ラブライブ!~たった一人の男子とスクールアイドル~(凍結)   作:TRcrant

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こんばんは、TRcrantです。
大変お待たせしました。

今回もネタが満載(?)です。
そして、ここでようやく一話分の半分になりました。


第22話 問題

まずは中庭へ。

そんな適当に決めた場所のチョイスだったが、どうやら僕は運が強いようで。

 

「あ、遅かったね」

「よく言う。逃げたくせに」

 

僕の姿に気付いたのか、声をかけてきた高坂さんに、ため息をつきながら僕は言い返した。

なんとなく、高坂さんの言葉に皮肉めいたものを感じるのは僕の気のせいだろうか?

中庭にはすでに矢澤先輩を除くメンバーが全員そろっている状態で、小泉さんの取材を行っている

ただ、問題なのは

 

「真姫ちゃんもこっちに来るにゃ」

 

一人連絡通路の柵に肘をつきながら髪をいじっている西木野さんに、星空さんがこちら側に来るように促す。

 

「いいわよ。私はやらないから」

 

やはり、というかなんというか。

西木野さんの興味なさげに答えに、億は心の中でため息をついた。。

 

「いいんやよ。取材を受けたくないんならそれで」

 

片目を閉じてウインクをしながらマイクをこちらに渡してきた。

 

「あー、そういうことですか」

 

それだけで、東條先輩がなにか企んでいるのかが手に取るようにわかった。

 

「香月君、なんだか顔が邪悪だよ?」

「何を言う。天使のような笑みと言ってくれ」

 

目を瞬かせている高坂さんの言葉に、僕は茶目っ気を出しながら相槌を打つ。

気づけばカメラは西木野さんのほうに向けられていたので、僕はそれをすることにした。

 

「彼女は取材を受けようとはしなかった。スクールアイドルではない時はただの思春期を真っ只中の女子学生なのだから―――」

「って、勝手に変なナレーションを入れないで!!」

 

僕のナレーションに気が付いたのか、頬を赤くしながらこちら側に来た西木野さんはカメラのレンズを手でふさいだ。

 

「そんな彼女が警部補、西木野――――タブラ!?」

「いつまで、やっているのよ!」

「すみません、調子に乗りました」

 

何があったのかはあえて言わないが、左頬がとても痛い。

調子に乗るのは止めろというこれ以上ない教訓となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それではスクールアイドルについて聞いてい聞いていきたいと思います」

 

そんなこんなで、取材は再開された。

興味がなさげに髪をいじりながら小泉さんの横に建つ西木野さんと、ピースサインをうかべている星空さんに小泉さんの三人だ。

 

「それにしても、さっきの警部補っていうのは何ですか?」

 

そんな中、カメラのマイクに入らないよう小声で園田さんが尋ねてきた。

 

「あぁ、あれは深夜の時間帯にやっているドラマだよ。2シーズンやったドラマでとても面白いんだってさ」

「なんでも知っているのですね、香月君は」

「そんなことはないよ。僕にも分らないことはいくらでもあるし」

 

園田さんの感心したような言葉に、僕は苦笑しながら言葉を返した。

僕にわからないこと、その一つがある人物の今後のことだったりもする。

 

「ちょっと、カメラを止めて」

 

そんな中、突然西木野さんがこっちにやってきてカメラのレンズをふさぐとカメラを手にしていた高坂さんを、ジト目で見つめる。

見れば、高坂さんは変顔をしていて、その向かい側に建っていた小泉さんは笑うのをこらえていた。

 

「何をやってるんだ?」

「いやー、笑わした方がリラックスができていいんじゃないかなーって」

 

僕の問いかけに、頭に手を置きながら答える高坂さんの言葉に、僕は起こるべきなのかそれとも感心するべきなのかがわからず、ただただ苦笑するだけだった。

 

「ことり先輩も!」

 

西木野さんの言葉に導かれるように、僕は右側に視線を向けると、そこには何かのお面をかぶっている南さんの姿があった。

 

「頑張っているかね」

「ぶっ!?」

 

南さんの言葉に、僕は思わず吹き出してしまった。

それは星空さんや小泉さんも同じだったようで、お腹を抱えて笑っていた。

 

「もう! このままだとどんどんμ'sが誤解されていくわ!

