ようこそホワイトルームが無くなった世界へ   作:好きjaなくないない無い

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今回の話は説明を書くのが本当にキツかった。3行に一回限界が来て本当に大変だった。
それはそうと、よう実2期本当に面白いですよね!ね!ね!(圧)
ネタバレになるからあまり言えないけど、●話の●●●との●●は本当に凄かったです。
この夏は他にも『リコリス・リコイル』『継母の連れ子が元カノだった』『風都探偵』を見ています。
来季の目玉は『SPY×FAMILY』と『ブルーロック』かな?
おすすめあったら教えてください。

今回は説明をできるだけしっかりと書いたので長くなりますが是非お楽しみください。(前書きは本文と比例して多くなります)







あの後、特に誰とも合流することなく自室に戻ったオレは今の時点での情報を整理しつつ眠ることにした。いくらオレでも疲れが溜まっている状態ではまともな案を出すことはできない。ホワイトルームでも就寝時間や起床時間をちゃんと摂ることで各々がその時点で出せる最高の記録を出していた。意識を覚醒させたのは午後5時前。ちょうどいい時間だ。軽くシャワーを浴びて部屋を出れば18時に間に合う。

 

「ごめん。起こしちゃったかい?」

 

ここで気がついたが部屋には平田がいた。何やら作業をしていたようだ。

 

「大丈夫だ。元々起きるつもりだったし、それにそろそろ時間だからな。」

 

「そうだね。なら一緒に2階にいかない?」

 

平田から予想のつかない質問が来た。

 

「別に構わないが、平田は20時からだろう。まだまだ時間があるじゃないか。」

 

「それはそうなんだけど、軽井沢さんが18時からだからそこで終わるまで待っていてほしいって言われちゃって。」

 

どうやら平田と軽井沢は思った以上に仲の良いカップルらしい。思えば学校のカップルの中でも群を抜いて仲がいいとか聞いたことあったな。

 

「そう言うことならわかった。準備するから少しだけ待っててくれ。」

 

それだけ言ってオレはシャワーを浴びた後、二階へと向かった。

 

 

 

_____________________________________

 

 

2階には約30名ほどの一年生がいた。見る限り全員が全員この時間に呼ばれているわけではなさそうだ。その中に1人知り合いを見つけて近づくと、彼女もこちらに気づき、挨拶をする。

 

「あ、綾小路くん。こんばんわ。」

 

オレは軽く手を上げて返事をする。しかし、すごいな。一之瀬の周りには10人ほどのグループができていた。彼女の人の良さが見える。

 

「一之瀬も誰かの付き添いか?」

 

「私?ううん、私もこの時間に呼ばれたんだ。202号室に。」

 

と言うことはオレの部屋の二つ隣りだ。この様子だと201号室はAクラス、203号室はCクラスだろう。ふと思考を止めて携帯を見ると18時5分前だった。

 

「一之瀬、そろそろ時間だぞ。」

 

「え!あ、ホントだ。じゃあ、私行くね。」

 

周りの友達にそういう時「行ってらっしゃーい」と声が返された。

 

「悪い平田、オレもそろそろ行ってくる。」

 

「気にしないで。気をつけてね。」

 

平田から少しばかり喝をもらいつつ、オレは部屋の中に入る。部屋の扉をノックすると男性の声で「入れ。」と聞こえたので扉を開ける。そこにいたのはAクラス担任の真嶋先生だった。4人用テーブルのいわばお誕生日席である場所に座っている。無論、これから行われるのは誕生日会ではなく、特別試験なのだが。

 

「よう、綾小路。おつかれさん。」

 

「残り二つの席の内の1人は綾小路殿でござったから。コポォ!」

 

オレより先に来ていた2人が挨拶をしてくれた。1人目が三宅明人、弓道部に所属している男子で余り積極的に交友関係を築かないので1人でいることが多い。だが、幸村や長谷部と言った女子生徒とは関わりがあるのか仲良くしている。もう1人は博士こと外村秀雄。彼は主に三馬鹿と一緒にいるイメージが強い。そして池から聞いたことだが、厨二病と言う病を患っているそうだ。余り接点のない2人と同じ部屋に呼ばれたのはどう言うことだろう。今のところ法則性は見当たらない。残り一席になった椅子に座る人物は予想もできなかった。

