ようこそホワイトルームが無くなった世界へ   作:好きjaなくないない無い

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これからは本業もあるので不定期投稿になります。
何卒よろしくお願いします。


幕開け(4)

翌日から堀北たちは正式にDクラスの勉強会に混ざった。最初は反対した生徒もいたが、反対側は徐々に減っていき一週間もすればほとんどのクラスメイトが彼らを受け入れてた。堀北や須藤も決して邪魔をしにきたわけではないため比較的真面目に取り組んでいる。須藤は集中力がないと思っていたが堀北がマンツーマンで教えている甲斐もあってどんどん基礎学力が定着していっていた。テスト勉強は順調でほとんどの人がオレが作った簡易テストで70点以上をマークしていた。

 

「綾小路くんって本当にすごいよねー。」

 

テストを採点している時に櫛田がオレに話しかけてきた。

 

「そうか?このくらいみんなもできると思うぞ。」

 

「そんなことないよ。みんなを引っ張っていけて勉強も出来る。」

 

「それに顔も悪くないしね。」

 

話に入ってきたのは女性陣。最近は平田だけじゃなくオレにも質問を聞きにきている。少しは仲良くなったと解釈しておりそこには嬉しさもある。そんな中、

 

「おー劣等生のDクラスども。頑張ってんなー。」

 

茶々を入れてきたのはおそらくAクラスの連中だろう。

 

「何だよ!邪魔するなら失せろ!」

 

須藤がキレ気味に相手を威嚇する。その短気な性格は直さないといけないな。

 

「へっ、言われなくてもそうするさ。無駄な努力頑張ってくれ。」

 

そう言って彼は図書室を後にした。

 

「どう言う意味かしら?」

 

「確かにね。無駄な努力ではないと思うけど。」

 

堀北や平田は今の言葉に多少なりとも引っ掛かりを覚えたらしい。もちろんオレもだ。それ以前に今回のテスト範囲は少しおかしかった。5月までの授業内容と多少、いやかなりズレていた。

 

「まさか、________

 

 

 

 

 

 

「これで帰りのホームルームを終わる。テストまで一週間だ。やっていると思うが勉強を疎かにしない方がいいぞ。」

 

帰りのホームルームで茶柱先生が淡々と連絡事項を話す。ここで平田が手を挙げ、

 

「先生、そのテストについて質問があります。テスト範囲の内容ですが僕たちが高校で習った範囲と大きく逸脱してます。訂正などはないんですか?」

 

「ん?ああ、忘れてた。実は3日前に範囲の変更があったんだったな。ありがとう平田、お前のおかげで思い出した。」

 

先生はそれだけ残して教室をさった。抗議とも言える声に耳を傾けず。

 

「ふざけんなよ!この三日間が水の泡じゃねぇか。」

 

「もう終わったわ。受かる気がしない。」

 

怒りと絶望が押し寄せ生徒のほとんどがやる気を無くしていた。

 

「大丈夫。今回のテストを全員で切り抜ける方法はある。」

 

ここで平田が積極的に発言する。多少の動揺は見えたがその瞳には冷静さが見えるのでオレは彼の話を聞くことにする。

 

「どう言うこと?平田くん?」

 

女子のリーダーである軽井沢が思い切り立ち上がって催促する。

 

「それは全員で点数を調整することだ。この学校のテストの赤点は平均点の半分。つまり平均点が低ければ低いほど赤点のボーダーも低くなるんだ。今回は正直僕もポイントが欲しいけれどそのせいで誰かがいなくなるのは嫌だ。」

 

平田はこの場で救世主とも言える発言をした。しかし、

 

「平田、それは容認しかねる。」

 

反論したのは幸村。小テストでも85点をマークした頭の良い生徒だ。

 

「どうしてだい?」

 

「俺は恩恵を授かるためにこの学校に来たんだ。だからこそ是が非でもポイントを貯めてAクラスにならないといけないんだ。」

 

「私もメガネボーイに賛成さ。」

 

「高円寺くんまで、」

 

高円寺の第一印象は自由人。しかしそれ以上にステータスは優秀だ。

 

「私もポイント不足でね、正直に申すと金欠なのさ。だから君たちに構ってポイントを得るチャンスを無碍にしたくないね。」

 

