ラブライブ!~たった一人の男子とスクールアイドル~(凍結)   作:TRcrant

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こんにちは、TRcrantです。
第14話になります。

まさかの二日連続投稿ですが、今回もオカルト要素がありますので、苦手な方はご注意ください。


第14話 衝撃的な真実

思い浮かぶのはあの時のこと。

 

「なあ―――」

 

誰かが僕を呼ぶ。

 

「おまえさぁ―――」

 

それは遠い昔の出来事。

 

「―――せるなら、やってみろよ」

 

そう、それは僕にとっては忌々しい出来事。

 

「この化け物」

 

それはすべての切っ掛けの言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!!?」

 

慌てて起き上がると、そこは良く見慣れた場所だった。

 

「はぁ………はぁ」

 

まるで全力疾走したかのように、息を切らしていた僕は周囲を見渡す。

そこはどう見ても別宅だった。

 

『おぉ。目が覚めて良かったぜ旦那』

「……心配かけたな」

 

何とか乱れた息を落ち着かせた僕は、横で見張るように立っていた男に起き上がりながらそう返した。

 

『何のこたぁない。そろそろ、彼が来るから、俺たちは退散するとしよう』

 

そう言って、気配が一気に散っていった。

どうやらこの部屋に別宅にいる霊体のほとんどが集結していたようで、それが無くなったとたんに、一気に寂しげな場所へと変貌した。

 

(幽霊しか友達がいないというのは問題だよな)

 

未だに友人らしい友人が作れていない。

慶介を除いて。

 

「浩介!」

「父さん!?」

 

そんな僕の考えを振り払うように、乱暴にふすまを開け放ったのは父さんだった。

 

「目が覚めたか! どこかおかしなところはないか!」

「ないから! というか鬱陶しい!!」

 

ものすごい形相で肩をつかんで揺らしてくる父さんの手を振り払いながら答えた。

 

「その様子なら、大丈夫そうだな」

「少しだけ倦怠感はあるけど大丈夫だから。そのお香のおかげで」

 

僕は部屋の片隅に置かれたモクモクと煙を上げている器の方を指示しながら答えた。

 

「そうか。して、今回の発作の原因だが……」

 

そう言って僕の前に一枚の用紙を置いた。

 

「この人……」

 

『絢瀬絵里』

 

名前の欄にそう書かれていた少女の顔は紛れもなくあの生徒会長の顔だった。

 

「どう見る?」

「表情からは若干程度の穢れを感じる。目からは微弱なマイナスなものを感じさせていく……父さんは彼女が原因だと?」

「ああ。俺はお前が前に発作を起こした時の原因を知っているからな」

 

父さんのその言葉に、僕はふと昔のことを思い起こした。

約2,3年ほど昔にも、今のような発作を起こしたことがあった。

あの時はかなりひどかったらしく、目を覚ました時は錯乱状態で医者の手にも負えなかったらしい。

とはいえ、その時のことは全くと言っていいほど覚えていないので、よくわからないが。

 

「浩介が発作を起こす時。それは、とてつもないほどの穢れを持った邪なものを見た時だ。人か、それとも物か幽霊かは知らないが」

 

父さんの言うとおりだった。

発作を起こした瞬間、僕は確かにそれを見たのだ。

どす黒く、まるでこの世界を飲み込むのではないかと言えるほどの穢れを持つ邪な者の姿を。

 

「………」

 

できれば、その時のことは思い出したくなかった。

 

「この人物が、とてつもない穢れを持つ邪な者なんだろ?」

「いいえ。違います」

 

僕は即答で否定した。

 

「確かに、彼女は穢れを持っていますが、発作を起こすほどの穢れは持ちません。いたって普通のレベルです」

「…………なぜそこまでかばう?」

「庇ってなどいません。ただ純粋に彼女は原因ではないと言っているんです」

 

父さんの問いかけに、僕は目を閉じて答えた。

 

