ようこそホワイトルームが無くなった世界へ   作:好きjaなくないない無い

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裁判編(3)

「いやぁ〜。やっぱりすごいね。綾小路くん。」

 

階段から出てきたのは一之瀬だった。その奥にもう1人男子生徒がいる。今朝の吉田先輩ではなく、同級生だった。おそらく彼女のクラスメイトだろう。

 

「一之瀬さん。どうしてあなたがここに?」

 

堀北が率先して尋ねる。いくら堀北でもまだ他クラスと仲良くしようとは思っていないらしい。目を細めて殺気を放つ。並の生徒なら萎縮しただろうが一之瀬は怯まなかった。

 

「事件の真相を明らかにする為だよ。事件のことは聞いたよ。間違いなく龍園くんの仕業だね。」

 

脅しが効かず逆に怯んだ堀北の代わりに今度は平田が話した。

 

「ちょっと待って。今の一之瀬さんの言い方だと君たちは僕達の味方をしてくれるのかい?」

 

平田はあり得ないとでも言いたいような顔で尋ねた。正直に言うとあり得ない。今回の件は証拠がない以上Cクラスに有利なのにわざわざ不利な俺達を庇う理由はない。

 

「私は正しい方の味方だよ。それに綾小路くんには借りがあるしね。」

 

「またそれか。」

 

お礼はいいと言ったはずなのに.....。だが、同時に助かった。『この作戦』を実行するには人手不足だった。平田や堀北などの優秀な人材がDクラスにはあまりいない。幸村は頭はいいがどこか他人を見下す癖がある。高円寺はスペックだけ言えばオレと同等だろう。だがクラスへの貢献度などは皆無だ。櫛田は文武両道、オマケにコミュニケーション能力の高さを入れればスペックは堀北と同じくらいだが彼女は素行の問題点がある。『この作戦』には、オレをある程度理解しており、尚且つ秘密を守れる優秀な人材が4人ほど必要だった。

 

「堀北、平田、オレはこの提案を受けようと思うが、いいか?」

 

「なんで.....と、言いたいところだけど、作戦があるのかしら?あるのなら今ここで聞かせてもらいたいのだけれど。」

 

「ああ、もちろんだ。だが、絶対に他では言わないでくれ。今回の作戦は少数精鋭。優秀なやつだけで行う。そのピースは今ここに揃っているからな。」

 

仲間はずれはごめんだわ。と心の声が聞こえてくるのでそう付け足す。一之瀬は、

 

「綾小路くん?それは私たちも聞いていいの?」

 

「もちろんだ。ただ、今から言うことは内緒にしていてくれ。」

 

「分かった。神崎くん。そう言うことだから、誰にも言っちゃダメだよ。」

 

そう言って彼女は後ろにいた神崎という生徒に念を押した。

 

「ああ、分かっている。」

 

そう言いながらもこちらにはまだ疑いの目を向けている。まだオレのことをハッキリとは信頼していないようだ。

 

「ちょっと待ってくれないかな?綾小路くん?」

 

平田がオレを止める。

 

「僕は綾小路くんが優秀で勝ち筋が見えたのも分かったよ。だけどもし今後作戦になんらかの犠牲があるなら容認できない。僕はクラスメイトの生存が一番重要だと思っているからね。」

 

平田は少し脅すようにオレに伝える。なるほど、これが平田の弱点か。彼は優しすぎる。もしこの先クラスメイトを失うような機会があった時、彼は壊れてしまうだろう。

 

「そうか。安心しろ。今回出し抜くのはCクラスの方だ。うまくやれば誰も退学にならない。」

 

「そうなんだね。分かったよ。そう言うことなら僕にできることはなんでも言ってほしい。」

 

「了解だ。作戦は____ 」

 

 

______________________________________

 

 

「え!目撃者を見つけたの?」

 

次の日オレが教室に入って一番に平田の声が聞こえてきた。オレも聞きたくて近くへ駆け寄る。発見者は櫛田。どうやら情報取集の途中で見つけたようだ。

 

「で、その発見者は誰なのかな?」

 

「あの.....私です。」

 

俺たちの後ろから声がした。振り返るとそこにはメガネと長くピンク色の髪が印象的な佐倉が立っていた。

 

「あなたなの?佐倉さん。」

 

近くに来た堀北にも聞かれる。コミュニケーション能力が乏しいのか、びくつきながら受け答えをしている。

 

「そう。困ったわね。」

 

「え?」

 

堀北の何気ない一言に佐倉がわからないとばかりの声を上げる。

 

「いえ。こればかりは仕方のないことだけれど私達のクラスからの証言者は私達が工作して作り上げた偽物の証言者だと思われてしまうかもしれないのよ。」

 

「そんな!私、嘘なんて、」

 

「佐倉、別にお前を疑っているわけではない。堀北も落ち着いてくれ。」

 

物事をはっきりと言う堀北と言われたことをネガティブに大きく理解する佐倉を落ち着かせる。

 

「ありがとう。佐倉。」

 

「へ?」

 

なぜオレが感謝の言葉を述べているのか分からないとばかりに首を傾げる佐倉。

 

「お前はこんなに目立つ場面に顔を出す性格じゃないだろう。だけど勇気を持って言ってくれた。教えてくれた。出会って二ヶ月のオレが言うのも違うと思うが、成長しているんだと思う。ほら、須藤。お前を感謝を述べたらどうだ?」

 

「あ、ああ、そうだな。ありがとな。佐倉。お陰で助かった。」

 

「う、うん!それなら良かったよ。」

 

須藤は礼を終えて櫛田を見る。

 

「櫛田。ありがとうな。お前がいたから佐倉は話せたんだと思う。」

 

「いやいや、こんなこと大したことないよ。それよりももっともっといっぱい証拠を集めて絶対に無罪を勝ち取ろうね!」

 

おおーー!!!とクラス全員が一致団結する。櫛田は優秀だ。しかし不確定要素が多い。(彼女だけではないが)今回の作戦を知らせるわけにはいかない。

 

「で、平田くん達の方はどうだった?何か調べたいことがあったっぽいけど。」

 

みんなの声が静まったあたりで軽井沢が口を開く。

 

「そうだね。実はBクラスが僕達を協力してくれるようになったんだ。主に情報収集に当たってくれるみたいだね。」

 

「そうだったんだ。けど、それが確かめたかったこと?」

 

櫛田がオレの方を向いて問いかける。オレの中で危険人物として扱っている彼女にこれ以上の情報を渡すことは危険と判断し、

 

「ああ、一之瀬なら信頼できるからな。協力を打診して良かった。」

 

「そっか。一之瀬さんかー。」

 

「あの人すごくいい人だよねー。私話したことあるけど、ザ・善人って感じだもん。」

 

「それに可愛いし頭もいいって完璧だよねー。」

 

クラスメイトも一之瀬のことをよく思っているみたいだ。彼女の性格の良さはこの学年、いやこの学校一かもしれない。その性格の良さはBクラス全体を明るくしているのだろう。これからも応援しますBクラスといい関係を築いていきたい。オレは静かにそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

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