ようこそホワイトルームが無くなった世界へ   作:好きjaなくないない無い

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両立ってむずかしいですよね。ラノベ読んでたらこの小説を書けなくて、小説書いてたらラノベが読めません。どうしましょう?


第一章 幕開け編
幕開け(1)


小テストから一日経った5月1日。昨日設定しておいたアラームの音で俺は意識を覚醒させた。携帯を操作して音を止め、ホーム画面を確認する。。画面を見た時俺の名前の下に掲示されている『プライベートポイント残高』は85000ポイントほどで昨日から変わっていなかった。

 

「やっぱりか。しかしまさか一ポイントも振り込まれないとはな。」

 

朝登校し終えると、クラスメイト達の顔色も悪かった。

 

「ねぇ、これどういうこと?」

 

「朝ジュース買おうと思ったら買えなかったし。」

 

「毎月1日に振り込まれるんじゃないの?」

 

やはりクラスのみんなもふりこまれていないらしい。同然だろう。俺はそう思って席に着く。

 

「あなたは驚いていないのね。」

 

隣人からの言葉に俺は頷いた。

 

「まぁな。こうなることはわかっていたし、俺はポイントにも余裕があるしな。」

 

「ちょっと待って。こうなることが分かってた?ならどうして……」

 

「席につけ。ホームルームを始める。」

 

堀北の言葉は、教室に入ってきた先生の号令によって拒まれた。

 

「まずは諸連絡だ。昨日やった小テストはこれから結果を発表する。この白い紙に全員の名前がランキング式で載ってある。あと今日五月から週3回のペースで体育を行う。今日も五限目にある。必要なものは揃えてあるから後で代表者男女二名が取りに来い。それでは今日のホームルームを……」

 

「ちょっと待ってよ!先生。」

 

止めたのは池。それを皮切りに山内や本堂といった生徒が続く。

 

「ポイント振り込まれてねーんすけど?毎月1日に振り込まれてるんですよね?」

 

「そんなことか?安心しろ今月分はしっかりと振り込まれている。このクラスだけ忘れられたということもない。」

 

「え、でも、ポイント変わってないっすよ?なぁ?」

 

先生の断定を聞いた本堂が周りの賛成を求める。

 

「お前たちが何を言おうとポイントは振り込まれている。今日の午前0時ぴったりに各自の携帯に振り込まれている。携帯の左端にある『履歴』を確認してみろ。」

 

その言葉に従うまま、生徒は携帯を出し確認する。そこには、

   『プライベートポイントが0ポイント振り込まれました。』

と表記されている。

 

「先生、これはどういうことですか?」

 

違和感に気付いた平田が確認のため先生に質問する。

 

「もうわかっただろう。お前たちに今月振り込まれるポイントは0だ。」

 

ちょっと待った、と言いたげな人が何人もいる。

 

「ええっ!ちょっと待ってくださいよ。じゃお、今月俺らどうすればいいんですか?」

 

「どうとでもなるだろ。食堂にも無料商品はあるし、この一ヶ月で9000ポイント以上使っていないやつもいる。頑張ればなんとかなるぞ。」

 

「いやいや、俺もう後250ポイントしかないし。」

 

「私もそんくらいだし。ってなんで今月は0ポイントなの?意味わかんない。」

 

女子の中心である軽井沢がブツブツと屁理屈を言う。

 

「簡単なことだ。遅刻欠席98回に授業中の雑談や携帯をいじる行為など合わせて392回。これらの結果を見て君達にはポイントを払う価値のない『不良品』と我々は判断した。」

 

「ちょっと待ってください!」

 

そう言ったのは扉側に座っていたメガネをかけた男子。

 

「どうした?幸村。」

 

「納得がいきません。少なくとも俺は真面目に授業を受けていましたし、これからもそうするつもりです。それを連帯責任なんて。俺はこの高校で受けられる恩恵でいい大学に進学したいんです。こんなひもじい思いをしたいわけではない。」

 

「そう言うな。幸村。お前はまだポイントに余裕があるだろ。それにその恩恵とやらはこの学校ではAクラスしかもらえない。」

 

「え?それはどう言うことですか?聞いていません!」

 

「そりゃあそうだろう。言ってないからな。第一考えてみろ。こんなどうしようもない奴らに恩恵を渡すわけないだろう。こんな『不良品』の集まりに。」

 

激昂する幸村の勢いを止めるためか平田が手を挙げる。

 

「先生、この学校の仕組みを話していいところまで教えてください。」

 

