私の情緒を
ノックアウト (字余り)
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『ディアゴスピーディ―!!』
タイヤを開け、真紅のボディが目を覚ます。
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「燈華くんはその輪刀を創り直すべきだ」
ひとしきり転がされて仰向けになった燈華に対して、そらは忠告する。輪刀を持ったサーキュラーと籠手のみのエスカリブルの仕合は、輪刀が籠手で防がれ素手でいなされ、エスカリブルによる一方的な転がし祭りでサーキュラーがグロッキーにされて終わった。
「今のままじゃ良くないだろう。前の戦いだって、
だが途中、通常形状の剣同士による打ち合いを行った際には、両者の攻防はエスカリブルが若干優勢程度まで迫っていたのだ。明らかに現状の適性が噛み合っていない。
「万が一の保険として入れた装備なんだろうが、満足に扱えないなら逆に足を引っ張りかねない。寧ろどうして奥の手を使い勝手の悪い形にしたんだ?」
「なーんかみんなして
「は?」
「つーか誰が使うとかも
起き上がりながら何気なく発せられた燈華の発言に、そらは絶句した。
「車の聖剣だから
「だが、それじゃ燈華くんは剣士として地力を活かせない!」
「だったら聖剣を新作って
「なっ…!?」
「
聖剣の乗り換え、剣士にとっては一大事を、燈華という少年は気軽に構想していく。ノリが軽いとは思っていたが、そらが抱いた印象以上に燈華の行動原理が軽い。
「…なるほど、それで大秦寺さんは…」
「?
「実は大秦寺さんから言われるんだ、燈華くんが
「
「自前のものがあるなら心配しなくていいと思ったが、君への認識が甘かった。しかも10聖剣に比べて使用者に要求される素質のハードルが低いとすれば、誰でも使える聖剣が際限なく増えていくことになる」
「
「ハッキリ言って最悪だ。多すぎる力は余計な争いを生む」
「争いなんて既に起こってる!あんたも知ってるだろ、
燈華の言う通り、ここ数週間で本の魔物絡みの異変が世界各地で頻発している。先日のイベンテラスは一連の騒動の中でほぼ最上級に危機的であったが、同時に一連の騒動の中の一例に過ぎなかった。現在も組織の評議会を担う
「だったら戦力は
「だからこそだ!安易に増えた聖剣が新たな脅威になったらどうするんだ!」
「敵に渡さなきゃいいだけだろ
そらは返答に詰まった。父を含む剣士たちの誇りと実力は確かに信じている。だが2年前に剣士となったばかりの自分に関して言えば、未だにその指摘を否定しきる領域に至れてない、そう思ったからだ。
「…そう思うなら、君が強くなれ燈華くん。今のままの君じゃ持ってる聖剣を奪われて終わる」
卑怯な言い方をした、その自覚はそらにはあった。そしてその負い目は燈華にも伝わってしまったようだった。だが現状何よりも不安なのはこの後輩の危うさであり、忠告せざるを得なかった。
「自分の聖剣と人々、それと別の聖剣を守り切る。それが出来るほど強くなれば、もう一振りくらいは考えて貰えるんじゃないか?」
「
ただし、と一泊置くと、燈華は深く息を吸い込んで高らかに宣言する。
「何が何でも!新しい聖剣創るの認めさせてやるからな!!」
・・・
さて、そらに後味の良くない気分を味わわせた燈華はというと、こちらはこちらで歯痒い思いを抑えられていなかった。やりたいことに対して自分の実力が足りない、というのも勿論面白くなかったが、真に歯噛みしているのは自作の聖剣の出来栄えに対してである。奥の手でも最強であれるように創ったつもりが、
しかしこの車の聖剣を改良するにあたり、厳重にかけられた封印が立ちはだかる。現時点で1ミリたりとも緩んでいないそれは、燈華の改造すらも受け付けない。戦うにも改良するにもこの縛りの解除が不可欠となる。
何にしても今よりも高みを目指さなければ始まらない、剣士としても、鍛冶師としても。名目上だろうと実質だろうと、先輩たちに認めさせらた先に自由は待ち受けている、そう燈華は見据えている。
「それに…これはこれで
・・・
それから、燈華はそらとの仕合に真剣に取り組んだ。最初は輪刀を思いっきり振り、振り回されるだけ振り回された。決まれば強い強烈な攻撃は全て、エスカリブルの籠手に容易く弾かれていなされた。しばらくして輪刀の持ち方を変え、刀身を盾のように構えてみた。射程が縮み一撃が軽くなってしまう代わりに、取り回しと防御が利くことを実感した。次の日になって、燈華はこの輪刀を拳法の要領で扱うことに思い至った。構える時には納め、打つ瞬間に刃を向けて伸ばす。ここでようやく、サーキュラーの輪刀がエスカリブルの胴を掠めた。それ以降はメキメキと輪刀の扱いに長けていき、3日目の特訓の初めにはエスカリブルに英雄剣を抜かせていた。
「…俺は正直驚いたよ」
「だろ?俺の
「そうじゃない。いやそれもあるが…君、意外と真面目なんだな」
「…
「ここまで真剣に特訓に励むと思ってなかった。確かに君の成長速度は天才的だが、確かな努力と情熱を感じるよ」
「やめろ
ガトリンガトリン、と、突然の着信に会話を止める。そらはガトライクフォンに応答した。
「悪い燈華くん、今日の特訓は一旦終わりだ。世界各地で異変が発生している。俺も向かわなければならない」
「お、さっそく特訓成果の
息巻く燈華だが、そらが厳しい表情でそれを止める。
「いや、今回は敵の力量が計り知れない。燈華くんは留守を頼む」
「
「ダメだ。聖剣が十全に機能してない君を連れていくわけにはいかない」
当然激怒した燈華がそらの襟首に掴みかかる。
「やっぱ
「ああそうだ!…君の情熱に免じて正直に言おう。君を守り切れると約束出来るほど、
「…
燈華が手を放し、リベラシオンを出ようとする。その背中を見送り、そらは異変の発生地へのブックゲートを起動させる。
「じゃあ、行ってくる」
「
燈華は突然振り返り、既にゲートに入ろうとしているそら目掛けて全速力で駆け出し、
「言 う と 思 っ た か
その背中にドロップキックを食らわせながら、燈華自身もゲートに吸い込まれていった。
《続》
プロット引き延ばしによるサブタイトルの改編という禁じ手。蟹ほとんど出番ねえじゃん!!
書きたいところを書きたいところで繋げるやり方、こうやってプロットが延びる弱点あるんよね。
でもどのみち4話の分量少なくなりそうと思ってたから、3話からあぶれた分でちょうどよくなりそう。結果オーライ☆
この小説は私のTwitterで挙げてる装動オリジナル剣士を基に書いてます。良かったら下のリンクも見てね
https://twitter.com/teltel_fumibo/status/1317730772095168518?s=20&t=ZJwglVRPuEDpn8HO-m7WqA
今回の挿絵代わり⇓
https://twitter.com/teltel_fumibo/status/1503310373914841088?s=20&t=n9swruvvxTPW4e38vjzBkw