ラブライブ!~たった一人の男子とスクールアイドル~(凍結)   作:TRcrant

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こんばんは、TRcrantです。
大変お待たせしました。

PCの買い替えなどがあり、投稿が遅れました。
何を土地グルったのか、24型のモニターを買ってしまい、とんでもない状態に陥っていたりもしますが、最新話のほうをどうぞ


第15話 練習と新たな

この学院に来てから、実に一週間以上が経過していた。

だからなんだというわけではないのだが、ここまでくれば慣れてきてもおかしくはない。

 

「香月君、今日こそ屋上で練習に付き合ってもらうからね」

「人をまるでサボり魔のように言わないで。それに今日は何もないから端から行く気だったし」

 

確かに連日放課後の練習には顔を出していないから僕が悪いのだが。

とはいえ、サボり魔のように言われるのだけは納得がいかなかった。

 

「だって、今まで色々な理由で出てこなかったんだもん」

「はいはい、どうもすみませんでした。というより、こういうことをしている暇があるのなら練習に行った方がいいんじゃ?」

 

僕の言葉に反論をする高坂さんに投げやりに謝りながら、僕は練習に向かうよう促した。

 

「それもそうですね」

「穂乃果ちゃん、行こう」

「むー。ま、いっか」

 

それほど重要なことでもなかったのか、それとも彼女の性格が故か。

どちらかは定かではないが、園田さんと南さんと共に放課後に練習をしていると思われる屋上へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせ―」

 

練習用の服に着替えるとのことで、先に屋上に来ていた僕のところに、着替え終えたのか高坂さんたちが姿を現した。

 

「ねえ。どうどう。似合う?」

「は?」

 

目の前で一回転しながら尋ねてくる高坂さんに思わず目を細めてしまった。

 

「何をやってるんですか?」

「だって、男子だよ! スクールアイドルとして聞いておきたいなーって。あ、そうだ。海未ちゃんとことりちゃんの服装も似合ってるか言ってあげてよ」

 

理解できるようなできないような理屈に、僕はため息を一つ漏らすと三人の服装を確認してみた。

赤色の帯みたいな模様が横に描かれたシャツにズボンを着ている園田さん、黄色いシャツに灰色っぽいスカートの服装の南さん、そして水色に大きく”ほ”の字のシャツを着て赤いスカートにソックスなのかはわからないが履いている高坂さん。

一言でいえば性格が服装にも出ているような気がした。

 

(って、僕は何をまじめに観察してるんだ?)

 

思わず観察している自分に、僕はため息を漏らした。

 

「知らん」

「ちょっと、それはひどいよ!」

「そうですよ!」

 

そんな僕の結論に、一斉に抗議の声を上げてくる高坂さんたちに僕はさらに続けた。

 

「ここはファッション・ショーじゃないんだから。しかもライブ用の衣装ならともかく練習用の軽装になぜこだわるんだ」

「練習用でも女の子にとっては似合っているのかどうかは大事なことなんだよ?」

 

僕の疑問に答えるように、南さんは柔らかい表情で諭してきた。

口調や表情とは裏肌に、絶対に言わせるという意思が感じられた。

 

「………悪くはない。以上」

「えぇ~。それだけ?!」

 

これ以上の抵抗は無意味だと悟った僕の感想に、高坂さんが口をとがらせた。

 

「以上だ! とっとと練習を始めろっ!!」

「はーい」

 

きっぱりと言い切った僕に諦めたのか、高坂さんは渋々と頷いたので僕はドアの横の壁に寄り掛かると腕を組んだ。

間もなく始まったのはダンスの練習だった。

 

(動きの切れはそこそこか)

 

園田さんのテンポについて行くようにステップを踏む二人の姿を見た僕は、そう判断した。

切れは悪くない方だ。

とはいえ良いとも言えない。

複雑な振り付けをすれば確実に失敗するだろう。

 

(動きの切れは日ごろのトレーニング……毎朝のランニングでもある程度は補えるだろうけど)

 

毎朝の往復のランニングは足の筋力を高めることができる。

とはいえ、彼女たちのどこが問題なのかが判断しづらかった。

足か、胴体か。

それによってやっていく練習プランも変わっていく。

それに何よりも

 

(この三人でいいのか?)

