ようこそホワイトルームが無くなった世界へ   作:好きjaなくないない無い

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序章
序章


日本の都心部に建つ一際目立つ大きな建物の中には、今年15歳になる俺、綾小路清隆とその父親がいる。窓の外を眺めるとそこには五、六人の警察官と3台のパトカーが置かれている。彼らは逮捕状の出された綾小路という男性(父親の方)を捕まえにきていたのだ。彼は『ホワイトルーム』という施設を作り上げ、人工的に天才を作り出すという計画を執行していたが、そのカリキュラムの難易度の高さからほとんどの子供が再起不能の廃人へと成り果ててしまい、自ら命をたつものもいた。その事実が明るみになりすぐさま政府から逮捕状が出された。

 

「ここまでだな。お前の野望も。」

 

外の光景を見ながら俺はつぶやいた。もうどこにも逃げ道はない。

 

「そうだな。」

 

父も観念したのか、自分の部屋の机から立ちあがろうとしない。

 

「清隆、お前に一つ聞きたいことがある。お前はホワイトルームをどう思っている?」

 

「どう思うか、まだ分からないな。俺はあそこで生まれてあそこで育ってきた。それ以外の世界を知らないしな。」

 

「そうか。ならお前にこれを渡しておこう。」

 

そう言って父が引き出しから出したのはパソコンなどに使用するUSBメモリ。俺は黙ってそれを受け取る。

 

「中にはホワイトルームの動かし方をはじめとしたホワイトルームの全てと、施設を動かすための資産、施設の所在地が記されている。」

 

「こんなものを渡して何をさせたい。」

 

「わかっているだろう。俺の夢をお前がつぐんだ。あの施設が生んだ最高傑作だ。それに人を切ることにも何も躊躇しないだろう。」

 

父が言っていることはもっともだ。あの施設を継ぐのは俺にしかできないことだろう。俺はあの施設での最高傑作だ。そして俺がトップに君臨してる間にもそこにいた同期の数は減っていった。詳しくは知らないが恐らく精神に異常なほどの負荷がかかり廃人と化していったのだろう。

 

「確かにこの施設を継ぐことができるのは俺しかいないな。だが、今じゃないのも分かっている。」

 

「どういうつもりだ?」

 

「さっきも言っただろう。俺はまだこの世界を知らない。もしかしたらこんな方法じゃなくても俺と同等の天才を作ることはできるかもしれない。俺はそれを知ってからでも遅くはないと思っている。」

 

「で、どこに通うつもりだ」

 

「松尾が手配してくれた学校だ。高度育成高等学校。お前の知り合いが創設したらしい。」

 

「坂柳か…いいだろう。どのみち俺が牢から出られることはないからな。お前の答えに期待しておく。」

 

そう言って父は椅子から立ち上がった。玄関へ行くのだろう。俺はその背中を見送った後、自宅周りから人の気配が消えたのを確認して家を出た。今日から俺は高校に通う。そんな俺の中に一つの『楽しみ』という感情ができていた。

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