転生したらポケモン世界だった件。ただし人類は未実装のものとする(白目)   作:水代

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みちくさうめぇ

 ヌメラの案内で森の中を進むうちに分かったことがある。

 

「くっそ遅いんだけど?!」

「まーまぁ、のんびり行こうよぉ~」

「お腹空いたんだけど?」

 

 今更過ぎる話だが、基本的にヌメラという種族は足が無い。

 この軟体生物の種族に足が生えるのは二度の進化を得てからであって、進化系のヌメイルにすら明確に足と呼べるものは存在しないのだ。

 当然ながらその移動方法は地面を這っていく一択であり、凄まじく遅い。

 特に『ぼく』のメッソンという種族が身軽でひょいひょいと移動できるので、その移動速度の差が酷い。

 

「焦ってもぉ……んぐ、仕方ないよぉ~……んぐ」

「おい待て、お前ひとりで何喰ってる」

 

 こっちが空きっ腹に苛立っているというのに、何を一人で食っているのだと見やれば。

 

「ってただの草じゃん、え、マジで何喰ってんの?!」

「草うめぇ~」

「え、草?? ただの草? 食べれるの?」

「まあまあ美味しいよぉ~」

 

 告げながら差し出されたどう見ても雑草にしか見えないそれを手に取り、齧る。

 

「ぺっ、ぺっ、にっが、まっず、全然美味しくないんだけど!?」

「草うめぇ~」

「しまった、こいつ特性『そうしょく』だ」

 

 そういやヌメラの特性でそんなのあったな、と思いだす。

 いや、てことはこいつこの森にいる限り食べるものに不自由しないのでは?

 なんというアドバンテージだろうか。

 

「うえぇ、口の中苦い」

「この苦いのが良いのに勿体なぁ~い」

「こうなったら美味しいきのみで口の中をリフレッシュするしか、ていうかまだつかないの?」

「もうちょっとだよぉ~」

 

 なんて会話をしながら森を散策していく。

 こうして森の中を歩いている分かるのだが、ここは本当に野生環境そのままのようで、あっちこっちにポケモンが生息している。

 それに一口にポケモンと言っても種族も性格もバラバラであり、大人しいポケモンもいれば狂暴なポケモンもいて、特に一部の種族は見つかると群れを作って襲い掛かってくるらしくヌメラからも見つからないように気を付けなければならない、と言い含められていた。

 

 深い森だが、ヌメラの話によると森自体がこの一帯にしか存在せず、森を北に抜けると丘陵地帯、その地下には広大な洞窟が広がっており、東に抜けると広大は平原が広がっているらしい。

 西と南に抜けるとそのまま海岸線となっており、この広大な森は南西に位置するのだとか。

 全体図を見ると島状になっており、洞窟地帯と平原地帯から東に山脈地帯、帯電地帯、雪原地帯となっているのだとか。それぞれ『大森林エリア』『大洞窟エリア』『大草原エリア』『大山脈エリア』『大帯電エリア』『大雪原エリア』などと呼ばれ、様々なポケモンが自分に合ったエリアで生活しているらしい。

 

「なに、大帯電エリアって」

「地面伝いに磁場が発生してるんだよね、時々電気がぶわーって沸いてる」

「えぇ……なんでそんなことに」

「すっごく強い『でんき』ポケモンが他の『でんき』ポケモンたちのためにやってるらしいよ」

 

 とかなんとか。

 そんなことを話しながら、時にやばそうなポケモンを見かけて躱しながら進む。

 こういう隠れながら進む時にメッソンという種族は割と便利で、皮膚が水に濡れると変色して周囲に同化し、まるで透明になったかのように景色に溶け込むことができるのだ。

 というわけで何もいないのに警戒しまくった殺気立ってるやばそうなスピアーの群れとか、ハチミツ決め過ぎて目が逝っちゃってるやばそうなリングマとか何人か殺ってそうな血走った目をしたやばそうなストライクとか。弱小種族故か、強敵が迫ると肌がピリピリするのでそれをセンサー代わりに敵を早期に見つけては透明化して隠れるを繰り返しながら進んでいく。