「おぉ!? 真姫ちゃんがμ'sの心配をしてくれた!」

「何気にひどいことを言ってるよね、高坂さん」

 

確かに気持ちは分からなくはないが。

 

「わ、私は別に……」

 

恥ずかしいのか顔を逸らしながら反論の声を上げる。

そんな彼女にかめらを片手に高坂さんが近寄っていく。

 

「って、撮らないで!!」

 

カメラの存在に気が付いた西木野さんの一喝が、中庭に響くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『撮らないで!!』

 

一通りの撮影を終え、近くにあった連絡通路のほうで僕たちは今まで撮った映像の確認をしていた。

 

「こうしてみると、なんだか……」

「遊んでいるというかいい加減というか……」

「ふざけているようにしか見えないな」

 

どう見てもふざけているようにしか見えなかった映像の内容に、僕は頭を抱えたくなった。

馬鹿げたネタに走った僕もだが、終始μ'sの人間性をはっきりとあらわしているような内容だった。

 

「でも、スクールアイドルは練習がメインなんやし、大丈夫やよ」

「よし! それでいこう!」

 

東條先輩のアドバイスを受けて、僕たちは練習をすることとなった。

 

「やっと見つけたわよ、あんたたち!」

「にこ先輩、練習をしましょう!」

 

そんな時ちょうどいいタイミングでやってきた矢澤先輩の手を取って高坂さんは駆けだした。

 

「え? ちょっと待って! どういうことよ!」

「さすが高坂さん。恐れ知らずだな」

 

困惑する矢澤先輩の手を引っ張って、後者のほうに向かっていく高坂さんに、僕はそうつぶやいた。

 

「それってほめてるのですか?」

「半分ね。というより、あんたたちも早く着替えてこい」

 

園田さんのツッコミに、僕は肩をすくめながら答えて星空さんたちに着替えるよう促した。

 

「香月先輩、覗きはだめにゃ」

「戯けっ。いつ誰が覗きをしたと言うんだ。というか、頼まれてもするか!」

 

からかいの意味を込めた星空さんの注意に、僕ははっきりと言い返した。

 

「逃げるにゃー!」

 

笑いながら校舎内へと掛けていく星空さんに僕は深いため息を漏らす。

 

「覗きはだめですからね?」

「なんとなく、皆が僕のことをどう見ているのかがよくわかったような気がするよ」

 

ものすごくショックを受けた瞬間でもあった。

 

 

 

 

 

そんなこんなで、練習着に着替えた高坂さんたちとともにいつもの練習場所である屋上へと訪れていた。

ドアの付近では高坂さんたちがダンスの練習をしている。

園田さんの手拍子と声が屋上にこだましていた。

 

「さっきから何をしてるん?」

「彼女たちのダンスのタイムラグを調べてる」

 

彼女たちとノートと視線を往復させていると、隣で撮影していた東條先輩が疑問の声を投げかけてきた。

 

「ラグ?」

「園田さんのリズムと、彼女たちのステップ。そして彼女たちの全体のズレの三つを見てる。ダンスでは0.001秒のラグでも大きな差となる」

 

最近の僕の役割は、全体のタイムラグ計測となっていた。

 

「ちなみに、A-RISEのタイムラグは約0.00005421秒。対する彼女たちは約0.0094857秒のずれが生じている」

「ちゃんと見てるんやね」

 

この間買わされたDVDでの振付ダンスを見て、僕はそのタイムラグを割り出していた。

 

「こんなの、プロデューサーならば当り前です」

 

東條先輩の感嘆の声に、僕はそう返していた。

 

「僕のようなプロデューサーは舞台で踊ることも、歌うこともありません。まったくもって目立たない影のような存在。だから、評価もされにくい」

 

それはいわばプロデューサーの宿命だった。

 