「父さんは、学校という場所にどれだけの邪なものが集まっているか知っていますか?」

「……もちろんだ」

 

学校という場所ほど、邪のなものが集まりやすい場所はない。

いじめなどを受けた人物の苦しみ憎しみが建物に染みつき、それがやがては学校全体を侵食して異界化させてしまう。

それが”怪奇現象が起こる学校”と呼ばれる状態だ。

テレビなどで取り上げられる心霊スポットと化した廃校がいい例だ。

 

「確かに、私は邪なものを見ました。ですが、それが彼女自身から出ているのかそれとも学校に染みついているのかは断定はできません。それに、あそこには相手に壁があると思わせるほどの強い力を持った生霊もいます。ですので、一概に彼女が原因であると決めつけるのは不可能です」

「…………そうか」

 

長い沈黙の末、父さんは静かに口を開いた。

 

「今回は大事には至っていないからいいが、そうなってからでは遅い。ここから先は、言わなくてもわかるだろ?」

「ええ。これでも神官の血筋ですから」

 

父さんの言わんとすることは分かりきっていた。

 

「異界化しないよう、注意をしろ」

「分かりました」

 

それが父さんなりの譲歩だと分かったからこそ、僕は父さんの指示に素直に頷いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に大丈夫なのか?」

「ええ。問題はありません。行ってきます」

 

翌朝、いつものように高坂さんたちの早朝練習に付き合うべく、神田明神に向かおうとする僕に門前で心配そうに尋ねてくる父さんに答えると一礼をしてランニングの要領で目的地に向けて走り出した。

 

(うん。大丈夫。何も変わらない)

 

体の動きに無駄もなく、切れもある。

先日倒れたことがまるで嘘のような回復ぶりだ。

そんな快調な体調のままいつもの日課である浄化を行うべく神田明神に向かったのだが……

 

「お、今日はうちの方が早いかったみたいやな」

 

神社にはすでにこの間会った巫女さんの姿があった。

箒を手にしているところを見ると境内の掃除のようだ。

 

「えっと、巫女さんですよね?」

「そうやよ」

 

僕の問いかけに、巫女の女性は答えた。

その姿はまるで大人の女性を思わせるほどに包容力を感じられた。

別に、ある部分を見て言っているわけではない。

 

「あの、失礼なことをうかがってもいいですか?」

「ええよ。まあ、余り失礼な内容だったら怒るけど」

 

何だか後半の方でものすごく怖いことを言っているような気がするが、僕はとりあえず疑問を女性にぶつけてみることにした。

 

「前に一度、お会いしませんでしたか?」

 

それはこの間から感じていた疑問だった。

どうも初めて会ったような気がしないので。

神社以外の場所でも会っているような気がしたのだが、ナンパのようであまり聞きたくはなかったのだ。

とはいえ、このまま疑問をくすぶらせておくのは気が弾けるので、疑問をぶつけることにしたということだ。

 

「会っとるよ?」

「え!?」

 

女性から返ってきた答えがあまりにも衝撃的なものだったため、僕は思わず驚きの声を上げてしまった。

 

「音ノ木坂やろ? うち、そこの生徒なんよ」

「そうだったんですか。すみません」

 

どうやら、この女性は僕が通っている学院の生徒だったようだ。

 

「うちは、3年の東條 希。生徒会で副会長をしてるんよ」

「ご丁寧にどうも。私は2年の香月高輔で……って、生徒会?」

 

ふと女性……東條先輩の言葉に引っ掛かりを覚えた僕は自分の自己紹介を止めた。

 

「そうやよ」

「ということは、一緒にいたあの人の……」

「パートナーでもあるし、友達なんよ」

 

それはある意味衝撃的な真実だった。

 

「そう言えば香月君、昨日倒れたって聞いたんやけど、大丈夫なんか?」

「あ、はい。おかげさまで。すみません、ご迷惑をおかけしてしまい」

 

ふと思い出したのか、心配そうに体調を聞いてくる東條先輩に僕は大丈夫だと答えながら、先日迷惑をかけたことを謝った。

 

「うちは何もしておらへん。香月君を保健室まで運んだのは理事長とエリチだけや」

「そ、そうなんですか」

 

(エリチって誰?)

