ラブライブ!~たった一人の男子とスクールアイドル~(凍結)   作:TRcrant

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こんばんは、TRcrantです。
大変お待たせしました。
ようやくの投稿です。

内容が少しばかり過激ですが、杓子定規に言うとあれは確実に犯罪だと思うのです。
そんなことは置いときまして、どうぞ。


第17話 強奪

場所をファーストフード店に移した僕たちは作戦会議をすることになった

席は窓側のテーブルだ。

中央には間仕切りがあり最低で40人以上が座れる構造となっていた。

ただ、人席は6人しか座れないため7人目の僕は、高坂さんたちの後ろのテーブル席に腰掛けていた。

 

「はむ……」

 

作戦会議をするはずが、高坂さんは練習ができないフラストレーションを食欲にぶつけていた。

 

「ストレスを食欲にぶつけると大変なことになりますよ」

「なんで、雨がやまないの? 海未ちゃん、香月君」

 

注意をする園田さんに、高坂さんは不機嫌な声色で聞き返してきた。

 

「私に聞かれても」

「右に同じく」

 

さすがに天気ばかりは僕にはどうしようもない。

 

(なんだか隣がうるさいな)

 

子供の声と少女の声が聞こえたが、静かに食べることはできないのだろうか?

まあ、それは僕たちにも言えることだけど。

 

「天気予報を見たら明日も雨だって」

「えぇ~」

 

南さんの告げた明日の天気に、高坂さんは残念そうな声を上げた。

 

「あれ? ポテトがない……海未ちゃんでしょ! 私の食べたのは」

「違いますよ! 穂乃果は自分が食べたことも忘れたのですか?」

 

僕の後ろの席に座っている高坂さんと園田さんが何やら騒いでいる。

 

「って、穂乃果こそ!」

「私じゃないよ!」

「二人ともやめなよ。ポテトごときでみっともない」

 

騒ぎ始めた二人に、僕は自分が座っていた席を立つと、高坂さんたちの方に振り向いて注意した。

 

「なっ!? それはひどいよ! とってもおいしいポテトがいきなり誰かに食べられたんだよ?!」

「限定品じゃないんだから、買いなおせばいいじゃないか」

 

そう、例えば一日限定数十個だけしか販売していないものとか。

 

「確かに、そうですよね」

「ムー、なんか納得がいかない」

 

僕の言葉に納得した様子の園田さんとは対照的に、いまだに納得していない高坂さんがぶつぶつとつぶやいているが、僕はそれを無視して自分の席に戻った。

 

「うがっ!?」

 

テーブルを見た瞬間、僕は頭をハンマーで殴られたような衝撃を感じた。

 

「どうしたんですか?」

「な、無くなった……」

 

僕の様子の異変に気が付いた園田さんの問いかけに、僕は声を震わせながら答えた。

 

「チーズケーキが……僕のチーズケーキが何者かによって盗まれた……まだ食べてないのに」

「そんなことより、練習の場所はどうするのよ」

 

僕の嘆きを一刀両断して本題に入ろうとする西木野さんの言葉が、僕には侮辱に聞こえた。

 

「そんなことだと? 今、そんなことって言ったか?」

「た、高月先輩。目が怖い」

「いいか? あのチーズケーキはただのチーズケーキではない! ”寒天堂”の週末限定10個の超レアなチーズケーキなんだ!」

 

そう、僕が持っていたチーズケーキは毎週日曜日にのみ10個だけ販売される、知る人ぞ知るチーズケーキなのだ。

限定だけあって味も極上らしく、価格の倍以上の価値があるほどらしい。

 

「開店10時間前から並んで手に入れた逸品が盗まれたのを、”そんなこと”だなんて……あなたは鬼か!!」

「わ、悪かったわよ!」

「だから、この間来るのが遅れたんですね」

 

なんだか園田さんからあきれたような視線が向けられた。

 

「ごめん、少しだけ一人にさせて」

 

力なく席に座り込んだ僕は、食べることができなかったチーズケーキへの思いを募らせた。

 

(いったいどこの誰だ? この僕のケーキを食べたやつは)

 

最初自分の中にあった悲しみの感情は、次第に怒りへと変わっていく。

今僕の頭の中ではかなりおぞましい内容が駆け巡っている。

 

(って、僕はいったい何を考えてたんだ!?)

 

僕は慌てて物騒なことを考えるのをやめた。

 

「5人以上の部員がいれば、ちゃんとした部として認めてもらえるんだけどなぁ」

 

ふと冷静になったところで、高坂さんの声が聞こえてきた。

おそらくは練習場所のことを言っているのだろう。

 

(って、5人?)