 

メンバーを増やすということは、トレーニングメニューを再考する必要がある。

声を掛けたのは三名。

活発そうな女子学生の星空さん。

人見知りなのか、気が弱いのかは分からないが、小泉さん。

そして作曲ができて、歌もうまい西木野さん。

この三名の反応次第では、練習プランを大きく変える必要もある。

 

(アイドルは個性的なメンバーの方が伸びるとは言うが、微妙に個性にばらつきがあるんだよな)

 

それもまた魅力になりうるところなのかもしれないが。

 

「誰か助けて~」

「ん?」

 

そんな時、ふと僕の耳に助けを求める声が聞こえてきた。

周囲を見渡してみるが、それらしき人影はなかった。

 

「どうしたんですか?」

「いや……なんでもない」

 

僕の様子に気付いた園田さんが不思議そうな表情を浮かべながら聞いてきたので、僕は首を横に振りながら答えると再び腕を組んだ。

 

「それでは、もう一度頭から行きます」

「「はい」」

 

そんな僕の様子に、園田さんたちもトレーニングを再開させた。

 

「ちょっと待った!」

 

それを僕が止めさせた。

 

「な、何か問題がありましたか?」

「大ありだ」

 

不安げに聞いてくる園田さんに、僕はそう答えると問題点を口にする。

 

「園田さんは、いつ練習をするんだ?」

「それは交代して」

「だったら手拍子ではなく、口でリズムをとれば一緒にできるんじゃないかな? ”1,2,3,4,2,2,3,4”みたいに。もしくは絶対に練習に加わらない人にやってもらうとか」

 

交代して練習をするのもいいが、まとまって練習したほうが効率がいいのも確かだ。

もちろん、これは絶対ではない。

基本的に5人以上になってくると、まとまっての練習は逆に非効率になるのであまりお勧めはできない。

 

「リズムは僕のほうでとるから、園田さんも彼女たちに加わって」

「わかりました。お願いします」

 

僕の指示に素直にうなづいた園田さんは、一礼すると高坂さんの左端に移動した。

 

「それじゃ、いくよ」

「「「はいっ」」」

 

こうして僕たちは再び練習を再開させるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……疲れた~。香月君、容赦がなさすぎだよ」

「そうじゃなくて、高坂さんが伸びないからだよ」

 

地面に敷かれている布の上に座って休んでいる高坂さんに僕はため息交じりに反論した。

周囲はすっかりオレンジ色の光に包み込まれていた。

 

「そうです。先ほどから同じところで躓いていますよ」

「あはは~、ダンスって難しいね~」

 

園田さんの指摘に、高坂さんはごまかすように笑いながら口にした。

 

「まったく穂乃果は――「シッ」――香月君?」

「どうしたの?」

 

あきれた口調で話す園田さんの言葉をさえぎって静かにするようにジェスチャーを送った僕に、不思議そうな表情を浮かべて問いかけてきた。

 

「誰かが来る」

「え?」

 

そんな僕の言葉に、驚いたような声を高坂さんがあげたのとほぼ同時だった。

屋上の出入り口の扉が、大きな音を立てて開いたのは。

 

「あの! この子を入部させてください!」

 

ドアを開け放った人物は、唐突にそう言い放った。

その突然のことに、僕たちは唖然としていた。

 

「えっと……西木野さんに、星空さん。で、まるで牢屋に連れていかれるような格好でいるのは、小泉さん?」

 

星空さんと西木野さんたちに両腕をつかまれてうなだれていたのは、小泉さんだった。

 

「つまり、メンバーになりたいってこと?」

「はい! この子、昔からアイドルにあこがれていたんです!」

 

南さんの疑問に、はきはきとして答えたのは星空さんだった。

 

(”にゃ”とかの独特な口調は地か? それともキャラ?)

 

そんなどうでもいいことを考えてしまうあたり、僕もいろいろな意味でおかしいのかもしれない。

 

「そんなことはどうでもいいの。この子、歌唱力は十分にあるんです」

「どうでもいいって、どういうこと!?」

 

星空さんの言葉を一蹴した西木野さんと星空さんが言い争いを始めた。

 

「二人とも、うるさい。で、小泉さん……君はどうなの?」

「わ、私はその……」

 

なかなか話が進まないので、しびれを切らした僕は、二人の言い争いを止めさせて改めて小泉さんに尋ねた。

 

「まだ悩んでるの? はっきりしたほうがいいよ!」

「それには私も賛成」

 

星空さんの言葉に、西木野さんもうなづいた。

 

「やりたいって思っているんならやればいいと思うよ」

「声を出すのは簡単。それにさっきも言ったけど、歌唱力は十分にあるんだから大丈夫。ちゃんと応援もしてあげるわ」

 

なかなか踏ん切りがつかない小泉さんに、西木野さんと星空さんが説得の声をかける。

 

(やっぱり西木野さんもやる気があるのかな?)

