転生したらポケモン世界だった件。ただし人類は未実装のものとする(白目)   作:水代

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みずでっぽう、あてたところで、まめでっぽう……『ぼく』作、心の俳句

 

 一言に強くなる、と言えどどうやって? という問題がある。

 例えばゲーム時代だとポケモンには『レベル』と『ステータス』という数字があった。

 ポケモンごとに決められた『種族値』や『個体値』、それに『努力値』を計算式にあてはめ、そこにレベルを加えればそのポケモンがどのくらい強いのか、というのが目に見えて分かった。

 

 だが現実にそんなものは無い。

 

「ステータスオープン!」

「何言ってるのぉ~?」

「いや、何でも無いです」

 

 当然ながら魔法の言葉を唱えたところで、半透明のホログラムが目の前に表示されたりはしない……あれ、これ別のゲームだっけ。

 現実的に考えれば能力の全てを数値化することなどできるはずが無い、ゲームじゃないのだ。

 例えばこれがニンゲンならば運動すれば自然と身体能力は上がっていくだろうし、食べるものを考えて体を作ったり、後は技術を磨いたりと、何をすれば強くなれるのか、というのが大雑把に分かっている。

 だがポケモンの……それもリアルとなったポケモンがどうやって強くなるのか、なんてこと分かるはずもなく。

 

「強くなるってどうやれば良いの?」

「ん~? 戦ったりとかぁ~?」

 

 どこでそんな知識覚えてくるんだと言いたくなるような知識人ならぬ知識ポケモンのヌメラ先生に尋ねればあっさりと答えが返って来る。

 ヌメラ先生曰く、ポケモンは基本的に『適応』する生物なので、戦闘行為を繰り返すことで自然と体が『闘争』に対して『適応』するらしい。逆に闘争から離れれば自然と別の方向性に適応するのだとか。

 

 故にポケモンが強くなる方法は大別して二つ。

 

 一つは成長すること。

 同じ未進化ポケモンでも生きた年月や食べたものに応じて少しずつ体が大きくなったりするらしい。

 体が大きくなるというのは基本的に野生において強さと同義だ。

 さらにウェイトが増えれば、その分体内に渦巻くエネルギー量も増えるらしく、同じ技でもより強力なものが出せるようになるし、相手を直接攻撃するような技……例えば『たいあたり』だとか、ああいうのも体がでかいほうが威力が高くなるのは自明の理、らしい。

 

 そしてもう一つが適応すること。

 これは言い換えれば進化を目指す、と言っても良い。

 ポケモンと言えば進化である。ゲームのようにレベルとか無いこの現実において、ポケモンの進化とは戦闘などによって適応していくことらしい。

 激しい戦いなどの最中で進化が発生することが多いのは、戦いの最中に『更なる力』を必要とし、それに体が適応しようとするからなのだとか。

 つまり、進化に耐えうるだけの体を作り、そして進化を必要とする意思を引き金としてより戦いに適応した体へと変化する、それが進化ということらしい。

 

「つまりぃ、しっかり食べてぇ、適度に運動しようねぇ~」

「健康の秘訣か何かかな???」

 

 基本的にポケモンは大量に食べることに対してニンゲンのように贅肉になる、ということが余り無い。

 ニンゲンが食事を取った時には生きるために必要な『栄養素』を摂取しているが、ポケモンが食事を取った時には食べた物を『エネルギー』に転化しているからだ。

 この『エネルギー』はポケモンの肉体にも関連していて、ポケモンという摩訶不思議な生物の生態を支える秘密でもあるらしい。

 

 まあ胃があるので物理的に入る量、というのは決まってはいるのだがそれでも基本的に食べれば食べるほど成長が加速するのがポケモンなのだとか。

 

 それ故に、ラッタやコラッタなどの雑食性のポケモンや、ホシガリスやヨクバリスなど大量に食べるポケモンは進化が早く、強くなりやすいらしい……反面、種族的に能力が頭打ちになりやすいのも事実だが。

 

「お手軽……だけど」

 

 逆に言えば食うに困ると強くなることが難しくなる。

 そしてこの野生環境の中で誰しもが食料の確保というものを求めており、当然有限の産物であるそれは取り合いになる。

 取り合いになった時、強さが無ければ泣きを見るしかないが、それで食べるに困れば強くなれず、すでに強い食うに困らないポケモンとの差は開く一方となる。

 

「案外シビアだね」

 

 そう考えると先ほどヌメラに案内された樹できのみを食べることが出来たのはラッキーなのかもしれない。

 

「ん~でもぉ、この森は案外きのみが豊富だからぁ~、そこはだいじょーぶだと思うよぉ~」

「なるほどなぁ……」

 

 そもそもポケモンごとに食性が異なる。きのみが何故かどんなポケモンでも問題なく食える謎の植物なのは良いとして、確か普通に魚系のポケモンを食べる鳥ポケモンとかもいたはずだし、何だったら無機物が食料となるポケモンとかもいたはずだ。

 その辺のことも考えると、食料問題にそこまで過敏になる必要はない、のだろうか?