 

しかし、その人物には不真面目という印象を持った。18時を5分過ぎてもこの部屋を訪れないからだ。後5分遅れてしまってはメールで書かれていたペナルティをくらってしまう。

 

「すみませーん。遅れちゃいましたー。」

 

そう言って入ってきたのは軽井沢。クラストップカーストの彼女がこのグループの最後の1人だったから。少々悩みの種が増えてしまった。彼女の強みは女子グループでトップの発言力を持っていることだ。クラスで討論になった時軽井沢の声一つでほとんどの女子を味方にできる。しかし、

 

「軽井沢、ペナルティにはならないが遅刻だぞ。少しくらい反省の色を見せないか?」

 

「はいはいすみませーん。」

 

彼女は恐ろしいくらいに生意気なのだ。今だって注意した先生の言うことなんか聞く耳を持たず席に座る。席に座るや否や男子と距離を取った。このチームではチームワークを発揮することは不可能だろう。

 

 

「では早速特別試験の説明を始める。最初に言っておくが君たち4人はこれからチームとしてこの特別試験に挑んでもらう。今から詳細を説明するので私語は慎むように。」

 

「なんでこのチームなのよ?なんで私が1人なの?平田くんは?他の女子は?男子だけなんて嫌なんですけど。」

 

先生から私語は慎むよう言われたにも関わらずあれこれ文句を言う軽井沢に真嶋先生はそんな軽井沢を無視し話を続ける。

 

「今回の特別試験は1年全員を干支になぞられた12のグループに分け、そのグループ内での試験を行う。試験の目的はシンキング能力を問うものとなっている。」

 

シンキング能力。つまり考える力、考え抜く力といった意味だ。前回の無人島試験は体力面も問われるの試験だったが、今回は頭脳系の試験かもな。

 

「シンキングって何よ?本当にこの学校は周りくどい説明をするわね。」

 

説明の意味がわからない為か、ブツブツと文句を言う軽井沢に今度こそ真嶋先生の注意が入った。

 

「軽井沢、私語は慎むよういったはずだ。質疑応答に時間は後で作るから今は静かにしていてくれ。」

 

「はーい。」

 

反省の色を見せない軽井沢だが、静かになったので真嶋先生が話を続ける。

 

「社会人に求められる基礎力は大きく分けて3つある。アクション、シンキング、チームワーク。それらが備わったものが初めて優秀な大人になる資格を得るのだ。先の無人島試験はチームワークに比重が置かれた試験内容だった。しかし、今回はシンキング。考え抜く力が必須な試験となる。考え抜く力とは即ち、現状を分析し、課題を明らかにする力。問題の解決に向けたプロセスを明らかにし、準備する力。想像力を働かせ、新しい価値を生み出す力。そういったものが必要になってくる。」

 

真嶋先生の丁寧な説明もあって3人ともシンキングについては分かった様子だが、まだ頭に疑問が残っているみたいだ。オレも同じだ。まだ理解できない面がある。

 

「そこで今回の試験では12のグループに分け、試験を行うこととなった。」

 

というとオレ達4人はその12のグループのうちのどこかに割り振られるということだろうか?

