ようこそホワイトルームが無くなった世界へ   作:好きjaなくないない無い

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最近Twitterでとあるインフルエンサーがこう言ってました。

『ラフに挑戦して失敗して、また挑戦することができるのが凡人の特権』

ツイートの一部分なんですが、この一文に心を打たれました。
ぼくはどちらかと言ったら凡人の部類です。だからこそこれからも何事にも挑戦していきたいと再認識できました。




オレと軽井沢がボイラー室から出たのはあれから5分ほどだ。ドアを開けるとすぐ先に一之瀬がいる。謝るチャンスだ。オレはそう思うや否や一之瀬の元へと走った。

 

「一之瀬!」

 

「!あ、綾小路くん!」

 

いざ彼女の前に立つと口から言葉が出てこなくなる。いや、言わなくちゃいけないんだ。オレは肺にある空気を全て使い切る勢いで口を開いた。

 

「ごめん!」「ごめんなさい!」

 

ゴチンッ!!

 

お互い同時に謝罪をして頭を下げた時ちょうど頭がぶつかった。お互いに頭を押さえながら倒れる。

 

一之瀬...メチャクチャ頭硬いな....

 

「綾小路くん、大丈夫?」

 

「いや問題ない。それよりもなんで一之瀬が謝っているんだ?さっきの会話はオレがタラシのような真似をしてしまったんだ。反省している。ごめん。」

 

「違うよ。私が恥ずかしくなっちゃって倒れたのがいけないんだよ。本当にごめんなさい。」

 

「え?い、いやだから、そんな恥ずかしい思いをさせてしまって悪いと思っている?んだ。」

 

「違うよ。綾小路くんは何も悪くないよ....」

 

クルーズ船の廊下で座り込みながら『自分の方が悪い』と言い合っている。客観視すれば間違いなく滑稽に映るだろう。だが、オレ達はある程度言い終わるまで他人の目(元々ディスカッションはとうに終わり周りに人は少ないが)なんか気にもしていなかった。お互いに言いたいことを言い合える頃には少しばかり息を切らしていた。そんな中で一之瀬がポツリと言う。

 

「私は...その....嬉しかった...の。」

 

オレは顔を一之瀬に向ける。顔が赤くなって今にもパンクしてしまいそうな一之瀬がそこにいた。

 

その顔はとても______________________

 

 

 

「ねぇ、これなんなの?」

 

いきなり第三者から声をかけられて2人とも現実に戻る。声はオレの後ろあたりから聞こえた。オレは後ろを振り返ると....

 

「まだいたのか、軽井沢。」

 

「まだいたって何よ?別にいいでしょ?」

 

いちゃ悪い?と聞き返してくる軽井沢に、特に反論できることはなかった。

 

「いや、お前のことだからすぐ平田のところに行くと思っていたのにな。」

 

「ああ、それならそろそろ行くわよ。平田くんとも連絡ついたし、今日あったことは報告しちゃっていい?」

 

「いや、Cクラスのことは一切言わないでくれ。今後に影響が出る。」

 

「OK。なら秘密がバレたことだけ言っておくわ。じゃ、あとはお二人で楽しんで〜。」

 

そう言って彼女はオレ達の前から消えた。今はまだ寄生虫の彼女だ、いくら相手が平田だからって余計なことは言わないだろう。

 

「そういえばボイラー室なんかで何してたの?」

 

当然と言えば当然だが一之瀬からそんな質問が飛んでくる。

 

「あー、そうだな.....」

 

ボイラー室であった出来事を言うのは少しばかり気が引ける。もちろん一之瀬が誰かに言うとは思えない。だが、軽井沢のことを考えれば言うべきではないだろう。

 

「ちょっと言えないかもな。クラスを跨いでの事だし。」

 

嘘は言っていない。一之瀬には申し訳ないが軽井沢の許可なしに教えることはできない。

 

「そうなんだ。ならしかたない...」

 

ブブブ

 

一之瀬の言葉の途中に地面からバイブ音が聞こえた。オレの携帯だった。さっき頭をぶつけた弾みに落ちたらしい。送り主は軽井沢だった。

 

『さっき起きたこと、一之瀬さんくらいだったら話して

 いいから〜。周りに誰もいないかは確認してよね〜。』

 

 

 

あいつはオレとテレパシーを受け取れるのか?今現在考えていたことに関しての回答を一ミリも狂いなく送ってきやがった。

 

 

「軽井沢さんって私達の心でも読めるのかな?」

 

一之瀬も同じ考えらしい。

 

「とりあえず場所を移すか。」

 

人が少ないとは言えここは船内。誰がどこにいるのかは見当もつかない。オレの提案を一之瀬は快く賛成してくれた。

 

 

_____________________________________

 

 

結局俺たちがやってきたのはいつものベンチだ。いつ見てもこの場所に人がいる気配はない。ベンチ以外に何もないからだろうが秘密の会話をするには適切だ。

 

「そっか、そんなことがあったんだね.........」

 

「悪いな、こんな嫌な話を聞かせて。」

 

「大丈夫だよ。もちろんこのことは誰にも言わないから。」

 

「ああ、ありがとう。」

 

....気まずいな。

 

さっき謝ってはいるものの、軽井沢の介入があった為話があやふやになってしまった。だがふと横を見ると、一之瀬はとてつもなく笑顔だった。

 

「なんで?」

 

「ん?どうしたの?綾小路くん。」

 

しまった。心の中の疑問が口に出てしまった。

 

「いやその、なんでそんなに笑顔なのかなーって....」

 

「なるほどね。今私ね、すっごく嬉しかったの。クラスを跨いでの問題で退学並みのペナルティがつきそうな事件を包み隠さず教えてくれるなんで思ってもいなかったから。それだけ私のこと信用してくれてるのかなーって思ったら嬉しくって.......」

 

話しながら段々と顔が赤くなっていく一之瀬、どうやらまだ羞恥心と戦っているみたいだ。

 

「ああ、ありがと....」

 

「それだけじゃないよ?」

 

「え?」

 

「さっき綾小路くんが私のことをあんなにも褒めてくれて.....

