特に必要ではない部分ではあるかもですが、日常の描写というものは大事にしていきたいものです。
ハバキリが去り、剣士はノーザンベースに帰る。そらは救出した御影と富川を一旦収容し、燈華は回収した圧制剣の残骸を閉じ込めた『鋼の王様』WRBをホンダナーに仮置きする。ハバキリの残した忠告だか宣戦布告だかは知らない言葉は気がかりだが、ひとまずは憩いの時に移ろうとしたとき、
「待ちなさい、燈華」
燈華だけを止めた腕があった。同じく今しがた帰ったばかりの剣士、現代のソードオブロゴスを束ねる当代
「な、
「へぇ…では
玲花が鋭い目付きで見やったのは、工具と鍛冶道具で散らかった
そう、いくら燈華でも聖剣のアップデートを5分で済ますことなど不可能だが、時間経過が24倍ほど遅いリベラシオンで作業することで納期を短縮したのだった。連日録に睡眠を取れなかった上での体感2時間の缶詰作業、疲労困憊も納得である。
ただし玲花にとってはそんな事情は容赦する理由にならなかった。
「燈華も疲れているのは理解します。ですが自分が散らかしたものは始末をつけてから休みなさい」
幸い、道具を纏めて軽く拭いて体感数分足らずで片付く程度の状態である。いくらソードオブロゴス内で最も規律に厳しい玲花と言えど、否、だからこそ理不尽な重労働を課す事はない。
「あーいやその…」
しかし当の燈華はと言うと、どうにも返事がハッキリとしない。
「どうしたのです、燈華?」
「いやー、その…ね。今回拾った
自堕落な言い分を宣いかけた燈華の首に、ヒヤリと何かが触れる。あまりに自然に突きつけられたのは、一切の慈悲が抜けた玲花の眼差しと、煙叡剣の切っ先だった。
「片、付け、なさい」
「い、
首をなぞる切っ先よりも背筋を凍てつかせる玲花のお叱りに、燈華は震えて頷くより他なかった。玲花が
煙叡剣を下げられた後、燈華はそそくさと鍛冶道具を片付けにかかった。そんな様子に玲花は思わずため息を漏らす。
「…どうやら、燈華はいつもの調子に戻れたようだな」
玲花の背後から、一部始終を見ていた凌牙が話し掛ける。
「良かったじゃないか、玲花」
「お兄様は優しすぎます。私としては、もう少し慎ましさを残して欲しかったものです」
「そう言いつつも、安心しただろう?」
「…ええ」
10年前と比べて随分と甘くなった凌牙だが、妹のため息が安堵のものであると見逃さないほどには、まだまだ冴えていた。
そんなやり取りを露ほども知らぬ燈華は、纏めた道具袋と共にふらふらと自室に雪崩れ込み、へろへろの意識と身体を休めるのだった。
《続》
次回からは上中下巻のうち上巻クライマックス突入…する前に、あの剣士と絡めておきましょう。私が放送中特に気にかけていた、あの剣士と。
…原作キャラを違和感なく動かすの、めっちゃ大変です。