 

「ここまでで何か質問は?」

 

考えをまとめている途中で質疑応答の時間がやってくる。待ってましたと言わんばかりに軽井沢が口を開いた。

 

「全然意味わかんないんですけど、もっとわかりやすく説明してよ。12個のグループに分けるってのは分かったけど、じゃあなんであたしがこの連中と一緒にいるわけ?平田くんは?他の女子は?それに試験の中身もわかんないし。教えてよ。じゃなくて、くださいってば。」

 

軽井沢はわからないこと全てに文句をつけるような口調で話し続けた。年上である真嶋先生に敬語(最後だけ丁寧に言い直したが)すら使わず言いたいこと、ムカついたことについてハッキリと物申した。三宅と外村は自分達を「こんな連中」と呼んだことについて少しばかりだが腹を立てているようだった。

 

「まず当然のことだが、ここにいる4人は同じグループとなる。そして今この時間、別の部屋でも同じように『君たちと同じグループとなる』メンバーに対して同時に説明が行われている」

 

オレ達と同じメンバーだって?別の部屋で誰が説明を受けているか、オレは1人だけ知っている。つまりこの試験、仲間になる残りの生徒は.......

 

「それならメンバー全部集めて一気に説明した方が早くて楽じゃん。それと、この3人と同じ理由は?なんであたしが、こんな気持ち悪.....と一緒のチームなの?正直嫌っていうか、平田くんとがいいな。」

 

....には一体何が入るのだろうか。間違いなくオレに取ってはマイナスな言葉であるはずなので考えるのをやめた。三宅も我慢の限界だったのか軽井沢に物申す。

 

「軽井沢、お前が俺たちのことをよく思っていないことは分かった。だからってそこまで言う必要性はあるのか?そんなことを言えばこの学校がグループを変えてくれると思うのか?」

 

三宅の正論に軽井沢は怯むがそれでも軽井沢が止まることはなかった。

 

「だから何?嫌だから嫌っていっちゃ駄目なの?」

 

少しばかりヒートアップした現場を外村は「まぁまぉ」と収めようとするが。

 

「うるさいんだけど!」

 

軽井沢は反省の色を見せず悪口を言いまくる。開き直った軽井沢には何をいっても無駄だと三宅は諦めた。外村も軽井沢から距離を置き軽井沢から目を逸らした。軽井沢の迫力のこもったセリフに恐怖を感じたんだろう。そんな軽井沢を止めたのは真嶋先生だった。

 

「軽井沢、いい加減にしないと調書として記録するぞ。この調書は生活態度面で少なからずクラスポイントに影響が出る。これが最後通告だと思え。」

 

軽井沢は真嶋先生を睨むが、怯む様子を見せない先生にフンと鼻を鳴らしながら椅子に座り直した。

 

「三宅が言った通り君たちがグループを組むことは確定事項で好き勝手に変えられるものではない。仲違いなんてしていると試験でいい結果を残せないぞ。」

 

軽井沢は聞こえない程度の音量で「最悪」と言っていた。いや、三宅と外村にはハッキリと聞こえていたな。真嶋先生は無表情のためどちらかはわからなかった。

 

「他に質問はないか?」

 

一つ目の長い質問を終え、二つ目の質問になった。オレは先程から聞きたかったことを聞くために手を挙げた。

 

「綾小路」

 

「では先生、この試験においてオレ達と同じグループになる他クラスのメンバーを教えてください。」

 

オレのこの質問は想定外だったのか、真嶋先生は眉を動かした。それは他3人も同じだった。

 

「綾小路、どう言うことだ?」

 

一番早くに三宅がオレに聞いた。真嶋先生の顔を見るとしゃべっても問題ないとアイコンタクトがくるので口を開く。

 

「先生は先程、『君たちと同じグループとなる』メンバーが違う部屋で説明を受けていると言っていた。オレの他クラスの知り合いが今絶賛説明を受けている最中だからな。もしかしたらって思ったのだが。」

 

 

「そうか。ならここにDクラスが4人しかいないのは、俺たちのクラスを12等分し4人グループ四つと3人グループを八個作ったからか。」

 

三宅は納得した様に顔を上げる。三宅の言っていることはオレと同じだ。あながち間違っているとは思えない。オレは真嶋先生に答えを求めると、先生はこのとき初めて少しだけ顔を変えた。表情は分かりづらく何と考えているのかはよく分からない。

 

「噂通りの頭脳を持っているみたいだな、綾小路。坂柳を凌ぐわけだ。」

 

どうやらオレの推測は当たりの様だ。

 

