ようこそホワイトルームが無くなった世界へ 作:好きjaなくないない無い
本当に偶然だった。一之瀬とはまた別の日に来ようと言っていたので完全に頭から離れていた。見たところ一之瀬も一人ではなくBクラスの人達と来ているみたいだ。その証拠に後ろに神崎達がいる。
「綾小路くんも来てたんだ.....」
「一之瀬こそ。あ、席変わるぞ。」
「あ、うんありがと。みんなー!」
席を見つけたので一之瀬はBクラスの友達5人ほどを呼んだ。
「神崎も。久しぶりだな。」
「綾小路とここで会うとは思わなかったな。」
そりゃそうだ。約束もなしにこんな大勢が集まる場所で遭遇するなんてなかなかの確率だ。
「神崎くんも驚いてるね。あ!紹介するね。うちのクラスの白波さんと、柴田くんと浜口くんでーす。」
一之瀬から紹介をもらった3人、知っているのは2人だ。柴田は平田と同じ部活のため何度かお目に掛かっていた。浜口とは短い間ではあったが同じ干支グループだった。白波千尋については会ったことはないものの一之瀬から紹介だけはされている。
「よっ!平田!相変わらずのモテっぷりだな!」
同じ部活動で面識のある柴田と平田は早速会話をしている。
「そんなことないよ。それよりも柴田くんも遊びに来てたんだね。」
「ああ、なんか昨日の夜突然誘われてな。って、そうだ!せっかく5人同士できてるんだし後で一緒に遊ばね?」
「え?」
柴田の発案に一之瀬は過剰な反応を見せる。
「だってビーチバレーとか5対5でやったほうが盛り上がるだろ。」
話の筋が通ってるな。
「オレは別に構わないがみんなは?」
オレは取り敢えずクラスメイトの意見を聞くことにした。
「僕もいいと思うよ。せっかくの機会だし。」
「私はどっちでもいいけど楽しそうだから一緒に遊びたいかも。」
平田軽井沢はじめ他2人も反対しなかったので一緒に遊ぶことになった。しかし....
「どうしたんだ、一之瀬?やけに元気がないな。」
「え!い、いやなんでもないよ!」
オレの勘でしかないがいつもよりも元気がなさそうに見えた。すると白波さんが近寄ってきた。
「実は一之瀬さんね、今度綾小路くんと遊びに行くから泳ぐ練習がしたいって言って来たんだ。」
「もう千尋ちゃん、全部言わないで!」
嬉しいような恥ずかしいような気持ちになっているオレと耳まで真っ赤になった一之瀬を見て白波はさんは悪戯な笑みを浮かべた。
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「一之瀬....その...大丈夫か?」
昼食後、手軽にご飯を食べ終わったBクラスの5人はオレ達と合流、今は4対4のプールバレーをしている。そんな中一之瀬は先ほどから元気がない。いや....
「恥ずかしいのか?」
「なんで分かっちゃうの?!」
「え?当たったのか?」
数ある選択肢の一つだったがまさかピンポイントで当たってしまうとは....
「けれどなんでだ?特に恥ずかしがることはないだろ?」
「綾小路くん。私、泳げないんだ。」
そういえば白波さんが少し言っていたな。それで今日は泳ぎの練習をしに来たのだとか...
「私ね、人並みに勉強もできるし運動も別に苦手って程じゃないんだ。だけど泳ぎだけがどうしてもできなくて...。入学してすぐに水泳の授業があったじゃない?そこでも補修を受けてたんだ。」
「そうだったのか....。」
「うん。あのね...こんなことを言うのは恥ずかしいけど....私、綾小路くんに憧れているんだ。」
「オレに?」
驚いた。こんな闇を持つオレが彼女に憧れるなんて...
「私は弱いよ。仲間がいないと戦えない臆病者。一人で決心しても必ず後悔してきた。だけど綾小路くんは一人で考え、実行するだけの度胸と自信を持っている。私はそんな人、君以外に知らないよ?」
オレは何も言えなかった。落胆ではなく感動をしたからだ。普通、他人の長所を見た時最初にくる感情は『嫉妬』だろう。自分にはない才能をあいつは持っているから羨ましいと。そして、その才能が多ければ多いほどに『嫉妬』の量は増えていき最終的には『憎悪』に生まれ変わる。
お前さえいなければ!
化け物!