 

ふと、高坂さんの言葉が引っ掛かった。

現在、μ'sのメンバーは僕を入れて7名。

もし部活にするのであれば、少なくとも6名はいる。

 

「5人だったら、できるんじゃ……」

「あ、そうか……忘れてた! 部活申請すればいいんだ!」

「「わすれてた(んかい)のかよ!」」

 

小泉さんの指摘に、席を立ちあがって叫んだ高坂さんに、僕は思わずツッコんでしまったが、それと同じく誰かの声が重なった。

 

(今の声、どこかで聞いたような気が)

 

「忘れてたってどういうことよ?」

 

僕を思考の淵から引きずり出したのは、西木野さんの疑問の声だった。

 

「メンバーが集まったら安心しちゃって」

「この人達だめかも」

 

悪びれることなく答える高坂さんの姿に呟く西木野さんの気持ちが、僕にはよくわかった。

もっとも、それはプロデューサーである僕にも言える話だけど。

 

「いやー、解決したらおなかすいちゃった―――――」

 

安心しきったのか、陽気な声を上げる高坂さんだったが、その声が不自然なところで止まった。

どうしてだろうと疑問に感じた僕は、高坂さんの視線の先……テーブルのほうを見た。

そこには何者かの手が高坂さんの物なのだろうか、ハンバーガーを持ち去ろうとしていた。

その手は、ゆっくりとした動きでハンバーガーを戻すと引っこまれた。

 

(まさか、あの手のやつが、僕のチーズケーキを?)

 

そう考えると、無性に怒りがこみあげてくる。

その人物はゆっくりとした動きで外のほうに移動していた。

足音を消しているつもりだが、被り物で台無しだった。

そんな不届きな人物のもとに最初に駆け寄った高坂さんが、逃げられないように捕まえた。

 

「ちょっと、待ちなさい!」

「解散しなさいって言ったはずよ!」

「貴様、この間僕を襲おうとした不届き者っ」

 

その声色はこの間僕を襲撃した人物のものと完全に同じだった。

 

(まだ言ってたのか)

 

よほど僕たちの誰か(もしくは全員?)に強い恨みでもあるのか、少女は執念深かった。

 

「そんなことより、食べたポテトを返して!」

「そっち!?」

 

μ'sのことよりも食べ物を優先させる高坂さんもまたすさまじい執念だった。

とはいえ、僕も今回ばかりはこっち側だが。

 

「あー」

「買って返して!」

「馬鹿にしてるのか!!」

 

口を開く少女の頬を高坂さんがつかみ、僕は怒鳴った。

 

「あんたたちはダンスも歌もなってないわ!」

 

頬をつかまれながら口にしたのは謝罪の言葉でもなく、ただの批判だった。

少女は高坂さんの腕を振り払うと、後ろに下がって距離をとった。

 

「あなたたちのやっていることはアイドルに対する冒涜よ! とっとと解散することね」

 

(それじゃ、貴様のやっていることは何なんだ?)

 

批判することが悪いわけではない。

今のように問題を具体的に言ってもらえれば、こちら側も改善点を導きやすい。

とはいえ、人の食べ物を勝手に食べるという行為(ある意味窃盗だけど)は、非常に筋が通らないようにも思えた。

 

「って、おいこら待て!!」

 

僕は逃げて行った少女を追ってファーストフード店を飛び出すと少女の後を追いかけた。

 

「絶対に逃がさないぞ! 泥棒!! ケーキと時間を返せ!!」

「大きな声で変なことを言うな!!」

 

僕の叫び声に、少女が走りながら反論してきた。

人通りの多いところで”泥棒”という単語を言えば人の視線も集まる。

それが目的の一つでもあった。

視線を集めれば見失っても目撃情報が簡単に手に入れやすくなるからだ。

 

(くそっ。雨で思ったようにスピードが出ない)

 

僕としては全速力で追いかけているつもりだが、雨によって視界が悪くなるのを防ぐために腕で視界を確保しようとするが、それだけでフォームが崩れ速度が出にくくなっているのかなかなか追いつけない。

向こうはサングラスをかぶっているので視界を確保しようとする必要もないのだから、どちらが不利なのかは一目瞭然だった。

そう思っていると少女はいきなり横に曲がって大通りから外れた。

僕もそれに続くが、曲がった時には少女の姿は一切なかった。

 

「くそっ! 逃げられたか」

 

周囲を見渡してみるが、それらしい姿がない。

おそらくは路地などに逃げ込んだのだろう。

そうなればもはや追いかける手段は僕にはない。

 

「電話だ」

 

そんな時、持っていた携帯が、着信を告げたので取り出してみると、相手は高坂さんだった。

 