「サイテー。」「ウザ。」と言った暴言が聞こえるが高円寺は気にした様子もない。しかし思った以上にポイント優先の人が多く比率はほとんど一対一だ。

 

(ここまでだな、)

 

オレは席を立ち平田と幸村の間に入る。

 

「まぁ、2人とも落ち着け。2人とも正解だ。平田の案は人間として。幸村の案はこの学校としてだがな。」

 

「綾小路。オレは別に無闇にクラスメイトを失いたくない。だからってAクラスを目指すことを放棄するわけじゃない。」

 

「幸村の意見はもっともだ。けれどもしその双方の条件を飲む案があったらどうする?」

 

オレの言葉にクラスの全員が顔を向ける。そこには絶望の中に少しの希望が見えたようだった。

 

「綾小路くん。もしかしてその案をもう思いついたのかい?」

 

「ああ、と言ってもこれは少々賭けでもあるんだが。」

 

そう言ってオレが出したのは約10枚ほどのプリント。

 

「綾小路くん、これって。」

 

「ああ、去年の中間テストの問題用紙と解答だ。おまけに小テストもついている。」

 

平田と幸村を初めて堀北も集まってきた。

 

「今回の範囲は正直おかしいと思ったんだ。これまで習ったところとの範囲を大きく逸脱している。だが、変更された範囲とこのテストの範囲は一致している。」

 

「だからってこの問題がそっくりそのまんま出るとは限らない。」

 

幸村はそう反論した。

 

「オレもそう思うがその前にその小テストも見てくれ。」

 

オレは幸村に小テストのプリントを渡す。頭の良い幸村はそのプリントを見ただけで気づいた。

 

「コレは、この前の小テストの問題と一字一句一緒だ!」

 

「その通り。だからこそこのテストがそのまんまとは言わないが、かなり高い確率で類似した問題が出ると踏んでいる。」

 

「そうか!ならこれをフル暗記すればテストをクリアできるってことだな!綾小路!」

 

池が嬉しそうに叫ぶ。

 

「ああ、だからって闇雲に単語を覚えるだけじゃダメだ。残りの一週間でしっかりと範囲を暗記してもらうぞ。」

 

「えーっ!」と言う反応があると思ったが、希望が見えたためかみんなそこまで幻滅していなかった。むしろ今までで一番団結している。

 

「けれどどうやってコレを手に入れたんだい?」

 

「先輩に頼んだんだ。2万ポイント払ったが安いと思ったし、オレは今金を持っているからな。」

 

「そうだったんだね。ありがとう。せめてプリント代は僕に出させて。」

 

「私も!ポイントまだちょっと残ってるから。」

 

「分かった。なら、俺たちは図書室で勉強しよう。時間が惜しい。早く行くぞ。」

 

平田と櫛田にプリントを預け俺たちは図書室へ向かう。もちろん図書室に向かわない自由人(高円寺)もいたが。

 

「綾小路くん。ちょっと良いかしら?」

 

「なんだ?堀北?」

 

「ちょっと小耳に挟んだんだけどあなた龍園とか言うCクラスのリーダーとご飯を食べに行ったとか。あなたなら大丈夫だと思うけどこの作戦を読まれたりしていないでしょうね?」

 

「安心しろ。今回はあいつらと共闘している。」

 

「共闘?どう言うことかしら?」

 

「それはテストが無事終わった後で説明する。」

 

 

 

 

 

 

 

その一週間後テストの結果が発表された。俺達の中から退学者が出ることはなかった。

 

「やはり、お前達なら乗り越えられると思っていたぞ。この結果には少々驚いたが喜んでいい。お前達は立派なことを成し遂げたぞ。」

 

茶柱先生は一言俺たちを褒めて結果が乗っているであろうプリントをホワイトボードに貼った。

 

 

         平均

1位 Dクラス  89.4点

2位 Bクラス  88.4点

3位 Cクラス  87.9点

4位 Aクラス  83.7点

 

 

 

 

 

クラスメイトはこの結果に歓喜し、平田や櫛田を中心に喜びを分かち合っている。オレはそれを席から眺めていた。その横からの声を聞くまでは。

 

「綾小路くん、前に言ったこと覚えていないとは言わせないわよ。今なら他の人に聞かれることもないわ。」

 

「そうだな。じゃあ説明するぞ。今回のカラクリを。」

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