ようこそホワイトルームが無くなった世界へ 作:好きjaなくないない無い
少しばかり短いですし、物語も中途半端なのですが許してください。
次回は来週あたりに出します。
①
特別試験から3日。各クラス試験の結果に思うところがあったが今は船の上。豪華な料理、楽しそうな娯楽溢れるこの船の上でそんな考えをする生徒はどんどん減っていった。オレも今はこの船の旅を満喫しようと朝から海の見えるテラスに来て食事を摂っている。
「なんだかんだで綾小路くんと食事するのは久しぶりだね。」
「そうだな、平田。」
平田は先の無人島試験で1日目でリタイアした1人だ。それだけでも1週間、そしてここ3日間は軽井沢につきっきりだったからな。ルームメイトなのにあまり時間を共有しなかった。
「それで、例の件は大丈夫なのか?」
「その事だけど...」
ピロン
平田の言葉は全生徒に同時に送られたメールによって遮られた。それと同時に船内アナウンスが始まる。
『生徒の皆さん、おはようございます。ただいま全ての生徒宛に学校から連絡事項を記載したメールを送信いたしました。各自携帯を確認し、その指示に従ってください。また、メールが届いていない場合には、お手数ですがお近くの教員まで申し出でください。非常に重要な内容となっておりますので、確認漏れのない様お願いします。』
船内アナウンスが終わると同時にオレと平田はメールを開く。そこにある文字を読んで確信した。
「平田、どうやらオレ達の懸念は的中したみたいだな。」
「そうだね。」
その文章の一番最初には『間も無く特別試験を開始いたします。』と書かれていた。船の旅はあと1週間弱ある。この短期間でどんな特別試験を行うのだろうか。今回は前情報も何も無い分慎重に行わなければ、前回の特別試験で得たポイントを失ってしまうかもしれない。その思考は一旦置いておいてメールの続きを読むことにする。
『間も無く特別試験を開始いたします。各自指定の部屋に、指定された時間に集合してください。10分以上の遅刻をした者にはペナルティを科す場合もあります。本日18時までに2階204号室に集合してください。所要時間は20分ほどですので、お手洗いなど済ませた上、携帯をマナーモードか電源をオフにしてお越し下さい。』
という内容だった。ここからは特に情報を引き出せないな。おそらく試験の詳細が説明されるであろう時間までは特に準備もできないだろうな。しかし、
「あれ?」
「どうしたんだ?平田。」
「いや、それが。綾小路くんと僕の集合時間がかなりズレているんだ。」
その言葉と一緒に見せてくれた携帯画面。平田の携帯には20時に集合と書かれていた。
「クラス単位で説明かとも思ったがどうやら違うみたいだな。堀北達にも聞いてみよう。」
「そうだねって、あっ。」
平田が同意したかと思いきや何やら別のことにも気がついたみたいだ。
「どうしたんだ?」
「いや...ちょっと呼び出されちゃって。」
歯切れの悪い平田が携帯の画面を向けるとそこには新着メッセージがあった。軽井沢からだ。メッセージの内容は見えないがおそらく一緒にどこかへ行こうとのお誘いなのだろう。
「ごめんね。今断るよ。」
「別に大丈夫だぞ。試験まではお互いに時間があるし、また後で時間を取ればいい。こういう時は彼女を優先しろ。」
「.......ごめん、ありがとう綾小路くん。」
平田は食事が乗っていたトレーを持って席を後にした。オレも残りは紅茶だけだ。これを飲み終わったらとりあえず堀北あたりと合流し、試験についての情報収集でもするかと予定を立てた。だか、その行為は無駄になった。
「よっ、綾小路。相席していいか?」
あたかも親友の様な感じでオレに話しかけた男は話しかけながら先程まで平田が座っていた席に座る。
「オレの記憶が正しければお前とは喋ったことがないと思うのだが....」
「安心しろ。オレも初めてだ。」
男は少しヘラヘラしながら喋っている。身長はオレと同じくらいだろうか。若干焼けた肌に金髪の髪を束ねている。そして、その目には絶対的な自信が宿っている。しかし、クラスもわからないので目的すら見えない。