「もしもし」

『どうだった?』

「悪い、逃げられた。そっちは今どこに?」

 

高坂さんの問いかけに、僕は軽く謝りながら答えると、彼女たちに合流するために場所を尋ねた。

 

『私たちはさっきの所にいるよ』

「わかった。すぐにそっちに戻るから」

 

そういって僕は電話を切った。

 

「さて……ん?」

 

戻るために駈け出そうとした瞬間、下のほうに何かが落ちているのに気が付いた。

僕はしゃがみこむとそれを手に取った。

 

「ハンカチ? ……まさか」

 

それは何の変哲もないピンク色のハンカチだったが、なんとなく嫌な予感がした僕はハンカチに人差し指を添えて意識を集中する。

それはハンカチの持ち主を探すためだ。

ハンカチに残された持ち主の放つ気のようなものから、持ち主のもとまでたどり着くことができるのだ。

昔、これを”サイトレーニング”と評したものもいたが、一体誰だったのかは覚えていない。

 

(やっぱり)

 

その結果わかったのは、この持ち主の気が先ほどチーズケーキを盗んだ奴のものと同じだったことだ。

これで、このハンカチはあの少女の持ち物であることが判明した。

 

「ならば、交番ではなく直接届けてやるか」

 

そうすればその時にしっかりと”落とし前”を付けることもできそうだ。

とりあえずハンカチは手にしていた透明なビニール袋に入れておき、家に戻ったら選択でもしようと心の中で決めると、僕は早々にその場を立ち去るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう。香月君」

「おはよう、高坂さん。いつものように遅いな」

 

翌日、いつものように朝練をするべく神田明神にやってきていたが、いつものように最後にやってきた高坂さんに僕は直球で挨拶を返した。

 

「うっ!? ごめんなさい」

「香月先輩、今日はなんだか機嫌が悪いにゃ」

「よっぽど、昨日のチーズケーキのことを気にしてるんだね」

 

そんな僕を見ていた星空さんと南さんが何やらこそこそと話をしていた。

 

「別に不機嫌なんかじゃない。チーズケーキを盗んだばかりか批判をして、挙句の果てに謝罪の一つもしなかったことで僕が不機嫌になるか? いや、ならない! 別に、見つけた時の折檻の方法を考えているわけでもないし」

「それって、もう不機嫌だって言ってるようなものですよ?」

「しかも恐ろしいことを考えてる!?」

 

園田さんが指摘してくるが、別に不機嫌なわけではない。

なぜかみんなが僕のことを不機嫌だと言ってくる。

父さんからは『今日の浄化は止めろ』といわれる始末だし。

ちなみに、地脈の浄化を行うには血筋のことは当然だがもう一つだけ必要な条件がある。

それが精神状態だ。

要するに普通の精神状態でなければ、浄化を行うことはできないのだ、

例えば、とてつもないほどに強い悩み事(夕食はどうしようかなどといった悩み事は、一番弱い)を抱えていたり、ストレス感じている状態の場合などだ。

閑話休題

試しに浄化をしようとしてみたが、なぜか浄化作業ができなかったため精神状態が普通ではないのだろう。

 

「それよりも、早く朝練を始めるぞ。時間がどんどん無くなる」

「は、はい」

 

僕は園田さんに練習を始めるように催促する。

こうして、いつものように朝練を始めrのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、HRも終わり生徒たちが教室を後にしていく中、僕は席を立つと後ろの高坂さんのもとに向かう。

 

「高坂さん、例の物は用意できた?」

「ばっちり!」

 

僕の問いかけに、高坂さんが取り出したのは部活申請用紙。

そこには部活名として『アイドル部』そして部員の項目には、高坂さんや園田さんを始めとしたみんなの名前が書かれている。

これはこの日のうち(もっともお昼休みだが)に星空さんたちにも書いてもらったものだ。

書かれている部員の人数は、6名。

結局僕は名前を書かなかったので、6人ということになる。

 

「でも、本当に香月君は書かないの?」

「当然。僕はプロデューサーで、アイドルの一員ではない。だから、入部するのは非常に不自然。僕はただ部室さえ使わせてもらえるのであればそれだけでも十分なほどだ」

「そんなことはないと思うんだけどな」

 

僕の言葉に、高坂さんは不満げに呟いていた。

確かにマネージャーとしてであれば、いいかもしれないが僕が来年もここに通い続けるという保証はどこにもない。

それなのにいい加減な気持ちでなし崩し的に入部するというのは、それこそがみんなに対して失礼なことではないかと思っていたのだ。

 

「それじゃ、行きますか」

 

そして僕たちは部活申請用紙を手に生徒会室へと向かうのであった。

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