「プロデューサーが評価されるとき、それはプロデュースしているアイドルたちが優秀な結果を残したとき。その時の感動は一度味わってしまえば、もう二度と止めることができなくなる。それほどまでに気持ちのいいものですよ」

「こだわってるんやね」

 

東條先輩の相槌に、僕は頷くだけで答えた。

そしてまたノートに書き込んでいく。

 

(この調子なら次の新曲のレパートリーは広がるかな)

 

この前のタイムラグは約0.01秒。

それがここまで改善したのはかなりいいことでもあった。

現在の振り付けは主に南さんの考えたステップを僕がアレンジしたものだ。

出来は上々で、あと少し問題点を改善すれば十分人前で披露できるものになるはずだ。

そんなことを思っていると、休憩に入ったようで、高坂さんたちは地面に座り込んだ。

 

「どう?」

「さすがスクールアイドルやね。迫力が違って、やることはやっているって感じやよ」

 

汗をタオルで拭きながらこちらに歩み寄ってくる西木野さんに、東條先輩が感想を口にした。

 

「でも、普通練習ってリーダーかプロデューサーが指揮するんとちゃうの?」

「それは……」

「僕はこっちのほうがあるから。カウントしながらラグの計測は正確度に欠けるからあまりやらないんだよ」

 

僕にはダンスの素養は全くない。

だから振り付けも、これがいいと思ったのを適当に入れているだけに過ぎない。

 

(昔、アイドルたちと一緒にダンスレッスンを受けていたのがこんなところで役に立つなんて)

 

今更ではあるが、過去の自分がどれだけすごいことをしていたのかが身に染みて思い知った瞬間だった。

そんな理由で、僕はダンスに関してはアドバイスや指示などが出せない。

出来たとしても、ずれを指摘することぐらい。

 

(ダンスに非常に詳しい逸材でもいればかなり良くなるんだろうけど)

 

はたして、そのような優秀な人材はいるのだろうか?

この学院の生徒のほとんどを見てきたが、高坂さんたちに比べれば箸にも棒にもかからない人ばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「「「おじゃまします」」」

 

日が暮れ、僕と東條先輩に星空さんは、高坂さんの家である和菓子屋『穂むら』に訪れていた。

 

「お帰り……って、あらお客さん?」

「音ノ木坂学院で生徒会副会長をしています、東條希言います」

「彼女の所属している部活のプロデューサーをしております、香月です」

 

母親だろうか明るい茶色の髪の女性の問いかけに、東條先輩と僕は名前を述べた。

 

「これはご丁寧に。穂乃果の母です。娘がお世話になってます」

「今日はね部活の取材で―――あれ?」

 

高坂さんが取材という単語を口にした瞬間、高坂さんの母親はすさまじい速さで奥のほうに引っ込んでしまった。

 

「取材が来るならもっと早く言ってよ!」

「ただ家族の人にも話を聞くだけだよ?」

 

裏のほうで髪がどうとか口にしていた。

 

「というより、化粧してもしなくても、そんなに変わら―――――」

 

笑みをうかべながらさりげなくひどい言葉を口にした高坂さんの顔面に、ティッシュペーパーが投げつけられた。

 

「えっと、とりあえず先に妹を紹介しますね」

 

かなり時間がかかると思ったのか、高坂さんはティッシュペーパーの箱が命中した額をさすりながらそう告げると、家のほうへと向かって歩いた。

 

「やっぱり僕も入らないとだめ?」

「当然だよ! プロデューサなんだから。雪穂にもちゃんと紹介しておかないと」

 

僕の問いかけに、高坂さんは力強く答えた。

僕としてはあまり気のりしていない。

何せ、女子の家に……しかも女性の部屋に足を踏み入れるなどというのは生まれて初めてなのだ。

誤解してほしくはないが、女友達がいないというわけではない。

小学生の時は読書好きの女の子とよく話をしたものだ。

 

(って、僕はだれに釈明しているんだ?)

