ようこそホワイトルームが無くなった世界へ 作:好きjaなくないない無い
ここ最近自分で見てても「なにこの回りくどい感じ?」と思っていたのですが、それも今回までだと思います。
原因としてはアニメ勢から始まった僕の脳内に夏休み編のことを知らなかったことです。原作も4巻から4.5巻に行かず、そのまま5巻を見てしまいました。それからも4.5巻はまだ見ておりません。
これからも精進するので、何卒よろしくお願いします。
そんなところで皆様は最新刊である原作8巻をお読みになりましたか?
見てない人もいると思いますので手短に感想言います。
5人くらいの女子が可愛かったです。
オレ達は、先生に男子生徒2人を引き渡し事情を説明した後堀北のところへと向かった。そのお店の個室は円卓状になっており堀北の隣には見たことのない男子生徒が座っていた。ブレザーの色から2年生だろう。
「意外と遅かったな。まぁ、先生に事情を話せばこんなものか。」
「オレもここまで遅くなるとは思わなかった。それでそちらの男子は誰だ?」
この場にいるだけでその男が只者ではないことは分かっているが、自己紹介をするためにも話を振った。
「ああ、彼は桐山生叶。二年Bクラスの生徒で生徒会役員でもある。南雲達の動きを監視している情報提供者だ。」
やはりそうだったか。まさかここで会えるとは....
俺は一歩前に出て軽くお辞儀をする。
「はじめまして、一年の綾小路です。」
「二年の桐山だ。堀北先輩から話は聞いている。頼りにしてくれ。」
握手を求められたので手を出しながら返す。見るからに秀才というイメージだがどうやらその通りらしい。しかし、二年Bクラスなら確か鬼龍院先輩と同じ.....
「まさかお前が呼ばれているとはな、鬼龍院。」
「私こそ驚いたよ。こんな才能の集まりに君がいるなんて。」
「俺も驚いたぞ。まさか満足に友達のいないお前がこの場にいるとはな。」
「そう褒めてくれるな。テレるだろう。まぁ今は君にリソースを割り振るつもりはないから座っていてくれ。」
「 !!」
あからさまにキレる桐山先輩だが彼女以外に三人この場にいること、彼女に怒りをぶつけても得はないと判断して先に戻った。オレも自分の席に座る。右に堀北、左に一之瀬の席になった。
「話を始めたいのだが、この場に鬼龍院がいるということは作戦が成功したってことで間違い無いな?」
作戦、というワードは知らないためこの場は黙って話の進行を待つ。
「勿論だ。計画通り男2人を捕まえた。約束通りポイントを貰おう。」
そういえば先輩さっきバイトって言ってたな。確かに彼女が人の下で働くなんて考えにくい。おそらくポイントがなくなりかけて、チェスで増やそうとしたら不運にもオレと対局。ポイントが少なくなってしまったところにちょうど堀北が話を持ちかけたのか。考察を終えると鬼龍院は解体を確認し「たしかに」と言った。約束のポイントが振り込まれたのだろう。これで次に進むと思ったが、
「ああ、そうだ堀北会長。」
「なんだ?」
それは鬼龍院先輩によって止められた。
「この先もまた雇っていただきたいと思ってね。なんせ、学校でこんな面白いことが起こっているのなら蚊帳の外で眺めるなんてのは性に合わないものでね。」
「こちらとしては実力十分なお前が手足となってくれるのなら大歓迎だが...いいだろう。詳細はこの後きめる。」
「それはありがたい。精々穴のない様に詰めるとしよう。」
鬼龍院先輩も納得したのか背もたれに体を預け足を組みお茶を飲み始める。そんな彼女は放置して4人で話し合いが始まった。
「取り敢えずは一之瀬、災難だったな。事前に防ぐ術もあったが今後の戦略のため、今回はこのような結果となってしまった。」
「い、いえ、私は気にしてませんので大丈夫です。」
一之瀬は堀北の謝罪に気にしていないと言ったが、本心は違うだろう。ここ三ヶ月でこんな怖い事件が2回もあったのだ。それなのに....
