転生したらポケモン世界だった件。ただし人類は未実装のものとする(白目)   作:水代

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教えて、ヌメラ先生! 寝床編

 

 せめてまともな技が使えるようになりたいと特訓を始めてはや一週間。

 毎日毎日ヌメラに見てもらいながら技の練習をし、ヌメラのおススメの餌場に行ってきのみを食べ、時々襲って来る他のポケモンたちから逃げ、そして寝る。

 そんな一週間を過ごしたお陰か、多少はこの森にも詳しくなってきた。

 

 それと同時に思うのは。

 

「いい加減寝床欲しくない?」

「わかるぅ~」

 

 基本的に大半のポケモンは森のどこかしかに自分の住処を持っている。

 ヌメラの前にいた群れなど平原と森を行ったり来たりで特定の住処を持たずに放浪していたらしく、そういうのも時々いるらしいが。

 

 安全なねぐら、というのは結構重要で、寝ている時にすら半分意識を起こして周囲を警戒し続ける生活というのもこの一週間ですっかり慣れてしまった。だが慣れてしまったからと言って平気になったわけじゃないのがまだ問題だ。

 すでにこの体となって一週間、ポケモンであるということにも慣れてしまってはいるが、けれどニンゲンだった時の感性がまるで無くなったわけじゃない、眠る時は安心して熟睡したい、という睡眠欲のようなものが『ぼく』の中に渦巻いているのもまた事実なのだ。

 

「というわけで今日は寝床探さない?」

「いーよぉ~」

 

 さすがほっといたら一日の半分は寝こけているヌメラ先生である。

 このヌメラ会った時からそうだが、相当にずぶとく、それでいてのんきだ。いっそ無神経とすら言えるかもしれない。

 スピアーの巣の間近の茂みで平然と寝こけていた時はさすがに目を疑った。

 因みにそもそもスピアーの巣なんて危険地帯に足を踏み入れることになったのもヌメラ先生のせいなのだが。

 

 

 数日前、森を散策中。

 

「あっちのほーだとぉ、川があるよぉ~」

「『みず』タイプ的には気になるとこ」

「それとぉ、向こう側にはぁ、ヒメリのみが生えてるんだぁ~」

「体内エネルギーの活性化ができるんだっけ……PP回復ってそういう理論なのか」

「あーあとねぇ、そこを右に行くとね~」

「お、何があるの?」

「スピアーがぁ、住み着いてるからぁ~、気を付けてね~」

「もっと早く言えええええ!!!」

 

 

 咄嗟に傍の茂みにスライディングしなければスピアーに見つかって命がけの鬼ごっこが始まるところだった。

 頭上をぶんぶんと飛び交うスピアーの羽音にびくびくしながら見つってくれるな、と必死に祈っている横で平然とぐーすかと寝こけているのだからちょっとこのヌメラ頭がおかしいと思う。

 

 まあそれはさておくとしても。

 

 森の中には様々なポケモンが暮らしているわけだが、当然ながら全てのポケモンが同じ時間に起きて、同じ時間に寝るわけではない。

 朝に活動するポケモン、夜から活動するポケモンというのは当然分かれていて、『ぼく』たちのような日中に活動するポケモンは夜は視界が悪くなるので樹の上などに隠れ潜んで寝ている。

 

 だが寝ている最中にゴーストポケモンなどがちょくちょく通りがかるし、一度は見つかって逃げたこともある。

 夜にゴーストタイプに見つかるとかなり面倒である、あいつら基本的に夜に間は神出鬼没に出てくる上に軽いイタズラ程度で殺しにかかってくる。見つかるとそのまま朝まで鬼ごっこである。幸い朝になるとどこかに消えるが、それはそれで徹夜で鬼ごっこした挙句に次の日まともに活動できるかと言われると……という話であり辛い。

 

 しかもすでに一週間と続く野宿だがこのままだと延々と続くことになるのだ。

 

 いい加減、ゆっくり休みたい。

 というのが『ぼく』の切実な願いだった。

 

「というわけで。教えて、ヌメラ先生。どっかいい住処を」

「いくつかあるよぉ~」

「やったぜ」

 

 さすがヌメラ先生である。

 

 

 * * *

 

 

「いや、無理」

「だいじょーぶだいじょーぶぅ~」

「いや、絶対に無理だろこれ」

 