 

なんとなくだが、そんなことを考えていた。

そんな二人の言葉を受けて、小泉さんは両手の指をくねくねとさせながら、何かを呟く。

だが、その声は僕たちにはよく聞き取れなかった。

 

「きゃ」

 

そんな小泉さんの背中を比喩ではなく押したのは、西木野さんたちだった。

 

「私は、小泉 花陽といいます」

 

その二人の様子で踏ん切りがついたのか、それとも覚悟が決まったのか小泉さんの自己紹介はとても聞き取りやすいものだった。

 

「一年で、背も小さくて声も小さくて人見知りだけど……アイドルへの思いはだれにも負けません!」

 

最初はかなりネガティブな内容だったが、後者のアピールだけは僕の心に重く響いた。

それはまるで鐘の音のように強い振動となって、僕の中に伝わる。

 

「だから、私をメンバーにしてください!」

 

そういって、頭を下げて懇願する小泉さん。

高坂さんは僕のほうに視線を向ける。

それは、”どうするか”というよりも、”いいのかどうか”の確認だった。

だからこそ、僕はそれに右手を小泉さんのほうに向けることで答えた。

 

「こちらこそ」

「……え」

 

僕の返答を聞いた高坂さんは、小泉さんの前に歩み寄ると、手を差し伸べながら声を上げた。

 

「よろしくね、花陽ちゃん」

 

それは、彼女にとってはOKの言葉としてふさわしいものだったのかもしれない。

 

「はいっ」

 

嬉しそうに頷きながら、小泉さんは高坂さんの手を取った。

 

「君の”誰にも負けないアイドルへの思い”に期待しているよ」

 

そして僕も、小泉さんにそう告げた。

正直、どういうものかとも思うが、期待するには十分だ。

残るは、後ろのほうで感動している二人だ。

 

「それで、二人はどうするのかな?」

「「え?」

 

南さんの言葉に、きょとんとした表情を浮かべる西木野さんたち。

 

「僕がスカウトしたのは、小泉さんだけじゃないぞ」

「それに、μ'sはまだまだメンバー募集中です」

 

僕の言葉に、園田さんも続いた。

気づけば全員が二人の返事を待っていた。

二人は、お互いに顔を見合わせると

園田さんと南さんが差し出している手を取るのであった。

こうして、μ'sに3人の期待の新人メンバーが加わることになるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

μ'sのメンバーが3人から6人へと一気に増えてから初めての朝練の日を迎えた。

僕は、いつものようにランニングをかねて神田明神神社へと来ていた。

 

「真姫ちゃん、真姫ちゃん~」

 

いつもの場所から神社に入った僕は、星空さんの声を耳にした。

 

「もう、やめてってば!」

「何をやってるんだ? お前ら」

 

西木野さんに抱き付いて頬ずりをしている星空さんに、僕は思わずジト目で見つめながら問い掛けた。

 

「あ、香月先輩。おはようございますにゃ!」

「おはようございます、香月先輩」

 

いつものように元気一杯で挨拶をしてくる星空さんと、小泉さん。

 

「おはよう二人とも。で、あと一人挨拶をしていないような気がするんだけど?」

「うっ」

 

僕のあからさまな言葉に、挨拶をしていない一人がうめき声をあげた。

 

「お、おはよう……香月先輩」

「うん、おはよう。西木野さん」

 

小さな声に加えて別の方向に視線を向けていたが、僕は挨拶をし返した。

 

「本当に真姫ちゃんはかわいいにゃ~」

「やめてってば!」

 

再び言い争いを始め多二人だったが、ただじゃれついているだけなので、放っておくことにした。

 

「そういえば、小泉さんはメガネじゃないだ?」

「あ、はい。コンタクトにしてみたんですけど……変ですか?」

 

ふと小泉さんがいつもの姿とは違うことに気付いた僕の問いかけに、小泉さんはこちらの様子をうかがうように聞いてきた。

 

「まったく変じゃないよ。小泉さんがコンタクトレンズをしたことには驚いたけど、そっちのほうが可愛くていいんじゃない?」

「か、かわっ!?」

「あ、あれ? 小泉さん? 小泉さーん?」

 

僕の感想に小泉さんは飛び上がったかと思うと両手を胸のあたりで合わせた姿のまま、固まってしまった。

 

「だめだ、これは完全に固まってるな」

「「ジー」」

 

そんな僕を呆れたようなまなざしでじっと見つめる二人の人物がいた。

 

「なに? 二人とも」

「香月先輩もやるにゃ~」

「変態」

 

二人にかけられたのは、ある意味ダメージの大きい言葉だった。

 

「って! 西木野さん、変態は言い過ぎだ!!」

「言われて当然よ! 私なんて、か……かわいいだなんて言われたこともないのに」

「………」

 

本人は僕から顔をそむけながら小声でつぶやいているので聞こえていないつもりだろうが、僕の耳には十分に聞こえていたりする。

 

「当然だろうが。きっかけがないのに可愛いを連呼していたら、それこそ変態だ。まあ、西木野さんがかわいいのは確かだけど」

「っ!? 人の話を勝手に聞かないでよ!」

 

さりげなくかわいいと言ってみたところ、頬を赤くして怒られてしまった。

 

「みんな仲良しにゃ~」

 

なんとなくだが、僕は遊ばれているだけのような気がする。

そんなこんなで、少ししてやってきた高坂さんたちとともに朝の練習を始めるのであった。

この先に、とんでもないことが起きるとも知らずに。




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