「そうか、なら始めよう。今日話すのは正直一つだけで、今後の南雲への対策だ。まずは奴の今後についてだが________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________
オレと一之瀬はすっかり暗くなった中、街灯の明かりを頼りに歩いていた。
堀北会長達と別れたオレと一之瀬はお互い少しの距離を空けながら一年生の学生寮へと帰っていた。
あの後、話し合いは一時間もすれば終わった。会長司会のもと、各々がそれぞれ意見を言い合って今後の行動も決まった。だがオレ達2人は満足に会話ができていなかった。なぜならば一之瀬がオレの本性に気付いたからだ。正義感の強い彼女にとって憧れだったオレの正体がこんなドス黒いものだったなんて信じたくないだろう。それに今日また男子に襲われたんだ。軽く異性を嫌いになってもおかしくない。そんなこんなで何も喋ることなくオレ達は寮に着いた。
エレベーターのボタンを押す。
エレベーターが来るのを待つ。
エレベーターのドアが開く。
エレベーターに乗り込む。
各々の階を押してドアが閉まる。
ここまで何も話さないと多少の...いや、すごく気まずいがオレは一之瀬の前で仮面の自分を演じていた。言い訳も出来ないし、絶交と言われても何も言うことはない。一之瀬はオレと関わらないほうが良い。いやでもそう思ってしまう。
やがてエレベーターはオレの部屋がある四階についた。オレは一之瀬の方を振り返らずエレベーターを後にする。
これで良かったんだ。
このまま疎遠な関係になれば一之瀬が危険に巻き込まれる可能性は低くなる。一之瀬には俺と同じ枷を負わせたくない。
そうだ
初めからこうすればよかったんだ。
俺はエレベーターを出て自分の部屋に向かおうとする。しかし聞こえてしまった。自分のローファーとは違うローファーの音が。
「この階にお前の部屋はないぞ、一之瀬。」
振り返らなくてもわかる。後ろにいるのが一之瀬であると。もしかしたらと期待してしまったが降りてほしくなかった。
また諦めなくなってしまうから.........
「少しお話がしたいの。綾小路くん。」
その目は先ほどとは違って何か決意した目だったがオレの心境は変わらない。
「ダメだ。お前もわかっただろ?オレと関わったらロクなことにならない。だから....」
「もしやだって言ったらここで大声出すから。」
「...は?」
急に突拍子のないことを言ってきた。ここで大きな声を出して何の意味があるのだろうか?
「ええと、入れてくれなかったら綾小路くんに泣かされたって...言うからね???」
本人もいきなりのキャラ変換で自分の言葉を理解できていなかった。目をくるくるさせながら言葉を発している。
....フフッ......
そんな姿はオレに笑顔をくれる。根負けだ。
「こんな夜に大声を出されたら近所迷惑だ。何もないが上がってくれ。」
「うん!!」
その時の一之瀬の笑顔はこれまで見た笑顔の中でいちばん輝いていた。
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「すごい綺麗にしてるんだね。私の部屋より綺麗かも....」
「単に物が少ないだけだぞ。買ったものといえばそこにある絨毯くらいだ。」
オレは一之瀬を部屋の奥に案内し台所の棚からお茶葉を取り出す。お湯は給湯器の中にあるのですぐに緑茶を2つ持って一之瀬のところへ行く。一之瀬は何故かベッドの上に座っていたのでオレは丸いテーブルを挟んで絨毯側に座る。2人で緑茶を飲みながらオレは早速話を展開させる。
「それで話ってなんだ?」
もちろん、話の予想はつく。だがあえて一之瀬に質問した。これから話す内容を少しでも話しやすくするために。
「私ね、この学校で尊敬している人がいっぱいいるんだ。その中で特に3人。1人目は堀北会長。高い学力、身体能力はもちろん、歴代最高の生徒会長と呼ばれるほどの統率力には本当に尊敬してる。2人目は南雲先輩、会長と同じで高い能力を持っていて何より私を生徒会に引き入れてくれた。」
一之瀬はそこで俯いた。
