ようこそホワイトルームが無くなった世界へ   作:好きjaなくないない無い

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第四章(?)




試験から3日経ったか。オレ達は今ジムにいる。

 

「よし。準備できたぞ。綾小路」

 

「分かった。」

 

三宅の掛け声の後オレはベンチプレスを持ち上げ、その場で上げ下げを行う。

 

「やっぱりすごいな。これ一応80キロだぞ。」

 

「勉強だけじゃなかったんだな。」

 

総重量に感心する三宅とフラフラになりながら話しかけてくる幸村。ちなみに幸村はランニングマシン10分ほどでギブアップした。

 

「まぁ、球技は苦手だが基礎の運動は一定以上こなせば出来るようになるからな。この高校に来る前も運動は欠かさず行っていたな。」

 

嘘は言っていない。ホワイトルームでは毎日運動の記録をとっていたし、球技などやる時間はなかった。

 

と、それよりもなぜこの3人で運動しているか、説明していなかったな。全グループの試験が終わった次の日、オレは身体能力の衰えからクルーズ船が運営するジムに向かった。その時たまたま二人に出くわした。三宅とも幸村とも喋らない間柄では無かったためその場で立ち話をしつつジムに向かうことを伝えると2人も賛成したのかここ三日間は3人で筋トレをしている。利点としては安全かつ道具の準備片付けが一人の時よりも早く済むことだ。そんなこんなで今日も筋トレ中だ。オレはフラフラしている幸村にタオルを渡した。

 

「幸村は典型的な運動不足だな。そんなんじゃいつか倒れるぞ。」

 

「問題ない。食事面には気を遣っているからな。それに俺が心配しているのはそこじゃない。体育祭だ。」

 

幸村、気づいていたのか。

 

「体育祭ってどういう事だ?」

 

三宅が聞き返すと幸村はタオルで汗を拭き終えメガネをかけてから説明した。

 

「十中八九当たると思っているんだが体育祭でもポイント増減が来ると思っているんだ。定期考査にもあったんだぞ。絶対なんて言葉はないが今から準備しておけば運動の苦手な俺でも多少はクラスに貢献できるなって思ってな。」

 

なるほど、だから幸村は来ていたのか。

 

「いい案だと思うぞ、幸村。オレも身体能力を上げるために筋トレは良くしていた。」

 

「ああ、頑張るよ。」

 

この三日間が初めて彼らと過ごした日だったが悪くはなかったとオレは静かに思った。

 

 

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午前中の筋トレが終わればあとは試験の結果発表だ。

 

オレは堀北に呼ばれ平田と共にカフェに訪れた。

 

「悪いな、待たせたか?」

 

「いいえ、五分前よ。早速だけどあなたの話が聞きたいわ。」

 

「試験の結果についてならそれならあと1、2分もすれば出てくるだろ。」

 

「いいえ。今回、あなたがヘマを打ったなんて想像する方が難しいわ。きっと有言実行として100クラスポイント以上の成果を出しているのでしょうね。」

 

これは堀北に信頼されていると見ていいのだろうか?それよりもそれが話の内容でないのなら、

 

「今後のオレの立ち位置の相談か......」

 

「ええそうよ。あなたは最低限の活躍を保証すると言っていたけれどそれはどれくらいの活躍を期待していいのかしら。」

 

「そうだな。まず定期考査に関しては今の状態を継続するつもりだ。満点を取ればポイントも得られるしな。あとは特に出しゃばるつもりはない。」

 

「そう。分かったわそれで良い。ただ何か予想外なことがあった時あなたの意見も聞かせてもらうわよ。」

 

「それくらいだったら別に構わない。っと、そろそろ時間だな。」

 

そう言ってオレ達はそれぞれ携帯を取り出す。ちょうど学校側からのメールが来ていた。

 

 

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『第二回特別試験結果一覧』

 

 子(鼠)グループ   『裏切り者』の正解により結果Ⅲとする。

 丑(牛)グループ   『裏切り者』の正解により結果Ⅲとする。

 寅(虎)グループ   『裏切り者』の正解により結果Ⅲとする。

 卯(兎)グループ   『裏切り者』の正解により結果Ⅲとする。

 辰(竜)グループ   『裏切り者』の正解により結果Ⅲとする。

 巳(蛇)グループ   『裏切り者』の正解により結果Ⅲとする。

 午(馬)グループ   『裏切り者』の正解により結果Ⅲとする。

 未(羊)グループ   『裏切り者』の正解により結果Ⅲとする。

 申(猿)グループ   『裏切り者』の正解により結果Ⅲとする。

 酉(鳥)グループ   『裏切り者』の正解により結果Ⅲとする。

 戌(犬)グループ   『裏切り者』の正解により結果Ⅲとする。

 亥(猪)グループ   『裏切り者』の正解により結果Ⅲとする。

 

 

 

学校側は本件に関して一切の質疑応答を禁ずる。

 

獲得ポイント一覧

 

 

 

Aクラス -150グラスポイント  0pp

Bクラス +150クラスポイン ト 300万pp

Cクラス -150クラスポイント  0pp

Dクラス +150クラスポイント 300万pp

 

