剣士異伝 仮面ライダーサーキュラー   作:TELTELボーズ

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早速前後編に分ける暴挙
後編はそう遠くないとは思うけど…ちゃんとアイキャッチ入れるので許してくださいm(__)m


第2環「空を切る、空が斬る」(前編)

 「ほら、謹慎中って退屈(ヒマ)じゃないですか…そうなるとたくさん面白(マジパネ)ぇアイデア浮かんで…今度こそ師匠(てっちゃん)みたいに()()()()()()()()()()()()()()と思ったんスよ…」

 「で、仕事場からディアゴスピーディーを拝借して改造した、というわけか」

 「ウス…」

 

 燈華は今、ノーザンベースの椅子に座らされていた。刀鍛冶としても戦う者としても十分な素質を持っているのだが、如何せん普段から燈華はベースの蔵書や訓練用の刀を拝借しては失敗の末ベース外壁のどこかに風穴を空けた罰で屋外で正座させられているやらかしの常連である。それと比べると今回の尋問体制は寧ろ穏当なはずであるが、歴戦の剣士たちの鋭い眼光が燈華を囲んでいることを考えると、背筋の冷え方はむしろ外の冷気の方が10倍ほどはマシなのかもしれない。特にサイドを固める神代兄妹と真正面に座って問い詰める師匠の大秦寺哲雄の圧が怖い。

 

 「で、でも!今回の異変って俺大活躍(ファインプレー)だったッスよね?」

 「確かに、従来の剣の形に固定観念を置かずに自由な発想を持ったのはいい。まさか()()()()()()()()()()()()()とは、私も感心したよ」

 「お、そうでしょ!?」

 「更に属性の出力も優れていた。「車」という概念で時間流まで道として解釈した上に、それを逆走する点では使い手としても優れている」

 「さっすが師匠(てっちゃん)、理解あるぅ~!」

 「そう、結果的には大活躍だ、だから今回はこうやって温かい部屋で訊いている」

 「感謝(あざ)ッスー…で、ついでに」

 「だがそれ以上にお前には言っておくべきことが多すぎる。刀鍛冶としても、剣士としても、そしてソード・オブ・ロゴスの一員としてもだ」

 

 ピリッ…と空気が凍てつく。調子づいた返事すらも許さない、凄みがある。お叱りを受けるのは慣れたものな燈華でも理解できる、今の自分は本気で怒られている、と。

 

 「まずは刀鍛冶として、初戦で壊れるような出来の試作品を実戦の剣士に使わせるな」

 「でも今回は俺が」

 「その剣士が自分だとしても、だ。自他問わず刀鍛冶であるなら聖剣に使い手の命を守らせる気でいろ」

 「…ウス」

 

 「次に剣士として、技が未熟にも関わらずビギナーズラックだけで初戦を乗り切ってしまった以上、常人の域を超えた努力をもって鍛錬を行うことだ。そういう者の中で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。経験則だ、心に刻め」

 「…ッス」

 

 「そしてソード・オブ・ロゴスの一員として、本を無下に扱うな。今回は内容の紛失が無かったから幸いだが、知識というものは断片でも流出した場合のリスクは計り知れないものと知れ」

 「…た」

 「…その返事では私以外には聴こえない」

 「…っ!わ・か・り・ま・し・た!!」

 

 こうして説教をしっかりと受けた燈華だが、今回の独断専行及びディアゴスピーディーWRB(ワンダーライドブック)の破損の責から、禁固を伴う謹慎を言い渡された。

 設けられた禁固用の部屋の中で、燈華は苛立ちを抑えられない様子でいた…要するにこの少年、全く反省する気が無いのである。

 

 「だーっ!なんだよ師匠(てっちゃん)先輩達(兄さん姐さん)真剣激怒(ガチギレ)しちゃってさー!!俺を半端者(アマちゃん)みたいに言うけど、そいつに助けられたのそっちだろー!!」

 

 御覧の有様である。こういう性格だからこそ先日の戦いのような無鉄砲な戦術が填まったが、言ってしまえば調子に乗った天才(ギフテッド)の典型的な例である。

 

 「面白そうなもの作んのに大義名分(いみ)とか要るのかよ~与太(ナンセンス)でも(イカす)じゃんよ~」

 

 言いたい放題である。自作とはいえ仮にも聖剣の剣士にあるまじき発言もいいとこである。

 そしてそんな悪戯小僧(ワルガキ)が大人しく禁固にかかるわけもなく、数日もあれば抜け道をこさえて部屋を抜け出し、自らの手で修理させられた最中にすり替えたディアゴスピーディーWRBを持ち出したまま街へ駆け出してしまったのだった。

 

 ・・・

 

 さて、ソード・オブ・ロゴスでは度々騒ぎを起こして悪目立ちする燈華ではあるが、TPO問わず暴れまわるわけではない。良くも悪くも面白い行動を選ぶため、行儀良くしていた方が楽しめる時はとても自然な顔で周囲に溶け込む理性も備えている。だからこそ監督する側としては厄介なのだが。

 とはいえ何かしら買い食いするための小銭は無くて所在に困っていたので、とりあえず何やら人が集まっている方へ向かってみる。何も盛り上がっていないのであれば愉快な気分になれない事が起きているんだろうが、今回は何やら盛況であるゆえに燈華のセンサーに触れた。

 