 

 

                     うれしかったの!!!!!!!!」

 

 

一之瀬の突然の告白にオレは怯んでしまう。

 

「嬉しかったのか?ならなんで一之瀬は倒れてしまったのか?」

 

「ええとね、確かにあの時は倒れちゃったんだけど...嬉しさと恥ずかしさが押し寄せちゃって...。だから本当に綾小路くんは悪くないの。」

 

「そうだったのか。よかった。」

 

「うん。本当だよ。誰にだって褒められることは嬉しいし....でも」

 

「でも?」

 

「...恥ずかしいから出来れば人前では言わないで欲しいな...」

 

顔を赤らめながらの上目遣いは反則だ。

 

「分かった。これからは二人きりの時に言うよ。」

 

「うん....ありがと...」

 

その会話以降オレ達はずっとベンチから見える海を見ていた。お互いに(少なくともオレは)振り向くことなく30分ほど......

 

なんでかは分からないが俺はこの時間を大切にしたいと思った

 

____________________________________________________

 

 

あれから1時間ほど経っただろうか....

 

30分ほどから記憶がない。俺は眠っていたのか........

 

横を見ると一之瀬も俺の肩に頭を預けて眠っている.。時計を見ると7時半だった。

 

「一之瀬、おーい。」

 

「ん...んん。あ、おはよ綾小路くん。」

 

「ああ、おはよう。お互いに随分と寝たな。」

 

「うん。で、どうする?もうすぐ2回目のディスカッションだけどやる?やらない?」

 

一之瀬は携帯でメールのアプリを開きながら聞いてくる。やるかやらないかはグループのことだ。

 

「ああ、もう結果はわかったし終わらせてもいいだろう。」

 

午前中、4つのグループだけ試験を終わらせたのはA、Cクラスの動向を見るためだ。おそらくだが2クラスとも原因の追求、優待者の法則探しをしているだろう。

 

だが、俺が見たいのはそこでは無い。Aクラスの坂柳がどう動くかだ。

 

坂柳は噂程度に聞いたことがある。なんでも定期考査ではいつもオレの次である2位にランクインしている。前回に限っては5教科500点のパーフェクトでオレと同率一位だった。これだけの結果を見れば坂柳の実力が見えてくる。少なくともこの試験のカラクリに気づき、Aクラスの誰かに伝えることで逆転で特別試験を終えることができた。

 

しかし坂柳はしてこなかった。これが何を意味するか?

 

今回の二つの特別試験での敗因が『葛城に指揮を任せた』と言わざるを得なくなる。そうなればAクラス内の坂柳派の人数が増え、葛城は失脚するだろう。結果、坂柳は何一つ手を下すことなくAクラスの覇権を握ることとなった。まんまと利用されたもんだ。

 

「一筋縄ではいかないだろうな。」

 

まだ見ぬ強敵を思い浮かべたオレはワクワクしていた。

 

「綾小路くん?終わらせないの?」

 

とある四人にメールを送った一之瀬がそう聞いてきた。

 

「ああ、ごめん。今終わらせる。」

 

オレも遅れて携帯を取り出し、とある四人にメールをする。

 

池寛治

松下千秋

佐久間有紀

進藤真央

 

『送信しろ。』 

 

それだけを送った。次第に通知音が鳴った。

 

ピロン

 

ピピロン

 

 

 

 

ピピピピロン

 

 

 

 

ピロン

 

 

 

合計で8回、予定通り第二回特別試験は終わった。

 

『牛グループの試験が終了しました。結果発表をお待ち下さい。』

『兎グループの試験が終了しました。結果発表をお待ち下さい。』

『竜グループの試験が終了しました。結果発表をお待ち下さい。』

『蛇グループの試験が終了しました。結果発表をお待ち下さい。』

『羊グループの試験が終了しました。結果発表をお待ち下さい。』

『猿グループの試験が終了しました。結果発表をお待ち下さい。』

『犬グループの試験が終了しました。結果発表をお待ち下さい。』

『猪グループの試験が終了しました。結果発表をお待ち下さい。』

 

 

「無事完了だね!改めてだけど、この話を持ってきてくれてありがとう。」

 

一之瀬もメール確認したのかこちらに笑顔を作ってお礼をしてくる。

 

「かまわない。この話は双方にメリットがあるからな。」

 

「まぁそうだね。だけどいきなりびっくりしたなぁ。」

 

そう呟きながら一之瀬はかかってきた電話に出て話し始める。きっと状況説明だろう。

 

今回の作戦、その全てを説明するためには特別試験の説明を受けた日の夜までさかのぼる。

 

 

 




もう夏が終わるね。

って朝の9時くらいに上の文章書いたんです。保存して今午後の3時なんですけど言わせてください。

前言撤回します。

まぁ、この熱さに乗ってこれから始まる秋アニメを楽しむぞ。

人気漫画である『BLEACH』の最終章アニメが4クール放送されるらしいです。

52話!一年!


......ヤバない?



次回更新はペース的に一から二週間後になります。解説回アンドなんか進展ある回になると思います。

お楽しみに!!!






ちなみに佐久間くんと進藤さんはきっともう2度と出てこないオリキャラです。

(使い捨ての予定ですがもしかしたら出番あるかも✨)
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