「やったな、綾小路!」「すごいでござる!」

 

三宅と外村から称賛の声が上がる中、軽井沢は、

 

「こんなの平田くんならもっと早くわかってたし」

 

とどこまでも平田を高く評価し、オレ達のことを褒めるつもりはないそうだ。しかし、オレは軽井沢にここまで嫌われていたのか?いや、それよりも平田のことが好きすぎるんだ。夏休み前のカラオケでオレは軽井沢と話をする機会があった。その時は比較的好印象を受けたが、今思えば近くに平田がいたからだろう。どうやら軽井沢はオレの想像以上に平田のことが大好きらしい。

 

   ならなぜ一定の線引きをしているのだろうか?

 

 

オレの考えは真嶋先生の説明の続きが始まるにあたって記憶の片隅に保存することになった。

 

 

「説明の続きをする。綾小路の推測通り今回の特別試験は4クラス合同の13、14名のチームで行う。今一度言うがグループ内の生徒は君たちの仲間になる。」

 

いざ説明されるとおかしな話だ。ついさっきまではクラスポイントのために争っていた中なのに今は手を取り合って課題を取り組めと。軽井沢も疑問に感じたらしい。「ちょっと待って。」言わんばかりに手を挙げた。

 

「先生!ますます意味わかんないんですけど。他のクラスとグループを組むって、メチャクチャじゃない。敵同士なのに?」

 

「確かに、おかしな話だな。今まではポイントを争ったと言うのにいきなり仲間になったと言われてもな。」

 

こればかりは三宅も同じ思いなのか疑問をあらわにする。博士もチンプンカンプンのようだ。

 

「今まで争ってきた?おまえたちの学校生活は始まったばかりなはずだが?この段階で意味がわからないようじゃあ先が思いやられるぞ。」

 

「う....」

 

ストレートに言われてしまった軽井沢は何も言えないまま動かなくなる。

 

「おまえたちが今やるべき事は理解することではなく考えることだ。君たちの配属されるグループは『卯』。ここにそのメンバーリストがある。これは退室時に返却されるので必要性を感じるのであればこの場で覚えておくように」

 

渡されたのはハガキサイズの紙だ。そこにはグループ名と合計14名の名前が記載されていて、予想通りにオレ達4人を除いた生徒は全てA~Cクラスで構成されていた。12のグループ、そしてオレのグループ名が『卯』(又は兎)となると、それぞれのグループには干支の名前を使っているのかもな。

 

 

Aクラス:竹本茂 町田浩二 森重卓郎

Bクラス:一之瀬帆波 浜口哲也 別府良太

Cクラス:伊吹澪 真鍋志保 藪奈々美 山下沙希

Dクラス:綾小路清隆 軽井沢軽 外村秀雄 三宅明人

 

 

A、Bクラスから3人ずつ、C、Dクラスからは4人ずつ集められた合計14名のグループだ。一見くじ引きで決めたようなグループだが、この組み合わせには何かカラクリはあるのだろうか?

 

「今回の試験では大前提として他クラスとの関係性を一度無視し、兎グループとして行動することをオススメする。そうすれば試験をクリアするための近道になる。」

 

オレ達は真嶋先生の説明をしっかりと耳に入れる。いや、軽井沢だけが何故かグループの名簿表から目を離さずにいた。注意してもいいがスムーズになってきた説明を止めるほどのメリットはないと判断し意識を真嶋先生のほうへと戻す。

 

「試験の合否の結果は各グループで異なることになる。また結果はこれから配る資料に書いている4通りしか存在しない。例外は存在せず必ず四つのどれかの結果になるように作られている。このプリントに関しても、持ち出しや撮影は禁止されている。この場でしっかりと確認しておくように」

 

4人分用意されたプリントをそれぞれがもらう。上の空だった軽井沢がプリントを見て指摘をする。

 

「先生、何でこの紙しわくちゃになってんですか?」

 

「君たちに説明する前の生徒が同じプリントを使ったからだ。」

 

