剣士異伝 仮面ライダーサーキュラー   作:TELTELボーズ

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一週間空いたー。この先多分もっと延びるので悪しからず。ても応援してほしいな。


第4環「分かつ(はさみ)か、動かす(ハート)か。」(後編)

 ・・・

 

 『断頭キャンサー!!』

 

 この化け蟹の大鋏が、罪深き者を千切り刻む。

 魂の癌は鋏となりて、罪無き者を食い荒らす。

 

 ・・・

 

 「『蟹の剣士・仮面ライダーギロチン』…って、来た剣士に言えばいぃいんだっけナ?」

 

 ギロチンは傾げた首をグルンと向けて、二人の剣士を睨む。エスカリブルはその不気味な視線に物怖じせずに尋ねる。

 

 「それは誰かに言われたのか?お前に本と剣を与えたのもそいつか?」

 「あァそうだ…ヤツにゃこうも言われてるんだ、『名乗り終えたらソイツらは好きに刻んでいい』ってナァ!!」

 

 言い終わらぬ内にギロチンは大鋏を振って二人の剣士に迫る。サーキュラーもエスカリブルも、各々の聖剣で一振りずつ受けた。

 

 「あァれ?止められた?」

 

 攻撃を止められたギロチンは空中で翻ってまた後退した。

 

 「剣術は素人同然、だが身体能力が高い…使っているジャンルは動物か?」

 「知ィらねえナ!」

 

 考察を溢すエスカリブルの疑問を切り、再びギロチンが二人に攻撃を仕掛ける。素人の剣術であれど、開閉しながら振るわれる鋏型の剣の連撃は二人の剣士を翻弄していた。

 否、エスカリブルはトリッキーな連撃に早くも適応して捌いている。翻弄されているのは既に動揺していたサーキュラーのみ。

 

 「っ…!巫山戯(チョケ)てんだろ…!こんな、奴が!剣士とか…ッ!」

 

 平時ならば何の問題もなかっただろう。だがサーキュラーは元から受けに回ることを苦手としている。勢い任せのギロチン相手に防戦に回るには決して良くないコンディションなのだ。

 

 「キキャキャキャッ…キャア!」

 

 そうしているうちに、開いたギロチンの蟹鋏剣がサーキュラーの2つの輪刀のガードを一度に弾き飛ばしてしまった。がら空きとなったサーキュラーの胴に全開の鋏が追い討ちをかける。

 

 「危ない!」

 

 エスカリブルが咄嗟にサーキュラーを突き飛ばす、が、代わりに彼の左腕が鋏の動線に取り残されることになる。幸いにもキングブースターが装備されているため、なんとか受けきれる…と、見込まれていた。だが、

 

 ショキン!

 

 と、鋏はエスカリブルの左腕をすり抜けるように閉じた。エスカリブルは一瞬困惑する。しかしすぐさま英雄剣でギロチンを再び後退させる。鋏型の聖剣、にも関わらず外傷がないまま四肢を折られた被害者たち、そしてすり抜けた挟撃、エスカリブルは自身が何をされたかおおよその見当が付いた。恐らく左腕は少しの衝撃で容易く折れるだろう。それでも構わないという覚悟を即座に決めて必殺技を放ちにかかるが、

 

 「とっくにィ~手遅れなんだよナァ~!!」

 鬼蟹(おにがに)!』

 

 ギロチンが二振りの蟹鋏剣の柄を繋ぎ合わせると、骨折とは別種の苦しみがエスカリブルのWRBの操作を妨げた。それは発汗や発熱、目眩や嘔吐感を伴う体調不良、即ち病である。周囲の四肢を折られた被害者たちも同様に苦しみだした。

 Cancer()とは蟹を語源に持つ言葉。蟹の聖剣・蟹鋏剣障蟹(かいきょうけんさわがに)に隠された真の属性が、喰らった者たちを蝕んでいく。

 

 「キキャキャッ!こォれで強い方は動けないナァ~!!倒れ込んでくれたら腕も折れて完ッ!璧ィ!惨めな負けだよナァ~!!」

 

 エスカリブルは気力で膝も付かずに持ちこたえてはいるものの、見るからに足元が覚束ない。身体を支えられなくなるのは時間の問題だろうか。ダメ押しとばかりにそこに突撃するギロチンを、ようやく体勢を立て直せたサーキュラーが輪刀1枚で庇う。

 

 「チィ…テメーもスゥグ惨めに折ってやんヨォ」

 「耳障(うっせ)消音(だま)ってろ!今は御目付役(アッチ)に言いてえことがあんだよ!」

 

 サーキュラーの動揺は先ほどと変わらない、否、もっと酷く揺れている。だがギロチンの蟹鋏剣も病の力を発揮するために振り回しにくい鬼蟹モードであり、減った輪刀でもギリギリのところで防げている。

 

