剣士異伝 仮面ライダーサーキュラー   作:TELTELボーズ

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「十年の時を経て紡がれる、オーズの新たなるストーリー…」


第2環「(くう)を切る、(そら)が斬る。」(後編)

 ・・・

 

 『イベンテラス!!』

 

 目を覚ませ…。季節を司る、シーズンメギド

 権能をもって黄帝を招き、受けた生に報いて返せ

 

 ・・・

 

 「なんだ、お前まだ出てくるのかよ?」

 「感謝しているぞ車の剣士…おかげで復活の条件を満たせた」

 

 百物語の完遂、そしてそれによる本物の怪異の招聘。()()()()の逸話をなぞった、怪奇な回帰であった。

 

 「そりゃあどーも。で、怪談屋の兄さんは一体なんなのさ?脅されてるにしても相当堪能(エンジョイ)してたと思うんだけど?」

 

 燈華が見やる屋台小屋の残骸の上には、怪談屋の男は涼しい顔でホコリを払っていた。

 

 「あっしはあっしでやりてえ事が有ったんで、自分からイベンテラスの旦那を拾いに行ったんでさあ」

 「二つ返事で協力を了承したときから…妙な男とは思っていた」

 「最後に面白い話も()()()()()()()()()()やしたし、あっしはこれにて失礼~…“期”が有ったら、また遭おうぜ」

 

 ニヤリと笑った男は、靄のように眩んで消えた。

 

 「ふむ、お互い…ろくでもない者に関わったようだな」

 「耳障(うっせ)ぇ!優先(まず)はてめーからだゾンビ野郎!」

 「無論、今回は万全を期して…君を血祭りに上げよう」

 

 イベンテラスは先ほどまでジャック・オー・ライトだった腕を振ると、虚空より両刃の長刀を取り出した。

 

 「車の剣士…今度はまぐれ勝ちはないぞ」

 「身の程知らず(くさ)だね!そーいうのは大抵、」

 

 言うが早いかサーキュラーはサドルに跨り、アクセルを思いっきり捻る。

 

 「懲りずに負ける雑魚(やつ)のセリフだぜ!!」

 

 そうして全速で発進し、イベンテラスに向かって突撃…を、試みた。

 

 「君は…運が良いのは自分だけとでも思っているのかね?」

 

 が、激突が完遂されることは無かった。突如としてバイクが分解したからだ。

 

 「な、不可解(なんだって)!?」

 

 既に速度を上げていたサーキュラーの身体は、前方に無防備に放り出される。イベンテラスは既に左手で刀身をなぞり、天候の瘴気を込めて構えていた。

 

 「…噴っ!」

 

 一閃と共に繰り出される斬撃が嵐と吹雪を伴い、サーキュラーの身体に叩きつけられた。

 

 「ぐあっ!」

 

 サーキュラーの身体は空中分解したバイクの部品ごと後方へと大きく飛ばされた。スタンこそ免れたものの、攻撃によるダメージに加えて電撃と凍結によって身体にガタが来ていた。

 

 「お前!何しやがった!?」

 「私は何もしていない…運が良かったという事しか知り得ない」

 「…はあ?」

 「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…ということかね」

 

 季節行事、それは各々の季節を祝う儀式であり、その祝福の力で満ち満ちたイベンテラスとは、とどのつまり豪運からの寵愛の化身とも言える存在である。

 

 「!?…にしてはこの前は随分と天中殺(ツイてなか)ったんじゃねーか?」

 「祝福の大半を…()()()()()()()()()()()故に」

 「…ってことは、今回は…」

 「言っただろう…『今度はまぐれ勝ちはない』と」

 「!…気が早計(はえぇ)よ!」

 

 静かだが挑発的なセリフを払拭するように、サーキュラーは散った部品の中の両タイヤを手に駆け出した。タイヤはそれぞれの手の中でみるみると形を変えて、一対の大きな輪刀へと再形成される。燈華が元から想定していた、車の聖剣の奥の手だったが、

 

 「いや…そうでもない」

 

 剣の一薙ぎによって軽く弾かれてしまう。十剣士たちの剣術に対抗できる実力者なのだ。場慣れもしなければ練度も低い奥の手など当然通用しない。それでも認めるものかと、サーキュラーは連撃を繰り出していくが、イベンテラスの技巧の防壁は堅い上に、その幸運は先日のような確率の穴を突く僥倖をサーキュラーに許しはしなかった。

 

 「こんな…ものかね」

 