 

現在のクラスポイント一覧

 

Aクラス    1110cp↑

Bクラス    970.cp↓

Cクラス    635.cp

Dクラス    535.cp

 

 

 

「これはあなたにとって予想通りの結果なのかしら?」

 

時同じくしてメールを読み終えた堀北がオレに聞いてきた。

 

「勿論だ。だがいざこうなるまでは実感が湧かないな。」

 

「ええ、そうね。クラスが入れ替わることがこんなにも強調されないなんて。」

 

それはオレも思っていたことだ。てっきり『BクラスとAクラスが入れ替わりました。』なんで文があると思っていたのだが。この学校にとってクラス入れ替えはそこまで珍しい現象ではないのだろうか?もしくは珍しい現象で無くなって欲しいのだろうか?

 

この事実は今考えても分からない。ひとまずオレは先ほどからずっと疑問に思っていたことを聞くことにする。

 

「平田はさっきからなんでずっと黙っているんだ?」

 

オレの視線はオレの右隣に座っている好青年へと向けた。

 

「私も思っていたわ。いつもは積極的に話に参加してくれているのに....何かあったのかしら?」

 

平田はオレの顔を見ながら言ってきた。

 

「綾小路くん...君と、軽井沢さんについてだよ。あの件はもう大丈夫なのかい?」

 

「なるほどな。あの件か......」

 

あの件といえば軽井沢と真鍋の件だ。平田は良くも悪くも平和的人間だ。自分のクラスはもちろん他クラスでも退学者が出ることを望まない。きっと平田が心配しているのは真鍋達の退学があるか否かだ。あの件と言ったのは堀北にこの件を知られたくないからだろう。

 

「安心しろ。後処理もしっかりやったから最悪な事態は絶対に起こらないと思ってもらっていい。」

 

「そう....分かった。綾小路くんを信じるよ。」

 

間も無くして平田はいつも通りに戻った。そんな時オレが感じたのは興味、平田の過去についてだった。

 

なぜそこまで他人にこだわるのか?

 

オレの見立てではこれが平田の唯一無二の弱点であり汚点だろう。

 

「その話は私には教えてくれないのかしら?」

 

仲間はずれ感を受けたのか、少しばかりムッとした堀北が言い出した。

 

「そんな大したことでもないしな。今後を左右されるようなことではない。」

 

「ならいいわ。じゃあこれを持って綾小路くんはリーダーを降りてもらうわ。約束通りの働きもしてくれたしね。」

 

「ああ、なら失礼させてもらう。」

 

こうなった以上オレから話すことはもうない。オレは席を立ってカフェを後にする。この先のクラス争奪戦はこれまで以上に過酷なものとなるだろう。だが、この過酷な経験がDクラスにとってプラスの働きになる薬であってほしいと願うオレだった。

 

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あれから一時間半程で船は港に到着。その後各クラスごと集まって軽いミーティングをしてから解散という流れになった。オレは相も変わらず筋トレメンバーで集まっていた。

 

「この旅行も二週間と..ちょっとか...行く前は長いと思っていたけどいざ行ってみると楽しかったしあっという間だったな。」

 

三宅の何気のない一言に幸村が同意する。

 

「そうだな。それにクラスポイントも大量に手に入った。このペースならAクラスも夢じゃない。綾小路が抜けて少しばかり勢いが減速しようとも大丈夫だろう。」

 

「オレもそれに関してはそう願いたいな。」

 

オレも同意しておく。先日中にこの二人にはオレのこれからの身の振り方を話しておいた。

 

「どちらにせよ定期考査で手を抜くのは許さないからな。お前は俺の目標なんだ。絶対に勝ってみせる。」

 

「もちろんだ。第一、お前は手を抜いて勝てる相手じゃないぞ、幸村。」

 

「幸村は勉強か。なら俺はどの分野でお前に張り合えばいいんだろうな?」

 

三宅がつぶやいてくる。

 

「別になんでもいいんじゃないか?」

 

「なら弓道で勝負だ。」

 

「前言撤回だ。そういうのは勘弁してくれ。」

 

弓道部の三宅対弓道未経験のオレ。勝負は明らかだ。

 

「よし、40人全員いるな。ではホームルームを始める。」

 

茶柱先生が話し始めたのを見てオレ達は会話をやめる。

 

「まずはお疲れと言っておこう。正直、ここまで健闘するとは思っていなかった。良くやったな。」

 

「先生が俺たちを褒めた。」

「なんか照れるな。」

「ね。」

 

 

茶柱先生の褒め言葉は確かに珍しいな。

 

「夏休みもあと二週間だが、精一杯夏を楽しめ。プールもショッピングモールもあるからな。現に君たちの携帯には少なからず3万ポイント以上は持っているはずだ。」

 

第一回の無人島の特別試験が終わったのが七月の最終日、8月の1日には結果が反映されているため38500ポイントは入っているはずだ。久しぶりの散財に皆心を躍らしている。この姿を見ればオレの努力も少しはやりがいがあったのだな。

 

「楽しみだね!」

「おれ、プール行きたい!」

「オレもオレも!」

「ねぇ、あのお店のお洋服買いに行かない?」

「いいね!やっと帰るの楽しみ〜!」

 

Dクラスの悪い癖なのかすぐ雑談を始め出した。だがおよそ四万近くの小遣いで二週間の完全自由。昂らないほうが間違っているだろう。茶柱先生もその光景を見て笑っている。教師から見ても微笑ましい青春の1ページなのだろう。

 

「ちなみに夏休みの宿題が終わらなかったらそいつは問答無用で一週間の停学だ。まさか船旅中1日たりとも勉強していないなんていう愚か者はいないだろうな?」

 

あまり大きな声ではないがはっきりと耳に入ったその音声はDクラスの生徒の大半の顔を真っ青に変えるには十分だった。その光景を見た先生は少し笑ったあと...