 「なんで!俺を庇護(かば)った!?俺を突き飛ばさなきゃ、あんたは罹病()らってなかった!ギロチン(ヤツ)を退かせなきゃ、発症()られる前に撃破()ってた!」

 

 だが僅かにギロチンの猛攻に押されるサーキュラー(燈華)の胸中では、チリチリと焦がされるような感情が苛んでいた。

 

 「呆然(ボケ)っとしてるバカなんて度外視()っとけばいいのに!俺が()られたってなんも変わらないのに!」

 「そんなことは、ない」

 

 息も絶え絶えになりながらも、エスカリブル(そら)は答える。

 

 「君が居なきゃ…俺の仕事が減って、時間が空く」

 「真剣(マジ)でなんで助けんだ!?」

 「寂しいじゃないか、手の焼ける、可愛い後輩なんだから」

 

 エスカリブルはふらつきながらも、右手だけで英雄剣を突き出してギロチンを退ける。

 

 「大秦寺さんも、剣士の皆も、傷つかないと思ってるなら、間違いだ。問題児でも、生意気でも、みんなにとって、君は大事なんだ」

 

 剣を握る右腕の肘で、エスカリブルはサーキュラーを小突く。

 

 「君は、空回りのつもりでも…君の世界を、動かしているんだ」

 

 弱弱しくて途絶え途絶えの応援、だが、それは確かにサーキュラーの心を微かに奮わせた。

 

 「…正直よ、俺とギロチン(アイツ)五十歩百歩(かわらない)かもって思ってた。好き勝手しまくってるの、想いの質とか関係なく迷惑掛けてんだなって」

 

 その鼓動は徐々に強く大きく高鳴り、零した弱音もかき消していく。

 

 「でも先輩達(あんたら)が目を掛けてくれる程度に害悪(ダサ)くねえならよ~!悪党(アレ)よか百万倍(メガトン)マシだよな!だったら!」

 

 一枚だけの輪刀でも、ギロチンに対して強く構える。

 

 「俺は俺の身勝手(モチベ)のまま!悪党(アイツ)を倒す剣士(ヒーロー)になる!」

 

 瞬間、共鳴したのは環状の輝き。その光はサーキュラーの輪刀を包み、迸るように回転する。

 

 「ナ、ナんだァ~!?」

 

 回る光はサーキュラーの外装を巻き込んで吸い寄せていく。変身が解ける燈華だが、無防備に対する悲観は無かった。寧ろ今までよりも強い意志を持って、回転の中心に現れたディアゴスピーディーWRBを掴み取り、起動させる。

 

 『創刊!ディアゴスピーディ―!!』

 

 それをバックルのシェリフに装填し、左腕を大きく右上に突き出して伸ばす。その姿勢は、奇しくもこの世界ではない『始まりの仮面ライダー』と似通ったそれだった。腰に構えた右掌でライドインテグレターを打ち込み、力強く叫ぶはヒーローの宣誓。

 

 「変身!

 

 風と熱と轟音を伴うエネルギーが燈華の身体を包み込む。ページが開かれた直後に飛び出したWRBは、一枚の輝く輪刀として再顕現する。

 

 『発車爆走!』

 『タイヤを開け!真紅のボディが目を覚ます!ディアゴスピーディー!!』

 

 迸るエネルギーの渦は弾け、環足燈華は仮面ライダーサーキュラーとしての姿を現した。だがその輝きは以前にも増し、聖なる力が満ちている。

 

 「聖剣のリミッターが解けた…やったな、燈華くん…!」

 「へっ、覚醒(おき)記念(ついで)だ、未完成でも不細工でも()付けてやる!車輪剣刃車(しゃりんけんはぐるま)、世界を好転(うご)かす俺の聖剣(ギア)だ!!」

 

 ・・・

 

 『ディアゴスピーディ―!!』

 

 タイヤを開け、真紅のボディが目を覚ます。

 心に漲る情熱が、車輪を回す動力となる。

 

 ・・・

 

 相対するサーキュラーとギロチン。ギロチンは先刻の力の潮流と再変身にやや気圧されつつも、構わず襲い掛かる。

 

 「世界を動かすゥ?惨めな弱さのクソガキが、ずいぶん大口叩くナァ!!」

 

 如何に雰囲気が変わろうと、敵の得物の数は先の打ち合いと変わらない。先ほどよりも思い切った勢いで仕掛ければ押し切れるとギロチンは踏んでいたのだろう。だがサーキュラーが迎撃に放った車輪剣の一閃は、激しい回転のエネルギーを伴って蟹鋏剣をギロチンの体躯ごと遠き側方へと押し飛ばした。

 

 「ゲエ~ッ!」

 「吃驚(ワオ)!意外と射出(はじ)くな車属性」

 

 サーキュラーの見込みとしては回転エネルギーを斬撃の強化に用いる気でいたが、ギロチンが飛び上がっていたこととその装甲の硬さが影響し、図らずも弾き飛ばしてしまったのだ。

 

