剣士異伝 仮面ライダーサーキュラー   作:TELTELボーズ

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ひとーつ!リバイス大好き!
ふたーつ!ギーツ推せる!
みーっつ!相互さんありがとう!

というわけで、久々の燈華です。
じゃなくて、投下です。


第7環「嵐の前の、空っ風。」(前編)

 北極の景観の中、双輪刀使いと双剣使いが相対する。吹き荒れる豪雪で見え隠れするその鎧は、銀を基調とした紅の剣士。あるいは黒を基調とした緑の剣士。

 二人を横切る吹雪が、凪ぐ。

 

 「はああああああああああ!!」

 「おおおおおおおおおらあ!!」

 

 その刹那から数えること実に26回、両者の切っ先がぶつかり合い、火花を散らした。

 

 「その程度か燈華!?もっと本気で来いよ!」

 「言われなくて…もっ!まだまだ全開(ぶっぱな)せるぜ!…蓮兄(れんにい)!」

 「そう来ねえと…マジないわ!」

 

 車輪剣に触れる切っ先の主は風双剣翠風。燈華/サーキュラーは今、最も自由な風の剣士と相見えていた。

 

 ・・・

 

 これより2日前、救出・捕獲した元邪剣士・御影及び富川の両名への尋問が行われた。

 とはいえ、二人とも邪剣士になっている間の記憶はなくしている様子で、ここからの供述は『夢喰いバクバク』WRBの伝承で深層に追いやられた認識をサルベージして得られたものである。

 

 「あんニャロウはオイラに力をくれたんスよぅ」

 「なんか棒付きのガチャガチャしたのを渡されてよー、したら剣に化けんだからビックリよ」

 「で、暴れる力をやるから剣士と戦えってそいつらの写真を見せられて」

 「9人も居んのかーぁ?先に聞いてた剣士はそこの二人だけだぜ」

 「チューリップ帽の他にもう一人?居たんスかね?」

 「おーぅ俺は見たぜ。剣で空間を斬る奴だろ?」

 「あ、暴れてる途中で別なとこに放り出されたの、そいつの仕業っすかネェ?」

 「あとよー、なるべくド派手に壊しまくれってのは言われたぜ」

 「最初はコソコソやってたら、口うるさく釘を刺されたもんでサァ」

 「まあこちらとしてもそっちのがスッキリするもんだからよー、乗っかってやったんだがなーぁ」

 「キキャ…キキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャァ!!」

 「ギシシ…ギィシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシィ!!」

 

 それ以上は聞くほど聞き苦しい武勇伝気取りの悪行自慢しか掘り起こせなかったので、元・邪剣士の男らは光の浄化を施され元の街へリリースされた。救いようのない悪人でも、人間である以上は超常的な力をもってその人生を歪めるわけにはいかない。SOLにとって、人の物語を守るということはそういうことなのだ。

 

 「とにかく奴は…ハバキリは、俺たちを戦わせることに執心しているようですね」

 「目的(なんのつもりか)はハッキリしねーけどな。何せ簡単(シンプル)破壊衝動(モチベ)で動く連中を邪剣士に煽動(けしかけ)てやがる」

 「そして私たち十剣士の介入を妨害している。異変の同時発生も、空間を斬るお喋りな剣士も、あの男の指金でしょう」

 「…なーんか不愉快(しゃく)だな。これじゃまるで…」

 

 新たな剣士達(燈華とそら)を試されているような、そんな気配を剣士全員が感じ取っていた。

 

 「『これなら奴らにも』、『大いなる戦いが待っている』、ハバキリはそんなことも口走っていました。俺たちを何かに対峙させようとしているのでしょうか」

 「ですが、いったい何に…」

 「心当たりならある」

 

 今までこの場に居なかった者の声と共に、ノーザンベースの集会場の扉が開かれる。踏み入ったのは黒い襤褸を纏ったボサボサ頭の男であり、腰に緑の聖剣を帯びている。武者修行の旅に出ていた風の剣士・緋道(あかみち)(れん)だった。

 

 「蓮兄!?」

 「蓮さん!帰ってたんですか?」

 「たった今な。かなりマズいものを見つけたから、皆にも知らせに来た」

 

 早々に蓮は一つの巻物を取り出し広げる。それは、剣士と剣が描かれた絵巻だった。かなり古ぼけている様子で、時折変色で字や絵の一部の詳細が判らなくなっている。

 