なるほどと納得した軽井沢はプリントに目をやる。オレも見てみるとするか。

 

 

『第二回特別試験説明』

 

本試験は各グループに割り当てられた『優待者』を基点とした課題となる。定められた方法で学校に解答することで、4つの結果のうち1つを必ず得ることになる。

 

 

◯試験開始当日の午前8時に一斉メールを送る。『優待者』に選ばれたものには同時にその事実を伝える。

◯試験の日程は四日後の午後9時まで(1日の完全自由日を挟む)

◯1日に2度、グループだけで所定の時間と部屋に集まり1時間の話し合いを行うこと。

◯話し合いの内容はグループの自主性に全てを委ねるものとする。

◯試験の解答は試験終了後、午後9時半から午後10時までの間のみ優待者が誰であったかの答えを受け付ける。あお、解答は1人1回までとする。

◯解答は自分の携帯電話を使って所定のアドレスに送信することのみ受け付ける。

◯『優待者』にはメールにて答えを送る権利がない。

◯自信が配属された干支グループ以外への回答は全て無効とする。

◯試験結果の詳細は最終日の午後11時に全生徒にメールにて伝える。

◯優待者は学校側による厳正なる調整により選ぶものとする

 

と言ったところだろうか。この他にもいくつもの禁止事項が書かれている。無人島での試験よりもルールは細かく設定されているな。そして、ここから先には4つの『結果』について書かれてあった。

 

◯結果1:グループ内で優待者及び優待者の所属するクラスメイトを除く全員の回答が正解した場合、グループ全員にプライベートポイントを支給する。

◯結果2:優待者及び所属するクラスメイトを除く全員の答えで、1人でも未解答や不正解があった場合、優遇者には50万プライベートポイントを支給する。

少し複雑なルールだな。軽井沢と博士が分かりやすく頭にはてなマークを出す。三宅もお手上げの様子だ。その姿を見た真嶋先生が補足説明を始めた。

 

「難しく考える必要はない。そうだな。君たちは人狼ゲームを知っているか?」

 

「人狼?知ってる知ってる!」

 

やっと知っている単語が出たのだろうか、軽井沢の声が先程から2トーンほど高くなって答える。三宅も博士も知っているようだ。

 

「え?綾小路くん知らないの?」

 

軽井沢から間違いなく人以外に向ける哀れみの目を受ける。それにむかついたのは確かだが、実際にやったことも聞いたこともないので、それをそのまま伝えることにする。

 

「知らないな。ゲームは今まで1回もやったことがない。」

 

「えっ!それってマ◯オとか、スマ◯ラとかも?」

 

「興味もなかったし、(ホワイトルームのカリキュラム的に)やる時間もなかったからな。」

 

「えー!ぱっと見根暗なぼっちゲームオタクみたいな容姿してるのに。」

 

想像以上のディスを喰らいメンタル的に辛いな。

 

「まぁいいわ。説明してあげる。友達で集まって、村人と狼に分かれるわけ。それで生き残った方が勝ちってゲームなわけ。分かった?」

 

「なるほどよく分かった。三宅、翻訳頼む。」

 

「いいぜ。」

 

「ちょ!何でよ!」

 

半ギレの軽井沢は放っておいてオレは三宅と博士から説明を受ける。どうやら村人と人狼の二つに分かれ、人狼は夜になると村人を1人ずつ喰べていくらしい。その犯人である人狼を突き止め追放することができれば村人の勝利。逆に最後まで分からず村人を喰われ続けてしまうと人狼チームの勝利らしい。

 

「つまり、結果1は優待者がどちらかと言ったら村人の時だ。その場合人狼という悪者がいないため全員が報酬50万ポイントを獲得できる。結果2はメンバーの誰かが人狼として裏切った場合だ。その場合、優待者のみに50万ポイントが渡る。」

 

確かにこの結果1、2には人狼ゲームを繋がる部分があるな。

 

「先生、結果3と4は?ページの裏面でしょうか?」

 

