転生したらポケモン世界だった件。ただし人類は未実装のものとする(白目)   作:水代

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最後にあのあん畜生の頭を後ろから蹴っ飛ばして逃げ出してやってきましたの!

 

 

「森の川はねぇ、支流がいっぱいなんだけどぉ、細いほうの川だとそんなに流れは早くないんだよぉ~」

「そうなんですの? 私がこっちに来る時に見た川はめっちゃでかかったですわ?」

「あぁ、それは多分一番大きいとこだねぇ~、あそこはギャラドスの住処だから迂闊に近づくとすごく危ないよぉ~」

「おーい、見えてきたよ。ちゃんと準備してね」

「りょーかい~」

「はいですの」

 

 現在『ぼく』たちは餌付けしたらあっさり懐いてきたちょろかわイーブイを連れてヌメラ先生が食べてしまったお昼ご飯を探しに来ている。

 

「イーブイって森のこと妙に知らないよね、そもそもお腹空かせてたのだって餌場が分からないとかいう理由だったし」

「それはねぇ~そもそもこの森にイーブイはいないからだねぇ~」

「アナタ、もしかして知らないですの? 私たちの種族はとある『ぬし』ポケモンのせいでこの森から追いやられてるんですわ」

「え、何それ」

 

 なんでも今は森の北側、平原地帯との境目を接するナワバリに過去イーブイたちは住み着いていたらしい。

 元よりイーブイは最も不安定なポケモンであり、それが故に多種多様な適応……つまり進化が為せるポケモンである。森のイーブイはいずれリーフィアに進化して群れの一員として群れの安全のために戦うのが役目となる。森に適応したリーフィアたちは森の中でもそれなりの勢力の群れであり、イーブイたちを襲う存在などほとんどおらず、イーブイたちは平和な日々を謳歌していた。

 

「けどねぇ~、とあるポケモンがそのナワバリの『ぬし』に君臨したらぁ、ナワバリを()()()()()()()()んだよねぇ~」

「作り変える?」

「そーそぉ、自分の住みやすい環境にしちゃうんだよぉ~」

 

 それは『どく』タイプのポケモンであり、そのポケモンが『ぬし』となって住み着いたナワバリは文字通り『毒沼』となって森を瘴気で犯した。

 幸い毒に汚染されたのはナワバリの中心部である『ぬし』の住処周辺だけであり、それ以外の部分に関しては汚染されることも無く無事だったのだが。

 

「その汚染された場所ってのがぁ、リーフィアやイーブイたちの住処だったんだよねぇ~」

 

 住処を守るためにリーフィアたちは必死に戦ったが力及ばず、残ったイーブイたちは住処を追われ大平原地帯へと群れを移すこととなった。

 以来この森にイーブイは一匹たりとも生息してしない。

 

「だからぁ、この子も多分平原のほーから来たんだと思うよぉ~」

「当たりですの」

「あーだから森のこと知らないのか」

 

 そんなヌメラの推測にあっさりと肯定するイーブイ。

 そしてようやく状況が飲みこめた『ぼく』だった。

 

 

 * * *

 

 

「最後、あのあん畜生の頭を後ろから蹴っ飛ばして逃げ出してやってきましたの!」

「えぇ……」

 

 ドン引きである。

 いや、分からなくはないのだが、それでもそこまでやるか? と思ってしまうのは当事者ではないからか。

 

 ことの発端は一つの疑問、

 

「なんで森に来たの?」

 

 森にイーブイがいないことは聞いたが、じゃあ何でそんな森に目の前のイーブイはやってきたのか、そんな疑問は当然あるわけで。

 

「私の群れの住んでたとこのナワバリ『ぬし』がひでーやつだったんですの!」

 

 そんな『ぼく』の疑問に対する第一声がこれである。

 

「野蛮で下品で横暴ですの! いっつも威張り散らしてて、手下をこき使ってやがりますの! 挙句にナワバリにいる自分の群れ以外から気に入ったやつを見つけたら強引に引き抜いて行きますの!」

 

 えらく嫌っているというのは良く分かる。

 

「私のことを『可愛がってやるから来い』とか言って無理矢理群れに連れて行こうとしましたの!」

「えぇ、それ大丈夫だったの?」

「めっちゃオコですの! だからあのあん畜生が寝てる間に、あん畜生のねぐらに火を放ってきましたの!」

「ん?」

「それからあん畜生の仲間の下品なカラスが寝てる時に電撃で焼いてきましたの!」

「ん??」

「それであん畜生の食糧庫の中身全部氷漬けにしてて川に捨ててやりましたの!」

「ん???」

「最後にあのあん畜生の頭を後ろから蹴っ飛ばして逃げ出してやってきましたの!」

「えぇ……」

 