 「さあさあ皆様寄ってらっしゃーい!酔ってらっしゃーい!ちょっくら早めの怪談屋でさあ!」

 

 そう名乗る怪談屋は、チューリップハットを目深に被った着物と袴とブーツ姿の男だった。引き摺る木製の屋台車には「集蒐談怪」の看板と賽銭箱のような投げ銭入れが貼りつけてあった。何ともまあ雑に奇怪ではあるが、燈華としてはこの雑さは寧ろ嫌いじゃない。

 

 「春に入ってはや数日といえど、天気は既に夏日かな!夏まで待てない怪談話、今披露して肝を冷やしな!さぁさ、おかしな怪異譚、聴きてえんなら買ってみな!喋繰りてえなら買ってやる!些細な与太でも集めてみりゃあ、奇怪で愉快な大喝采よぅ!」

 

 怪談を売りにするだけじゃなく買取も受け付けているらしい。先ほどまでは怪談(うりもの)を大衆講談に出しており、今からが個別売買のようだ。

 

 「面白()いじゃねッスか、だったら俺の話を買ってくれよ」

 

 俄然興が乗った燈華は、怪談屋に飛び入った。幸いにして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ため、その中で怪異譚になりそうなものを持ち寄ることにした。

 

 「お、少年くん、威勢が良いね!じゃあ聞かせてもらおうかい」

 

 屋台小屋の中は椅子は無く、座布団の他には薄暗い照明器具がいくつかあるばかりだった。ランプや蝋燭のような怪談に似合いの物もあれば、ペンライトやジャックランタンなど妙な照明も見えた。

 お互いが座布団に胡坐を掻くと、燈華は迫真の語り口で創作怪談を語り始めた…

 

 「…『貴様の頭こそが疾患よ』、蟹はそう言うと男の首をジョキン!とちょん切った!で、首が生え代わって去っていく自分のものだった身体と蟹を、生首にされた男はただ見送るしかなかったってさ…てな話、どうッス?」

 「いいねぇ~グッときたよぅそれ~!調子づいて性根腐らせた末路ってのも気分がいいや!」

 「好感触(やった)!」

 「怪談となると陰鬱なものが多くなるからねぇ~『怖いが痛快』ってのは希少価値が高いんでさぁ。これなら500円は出したって惜しくねえや。受け取りな少年くん」

 

 ちなみにここでの売買は基本100円が相場である。500円というのだから、かなり気に入って貰えたことが窺える。

 

 「いやはは、百物語まで集める気でいたが、最後にこんな良い話が聞けるたぁめでたいねぇ」

 「最後、ッスか?」

 「うん、この屋台もそのためだけのものだったもんでねぇ」

 「え~じゃあこれ以上は買取拒否ッスか!?もっと荒稼ぎ(ガッポガッポ)いこうと思ってたのに」

 「そりゃ悪いねぇ。お詫びと言っちゃあなんだが、こっちの怪談話を奢るってのはどうだい?」

 「へえ、そりゃ一興(おもろい)ッスね。聞かせて貰うぜ、怪談屋の兄さん」

 「では、最後の怪談でさぁ…」

 

 怪談屋が語り出すと、当たりの空気が変わった。先ほどまで朧に聞こえた街の騒音さえも絶え、寒気を覚えるような静寂が小屋の内を包む。

 

 「春の晩のことでさぁ、男はふらふら~っと外に散歩しに行ってたんだ。したらよ、うっすら、ほんのうっすらと、霞むような灯が見えたんでぇ」

 

 部屋の照明も薄れていき、全ての輪郭が朧げになる。

 

 「そうして不思議だなぁ~と思って恐る恐る近寄ってみたらよ…ガシィッ!っと、首根っこを何かに掴まれたのさ…そいつぁ目ぇ配って驚き、なんとさっきの灯から、刺々しい右腕だけが伸びてたんだよなぁ~」

 

 話の抑揚と共に場の空気が震えている…?にしても、何かが…?

 

 「灯…鬼火にゃ顔が浮かんでよ…男にこういったのさ、『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』ってなぁ~!」

 

 何かがおかしい。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 「その鬼火のツラはよ!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

 言うや否や、部屋にあった季節外れのカボチャの灯篭(ジャックランタン)が燐光を伴って爆ぜた。。

 

 「驚愕(ウソだろ)…ッ!変身!!」

 『ディアゴスピーディー!!』

 

 屋台小屋ごと吹き飛ばす爆発に燈華も身体を押し出されながらも、咄嗟に変身して身を守った。今の不意打ちにもかなりの衝撃を受けたが、小屋の外の状況に更に面食らってしまう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!

 

 「因果なものよの…車の剣士よ」

 

 ジャックランタン顔に怪人の右腕の生えた鬼火は、燈華を前に静かに嗤う。

 

 「我が名はジャック・オー・ライト…怪談の季節の魔物にして…」

 

 鬼火・ジャック・オー・ライトは放った燐光を集め、己を起点に魔人の姿を構成していく。その姿は、先日の魔神と同じ風貌であった。

 

 『EVENTERASU!!』

 「文字通りの我が右腕…そして私がイベンテラスだ」

 

 季節の魔人・イベンテラスが、再び仮面ライダーサーキュラーと対峙した。




「俺っちと変身しようぜ!」
「装動!リバイス!ナ~イス!!」
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