 「蓮、これは何ですか?」

 「強さの手掛かりに、歴代の剣士たちが色んなとこに遺した剣技指南書とかをあたってたんだ。これはその時に掘り起こしたんだけどさ、ここ、見てよ」

 

 蓮が示した箇所は、顔が隠れる程の外套を纏った4人の剣士が個性豊かな各々の剣を携えている様子だった。絵巻をのぞき込む大秦寺が、怪訝な顔で疑問を呈す。

 

 「これは…聖剣か?だが、煙叡剣狼煙と土豪剣激土以外の2つ以外は見たことが無いものだな」

 「その2つも同じ見た目でまるで別物だ。だってこれ、賢神が使うための聖剣だから」

 「賢神の聖剣!?」

 

 剣士たち全員がどよめいた。賢神とは、旧体制のソードオブロゴスにおいて最も剣技を極め抜いた4人の老剣士たちである。魔の手にかかり敵対した際に最も剣士たちを苦しめたと言っても過言ではない実力を有していたことは、あれから10年の鍛錬を積んだ十剣士たちにとっても思い返すに苦い記憶だ。

 

 「そんなものが存在していたのか」

 「いーや、存在()()()。本当にヤバいのは、こいつら4本とも動き出してるってことの方なんだ」

 「…まさか、帽子野郎(ハバキリ)が言ってた『奴ら』ってのは!」

 「間違いなくコイツら賢神四剣士のことだ。1週間後、連中は何かヤバいことをやろうとしてる」

 

 世界を守る剣士たちの前に、再び剣士の最高峰が連なり立ち塞がる。

 

 ・・・

 

 『オウルクリア―!!』

 

 この闇夜にも獲物を逃さぬ、閑かなるハンターの双眸が開く。

 小悪党の逃げ込むところ、それは地獄耳の聞き及ぶところなり。

 

 ・・・

 

 と、戦うべき相手の目途が付いてから、燈華とそらの特訓が必要であるという結論に至るまでにそう時間も異論も必要なかった。むしろ十剣士の剣技に完全なる対策がなされている以上、賢神四剣士撃破の鍵は燈華とそらが握っていると言っても過言ではない。

 当然今のままでは太刀打ちできない。賢神のあらゆる剣技に耐えうる持久力と、賢神の僅かな隙を突くに足る瞬発力に欠けているからだ。しかし二人ともが双方を鍛える時間的余裕はない、というのがSOLの見立てだった。

 

 「ですから、そらと燈華にはそれぞれ片方に特化した訓練を受けてもらいます。そらは僕と一緒に持久力を、燈華は蓮と一緒に瞬発力を鍛えましょう!」

 

 というわけで、冒頭の光景へと至る。

 修練場(リベラシオン)は普段の黒い景観を改め、メギドの異変のメカニズムを応用して真っ白な極寒の装いが展開されている。吹雪という視界の悪条件の中で相手の剣を捌きながら自分の一撃を叩き込むという、ごく単純に見える特訓であったが、この相手が風の剣士・剣斬であるということでその過酷さを十数段は上げていた。

 そもそも風の剣技自体がその太刀筋の自由さを最大の特徴とするものであり、アクロバティックかつ型破りなその軌跡はどこから仕掛けてくるかが読みにくい。実際先の打ち合いでも、サーキュラーは大きめの振りで防御に専念したからこそようやく成立している。決して小さくない輪刀で行う分、その消耗は当然激しい。

 加えて剣斬は、風の剣技をごく自然体で繰り出してのける。言ってしまえば、体力の消費がほぼ無いに等しい。どちらが早くスタミナを切らすかは明白である。

 

 「だったら障蟹(コイツ)だ!!」

 『復刻装換!蟹鋏剣障蟹!!』

 

 得物を大振りの鋏に換える。重量はほぼ変わらないが、その刃を拡げれば円形の刀身よりも小さい振りで広い範囲の剣撃を受けることが出来る。風の剣技は1発ごとの威力がそう高く無い部類の為、しのぎ切ることが可能だとサーキュラーは見込んでいた。

 

 「ふーん、面白いな。けど、」

 

 だがその見込みは全くもって甘過ぎた。

 

 「その程度でどうにかなると思ってるなら、マジないわ」

 

 突風。そうとしか形容できなかった。気づいた頃には先程までの軽快な連撃からは想像もつかない力業により、サーキュラーの持つ蟹鋏剣の片割れが弾き飛ばされていた。空いた手の痺れがその剣撃の強さを物語る。