 

相槌を打ちながらも、東條先輩が口にした”エリチ”が誰のことなのかに頭を悩ませていた。

 

「あ、エリチっていうのは生徒会長のことな」

 

(絵里でエリチか。東條先輩ってかなり変わった人だよな)

 

本人が知ったらかなり怒るであろうことを心の中でつぶやいた。

 

「エリチあんなんやけど、とっても優しい人なんよ。ただちょっと無理しすぎるだけで」

「まあ、なんとなくは分かりますけど」

 

東條先輩の言っている人物像が中々想像できないが、それほど間違えてはいないような気もした。

 

「やから、あまりエリチのこと責めないであげんといて」

「誤解しているようですけど、別に今回のことで彼女を責めたりする気はありません。すべては自分の不徳が招いたことですから」

 

東條先輩の言いたいことがわかった僕は、首を横に振りながら言った。

 

「それって、どういう意味なん?」

「それよりも、話をしてていいんですか? バイトとは言え、サボっていたら雇い主の神主さんに怒られるんじゃ?」

 

さらに詳しく聞いて来ようとする東條先輩との話を終わらせるべく、僕はそう尋ねた。

 

「あ、そうやった。それじゃ、頑張ってや」

 

東條先輩の激励を受けて僕は一礼すると、いつも高坂さんたちがいる表側の階段のところに駆けていった。

 

いつもの場所に到着すると、すでに準備体操を済ませてこれから駆け出そうとしている高坂さんたちの姿があった。

 

「ごめん、遅れた」

「あれ? 大丈夫なの。昨日倒れたのに」

 

駆け寄りながら慌てて謝ると、南さんが心配そうに声を掛けてきた。

 

(やっぱり理事長の娘だ)

 

分かりきったことではあるが、これで確信が持てた。

僕が倒れたのは父さんとその場にいた生徒会長に理事長と、東條先輩の四人だけのはずだ。

それなのに南さんが僕が倒れたことを知っているということは、紛れもなく理事長やそのほかの人物の関係者ということになる。

苗字から言って一番確実なのは理事長からということになる。

 

(まあ、そんなことを得意げに分かったところで意味はないんだけど)

 

利用するにしてもそもそも理事長の方から反対意見らしいものは出ていない。

何より、理事長はほとんど中立的な立ち位置を崩してはいないのだから、意味がないのだ。

 

「私もことりちゃんから聞いてびっくりしたんだよ? 大丈夫なの?」

「大丈夫だから来てるんだけど」

 

まあ無理をしている可能性もあるから当然だけど。

ちなみに、無理はしていない。

 

「園田さん。カウントダウン」

「あ、はい。よーい、どん!」

 

僕に促された園田さんは慌てた様子でカウントダウンをした。

 

「ちょっと! いきなりずるいよ、香月君!!」

「ほら、早く走れ。時間は待ってくれない。どんどん過ぎていくぞ」

 

そんないきなりのカウントダウンに抗議の声を上げる高坂さんに、僕は急き立てるように言うと、高坂さんは渋々と走り出した。

それに僕も続く。

こうしていつものランニングを含めたトレーニングを終えるのであった。

 

「それじゃ、理事長はOKだって言ってくれたんだ」

 

休み時間、プレゼンの結果を聞いてきた高坂さんたちに、僕は先日のことを話した。

 

「そんなところ。これでいつでもサイトを開設することができるようになったから、後は写真撮影だけ」

「写真?」

「おいおい、言ったじゃないか。メンバーの集合写真と個人の写真を撮影していくって」

 

