ようこそホワイトルームが無くなった世界へ   作:好きjaなくないない無い

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このお話でこの章が最終回です。次回更新の目処は立っていません。なかなかに自分も忙しいです。
8月中に三話ほど更新できればめちゃくちゃいい方だと今後のスケジュールを見て思っています。
これからもこの小説をよろしくお願いします。


(10)

「それで、話って何だ?一之瀬?」

 

オレと一之瀬は試験前2人で話をした時にいた海が見えるベンチへと来ていた。2人で座って海を眺めていたが、なかなか口を開いてくれないので我慢できずこちらから聞いてしまった。

 

「ここに来るのも久しぶりだね。1週間前なのにもう懐かしいって思っちゃうや。」

 

「そうだな。」

 

え、もしかして話ってそれか?なんかすごい青春の1ページ見たい。そんな期待が一瞬高まったがそれはすぐに無くなった。

 

「前に言ったから覚えているかもしれないけど、私って中学校の頃に少し後悔する様なことをしちゃってね、家に引きこもっていた時期があったの。」

 

「ああ、その話もここで話してくれたな。」

 

あの時は確かオレが眠いことを言い当てていたな。あの時は二、三日まともな睡眠をとっていなかったからな。体も相当疲れていたんだろう。

 

「それでね、さっき綾小路くんから後悔している様な雰囲気が見えたの。」

 

「後悔?」

 

「うん。勝手な予測だけどね.....」

 

 

後悔か。無意識のうちにしてしまっているのだろうか。それなら何に?そうか、彼女のことか。あの名前も知らない女の子のことだ。俺はホワイトルーム時代、物心がつかない頃からトップに君臨し続けていた。歴代でも同年代でもだ。その中で1人の女子が勉強面で俺をライバル視していたらしい。その子は勉強面で常にトップの成績をとるオレの一点か二点下の成績を取り続けていたそうだ。その成績はホワイトルームの中でもトップ層で優秀だったのだろう。

 

だが、オレはそんな芽を摘んでしまった。

 

ある日その子はついに俺と同じ点数を取ることに成功した。嬉しさのあまり俺に声をかけ、「やっと追いついたわ。次で抜かしてあげる。」と言って握手を求めてきた。しかし、オレは彼女のことを知らなかった。「誰だお前?」、純粋な質問を彼女に返した。彼女は知らなかったのだろう。オレがオレ以下の成績に全くもって興味を示してないことに。そのことがショックだったのか、その後彼女はどんどん成績を下げ、気付けばホワイトルームから彼女の存在自体が消えてきた。

 

この事実を知ったのはこの前ホワイトルームの資料を父にもらった後だ。USBをパソコンに繋げデータを見た時初めて知った。オレが一人の天才候補を切り捨てていたことに。

 

いや、一人ではない。オレがトップにいたせいで何十人、もしくは100人以上の犠牲者を出してしまった。しかし今はどうだろう。定期考査や特別試験ではクラスを引っ張っている。その姿に、オレは吐き気がする。まるで、償いのように。こんな姿を見たって彼女が許してくれるはずもないのに、オレの罪が償われることはないのに........

 

「すまない。悩んでいることは確かだが、言えないんだ。」

 

「......そうなんだ。分かった。私にだって言えないことの一つや二つあるしね。」

 

オレは一之瀬に謝ることしかできなかった。しかし一之瀬はここで終わらず、「えっとね、それでね」と続けた。

 

「もし話しずらいなら全然大丈夫だけど、話し相手くらいにはなれるよってことを言いたくて。その.....」

 

一之瀬が言葉に詰まる。気になって横を見ると一之瀬も同じタイミングでこちらを見た。

 

「君は.....その、私を助けてくれたから!......だから、私も.....助けたいと言うか何という....」

 

最後の『か』が聞こえなかった。顔を赤くししながらもこちらを見続ける一之瀬にオレは純粋な質問をぶつける。

 

「何でオレを助けてくれるんだ?一応オレとお前は敵同士なんだ。それなのに何でオレを助けようとするんだ?」

 

「むぅ。そ、それだったら綾小路くんはなんで私を助けたんですか?!!」

 

 

一之瀬が言い返す。

 

確かに.....何でだろうな、

 

先程も言ったように白い部屋にいた頃のオレはここまで情に熱い人間ではなかった。何だったら他人のことなんて気にしていなかったし、その当時と今のギャップがオレが今抱えている悩みだろう。

 

「いいのか?オレの悩みを聞いてくれても。」

 

オレは一之瀬の顔から目を背けて聞いた。オレが彼女のことを助ける理由がわかった気がしたからだ。

 

「うん。私は綾小路くんの力になりたい。隣に立っていたい。それで綾小路くんみたいになりたい。」

 

「オレに......なりたいのか?」

 

やめとけと、オレは聖人ぶっているだけだと言おうとした時、オレは言葉を止めた。このまま舌を動かせばその言葉を一之瀬に届けることは出来た。だけれど理由を聞かれたら答えられる気がしない。オレの過去はそれほどに黒いものなのだ。他人を蹴落として最終的には実の父までも蹴落とした。そんな過去を言いたくはなかった。

 

「やめとけって言いたそうだね。それに理由を言えない....って顔してるね。」

 

「一之瀬、お前はエスパーか何かか?」

 

「当たってたの?ごめんね。心読んじゃったみたいで。」

 

横を振り向くとそこには先程まで赤面していた一之瀬はもういなかった。そしてオレとは正反対の太陽の様な笑顔を向けていた。

 

「理由なんて言わなくてもいいよ。私は綾小路くんの話を聞きたい。どこで生まれたのか、どんなことが好きなのか、どんなふうに育っていったのか。」

 

その笑顔はオレには眩しいんだよ。誰もを蹴落としてきたオレとは違い誰にでも手を差し伸べようとする彼女はまさしくオレとは正反対に位置する人間だ。

 

「........りたい。」

 

その声はボソッと出てしまった。

 

「え?綾小路くん、なんか言った?」

 

「オレも知りたい。一之瀬のことを。オレのことも知ってほしい。そう言ったんだ。」

 

なんだろう。言いたいことは定まっているのに、脳から口にその言葉をうまく運べない。こんなことは生まれて初めてだ。

 

 

.......この感情はオレがまだ知らない感情だ。

 

 

「ありがとう。綾小路くん。正直に言ってくれて。」

 

一之瀬がオレの顔をまじまじと見ながら言った。こいつまさか、

 

「また心を読んだのか?」

 

 

「フフフ。さぁ、どうでしょ〜。」

 

一之瀬は先程の曇った顔が一変しいつもの様なとびきりの笑顔に変わっていた。そしてその足でベンチを立って看板へ向かう。

 

「待て、オレが今何を思っていたか教えろ。」

 

 

「え〜!なら私が何を考えているか当ててからね。」

 

「ハァ!」

 

文句を言うオレだったが何故か顔には少しばかりの笑みが溢れていた。その後五分間、オレ達2人は看板の周りを追いかけっこしていたのは誰も知らない物語である。

 




一之瀬といつくっつけるかは大体決めております。
が、皆さん的にはいつくっつけてほしいでございましょうか?(?)

ご感想お待ちしております。



それでは、次の章まで!ごきげんよー!
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