 

 「…ッ!?強烈(つえ)ぇ…まるで土の剣技(ゴーケン)の威力だ!」

 「尾上さんほどじゃないけどな!地面叩き斬る程度の剣にはどうにか出来るようになってろ!」

 「難易度鬼(ベリーハード)じゃねえのそれ!?」

 

 そんなこんなで剣斬は風の剣技でありながら風の剣技(ニトーリュー)に留まらぬあらゆる絶技を繰り出してきた。炎の剣技(オウドウ)に劣らぬ激しい猛攻、水の剣技(リュウレイ)に劣らぬ淀みない連携、雷の剣技(イダテン)に劣らぬ間合いの詰め寄り、音の剣技(ジューケン)の如きカウンター…それら全てを混ぜながら吹きすさぶ強風を相手にサーキュラーはまともな一太刀すら返すことも出来ず、30分も経たぬ頃にはすっかり満身創痍にされてしまったのだった。

 

 ・・・

 

 食事の為に鍛錬を切り上げると、燈華は早々に吹雪荒れるリベラシオンから抜け出し、暖かなノーザンベースの集会場に飛び込んだ。これが「ぬくもり」というものなのだと、骨身に染みる思いだった。リベラシオンに展開された北極の環境は疑似的なものであるが、寒さは本物と遜色のないもののようだ。

 あとから悠々とやってきた蓮は、荷物袋の中から取り出したものを燈華にひとつ投げ渡した。若干危なげながら受け取ったそれは、NIKKEN製「緑風の(トン)」、要するにカップラーメンである。

 

 「俺の経験上、寒い場所で鍛錬した後のとんこつラーメンが一番美味い」

 

 蓮は「一番」に大袈裟目の強調を入れて主張する。沸いた湯に溶け込み麺に絡みついたこってり目のスープは、寒さと疲労でへとへとの燈華の心身に確かに効いたのだった。

 

 「食ったら次行くぞ次」

 「え゛っ、ちょっとそれ過酷(キッツ)いし逆効果と思うッs」

 「光あれ!」

 

 ユーリがそう唱えると、光剛剣から溢れる光で燈華の身体はみるみるうちに回復した。してしまった。

 

 「…ユーリ(にい)の鬼!悪魔!聖人君子!」

 「最後のは貶してるのかそれ?ホラ続きだ!」

 「いやああああああ!身体が万全でも心が疲労(キビシ)いいいいいいいいいい!!」

 

 賢神の始動まで残り6日。休養にかける時間が惜しいのは分かっていたが、それでもなお休養こそ惜しい燈華であった。

 

 ・・・

 

 『カメレオンミッケ!!』

 

 この紛れる体躯を探し出すのは、あまりに至難の業と知るがいい。

 苦境の中で見つけるものほど、その価値は増すことだろう。

 

 ・・・

 

 一方その頃エスカリブル(そら)の方はと言うと、こちらはこちらで過酷な試練を迎えていた。

 相手取るのは四刀主(ロード)の中でも最も技巧に優れると言われた一角、新堂倫太郎こと仮面ライダーブレイズ。それも、歴代剣士の技の結晶と名高いタテガミ氷獣戦記の姿である。

 激しい打ち合いが繰り広げられていたサーキュラー(燈華)VS剣斬()の光景と対称的に、双方が闘気と同時に沈黙と静止を保つ『静』の様相である。剣技の一部に攻防一体の土の剣技を混ぜているエスカリブルは、瞬間的な防御力だけならば当代の剣士の必殺技を耐え凌ぐポテンシャルを持っている。問題は現状それが瞬間的に過ぎないことである。この緊迫した睨み合いでエスカリブルがほんの少しでも気を緩めれば…

 

 「トルエノ・デストローダ!!

