『ひんし』になった『ぬし』ポケモンは『ぬし』の座を失う。
それがここのルールである以上、最早ダストダスは『ぬし』ポケモンではない。
例え『ひんし』から回復したとしても最早先のような強さは残っていないだろう。
「てことは、『ぬし』を倒した『ぼく』たちの誰かが次の『ぬし』になれるわけだけど」
「キミで良いんじゃないかなぁ~?」
「アナタしかいませんの」
「……主で良い」
「ガラガラはんがそうゆーならあんさんでええわ」
「ひい、ぼ、ぼくはぼく以外ならだ、だれでも、がが、がらでもないですし」
というわけで全会一致(?)で『ぼく』に決定する。
「適当だなあ」
「まーいいんじゃないかなぁ~」
「それより祝勝パーティですの! きのみ集めて盛大にやりますわ!」
「……修練」
「まあまあガラガラはんも、今日くらいは一緒に飲みましょや、せや、ワイのとっておきのきのみジュースあるんやけど」
「それ昨日“お嬢”が飲んでたやつぅ~?」
「って、何やっとんねん自分!?」
「めっちゃ美味かったですの!」
「あれは選りすぐりのきのみを知り合いの醸造家のツボツボはんに頼んで作ったとっておきの一品やったんやで!!」
「でで、でも、そ、そのきのみって、た、た、確か“お嬢”が拾ってきてたやつ、だったような」
「お前こそ何やってくれてますの!? 最近何だか覚えも無いのに減ってると思ったらやっぱり気のせいじゃなかったですわ!!」
「あんなぎょーさんため込んでるやさかい、ちょっとくらいえーやないかい!」
「だったらそのきのみジュース、わたくしがちょっとくらい飲んだって良いですの!」
「ええわけあるかい! ちーときのみ使ったくらいでケチケチし過ぎやろ!」
「ごっそり減ってましたの! 明らかに使い過ぎですの!!」
「そっちこそどんだけ飲んでんねん!」
「たのしそーだねぇ~」
「……阿呆」
「あわわわわわわ」
「まとまりないなあ、うちの群れ」
本当に、こんなんで良くあの『ぬし』を倒せたものだと思う。
最初はどうなるものかと思ったが、けれど案外どうにかなるものだ。
「最初、か」
思いだすのはこの半年の出来事。
そう。
旧作読者にちょっと質問。旧作と比べてどう?
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前のほうが良かった
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こちらのほうが良い。