「無論だ。この学校には『Sシステム』と言うシステムがある。簡単に説明すると入学時にそれぞれのクラスに1000クラスポイントが配布される。クラスポイントは1ポイントにつき100プライベートポイントだ。だから君たちは入学時10万ポイントが手に入った。しかしこのクラスポイントは、日々の態度などで簡単に減点される。君たちの減点が重なった結果君たちは今月ポイントをもらうことができなくなったと言うことだ。そして先ほども言ったように3年の卒業時にAクラスだった者達に例の恩恵を受けられる権利を持つ。そしてこれが今月の各クラスのクラスポイントの表だ。」

 

そう言って先生は2枚ある紙のうちの一枚を広げホワイトボードに貼る。

 

 

Aクラス    940cp

Bクラス    650cp

Cクラス    490cp

Dクラス     0cp cpはクラスポイントの略

 

 

「これを見ればわかると思うが君たちは卒業までに最低でもAクラスの940クラスポイント差を無くさないといけない。」

 

「なら今後の機会でクラスポイントを得るチャンスがあると言うことですね?」

 

平田の質問に先生は薄く笑みを見せた。

 

「もちろんだ。一番早くて再来週の中間試験だ。そこでの成績によっては最大100クラスポイントを獲得できる。」

 

たったの1万ポイント、されど1万ポイント。ないよりかはマシだろうと全員の意思が一致する。

 

「しかし、今後のテストで赤点を取ってしまった場合、そいつは退学だ。気をつけろ。ただ、小テストの成績がこんなんじゃあ、再来週には何人かこの学校を去ってるかもな。」

 

そう言って先生はもう一枚の紙を貼った。そこにはテストの結果がランキング形式で載ってある。

 

「もしこのテストが成績に反映されていたら最下位の須藤から34位の軽井沢までの7人は赤点で退学だったぞ。」

 

そう言って先生は分かりやすいように軽井沢の名前の上に赤のマーカーで線を引いた。

 

「しかし可能性が残されているとしたら、成績上位者に勉強を教えてもらうんだな。特に綾小路なんかは満点だ。学年で2人しかいない。よくやったな。この快挙に学校側はその2人にそれぞれ10万プライベートポイントを渡すことにした。明日中には振り込んでおく。」

 

全員の視線がこちらに集まる。中には驚きの目も少なくない。

 

「そう言うわけで、退学になりたくないなら、そして恩恵を受けたいと思うなら、方法を考えろ。決められているルールのもと精一杯足掻いて見せろ。それじゃあ、ホームルームは終わりだ。1時間目の授業は総合で自習時間だ。各々対策を考えとけ。体育の道具はテストの上位2位に取りに行ってもらおうか。綾小路、堀北、3階の準備室まで行って取ってきてくれ。」

 

そう言って茶柱先生は教室を出ていく。みんなから寄せられる視線が痛いので俺も教室を後にして準備室へ体育の道具を取りにいくことにする。

 

 

「待って!」

 

後ろからそんな声が聞こえた。堀北が後ろにいる。体育の準備のためについてきたと言う線も考えられるが、

 

「なんだ?」

 

「さっきの話の続きよ。それに他にも聞きたいことがたくさんあるの。まず最初に今回、このクラスの日頃の行いのせいで私たちのクラスのクラスポイントは0になった。しかしあなたはこのことを分かっていた。なぜ知っていたかもそうだし、なぜ事前に阻止しようと思わなかったの?」

 

「単純なことだ。真実を知ったのはたまたまだ。先月、須藤が上級生と絡まれた時、オレは上級生の放った言葉に違和感を感じたんだ。そこで俺は須藤と絡んでいた上級生に近づき謝罪を込めての気持ちでドリンクを奢った時に聞き出したんだ。あの先輩も自分が気づかないうちにボロボロしゃべってくれたよ。」

 

「あなたもしかして話術を会得してるの?」

 

「かじった程度だ。それとクラス全体に言わなかったのは今回の件でオレが何も証拠を持っていなかったからだ。万に一つの可能性でオレの話が間違っていたらたまったもんじゃない。それに一度大きな失敗をした方がこれから先間違えないと思った。ミスを繰り返さないように工夫できるのが人間だからな。」

 

「……あなたの考えはわかったわ。次に小テストの点数。前半の問題はさほど難しい訳じゃないけど最後の二問は別よ。」

 

そういえばあの問題の最後の三問ほどは他と難易度が桁違いだったな。堀北の点数は90点。少なくとも3問ある中で1問は解いたと言うことになる。

 

「帰ってから確認したけど、あの2問は応用問題でこれから先習う範囲の公式を用いなければならなかった。そんな問題をあなたが解けたとは思えない。」

 

「なんでそう断定するんだ?お前は一月でオレの何を知った?オレは勉強もできるしスポーツもできると自負している。第一、そこまでお互いのことを理解していないだろ。」

 

準備室に着き、『1-D 男子体育』と書かれた段ボールを持ち上げる。堀北も隣の段ボールを持ち上げ、後に続く。

 

「なら、これから行われるであろうクラス戦でもその実力を発揮するってことでいいかしら?」

 