「ああ、見ても構わない。結果3と4は各グループに1人存在する優待者を暴き出すことで発生する結果だ。」

 

先生の許可をもらったので全員が一斉にページをめくる。

 

 

以下の2つの結果に関してのみ、試験中24時間いつでも解答を受け付けるものとする。また試験終了後30分間と同じく解答を受け付けるが、どちらの時間帯でも間違えればペナルティが発生する。

 

 

◯結果3:優待者以外の者が、試験終了を待たずに答えを学校に告げ正解した場合。答えた生徒の所属クラスは50クラスポイント得ると同時に、正解者に50万プライベートポイントを支給する。また優待者を見抜かれたクラスは逆にマイナス50クラスポイントのペナルティを受ける。及びこの時点でグループの試験は終了となる。なお優待者と同じクラスメイトが正解した場合、答えを無効とし試験は続行する。

 

◯結果4:優待者以外の者が、試験終了を待たずに答えを学校に告げ不正解だった場合。答えを間違った生徒の所属クラスはクラスポイントを50ポイント失うペナルティを受け、優待者はプライベートポイントを50万ポイント得ると同時に優待者の所属クラスはクラスポイントを50ポイント得る。答えを間違えた時点でグループの試験は終了となる。なお優待者と同じクラスメイトが不正解した場合、答えを無効とし受け付けない。

 

 

これで試験の全貌が明らかになったな。結果が1と2だけならば、優待者は全員に答えを共有しようが個人で黙っていようが自由だった。しかしこの結果3と4のルールが追加されることによってゲーム内に『裏切り者』が現れてしまう。迂闊に自分が優待者だとバレれば、たちまち裏切り者に捕食されてしまう。オレがもし優待者ならその秘密は墓まで持っていくだろう。そして、別のクラスの人間を優待者として見せかける策を作るだろう。報酬額は減るがこの場合はクラスポイントも得ることができる。

 

「今回学校側は匿名性についても考慮している。試験終了時には各グループの結果とクラス単位でのポイント増減のみ発表する。つまり優待者や回答者の名前は公表しない。また、望めばポイントを振り込んだ仮IDを一時的に発行することや分割して受け取ることも可能だ。本人さえ黙っていれば試験後に発覚する恐れもない。もちろん隠す必要がなければ堂々とポイントを受け取っても構わん。君たちは明日から、午後1時、午後8時に指示された部屋に向かえ。そこで1時間のディスカッションを行う。当日は部屋の前にそれぞれのグループ名の書かれたプレートがかけられている。初顔合わせの際には室内で必ず自己紹介を行うように。室内に入ってから試験時間内の体質は基本的に認められていないのでトイレ等は済ませておくように。これにて説明を終了する。各自確認等を終え5分以内に退出してくれ。」

 

全ての説明を終えた先生はそれっきりに黙り始める。

 

「うーん。分かってはいたけどなかなか複雑な試験だな。」

 

「小生も少し混乱してるでござる。フフフ」

 

「あのー、終わったんならもう出てってもいいよね」

 

席を立ちながら軽井沢が先生に問いかける。

 

「構わん」と言われたら一目散に出口へと向かった。身勝手な行動に三宅が止める。

 

「おい、少しは試験について考えようとしないのか」

 

「ハァ、どうせ考えたって分からないから無駄じゃない。それに綾小路くん、今回の試験について理解したでしょ?」

 

「え?ああ、まぁ大体は」

 

「ならDクラスの為に頑張ってねー」

 

軽井沢はそれだけ言ってこの部屋を後にした。

 

「なんだよあいつ。少しはクラスの為にとか思わないのかよ。」

 

三宅の懸念もわかる。正直に言うとこのペースで頑張ればDクラスはいずれAクラスになれるだろう。しかしそれはオレや堀北、平田達による力でだ。一部の生徒はリーダーに言われるがままに動くだけの駒となるだけでAクラスとなってしまう。今の軽井沢がいい例だ。

 

「っと、もうそろそろ5分だな。3人もそろそろ...」

 