 いくつかヌメラ先生の心当たりのねぐら候補を紹介されたのだが、どれもポケモン同士の抗争に巻き込まれて使えなくなっていたり、すでに先住民がいたりして中々良い場所が見つからなかった。

 そこでヌメラ先生が最後にとっておきの場所があると言って紹介されたのは。

 

「もう一度聞くけど、あのバカでかいの何?」

「ドダイトスだよぉ~」

 

 たいりくポケモン『ドダイトス』。

 簡単に言えば背中に樹の生えたでっかい陸亀のようなポケモンである。

 そう外見だけ言えばドダイトスだ。ただ一つ違いがあるとすれば。

 

「ドダイトスってあんなデカかったっけ……?」

 

 全長20メートル前後、高さが5,6メートルを超えていなければだが。

 

「あのドダイトスはぁ~、このあたりのナワバリの『ぬし』だからねぇ~」

「『ぬし』?」

 

 確かゲームにも出てきた名前だ。『ぬし』ポケモン。通常よりもサイズのデカイポケモンで、文字通りその周囲一帯の縄張りの『主』であるポケモン。

 いや、野生環境なんだから寧ろそういうのもいる可能性があって当然なのか、と今更ながらに思い当たる。

 

「それで……どこがおススメなんだって?」

「あの『ぬし』の背中の上だよぉ~」

「いや、無理」

「だいじょーぶだよぉ~」

 

 ヌメラ先生曰く、基本的にドダイトスという種族は堅い甲羅の上に何か乗っていてもあまり気にしない種族らしい。そう言えば記録の中のドダイトスの図鑑説明にも背中の上で一生を過ごすポケモンがいるとかなんとか書いてあった気がする。

 その中でも特に巨大なあの『ぬし』の背中の上となると『ぼく』やヌメラのような小さなポケモンが少々乗ったくらいでは気づきすらされないのだとか。

 

 というわけで日向で『こうごうせい』しながらお昼寝中のドダイトスにゆっくりと忍び寄り、ひょいひょい、と投げ出された手足を足場にしてその背中に飛び乗る。

 ヌメラはジャンプができないので尻尾のほうからよじよじと登って来ていた。

 

「お、おおう……すっごい広い」

 

 普通のドダイトスの十倍近い大きさがあるのだから当然その背中も広い。

 しかも甲羅の隙間から普通に草やら花やら生えているし、なんだったら樹の上には鳥ポケモンの巣まである。

 

「あ、普通に先住民の方たちがいるのね」

「あんまり騒ぐとぉ~、怒って落とされるからぁ、ここで喧嘩はご法度だよぉ~」

「なるほど、まあ治安は良さそう」

 

 さらに『ぬし』を恐れてこちらまで襲いに来るポケモンもほとんどいないので、こんなにも広々として開放的な空間だがこの森の中でも一、二を争うくらいには平和な場所らしい。

 

「だからここならのんびり休めるよぉ~」

「お前いつでものんびりしてんじゃん」

 

 などとツッコミを入れながら早速木陰に入ってすやすやと眠り始めたヌメラを他所に、周囲を見渡す。

 さすがに『ぼく』もこの一週間の疲れが溜まっている。今日一日くらいはゆっくり寝てしまいたい。

 というわけで寝やすそうな場所を探し、ちょうど日当たりも良く草が伸びていてふかふかのベッド代わりになっている場所を見つけたのでそこに寝っ転がる。

 

「明日からまた頑張らないとなあ」

 

 ここでなら安心して眠れる、そう思うと最近の疲れが一気に出てきて思わず欠伸を一つ。

 そのまま目を閉じれば途端に意識が微睡んでいき、そのまま暗転した。

 

 

 …………。

 

 

 ……………………。

 

 

 …………………………………………。

 

 

 ……………………ぉ。

 

 

 …………ぅ……ぉ。

 

 

「――――!」

 

 聞こえてくる騒がしさに意識が徐々に覚醒していく。

 そうしてゆっくりと瞼を開くと。

 

「起きろですの!」

 

 目の前には顔をドアップにして、『ぼく』を見ながらぷんぷんと怒るイーブイがいた。

 

 

 




たびのなかま

メッソン 『ぼく』 せいかく:いのちをだいじに
┗わざ:みずでっぽう
┗おやすみー。

ヌメラ ♀ せいかく:のんき
┗わざ:みずでっぽう、????、????
┗おやすみぃ~。

旧作読者にちょっと質問。旧作と比べてどう?

  • 前のほうが良かった
  • こちらのほうが良い。
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