「それは今後の反応次第だ。ただ、オレは見ての通りコミュ障だから、人に教えるってことは出来そうにもない。」

 

「あなたねぇ。」

 

呆れたような顔で堀北がため息を吐く。分かりやすく大きなため息だ。

 

「安心しろ、別の方法で貢献する。」

 

そう言ってオレは前方の人物に注意を向けた。見たことはある。鍛えたのがわかるような肉体、眼鏡をかけた彼はこの学校の生徒会長だ。

 

「兄さん。」

 

ん、堀北がなんか言ったぞ。兄さん?あの人が?確かに雰囲気は似てなくもないが。彼と堀北には決定的に違うものがある。

 

「鈴音。まさかここまで追ってくるとはな。」

 

なるほど、これが彼女がこの学校に入った理由か。

 

「堀北会長。横の彼がもう1人の満点を取った生徒、綾小路清隆くんです。」

 

そう言ったのは生徒会長の横にいつもいる紫色の髪の女子生徒。おそらく彼女も生徒会の一員だろう。

 

「そうか。綾小路。まずはおめでとう。あの難易度のテストを満点とはどうしてDクラスに割り振られたんだろうな?」

 

「おおかた、入学試験や面接態度が悪かったんでしょう。」

 

「お前はなかなかユニークな男だな。表情ひとつ変えないとは。表情でお前を知ることは難しそうだ。」

 

やはり彼もそれなりの話術を有しているな。この場に長居するのは良くない。

 

「お褒めいただきありがとうございます。それではそろそろ始業なので失礼します。」

 

そう言ってオレはこの場を去る。会長は帰り際に堀北に何か呟いてから去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

教室に戻ると、平田と櫛田を中心に今後の会議を開いていた。クラスメイトは俺たちを見てすぐに近づいてきた。

 

「綾小路、勉強教えてくれーー!」

 

「堀北さん、ちょっと勉強教えてくれないかな?」

 

男子はオレに、女子は堀北にそれぞれ懇願してきた。しかし、

 

「無理よ。」

 

堀北は断った。

 

「えぇ!なんでだよ?」

 

「私は人と関わるがあまり好きじゃないの。ましては勉強を教えるなんてストレスが溜まるだけよ。」

 

「何それ?ウザ。」

 

当然のように罵詈雑言がオレ達(堀北のせいだが)に向けられた。

 

「堀北の言い方はともかくまず考えてみろ。オレらに勉強を教わるのは別にいいが、まずは自分で勉強する習慣をつけろ。今回のテストだけクリアすればいいんじゃない。自分で勉強してわからないことがあったら遠慮せず聞いてくれ、オレにできることなら喜んで協力するから。」

 

「綾小路。ありがとな。」

 

「ありがと。綾小路くん。」

 

なぜか女子もこちらにきてしまった。男女合わせて15人近くの人がいる。流石にそこまで頼られたらコミュ障の俺にはキツい。

 

「ああ、そうそう。須藤くんと山内くん、後池くんは私が受け持つわ。綾小路くんでもこんなにたくさんは難しいんじゃないかしら。」

 

「ちょ、ちょっと待って。なんでオレら名指しなの?」

 

「成績でワーストスリーだからよ。」

 

「グハァ!」

 

ダメージを受ける山内はともかく意外なことに堀北が助け舟を出してくれた。いや、元から彼ら3人に絞っていたのかもな。

 

「あ!私も手伝うよ!堀北さん。」

 

そう言ったのは櫛田。テストでは75点をマークしている。ありがたい助っ人だ。今までの堀北ならここで「イヤよ」と断っていたが周りからの視線と今回ばかりは1人では厳しいと判断したのか、

 

「分かったわ。今回だけよ。」

 

と妥協した。櫛田は少し嬉しそうに喜んだ。その仕草は完璧に計算されたかのような仕草だった。そこで平田が場をまとめる。

 

「よし、じゃあ各々勉強していってわからないところは綾小路くんたちにきこう。僕も出来るだけサポートするよ。」

 

 

全員ではないが気持ちは固まった。とりあえずクラス崩壊はないだろう。

 

「そういえば体育って何やんだ?」

 

そういった池が興味本位で体育のダンボールを開けた。中に入っていたのはそれぞれの名前の書かれた袋でその中には学校指定のスクール水着が入っていた。この学校のことだ。室内のプールでやろうと思えばを一年中プールを使うことも出来るのだろう。しかし池や山内などはそのことよりも別のことが気になったらしい。

 

「水泳ってことは女子の水着が見れんじゃん!」

 

「マジかよ!やっぱこの学校パネェ!!」

 

そうやって大喜びする一部の男子たちとそれに冷たい視線を送る女子たち。

 

 

クラスがまとまるのはもう少しかかりそうだ。 

 

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