「あっ、分かりました。」

 

そう言ってオレ達も部屋を出る。

 

「とにかくどうする?軽井沢の協力を得るのは難しそうだからとりあえずここ3人の誰かが優待者になったら報告するってことでどうだ?」

 

三宅の案は比較的悪くない。彼にはまだ試験で自分も力になりたいと言う意志がある。その案に乗ることにした。

 

「ああ、そうしよう。」

 

「それがしも賛成である、デゥフッ」

 

それぞれが賛成した後、博士は謎のダッシュ(ドロンとか言ってたな)でこの場を去り、三宅は日頃から共に行動することの多い幸村のところへと向かった。どうやら三宅も三宅なりに情報を集めるつもりだろう。軽井沢の姿が見えなかったが先程オレとこの会に来た平田がいないところを見ると2人でどこか出かけたのだろう。

 

「綾小路くん」

 

呼びかけられて後ろを向くとそこには一之瀬がいた。

 

「一之瀬か、お疲れ様。」

 

「お疲れ様ってまだ説明を受けただけだよ。」

 

一之瀬は終始笑顔でこちらを見ている。

 

「綾小路くん。説明を聞いてどう思った?」

 

「なんとも複雑な試験だなって思った。結果3と4が無ければみんなハッピーに終われたのにな。」

 

「アハハ、そうだね。」

 

「だが同時にオレはこの試験での勝利を確信した。」

 

「え?」

 

一之瀬はオレの突然の言葉に驚く。何というか目が二重丸になっている。

 

「もう勝ち筋を決めているなんて流石だね、綾小路くんは。」

 

「ああ、できると思った。一之瀬と2人なら。」

 

「え?」

 

本日2回目の二重丸が見れたところでオレは一之瀬の方を向く。

 

「オレは試験でも何でも負けることが嫌いだ。だが、個人と集団では戦いが厳しくなる。

 

 

 

  だから力を貸してくれないか。一之瀬」

 

 

 

その言葉を受け取った一之瀬は何故が赤くなっている顔でオレを見上げながら質問をしてくる。

 

「それは私が同盟クラスの人間だから?......それとも私だから?」

 

「?もちろんどちらもだが...」

 

「そこは嘘でも私だからって言ってほしかったかな!」

 

「最後まで聞いてくれ。少なくともオレはこの学校の誰よりもお前を信頼してる。だから話したんだ。」

 

不思議だ。彼女に向けて放つ言葉はオレの嘘偽りのない言葉だらけだ。その答えを聞いた一之瀬はなぜか嬉しそうに

 

「その言葉、絶対だからね。」

 

と言ってご機嫌なスキップをしながら階段を上がる。オレもそれについていく。そして考える。

 

 

 

 

 

 

 

今のクラスのままではダメだと。

 

 

 

 

全員とは言わないがクラスメイトのほとんどがオレを頼ってしまっている。このままでは彼らはAクラスに相応しくないそれならどうすればいいのか?

 

 

 

簡単だ。

 

オレがリーダーを辞めればいいんだ。1クラスの人間として最低限の行いをすればいい。リーダーはどのクラスにも必要だ。だが、1人で何でもかんでも解決するのはリーダーとして相応しくない。平田のようにもっと全体を見れるやつでないとだめだ。堀北のように上位クラスに対抗できるほどの頭脳や胆力がないとダメだ。

 

 

そう思いながらオレは一之瀬の跡を追うのだった。

 

 

 

 




次回更新は1週間あたりを予定しております。
実は文章自体は完成しておりますが待っていてください。
また一度どこかの章で連載をストップしようと思います。今年は受験期なのでせめて最後の数ヶ月は必死に勉強しようと思っております。(実際今は一日12時間ほどしかできておりません)
と言ってもこのハーメルンが僕にとっての束の間の休憩できる場所なのでストップさせるかは本当に考え中です。

『連載が一時中止になるかも』ってことを少しだけ思っていて欲しいです。
今後ともよろしくお願いします。
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