 無意味に等しい抵抗に落胆したのか、イベンテラスは手から雷撃を放って若き未熟者が持つ双輪の片方を貫いた。凄まじい電圧と熱により、サーキュラーは得物を手放さざるを得ない。片輪では寧ろバランスの欠如を招くため、辛うじて成立させていた連撃さえも封じられた。

 

 「不可信(ありえねぇ)だろ…っ!こんな、こんな!!」

 「君も私も運が良い…だから、()()()()()()()()()()()()()()()()()。この場においてはな」

 

 すなわちこの敗北必死の盤面は、この勝負において必至であった。

 

 「さらばだ…若き脅威の芽よ」

 

 先日は邪悪な樹々を生長させるために用いていたのと同等のエネルギーが、長刀・サイレンケインに込められていく。そして振り下ろされるまで刹那、というところで

 

 『キングオブアーサー!!』

 

 突如出現した巨大な剣士のエネルギーによってそれは阻止された。巨大剣士が立ち上がる傍らには、WRBを持ったスポーツ刈りの硬派な青年がどっしり構えて立っている。見るからに鍛え上げられた身体に纏う外套は濃紺、それすなわちノーザンベースの剣士の証だった。剣士は既に開いていたガードバインディングを押し込み、ライドスペルを起動させる。

 

 『とある騎士王が振り下ろす、勧善懲悪の一太刀…』

 

 剣士の腰には既にサーキュラーと同型異色のドライバーが巻かれており、閉じたキングオブアーサーWRBはそのシェルフに収まった。降り立った大きなWRBの像を背に、剣士は左の縦拳を前に突き出し、その上に開いた右手を重ねる。無手であるはずのその佇まいは、かの聖剣を突き立てる英雄のようであり、我こそがヒーローであると物語っている。眼前の敵を見据え、開口で放つは仮面ライダー(聖剣の剣士)の号令。

 

 「変身!

 

 その両手はバックル上部に振り下ろし、左拳槌がライドインテグレターを打ち込む。

 

 石英(セキエイ)抜刀!』

 『剣を頂き!偉大な剣士が目を覚ます!キングオブアーサー!!』

 

 するとバックルと背後のWRBのストーリーページが展開し、既に出現していたものも含めて12の巨大剣士が現れる。それらが中心の剣士の元へ凝縮されていくと、空色に輝く鎧と、銀に輝く大剣と、裂光の如き十字の斬撃を模したバイザーを備えた剣士が顕現した。

 

 『石英伝説!貴き輝石の聖剣が、正々堂々と王道を拓く!』

 「英雄剣士、仮面ライダーエスカリブル。いざ、征くぞ!」

 

 ・・・

 

 『キングオブアーサー!!』

 

 とある騎士王が振り下ろす、勧善懲悪の一太刀

 地より賜る大剣の技で、英雄の名は空まで轟く

 

 ・・・

 

 「また新手か…災禍は祓うべし」

 

 新しい剣士を前に、イベンテラスは元来の容赦のなさに加えて油断のなさを込めて天候の波状攻撃を仕掛けていく。祝福を纏ったことで、今度は万に一つも外すことはあり得ない。

 不可避の猛攻に対してエスカリブルが取った行動は至ってシンプル、ただ大きく剣で薙ぐのみ。それだけで焦熱も雷霆も暴風も豪雨も吹雪も押しのけて征く。十剣士と言えど、素の剣技のみでこの荒業を断行するのは不可能である。

 

 「ぬう…やはり属性を掌握出来ぬか」

 

 そう、聖なる属性が正しく機能している場合、対処できるのも不自然ではない。それにしても十ある剣技の中でも特に重い一撃が要求されはするが。

 

 「これなら…どうかね」

 

 二の手として同時に繰り出したのは、先日と同じ時間流への干渉、加えることの魑魅魍魎軍団。出し惜しみはしない。完全に詰め切る姿勢である。さすがにこれは力押しのみでは対処不可能と踏んだエスカリブルは、()()()()()()()()()()WRBを左手のガントレット・キングブースターに読み込ませる。

 

 『サーティーン!リーディング!』

 『大剣豪浦島二郎!』

 『ラウンドサーティーン!!』

 

 するとエスカリブルの周囲には12人の亀の面の老剣豪が現れる。更にはエスカリブル自身の聖剣にも青いエネルギーが渦巻き、唐竹割りの一閃で時間流干渉波を裂いて歩く。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を、ここに実現したのだ。更には12人の老剣豪のビジョンが先に駆け、迫りくる魑魅魍魎を斬り伏せていく。エスカリブルとイベンテラスはもう既に、互いの射程距離まで接近していた。

 

 「出来るな…君は」

 