「お互い自己紹介から始めよう。オレはDクラスの綾小路清隆だ。」
「へぇ、噂通り肝が座ってるな。少しばかりの揺さぶりじゃボロは出さないか。ああ、オレは橋本正義。Aクラスだ。」
「これはこれはAクラスの人がオレになんの様だ?」
「決まってんだろ。仲良くなりに来たんだよ。」
「それこそなんでだよ?」
訳がわからないとはこういう時に使うのだろう。本当に目的が見えない。
「わかったわかった、噛み砕いて話すぞ。オレは全クラスの味方のつもりだ。だからお前や龍園、一之瀬にも役立つ情報を与えている。その見返りを卒業前に求めているだけだ。」
「なるほどな。つまり卒業前にどのクラスにも恩を打っておいて卒業前にその時点でAクラスであるクラスに2000万によるクラス移籍をつかってもらう。」
「理解が早くて助かるぜ。」
この話を聞いた時、オレは純粋になるほどと感心をした。別にクラスで一致団結して勝利を目指さなくてもいいんだ。最終的な勝者側についていればいいということか。実行はしないが考え方自体は嫌いではない。橋本、この男は実に世渡りがうまい。社会に出てちゃっかり成功するタイプだ。
「面白い考えをするな。橋本。」
「褒めても何も出ないぞ。と言ってもまずはお前に信用されなくちゃならない。その為に俺の持っている好きな情報を一つ提供する。安心しろ。正当性のある情報だ。デマはない。」
「それはありがたいな。」
何を聞き出すべきだろうか。特にここ最近は困ったことは何もない。どうせならこれからの軍資金を増やすべきだろうか。
「なら手軽にポイントを稼げる方法を教えてくれないか。クラスポイントはだいぶ増えてきたがまだまだひもじい思いをしているからな。」
「ハハッ、よく言うぜ。俺達とあんな......」
「それ以上はアウトだぞ。」
「危ねぇ危ねぇ、人の親切に付け入るなんてなかなかにいい性格してんな。」
前回の特別試験でAクラスと結んだ契約の一つにはこの契約を表沙汰にしてはいけないという決まりがある。違反すればそれ相応の罰が下される。橋本自身も思い出した様だ。
「ったく、お前と接触したことは本当に正解なのか?無難に平田とかにすればよかったのかもな。」
「諦めろ。まぁ、お前に悪い影響を与えないことだけは約束する。」
「とりあえず今はその言葉を信じることにするよ。で、ポイントを稼ぎたいんだったよな。それはクラス単位か、それとも個人でか?」
「逆に聞くがクラスポイントを稼ぐ方法なんてあるのか?」
「あるにはある。だが、オススメはしないな。中々に難しい内容だし、失敗時のリスクが大きすぎる。下手すりゃ退学者も出る。」
「なら個人の方で頼む。」
そんなリスクのある作戦をオレのクラスでやれば、少なからず足手まといが出るな。誰がとは言わないが.........
「それなら簡単だ。賭け試合だよ。」
「それも危険な匂いがするんだが、」
バレたら退学間違いなしだと思うぞ。
「俺も最初はそう思ったが実は違ってな、学校側が容認してんだよ。特定の部活動ではお互いの了承のみで行うことができる。やっている部活は囲碁部、将棋部、オセロ部、チェス部だな。俺の情報網だと今の所これくらいしか分からない。」
学校に入ってから4ヶ月でそれは十分すぎると思うぞ。
「なるほどな。助かった。ひとまずこの船旅が終わったら真偽を確かめに行ってくる。」
「仕方のないことだが、信用ないんだな俺って。」
「まぁそう言うな。すぐに信用するから。連絡先はどうする?」
「お前がいいなら交換したいな。」
そう言ってお互いに連絡先を交換する。それが終わり次第橋本は席を立ちこの場を後にした。久しぶりに面白い生徒と出会ったな。龍園や一之瀬とはまた別のベクトルの強さを持っている。
「まだまだ奥が深いな、この学校も。」
俺は192万ポイントの残高がある画面を見る。仮に今のクラスに橋本を入れるとすればまだ10%にも及ばない額だ。
「まだまだ足りないな。5%にも満たない。」
俺の独り言は人で賑わってきたレストランの誰にも届くことはなかった。
橋下の話を聞いた綾小路が部活動に行くのは多分ですけどこの章が終わって夏休み編に入ってからです。