 とんでもないファンキーお嬢である。

 

「というか火とか電撃とか氷とかどういうこと?」

 

 確かに進化すればブースターにサンダースにシャワーズ、ないしグレイシアとそれぞれ言ったようなことができるようにはなるだろうが、それは進化前のイーブイには不可能な芸当のはず、なのに。

 

「他の仲間たちはできないらしいですわ、でも私にはできますの」

 

 見てて欲しいですわ、と言ってイーブイが少しこちらと距離を取って。

 

 “ひのこ”

 

 その口から炎が迸る。

 

 “でんきショック”

 

 電撃が放出される。

 

 “みずでっぽう”

 

 水流が飛び出し。

 

 “こなゆき”

 

 粉雪が舞う。

 

「え、なにそれ?!」

「ふふん、(わたくし)すげーですの!」

 

 次々と繰り出されるイーブイが覚えるはずの無い技に目を白黒させる。

 こちらに戻ってきたイーブイがドヤ顔をするが、正直技の威力自体は弱い……というかしょぼいのだが、タイプの違う四種の技を自在に使うというのは本気で凄い話だ。

 

「ところでさぁ~」

「ん?」

「さっきの『ひのこ』であっちのほう燃えてるよぉ~」

「うわあああああ?!」

「ですわ!?」

 

 うん、まあ凄いのは凄いが、所詮使うのはあのイーブイだという話である。

 この後めっちゃ消化に勤しんだ。

 

 

 * * *

 

 

 そうして慌ただしい道中を経て、ようやくたどり着いたきのみのなる樹ではあるが、どうやら先客がいるようで。

 

「誰か上で食べてるね」

「上かぁ……」

「面倒なことにならないと良いけど」

「そうなんですの?」

 

 群れでも下のほうの弱いポケモンが隠れて食べている、とかならまだ良いのだがうっかり近づいて実はスピアーでした、とかになると目も当てられない。

 

「そっと観察してやばそうなら別のとこに行こう」

「おっけぇ~」

 

 草むらの影からそーっと様子を伺うが、良く見えないのでじりじりと慎重に慎重に歩を進めていく。

 ただ思ったより上のほうで食べているのかもう少し近づかないと見えないようだった。

 

「スピアーじゃないね、羽音が無いし」

 

 取り合えずそれは分かる、ここまで近づいて羽音が聞こえないということは多分羽が無いタイプだ。

 さらに進んでいき、草むらの影ギリギリのところまで近づいていく。もう少しで確認できる、とそんな時に。

 

「私も見たいですの」

「え、ちょ、押さないで」

 

 後ろからぴょん、と飛び出してきたイーブイに背を押され、草むらの影から転がり出る。

 

「あ、いたた、イーブイ押さないでよ」

 

 文句を言いながらはっとする。

 自分が何のためにそこにいたのかすぐさま思いだし慌てて樹の上を見やれば、ちょうどガサガサと揺れた草むらの音に気づいたのか、相手もばっちりこちらを見ていて。

 

「あ」

「ん?」

 

 ヨクバリスだった。

 

 安堵する。彼らは彼らの餌場を荒らさない限りは基本的に積極的に襲い掛かって来るタイプではない。

 そう、思ったのだが。

 

「ああああああああぁぁ!?」

「えぇっ?」

 

 何故かこちらを見るなりいきなり怒り心頭といった様子のヨクバリスが、ギロリとこちらを睨み。

 

「おんどれ、人のケツにいきなり『みずでっぽう』ぶち込みやがったガキやないか!」

「あっやっべ」

 

 全然何故かじゃなかった、物凄く心当たりのある怒りの理由にそんな間抜けな声が出て。

 

「ここであったが百年目じゃあ!」

「ちょ、逃げろおおお!」

 

 飛び掛かって来るヨクバリスに背を向け、ヌメラとイーブイを連れて逃げ出した。

 

 




たびのなかま

メッソン 『ぼく』 せいかく:いのちをだいじに
┗わざ:みずでっぽう
┗あ、やっべ(

ヌメラ ♀ せいかく:のんきもの
┗わざ:みずでっぽう、????、????
┗じーさん、ばーさんや、おひるはまだかのう

イーブイ ♀ せいかく:おじょう
┗わざ:(ひのこ、でんきショック、みずでっぽう、ねんりき、かみつく、このは、こなゆき、チャームボイス)、しっぽをふる、すなかけ、つぶらなひとみ
┗ふふん、わたくしすげーですの!


次回、VSヨクバリスおじさん(多分ホモ)

旧作読者にちょっと質問。旧作と比べてどう?

  • 前のほうが良かった
  • こちらのほうが良い。
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