 左手に悪天候、右手に長剣を帯びてイベンテラスが先に仕掛ける。エスカリブルはキングブースターや大きな刀身をもってこれを防ぎながらも、力強い剣の一薙ぎで相手に圧を加えていく。数秒経たぬころにはイベンテラスは後退し、屈していたサーキュラーとの間合いは離れされていた。

 

 「燈華くん…で、いいのか?」

 「そういうあんたは、まさか師匠(てっちゃん)の…」

 「そう、大秦寺さんが新造した聖剣の使い手だ」

 

 燈華がサーキュラーの聖剣を創るアイデアの源流、キングエクスカリバーをそのまま聖剣として研ぎ澄ませた英雄剣石英の使い手、それが今、燈華の目の前にいる剣士だった。

 

 「燈華くんも確保したし、そろそろ仕留めるか」

 

 エスカリブルはバックルからキングオブアーサーWRBを取り出し、聖剣のベディヴリーダーに読み込ませる。この聖剣における、必殺技の準備動作である。

 

 『キングオブアーサー!!』

 『必殺読破!』

 

 そして腰をどっしり落とし、大振りの聖剣を右肩に背負い、両手で柄を握りしめる。待ちの姿勢をもってイベンテラスを迎え撃つ姿勢だ。

 

 「ひとつ、非常の元凶を倒し」

 

 明確な脅威を排除せんと、イベンテラスも全身全霊を剣に込めて襲い掛かる。

 

 「ふたつ、不肖の後輩も護る」

 

 護られているサーキュラーすら圧倒されるほどに、剣気は高まっていく。

 

 「みっつ!見せつけてやる!俺の王道!」

 

 迫る敵の必殺剣を、エスカリブルの横一閃が弾く。イベンテラスが苦渋の表情を浮かべ、後退を試みるももう遅い。

 

 「必殺!『大十断《だいじゅうだん》』!!」

 『キングスラッシュ!!』

 

 流れるように繰り出される渾身の縦一文字がイベンテラスを正中線で分かつ。

 

 「祭りも始末も…満足に果たせず、か…っ!」

 

 悔恨も体の一部も残さぬように、イベンテラスは完膚なきまで爆散して滅んだ。

 爆発の余波で尻もちをついたサーキュラーに、英雄剣士は手を差し伸べる。

 

 「大丈夫か?燈華くん」

 「手助けなんざ不要(おことわり)だっての!」

 

 変身が解けた燈華は、同じく変身を解いた青年の手を払って自力でよろよろと起き上がる。

 

 「あとくん付けやめろ不愉快(きしょくわり)ぃ!」

 「とはいえ、だいぶ年下だからな。見たとこ15かそこらだろう」

 「成人(ジューハチ)だ俺は!バイク乗りが中学生(チューボー)の年齢はおかしいだろ!」

 「えっ?…まあいいか」

 

 意外そうに面食らった青年は、それでも気を取り直して本題を告げた。

 

 「燈華くん、君には本日付でお目付け役があてがわれることになった」

 「…聞き違い(パードゥン)?」

 「功罪と性格から、謹慎は無意味と判断されたらしい。お目付け役は俺が承った」

 「…悪夢(ウソだろ)?」

 「名乗りそびれていたな。俺は剣士兼研究員の尾上(おがみ) そら、よろしく燈華くん」

 

 握手の為に差し出されたそらの手を、燈華はうんざりしたような目で見やっていた。

 

《続》




と、いうわけで、一番書くの難しい人きちゃったぜ☆
こういう後日談モノの2次創作って、当時子供だったキャラの性格をどう調整するかが難しかったりする。そのままってわけにもいかんけど、ちゃんとストーリーが想定できなきゃいけないというハードル。
じゃあなんで2号ポジに置くかって?
大秦寺さんがそら君の為に聖剣創るって言ったら創るに決まってるからだよ!!
しかも大剣使いの父の技と本の楽しさ教えてくれた先生の本で戦うとか、ゲキアツじゃないか!!
見切り発車故に3話はだいぶ後になると思うが、長期休暇が存在するうちに出来るだけ書いていきたいぜ…

この小説は私のTwitterで挙げてる装動オリジナル剣士を基に書いてます。良かったら下のリンクも見てね
https://twitter.com/teltel_fumibo/status/1317730772095168518?s=20&t=ZJwglVRPuEDpn8HO-m7WqA

今回の挿絵代わり⇓
https://twitter.com/teltel_fumibo/status/1501517940939984896?s=20&t=1XSU0dfRNe3n2YC9w8Skyw
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