これまで何度言われてきたかとか...。今までは気にしたことがなかったが、それが本来の人間の感情なんだろう。この学校にも少なからずいるはずだ。オレの才能に嫉妬している奴が。
だが同時に『尊敬』し『目標』にしてくれる人がいる。この事実がオレを救ってくれる。『嫉妬』するものがいる中オレにも味方がいるということだ。
「ありがとう。」
「え?」
「?なんでだろうな....嬉しかったんだ。その...オレも一之瀬に憧れているからこんなオレでも憧れてくれて...その....ありがとう。」
「う、うん。でもなんで私なんかを?」
「それはもちろん、一之瀬はクラスのみんなを引っ張っているからだ。」
「それは、さっきも言ったけど臆病なだけで....」
「それでもだ。臆病でもそうじゃなくてもクラスを引っ張っている。この事実は変わらない。凄いことなんだよ。それに一之瀬は誰にでも明るく接している。これはオレにはできないことだ。」
「....フフッ」
「?」
突如、一之瀬が笑い出す。何かおかしなことを言ったのだろうか?
「ごめんね、笑っちゃって。でも可笑しかったのはホントだよ?だって綾小路くんと話してたらなんでか胸の中のモヤモヤが晴れちゃったんだもん。」
確かに先程までと雰囲気が違う。なんか...明るくなった...のか?
「ありがと!綾小路くん。」
そう言ってオレに眩しい笑顔を向ける。
オレもだよ。
オレも一之瀬と話していると気持ちがスッキリするんだ。
今のオレなら大丈夫だ。
戦える。
彼女のために.......
「なら一之瀬、向こうにある水泳用プールに行かないか?」
「別にいいけど...もしかして私の泳ぎをみる気?」
一之瀬は作り笑いをしながら聞いてくる。
「?そのつもりだが?」
「嫌だよ!だって泳げないところ綾小路くんに見られたくないもん!」
「大丈夫だって。こう言ってもなんだが、オレは人に教えることに長けてるぞ?」
「う....お願いします...。」
諦めたのか立ち上がりプールに向かう。オレも彼女の後を追う。
「そういえば綾小路くん。......どう?」
「?どうって.......なにが?」
「.....いや、なんでもありませーん。もういいです。いこ!」
「?...いやいや、何が?」
「なんでもありませーん。」
一之瀬の不機嫌っぷりはプールが終わっても治らなかった。一体何が行けなかったのだろう?
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Bクラスは午後6時を過ぎるとプールを後にした。オレ達も7時になったころに帰る準備を始めた。帰りにどこかで晩御飯を食べる話になっていたが、オレは一之瀬の不機嫌な原因を考えるのに頭のリソースを使っていたためあまりよく聞いていなかった。
「ねぇ、綾小路くん?聞いてる?」
「ん?」
「あー、やっぱり聞いてない!もう軽井沢さん達行っちゃったよ?」
ぼーっとしていたオレに声をかけてくれたのは松下だ。どうやら他の3人はもう更衣室に向かってしまったらしい。
「どうしたの?何か悩み事?」
一之瀬の為にも話さないほうが良いとも思ったがここは女子目線での意見が欲しいな。思い切って松下に相談することにした。
「実は.....
「.....なるほどねぇ....。一之瀬さんも可哀想だね。こんなに鈍感な人だなんて...。」
話を聞くや否や松下はオレの顔を見ながらため息をついた。
「そこまで落ち込まれると落ち込むんだが...それに鈍感って何だよ?」
「うーん....」
少し考えこむ松下、すぐに「あっ!」と閃いてオレに質問してくる。
「じゃあ綾小路くんに質問です。今日の私の水着姿はどうですか?」
「どうって....」
質問されて松下の顔から下を見る。松下は白のビキニを着ている。彼女の細いウエストと脚を満遍なく強調している姿はとても似合っていた。
「いいと思うぞ。綺麗だし似合っている。」
「なるほどなるほど。なら今日の一之瀬さんはどうだった?」
「どうだったって........凄く綺麗で....可愛かった。」
一之瀬は確か白のビキニにカラフルな色が混ざっていた。彼女の抜群なスタイルかこれでもかと見せつけられた。
「よろしい。では綾小路くん。今から一之瀬さんの不機嫌な理由を伝えます。」
「随分と周りくどかったが....結局何なんだ?」
「綾小路くんは.......乙女心が分かっていないんだね。」
「乙女...心?」
「うん。綾小路くんもあるんじゃない?異性の人からはよく思われたいって。池くんとか山内くんが『モテテー。』『カッコいいって言われてー!』って言ってるじゃん?あそこまでとは言わないけど、仮にカッコいいって言われたら嬉しいでしょ?」
「そりゃもちろん。」
この気持ちに嘘偽りはない。現に一之瀬に誉められた時、信じられないほどに自分の気持ちが昂っていた。
「なら逆も然り、一之瀬さんも綾小路くんに褒められたかったんだよ?」
そういう事だったのか。確かにあの時、水着姿の一之瀬の前に緊張していた。そこまで頭を回すことができなかった。そういえば前に池が言ってたな。『デートでの基本は女の子の服を褒めること。コレ、マジで大事だぞ!』。池の話はたまにちゃんと聞いたほうがいいかもな。
「原因はわかった。だが今オレは一之瀬を怒らせてしまったんだ。これからどうすればいい?」
「どうするって?」
相談が終わり更衣室のドアを開けかけた松下が再びこちらを向く。そして笑顔で....