 

 

「やっぱりお前達は最高だな。というわけでホームルームは以上だ。諸君、良い夏休みを」

 

それだけ言って学校の方面へと向かう茶柱先生。

 

あんた、本当におっかないって......

 

 

 

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ホームルームの後、青くなったクラスメイト(主に三馬鹿)を慰める平田や櫛田達を見届けてオレは学校やショッピングモールから少し離れた海の見えるベンチに座った。この二週間、寝ている時間を除けば海の見えるあのベンチがある場所に一番長くいたな。だからか、この海の見えるベンチもなんだか落ち着くな。流石に港付近の海より船から見た海の方が綺麗だったが。そんな考え事を中止してオレは頭の中にとある議題を持ってくる。

 

この残りの夏休み何をしよう?

 

まず第一に夏休みの宿題は終わっている。それ以外だとやはり身体を鍛え直さないとな。幸いこのベンチがある海沿いの道はランニングにもってこいだ。あとは橋本からもらった部活動の賭博場についても確認したいな。

 

あとはやっぱり

 

あいつと.....

 

遊びたいな......

 

 

「え!綾小路くん?」

 

考え事を一時中断し声の方向に目をやる。そこには今まさに想像していた人物である一之瀬が立っていた。

 

「一之瀬、偶然だな。」

 

「そうだね。もしかして綾小路くん、船の上で海が見えるベンチばっかり座ってたからここに来たの?」

 

「まぁそんなとこだ。」

 

「やっぱり、私と一緒だね。」

 

どうやら一之瀬も船上のあのベンチを気に入っていたらしい。

 

「オレがここにきてしばらく経つが静かで落ち着くんだ。何でだろうな。」

 

「やっぱり落ち着くんだね。隣いいかな?」

 

もちろんと席をすすめいつも通りの座り方となった。

 

「夏休みも楽しかったな。」

 

「うん。Dクラスはすごいね。この二週間の旅で一番ポイント獲得したでしょ。」

 

「そうだな。それも一之瀬の協力あってこそだ。そうだ....」

 

「?」

 

「なにかお礼できることはないか。あったら教えて欲しい。」

 

その言葉を聞いた一之瀬は表情を固めて下を向いてしまった。

 

「?どうし......」

 

「なんでもいいん.....だよね?」

 

「?あ、ああ。オレにできることだったらなんでもするよ。」

 

その言葉を聞いた一之瀬は下に向けた顔をあげこちらを向いた。顔が赤くなっておりまだ少し恥ずかしさがあるのか身体を縮めながらつぶやいた。

 

「一緒に...どこかにお出かけしたい.....」

 

 

 

Q:世の中の男子はこのお誘いを断ることができるだろうか?

 

おっと今の彼女の状態を説明していなかったな。大雑把に説明すると、

 

可愛い

上目遣い中

可愛い

顔を赤らめている

可愛い

可愛い

 

 

 

A:答えるまでもない

 

 

 

「うん....」

 

「いいの?やった!」

 

「...うん。」

 

オレには刺激が強すぎる。この10秒くらい脳がショートして『うん』としか言ってなかった気がする。

 

「ねぇ綾小路くん?どこ行こっか?」

 

「...そうだな。一之瀬はどこに行きたい?」

 

「私?私はねぇ、プールに行って遊びたい!あとショッピングモールで買い物したい。」

 

「そうか。なら全部やろうな。」

 

「全部って、いいの?」

 

「もちろんだ。どうせ遊ぶのなら目一杯遊ぼう。」

 

「そうだね。約束だよ?」

 

そう言って小指を出してくる一之瀬。なんの儀式かは分かっているのでオレも何も言わずに小指を出す。

 

オレンジ色に染まる夕暮れの中2つの小指が混じったことはこの2人以外知る由もなかった。




これにて幕引きです。ご視聴ありがとうございました。
ここまで書けたことを光栄に思います。
初めはただ自分の妄想を書いていただけなのに、気づけば15万ほどの閲覧に1500人近くのお気に入り登録者がついてくれていました。自分理系なのに......
ここらで一回休載しようと思ってます。
次はもちろん体育祭。
受験までの五ヶ月ほどは休ませてもらいます。
お楽しみの皆さん申し訳ありません。
ただ、朗報です。
受験までの五ヶ月の間不定期で夏休み編をチラホラ投稿するつもりです。
よろしくお願いします。
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