 

「まあ食べ物に関しては後で考えるととして、後は戦えば良いんだっけ」

「そうだねぇ~」

「でもさ、はっきり言って『ぼく』が勝てる相手とかいるの?」

 

 言いたくないが『ぼく』は非常に貧弱だ。

 まだこの世界で目を覚まして半日ほどしか経ってないこともそうだが、『みずでっぽう』一発撃つだけで体内のエネルギーがごっそり減るのを自覚してしまう程度には貧弱だ。

 要領は掴んだので『はたく』とかもできるかもしれないが、『ぼく』が叩いたところでコイキングの『はねる』よりはマシくらいにしかならない気がする。

 

 思いだすのは先ほどの樹での出来事。

 

 ヌメラの残した粘液で足を滑らせて顔面から地面にダイブしたヨクバリス。

 

 ゲームには無かった仕様だが、現実にはそういうこともできる、とすると種族的な能力……ゲームだとフレーバーになっていた部分も活用できそうではある。

 『ぼく』の水に濡れると景色と同化できる能力などもそうだ。

 

「でも『ぼく』の能力って基本的に戦闘向けじゃないよね」

 

 メッソンという種族の能力は大別すると二つ。

 

 一つは先ほども言った『水に濡れると周囲に同化し姿を隠す』能力。

 

 そしてもう一つが種族の名前にもなるように『泣くことで周囲に催涙成分を飛ばす』能力。

 

「これでどうやって戦えと……?」

 

 敵から逃げたり、追い払ったりする分には便利かもしれないが、敵を倒せるような能力ではないのは事実だ。

 そして、だから技こそが重要なのだが。

 

「『ぼく』の『みずでっぽう』で倒せるようなポケモンいる???」

 

 指先を伸ばし、ぐっと力を込めれば、急速に収束した『みず』タイプのエネルギーが放出される。

 

 “みずでっぽう”

 

 放たれた水の弾丸がびゅん、と飛んで指の先にあった樹の幹へと命中して。

 

 べちょ

 

 幹を濡らした……うん、これだけである。

 

「『みずでっぽう』というか『まめでっぽう』だよね、これ」

 

 他に武器は……無い。

 

 このまめでっぽう振りかざして戦いに行け、と?

 

 無理では???

 

「まだ技を使いこなせてないからだねぇ~」

 

 そんな風に首を捻る『ぼく』に、ヌメラがくすくすと笑って告げる。

 

「何度も使い続けることでぇ、技は使いこなせるようになるんだよぉ~」

 

 そう言って大きく口を開けて。

 

 “みずでっぽう”

 

 びゅん、と飛んだ水の弾丸は先ほど『ぼく』が濡らした樹へと命中し。

 

 ばん、と叩きつけたような音を出して樹をさらに濡らした。

 

「まあぁ、元々強い技じゃないけどぉ~、『みず』タイプのキミならもっと威力が出るはずだよぉ~」

「あーなるほど」

 

 つまりゲームみたいに覚えたての技がすぐさま使える、というわけではなく何度も使い続けて熟練させる必要があるらしい。

 『みず』タイプの『ぼく』のほうが強くなる、というのはゲームでいうところのタイプ一致技の恩恵というやつだろうか。現実的に考えれば『みず』タイプの『ぼく』のほうが『みず』エネルギーの運用に長けるはず、ということだろうけど。

 

「取り合えずこれだけでもやってみようか」

 

 先ほどのヌメラの『ぼく』と比べて明らかに威力の高い『みずでっぽう』、あれよりさらに威力が高くなるというのならそれなりの武器にはなりそうだった。

 

 




たびのなかま

メッソン 『ぼく』 せいかく:いのちをだいじに
┗わざ:まめでっぽう
┗いや、わざのらんかってにまめでっぽうになってるんだけど???

ヌメラ ♀ せいかく:のんき
┗わざ:みずでっぽう、????、????
┗なんでそんなにいろいろしってるのか、それはかみのみそしる

旧作読者にちょっと質問。旧作と比べてどう?

  • 前のほうが良かった
  • こちらのほうが良い。
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