「それは自分で考えなさい。」
そう告げられる。
「何でだ?」
「うーん、理由はいくつかあるけど第一に女の子の慰め方は人に聞くもんじゃないね。人それぞれで違うし...一之瀬さんタイプの子は今まで見たことなかったから正直私も分からない。」
「そうだったのか...、それ以外だとなんでだ?」
「こっちの方が理由としては強いかな。綾小路くんはモテモテだから今現在もたくさんの女子が狙っているかもしれません。私は事なかれ主義だからあまり恨みを買いたくないの。だからこれ以上特定の女の子に肩入れする綾小路くんの手伝いはできないかな。」
嘘ではないだろう。現にオレの存在はこの学校でも話題となっている。知らない女性から話しかけられることもなくはない。松下にまで危害が加わるのは避けたいな。
「そうか。わかった。でもありがとう。相談に乗ってくれて。」
「いいよ。まぁ、たまになら私にも頼っていいからな。」
それだけ言って彼女は更衣室に入る。
「なんの話をしてたんだい?」
オレを待っててくれたのか平田が後ろから声をかけてくれた。平田のことだろう。聞こえないギリギリのところにいたに違いない。
「ちょっと恋愛相談に乗ってもらった。」
「そうなんだ。やっぱり綾小路くんはモテるね。」
「平田から言われると褒め言葉にはならないぞ。」
そんな言葉を交わしながらオレ達は更衣室に向かった。
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「「楽しかったーーーーー!!!」」
プールを後にすると背伸びしながら軽井沢と佐藤さんが言った。
「本当にね。こんな大きなプール始めてきたわ。」
「そうだね、夏っぽいことができて良かった。」
松下も平田も同意している。
「軽井沢さん達は明日からの勉強会もがんばってね。」
「松下さん、それは嫌味でしょー!」
「そんなことないよー。終わったらまた遊ぼうね。」
どうやら軽井沢達は宿題が終わっていないらしい。まぁ、大した量ではないし夏休みもあと一週間ほどある。一日六時間ほど頑張れば3日で終わるだろう。
「ねぇ....」
みんなの一歩先を歩いていたら佐藤から小声で声を掛けられた。
「綾小路くんは...その...勉強会に来てくれないの?」
「ああ、ちょっと個人的なやる事があってな。」
「ならそれが終わったらきてくれる?」
佐藤が顔を近づけ上目を使って聞いてくる。
「....やる事が終わり次第だったらな。」
「やった!約束ね!」
そう言いながら小指を出してくる佐藤。指切りという奴だろう。断る理由もないため指を差し出す。
「この後どうする?私的にはショッピングモールで軽くご飯を食べてから帰りたいんだけど...みんなは?」
指切りが終わる頃に軽井沢がオレ達に聞いてきた。
「僕も賛成だね。いい時間だし、寮に帰っても特に食べるものがないんだ。」
「私もそれで良いよ。」
「私も。」
平田と女子2人は特に反対ではないらしい。もちろんオレもと言おうとしたとき。
ピピロンッ____
携帯メッセージの着信音だ。すぐに確認すると......
「悪い、急用ができた。今日はお暇させてもらう。」
「やけにいきなりだね。もしかして今のメールが?」
「ああ、ちょっと先輩から呼び出されたんだ。悪いが4人で食べてくれ。」
「分かった。綾小路くん、何か協力できることがあれば言ってね。」
平田が快く送ってくれたのでオレは振り返る。
「悪いな。」
「ううん、頑張って。」
松下とのやりとりは他3人には聞こえないほど小さなものだった。それだけ言ってオレはある場所を経由するルートで目的地に向かう。急がなければならない。全力で走るオレの手に握られている携帯のメッセージ画面には、
『一之瀬さんが先輩の男子から逃げていたよ。ちょっと急いだ方がいいかも。』
と記されていた。
アニメが新シーズンです。
ブルーロック
クールドジ男子
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ヒロアカ
BLEACH
見てね!!