 

 このように、ブレイズが即座に歴代至高の必殺技を完全に再現して放つことになる。剣斬の場合は我流に合わせた変則型だったが、ブレイズの技は聖剣の加護が異なるだけの歴代剣士の絶技そのものである。WRBの特性は勿論のこと、歴戦の戦士の魂を誰よりも尊重する倫太郎だからこそ実現できる離れ業なのだ。

 

 「!…くぅっ!」

 

 エスカリブルは急いで気を引き締め直して対応を試みるも、瞬間最高速度に優れた雷の剣技の極致の前に間に合うはずもない。水勢剣の峰はエスカリブルの胴を打ち鳴らした。

 

 「…フゥー…今の隙は良くありません。本気の雷の剣技なら、君の右下側腹部は装甲越しでも無事では済まないでしょう」

 「ハァー、ハァー、は、はい!」

 「では、一休みしてから再開しましょう」

 

 こうやって気を張り詰めた後は、そらも倫太郎も変身を解いて2・3分ほどリベラシオンの外で小休憩を取る。正直なところ、そらにとってこの時間は少々短い。リベラシオンの中で集中していた時間はものの5分程度だが、その緊張感の疲労感を癒すにはその倍の時間は欲しいところである。誤解が無いように述べると、そらの忍耐力は決して弱くはない。むしろ先日の戦法よろしく辛抱強さを切り札に出来る程には頑強な精神を備えている。そのそらをしてなお5分で集中を切らし、当の本人には微笑む余裕が残っている倫太郎の持久力が並外れているだけなのだ。本人自身が体力も精神力もSOLで一、二を争い、一度は神代凌牙からマスターロゴスとして薦められた剣士の鑑を持久力で越えなければならないことを思うと、気も休まり切らないそらだった。

 

 ・・・

 

 とまあ、1日目は一方的な苦行にもがいていた二人だが、5日目には経てば基礎力の向上という成果は見えてきた。サーキュラーは剣斬の攻撃を強弱緩急問わず受けながら反撃を出せるようになり、エスカリブルはブレイズ相手に10分間も睨み合えるようになった。ただし、両者ともに未だお互いの指導者に一矢報い切れていなかった。サーキュラーの刃は一度も剣斬の体躯を捉えておらず、エスカリブルは最終的にブレイズの一本を食らうのが常である。

 お互いに、基礎能力で超えられる壁の限界を感じていた。

 

 ・・・

 

 6日目、最終日の昼休憩、燈華が帰ってきた集会所には相変わらずユーリとカップ麺が用意されていた。連日同じ昼飯ではあるが、これが意外と飽きないものだ。精神的な疲弊が若干薄れていたからか、燈華はそれまでと違うある違和感に気が付いた。

 

 「あれ、蓮兄って普段紅生姜(ショーガ)食べてたっけ?」

 「普段は入れねえよ。無い方が美味いし」

 「じゃあなんで今日は入れてんの?」

 「…そういう気分だったからなー」

 「ふーん?」

 

 そう言って紅生姜入りのカップ麺を啜る蓮を見て、何故かいつもより美味そうに食べているように見えた燈華だった。

 食後の回復(光あれ)も済んで通例通りリベラシオンに戻ろうとした燈華の襟首を掴み、蓮は言う。

 

 「今日は違うとこで闘るぞ」

 

 とはいえ、景色はさっきと変わらない。蓮が燈華を連れたのは、本物の北極の空の下だった。燈華は訝しんだ。同じ環境ならば、より時間をかけられるリベラシオンの方が都合がいい筈だからだ。それを言うと、蓮は心底呆れた。

 

 「は~?マジ無いわ。燈華お前ずっと焦り過ぎだっての」

 

 焦っている…そうなのだろうか。そういえばそうだと、燈華は改めて気づいた。

 

 「そんなに生き急いでたら壁も越えらんねえよ…ま、あの頃の賢人や俺もこんなんだったんだろうけど。いいか燈華!よーく聞」

 

 蓮が何かを燈華に語り掛けたとき、両者の側方に一つの衝撃が走った。燈華も蓮も素早くWRBを構える。舞い上がった雪から現れた姿は、雪よりも無機質に白かった。不気味な様相もさることながら、その空洞のような気配は異様な心地悪さを覚えた。だが、そんな感覚を覚えた燈華よりも、蓮の方が動揺していた、いや、軽く狼狽していたと言った方が適切かもしれない。

 

 「…ハハ、本っ当マジ無いわ。なんでそんなツラなんだよ」

 

 燈華には知る由もなかったが、その白い怪人の見た目はある怪人に酷似していた。

 

 その牙は狼であり、

 その顎はハンミョウであり、

 その歯はしゃれこうべである、

 彼の怪人は、カリュブディス・ディザスター(デザストであってデザストでないモノ)といった。




さて次いつになるんだろう。皆の応援と私の趣味の数次第としか…
とりあえず解釈の材料にしたいんでアウトサイダー待ってもろてよかですか(-_-;)
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