聖剣憑依主だったのに幼女を操ってる件について   作:無機物憑依ちゃん

2 / 11
第一話 幼女ちゃんなんで俺に執着するの?

 

 

 

 

 

 呪いの武器になった場合、人間に持ってもらうことは罪ですか?

 何百年と放置されてそのまま精神発狂する可能性あるので、誰かに呪われてくれっていうクソな発想する俺がいます。そうじゃないと詰みになっちゃうからな! 罪と詰みをかけたわけじゃねえぞ!

 

 

 ってわけで幼女ちゃんお願いだから俺を手に持ってくれ!

 呪いの武器だけど! 俺が幼女ちゃんの意識乗っ取っちゃうけど! ちょっとあれ、クソ過ぎてやばい奴とか、意識乗っ取っても問題ない系の誰かに押し付けることが出来るまでしばらく身体を貸してほしい……ってなんか変態っぽいな!

 

 ああくそ、どうしろっていうんだよ!

 

 

「……んっ」

 

 

 不意に、目をぱちりと開いた幼女。

 その瞳はハイライトがなく、死んだ目をしている。ゾンビが蘇ったかと思ってしまったぐらいだ。

 

 幼女はキョロキョロと何かを探して、そうして俺を見た。

 ナイフである俺を見て、それに手を伸ばす。

 

 ギュッと握りしめられて────そのまま視界がグルンと回転した。

 

 

「……なんで?」

 

 

 焦っていた感情は、彼女の行動によって一気に鎮火された。

 

 幼女といっても、何も考えられない年じゃない。

 

 危機感はあったはずだ。

 意識を乗っ取られた感覚はあったはずだ。

 

 じゃあ何で俺を手に取ったのか。

 

 もしかして寝ぼけていたのだろうか。

 いや馬鹿げてはいるけれど、ぼんやりとした意識のままだったから呪いの武器である俺を手にする危険性に気が付かず、握ってしまったとか。

 

 いやまあ幼女ちゃんに必死に問いかける形で「呪われてくれぇ!」とは思ってしまったけれど、さすがに罪悪感が沸き起こる。

 

 

「……怖いけど、仕方がないか」

 

 

 ちょっとだけ試す形で俺は自身の本体たるナイフをぶん投げた。

 即座に視界が回転。身体がくるりと宙に浮かぶ感覚に支配される。

 

 幼女の力だからかそこまで飛ばなかったけれど、くるくると回った視界が地面に突き刺さる形で安定するのが分かった。

 少しだけ遠くの方に幼女が倒れているのが見えた。

 

 ってかこの身体、目や耳がないのに何で五感が働くんだろうか。

 身体っていうか、このナイフというか。一応自分の意思で動けるわけじゃないけれど、頑張ればちょっとだけ揺れ動くことは出来そうだ。まあほんの数ミリだけれども。

 

 呪いの武器だからか?

 それとも俺が憑依したせいか?

 

 いろいろと考えているうちに、幼女がまた目を覚ます。

 キョロキョロと何かを探しているような動作。死んでいるような目が、俺を見た。

 

 ふらつきながらも俺に向かって近づく幼女。

 たまに転んで、呻いているのが聞こえる。可哀そうだと思わず駆け寄りたくなったけれど、今の俺の身体じゃ何もできない。

 

 身体中土だらけに汚れて、膝をすりむきボロボロになっていても、何故か幼女は俺しか見ていない。

 俺以外は何も目に映っていないかのようだった。

 

 

(もしや俺に魅了されてる? 呪いの武器だから何かしら影響受けてる? いやでもそれにしては様子がおかしいような……)

 

 

 まあずっと様子がおかしいけれど、幼女は俺の声なんて届かず必死に手を伸ばして小さな手で掴んできた。

 また意識が幼女の方へ移動する。

 

 あの執着度、身体が傷だらけでも泣かずに俺に手を伸ばす姿は明らかに異様。

 呪われてるのか何なのかは分からないけれど……。

 

 

「……この村で何があったんだろ」

 

 

 幼女がこうなる理由があったはずだ。

 俺が転生して、幼女の身体に入った理由もあるかもしれない。

 

 呪いの武器が安易に村の中にあるはずがない……と思うから。たぶん。

 

 

 とりあえず調べてみよう。

 村で何が起きたのか。自分の本体たるナイフについても。

 

 

「なんか見たことあるような気がするのも、きっと意味があるはずだ」

 

 

 傷ついた身体に少しだけ鈍痛が走るけれど、先ほど幼女を試してしまった俺の罰だから仕方ない。

 

 早くこの子供が安心できるように。

 俺が罪悪感も何もないクソ野郎な誰かに託せるように。

 

 とにかく調べよう。まずはそこからだ。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。