 「やっぱ防戦(チキンプレイ)は性に合わねえ、こっちから攻勢(しか)ける!」

 

 ギロチンが飛んで行った方へと全速力で向かう。ビルの外壁に叩きつけられたギロチンは特大の敵意をもってサーキュラーに臨む。

 

 「ナんでまァたオイラに惨めな思いをさせるヤツが出るんだヨォ~~~~!?寄ッて来るんじゃあネェ~~~!!」

 

 ギロチンはWRBを操作し、必殺技による遠距離物量攻撃に出る。

 

 『断頭キャンサー!!』

 『障蟹解読撃!キャキャキャキャンサー!!』

 

 瘴気を纏った蟹鋏剣から、いくつもの飛ぶ斬撃が繰り出される。当たれば対象を両断する上に即刻発症する死のカマイタチである。先の迎撃を加味しても一枚のみの得物では全て弾き切れない。

 

 「せっかくの身勝手だ、ずっと実証(ため)したかったことやってやる!」

 

 最初の斬撃がサーキュラーの真正面まで迫ろうかというところで、なんと車輪剣は斬撃ではなく地面に叩き付けられた。すると、車輪剣の刃を走るエネルギーでサーキュラーのボディも剣も地表を走った。斬撃が当てたのはその残像にのみヒットした。更にはサーキュラーは着地や車輪剣の向き調整を活かして不規則なジグザグを描いてギロチンに迫る。

 ここでギロチンは鬼蟹モードを分裂させて手数を増やしにかかる。エスカリブルの症状は消えるが、左手に負わせたリスクは残る。遠方にも斬撃を飛ばしまくって更に負傷させれば、後から再発症させても遅くないと判断していた。これがギロチンにとって最大の悪手であった。

 

 『ワン!リーディング!』

 『ストームイーグル!』

 『ラウンドギフト!!』

 

 一羽の大鷲が空に現れ、風で遠方へ向けた斬撃が巻き上げられていった。決着をサーキュラーに任せられる故の、腕に衝撃を与えない伝承のみの召喚により、エスカリブルや逃げ遅れた被害者たちへの害意は中断された。サーキュラーも一気に決着を付けに、バックルの天面を叩く。

 

 『ディアゴスピーディー!』

 

 車輪剣による蛇行ステップは更に速度を増し、ギロチンの直前で大きなカーブを描く。サーキュラーの左足に集中したエネルギーが、残像による真紅の軌道を置き去りにしてギロチンの脇腹を捉えた。

 

 『刃車攻読撃!!モモモモーター!』

 「急襲傾車(トラッキーストライク)!!」

 「キィアアあああああ!」

 

 スピードに乗った左回し蹴りに大きく蹴り飛ばされたギロチンは蟹鋏剣を取り落とし、地面に叩き付けられて悲鳴を上げて強制変身解除された。サーキュラーのキックは着地後の数秒間のスライディングブレーキと半回転のターンでその勢いが収まった。立ち上がり、駆けつけていたエスカリブル共々変身を解く。

 

 「目撃()たか!あんたも守った、敵にも勝った、聖剣の封印(ナーフ)も解けた!これであんたも俺を承認(みと)めざるを得ないだろ!」

 「…あと一歩惜しいな、周りの人間を守るのに俺のリカバーが入った」

 「げ、さいですか」

 「だが俺一人だと車の…車輪剣のリミッターは外せなかった。だから…君を認めるよ、燈華」

 

 そらは柔らかく微笑んだ。

 

 「お、ようやく「くん」が取れたな、小目標達成(やったぜ)!」

 「さあ、今度は君の番だ」

 「え?」

 「俺の名前、今まで一度も呼んでないだろう。呼んでくれ」

 「…そ、れ~は、また今度」

 「何故だ!?」

 「いや俺人に呼び捨ての経験な…じゃなくて!ホラ、先に蟹の剣士!」

 「お、おう」

 

 駆け出し、倒れ込んだギロチンだった男に詰め寄る燈華とそら。

 

 「君は誰だ?どこで誰からその聖剣を受け取ったんだ?」

 「WRB(ホン)もだぜ、()()()()()()()()()使いやがってよ~」

 

 ギロチンの変身者・御影がそれに答え、ようとした。唐突に二人と御影の間の空間が裂けた。

 

 「な!?」

 「どーも、ご無沙汰でさあ」

 

 裂け目から顔を出したのは、先日の怪談屋だったあのチューリップ帽の和装男だった。

 

《続》




装動賢神は自重して4体で。

この小説は私のTwitterで挙げてる装動オリジナル剣士を基に書いてます。良かったら下のリンクも見てね
https://twitter.com/teltel_fumibo/status/1317730772095168518?s=20&t=ZJwglVRPuEDpn8HO-m7WqA

今回の挿絵代わり⇓
https://twitter.com/teltel_fumibo/status/1507361452440821764?s=20&t=5ER9K9ldStbod-ssYkGCNw
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