僕の言葉に、首をかしげる高坂さんに僕は若干呆れながらこの間説明したことを伝えた。

 

「あー! そういえばそんなことを言ってた。はっ!? 私まだプロフィールを書いてない!!」

「………ほ、穂乃果ちゃん落ち着いて。今すぐじゃないんだよね?」

 

色々と思いだしたのか頭を抱えて大きな声を上げる高坂さんに、南さんがあわてた様子で宥めた。

 

「まあ、色々な作業があるから二,三日は猶予はあるけど、高坂さんは絶対に忘れそうだから、明日には出して」

「はーい。すっかり信頼されてない……」

「自業自得です」

 

ぶつぶつとつぶやく高坂さんに、園田さんがさらりときつい言葉を投げかけた。

 

(何だか、みんないろんな意味で個性的だよな)

 

いい意味なのかどうかは分からないが、僕はまた三人についての新たな発見をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み、昼食を手早く済ませた僕は、ある場所を訪れていた。

 

「………よし、入るか」

 

そこは生徒会室。

一般生徒があまり縁もないような場所に、僕は再び訪れていた。

 

「失礼します」

「あ……」

 

ノックをしてドアを開けて中に入った僕を出迎えたのは、いつの日と同じように生徒会長だった。

 

「何の用?」

「先日の件でお話が」

 

”先日の件”たったそれだけの単語に、生徒会長は肩を震わせて僕から視線を逸らした。

 

(全く、そんな態度をされるとこっちの調子が狂うな)

 

思わず苦笑したくなるが、それを必死に隠した。

そして僕は

 

「大変失礼しました」

「え?」

 

生徒会長に向かって頭を下げることで謝罪の言葉を口にした。

 

「ちょっと、どうしてあなたが謝るのよ」

「いきなり倒れてかなり生徒会長にはご迷惑をおかけしましたから。これで足らないようでしたら土下座でもしましょうか?」

 

生徒会長の驚きに満ちた表情で投げかけられた問いかけに、僕は答えながら尋ねた。

 

「い、いいわよ。そこまでしなくても」

 

(…………本当によくわからない人だ)

 

慌てて止めようとする生徒会長の姿に、僕は心の中でつぶやいた。

 

「それで、ほかには何かあるの? 貴方のことだからまさか、謝るためにわざわざ来たわけではないわよね?」

「………」

 

さすが生徒会長と呼ばれるだけはある。

僕の性格を一部ではあるもののしっかりと把握していた。

 

「気を付けてください。あなたはご自身が思っているよりも、かなり危険な爆弾を抱えうる存在です」

「はい?」

 

僕のあまりにも突拍子もない内容に、生徒会長は目を瞬かせた。

 

「その爆弾を爆発させないよう、十分に気を付けてください。それでは」

「ちょっと、待ちなさ―――」

 

呼び止めようとする生徒会長を無視して、僕は生徒会室を後にした。

 

「一応警告はした。あとは、当人の心がけ次第」

 

生徒会長が抱える爆弾が爆発寸前になれば、”あそこ”も本格的に動き出す。

そうなれば、生徒会長に生き残る道はない。

 

(できればそうならないことを祈るばかりだ)

 

僕は心の中でそう思いながら、足早に生徒会室を後にする。

 

(鍵は副会長である東條先輩か)

 

彼女には僕には及ばないものの、不思議な力を秘めている。

それがうまく動いているからこそ、生徒会長はこれまで爆弾を爆発させることがなかったのだ。

言ってみれば、それは巫女の恩益というのが最適だろう。

しかし、それが今後も続くという保証はない。

何らかの要因によって、悪化する可能性だって考えられる。

それを防ぐ鍵は、彼女が”有能”な人間になること。

それは、頭のよし悪しではない。

もっと別の問題だ。

 

「まあ、なるようになれ。それしかないか」

 

結局のところはそう言う結論となった僕は、教室へと戻るのであった。




感想やアドバイス等、お待ちしております。

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