 

そんなことを思いながら、僕は高坂家に足を踏み入れた。

 

「雪穂、いる―?」

 

二階に上がりある引き戸の前で立ち止まった高坂さんは引き戸を開けた。

僕は一応壁に寄りかかり部屋の中が見えないようにしておく。

 

「ぐぬぬー。あと、一息~~!!」

 

部屋の中から雪穂と呼ばれた高坂さんの妹の格闘する声が聞こえてきた。

そしてすぐにドアが締められた。

どうやら、壁に寄りかかって部屋の中が見えないようにしておくという僕の判断はかなり正しかったようだ。

 

「えっと、私の部屋でいいかな」

「ご髄に」

 

もはや抵抗しても無駄だというのは分かり切っていたので、僕は肩をすくめながら相槌を打った。

そして通されたのはファンシーなぬいぐるみが大量に置かれているなどのいかにも女子の部屋というものではなく、きれいに整頓された部屋だった。

 

(ドラマはドラマというわけか)

 

ドラマやアニメなどではそうだったが、現実は違ったようだ。

 

(でも、確かに女子の部屋らしいものが随所に)

 

テーブルの前に腰かけた僕は失礼のないように視線だけを動かしてあたりを見回す。

本棚には少女漫画が置かれていた。

 

(本の配列も、性格を表すんだね)

 

本棚内に置かれた本は同じタイトルだが巻数がバラバラなのだ。

1巻の隣に8巻の漫画が置かれていたりするし。

 

「御免なさい、二人ともあんな感じなんで」

「あはは……」

 

なんとていえばいいのかがわからず、僕は苦笑で答えるしかなかった。

まあ、この親にしてこの子ありという典型例だというのは確かだが。

いいところも悪いところも含めて。

 

「お父さんにも声をかけたんだけど、取材はいいって」

「みんなはよくここに集まったりしてるの?」

 

そんな高坂さんの言葉を受けた東條先輩は疑問の声を投げかけた。

 

「香月先輩はたぶん初めてだけど、みんなはここに来たりしてるみたい。お菓子も出るし」

「それだとお菓子狙いに聞こえるぞ」

「和菓子しか出ないんだけどね」

 

星空さんの言葉に、ぼそりとツッコミを入れる僕に高坂さんは頭に手を当てながら苦笑交じりに相槌を打った。

 

「でも、ここの和菓子一度食べると病みつきになるんですよ。自分も一度食べてすっかり虜になっちゃいましたから」

「あれ? 香月君っていつここの和菓子を食べたの?」

「いつって、先月あたりだよ。というかその時に高坂さんが……」

 

僕の言葉に、きょとんとした表情で疑問を投げかけてくるので、思わず高坂さんが応対したと口にしそうになったのを止めた。

 

「私が何?」

「なんでもない」

 

首を傾げて聞いてくる高坂さんに、僕はそう返した。

 

(あ、危ない。ついノリで言いそうになった)

 

少しばかり気を補器締めた方がいいかもしれないと、僕は心の中で自分を戒めた。

 

「これで歌詞を考えるんやね?」

「海未ちゃんが」

 

床に置いてあったのか、歌詞ノートを手にした東條先輩の言葉に、高坂さんは頷きながら答えた。

 

「歌詞のほとんどは海未先輩が書いてるにゃ」

 

笑みを浮かべながら星空さんが続く。

 

「それじゃ、振り付けとかは?」

「それはことり先輩と香月先輩が」

「僕はただ提案するだけだから、実質的には南さんだけどね」

 

東條先輩の問いかけに答える星空さんに、僕は苦笑しながら答えると、手にしていたお団子に舌鼓を打つ。

 

「それじゃ、あなたはいったい何をやってるの?」

「えぇっと………朝ご飯を食べて、雪穂とテレビを見て、他のアイドルを見たりして……あ、そうだ。二人の応援もしてるよ」

「何もしてないじゃないか」

 

一日の行動を口にする高坂さんだが、全くと言っていいほど何もしていないことに、思わずツッコミを入れてしまった。

 

「うち、前々から疑問やったんやけど」

 

そんな高坂さんに、東條先輩は神妙な面持ちで問い掛ける。

 

「どうして、穂乃果ちゃんはμ'sのリーダーなの?」

 

それはある意味、僕たちに対して突きつけられた問題でもあった。




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