 

 そうしてヌメラの案内でたどり着いたのは太い幹に大量のきのみが実った巨木だった。

 

「おお、近くで見たら余計にお腹空いてきた」

「お腹空いたねぇ~」

「お前さっき(物理的に)道草食ってたじゃん」

「あれはおやつだからぁ~」

「草生えるわ」

 

 おやつに雑草とか安上がりで良いな。なんて思いながらひょいひょいと木を登る。

 途中ホシガリスが必死になってきのみを齧っていたがさらに上のほうへと昇っていき、丸々と実ったオボンのみを見つけると枝から千切る。

 

「うわ、っとと。結構重い……いや『ぼく』が軽いだけか」

 

 覚えても無いがニンゲンだった時ならともかく、今の体にオボンのみを抱えるには少し大きい。

 仕方ないのでその場で食べていく。

 

「うわ、マジで美味しい。なにこのジューシーさ、スッゴイあっまい」

 

 齧るほどに口の中に満たされる果実のさっぱりとした甘さとジューシーで瑞々しい果肉に食べても食べてもまだ入ると言わんばかりに体が次を要求してくる。

 自分とほぼ同じサイズのきのみ丸々一つ食べたのに、まだ足りないと言わんばかりの体に燃費が悪いと思いつつももう一つお代わりを探しに行く。

 結局二つ目のオボンのみを食べ尽くしたところでようやく満腹感を感じ、一息吐いた。

 

 と、その時になって下に残してきたヌメラのことを思いだして視線を向けるとどうやら木に登るのに苦戦しているらしく、まだ食事にありつけていないらしい。

 仕方ないので一つ落としてやるか、とまだ実っているだろうきのみを探そうとして。

 

「えぇ~い」

 

 下から聞こえた気の抜けた声と共に。

 

 “みずでっぽう”

 

 びゅん、と一直線に突き抜けた水の弾丸が近くに実っていたオボンのみのヘタを見事に撃ち抜いて、オボンのみが下へと落ちていく。

 

「おいひぃ~」

「え?」

 

 下のほうで落ちてきたきのみを食みながら満足気な顔をしているヌメラを見やりながら、今の何だと考え込んだが、よく考えればこの世界はポケモン世界で、自分たちはポケモンなのだ。

 だったらポケモンの技の一つや二つ使えて当然じゃないか、という真っ当な思考が出てくる。

 そして今の今までそんなことも気づかなかったのか、と内心で落ち込みながら次に感じたのは、『ぼく』にもあれは使えるのだろうか、というワクワク感。

 

 そう今の『ぼく』はメッソンなのだから、同じようにできてもおかしくはないはずだ。

 

 というわけで同じように『みずでっぽう』を出そうとして。

 

「うーん?」

 

 どうやって出すんだろう、という根本的疑問にぶち当たった。

 いや、手から水を出すくらいはできるのだ、歩くことや喋ることと同じくらいに当たり前の感覚で使える。

 ただ出せると言ってもちょろちょろ、と出せるくらいで『みずでっぽう』と言った威力じゃない。精々が水滴くらいのものだ。

 体を濡らすには便利なのだがこれは別に技じゃないよな、と首を傾げる。

 

 ちょっとヌメラに聞いてみるか、と思いながら登ってきたのと逆にするすると木から降りていく。

 

 というか、ヌメラは一体いつまでついて来るんだろう?

 

 そんな疑問を覚えながら。

 

 




たびのなかま

メッソン 『ぼく』 せいかく:きょうみしんしん
┗わざ:????
┗オボンのみ、ちょうジューシー!

ヌメラ ♀ せいかく:たぶんそうしょくけい
┗わざ:????
┗みちくさうめぇ。

旧作読者にちょっと質問。旧作と比べてどう?

  • 前のほうが良かった
  • こちらのほうが良い。
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