「だけど.....南雲先輩が私を誘ったのって、私を利用するためだったんだよね?」
「...一之瀬...」
「分かってるよ、綾小路くん。私にとって先輩は恩人とも言える人だったからちょっと動揺してるだけ。きっと吉田先輩の時も先輩の仕業だったんだよね。」
「...ああ、そうだ。南雲は吉田先輩を使って一之瀬を精神的に再起不能にしようとしたんだ。結果失敗に終わって口封じのために吉田を退学させた。今回の2人もアイツにとっては捨て駒としか思っていないだろう。」
一之瀬は勘がいい。おそらくほとんど真実にたどり着いているだろう。ここで嘘を言っても仕方がない。
「だから今日、私は自分の立ち位置を確認できた。私は今までずっと攻撃を受けていた状態だった。けれどそんな私を一番近くで守っていてくれた人がいた。それが私の三番目に尊敬する人である綾小路くんだった。」
オレは何も言わずに静かに一之瀬を見つめる。今は余計な口を挟む必要はない。
「初めて会ったときは実は警戒してたんだ。別クラスにこんな頭のいい人がって思って....。だけど同時にいい人とも思った。だから盟約を結びたいと思ったし、須藤くんの事件の時は手伝いたいと思ったんだ。それで須藤くんの事件が終わった後、私を守ってくれた優しい人、かっこいい人。」
一之瀬は言葉を続ける。
「無人島試験ではリーダーとして引っ張って、船上試験では協力して大勝を勝ち取れた。さっきも助けてもらった。」
「そうだな。それで見ただろ?オレの本当の姿を。」
「.........うん..........」
「オレは昔からあんな感じなんだ。相手を脅したりして物証を手に入れたりしないと生き残れなかった。騙してて悪かった。」
「騙してたなんてそんな!私はすごく嬉しかったの。」
「え?」
「私は綾小路くんの過去を詳しく知らない。もちろん、言いたくないことだったら全然言わないでもらって構わないのだけれど、そんなことよりも綾小路くんは私がピンチの時に私の前では隠しておきたかった自分の暗い能力を駆使してまで私を守ってくれた。それに大切な人だって言ってくれた。」
「それはそうだが、いいのか?オレの方針は一之瀬とはほぼ間違いなく真反対なんだぞ?そんなオレの近くにいたらいつ一之瀬がオレのような考え方になってしまうか....」
「むぅ、そんなこと言うのならさっきの食事で出た台本につきあってあげません!!」
一之瀬は頬を膨らませそっぽを向くようになった。
「ちょっと待て、あれはお前のことを一番考えたものなんだ。あれ通りにいけばお前は必ず.....」
「ほら、君はやっぱり私のことを思ってくれてる。」
「うっ、」
何も言い返せない。言葉通り彼女を救うために立てたものだからだ。
「私の性格とか、立ち位置とか、安否のことなんかどうだっていいの。私は綾小路くんの大事な人なんでしょ?私も綾小路くんのことはすごく大事だよ?私は綾小路くんと一緒にいたいの。ダメ....かな?」
断られるかもしれない。そんな恐怖からか目元が少し赤くなっている。オレは言葉を出せなかった。本当にいいのか?真っ白である彼女をオレのドス黒い色に触らせても。一度ついた黒は何をしても取り消すことはできない。それでも、いいのだろうか?
「一之瀬」
「!っはい!」
「さっきはつい口走ってしまったが、オレは大切なものを守るためならどんな手段も使う。それこそ鬼にも悪魔にもなる。」
「...うん....」
「きっとお前の尊敬している南雲とすら戦うだろう。そんなオレだけど....」
「いいんだよ。」
「え?」
「だって綾小路くんは私を守るために戦う。それ以外ならこんな無茶な橋渡りをしないと思う。」
「それはそうだが。これはお前の理念に反することだ。そんな奴と一緒にいたいと思うのか?」
「...うん。..思うよ。」
オレは立ち上がり台所に向かう。飲み物のおかわりを取るためだ。それから戻ると一之瀬は不安そうな顔をしていたが、オレの顔を見ていつものような笑顔に戻っていった。
「綾小路くん、一緒に見たい映画があるんだ.......」
次回は映画館でお会いしましょう。