ラブライブ!~たった一人の男子とスクールアイドル~(凍結)   作:TRcrant

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こんにちは、TRcrantです。
大変お待たせしました。

後半戦の内容になります。
これで、アニメでの内容は9割終了しました。

作中で曲名は書いていませんが、おそらくゲームを知っている人であれば、なんとなくわかりそうな気もします。



第24話 リーダー決定戦・後半

「次はダンスで勝負よ!」

 

幕など閉じてはいなかった。

矢澤先輩に連れてこられたのは、とあるゲームセンターの一角だった。

一番奥なのか、人の往来はほとんどない場所だった。

そこに設置されているベンチに腰掛けて、興味がないと言わんばかりに髪をいじっている西木野さんの隣で、僕は腰を落ち着かせていた。

 

「今度は歌のように甘くはいかないわ!」

 

使用するゲーム機は、どうやら目の前にあるマシンのようだ。

それを前に、不安そうな表情をうかべて見つめる園田さんと小泉さん

 

「あ、ことりちゃん。もうちょっと右!」

「えーっと……取れた!」

 

そんな二人とは対照的に、高坂さんと南さんに星空さんの三人は楽しそうにクレーンゲームで遊んでいた。

 

「だから緊張感を持ちなさいっ!!」

「だけど、凛はスポーツは得意だけど踊るのは苦手だもんな」

 

浮かない顔をしながらこちらのほうに歩み寄って来た星空さんは、お金を投入してプレイをし始めた。

ダンスゲームというのは、流れてくる矢印と同じ形の足元にある矢印をタイミングよく踏むといういたってシンプルなシステムだ。

難易度も簡単なものからエキスパート(非常に難しい)レベルまでと多岐にわたる。

まさに歌って踊るアイドルの練習にふさわしいもの(?)なのかもしれない。

矢澤先輩曰く一人1ステージをやり、そのスコア(ランクというのだろうか?)で勝敗を決めるとのこと。

最初はダンスは苦手だと言っていた星空さんからやることになった。

 

「なんだかできちゃったにゃ~」

「え〝っ!?」

 

その結果は、ダブルAだった。

なんでも、このゲームの最高ランクはトリプルAなのだとか。

普通はSとかじゃないのかと思う僕はやはりどこか変なのだろうか?

そんな僕の心境などどこ吹く風とばかりにみんなは次々とゲームをプレイしていく。

難易度は普通以上という括りではあったが、それぞれがなかなかの成績を残した。

 

(後で、南さんに結果のノートを貸してもらうか)

 

ノートに勝敗の結果を付けている南さんのノートの内容は、現在のメンバーの実力を知るいい機会だ。

ダンスゲームの結果はタイムラグの原因の究明にもなるし、歌については練習をする分野を西木野さんに伝えることだってできる。

僕が、この茶番にも似たリーダー選考会に対して特に異論も出さなかったのは、それが狙いだった。

 

「ふぅ、難しかった。これで、皆終わりだね」

 

最後に園田さんが踊り切ったことで、今度こそこの選考会のようなものは終わったようだ。

 

「あの、このえきすとらステージとは何ですか?」

「はいぃ?!」

 

園田さんの問いかけに、矢澤先輩が素っ頓狂な声を上げた。

見ればゲーム画面には確かに”EXTRA STAGE”という文字があった。

 

「もう一ステージプレイできるってことよ。香月、あんたがやんなさい」

「はいはい。やればいいんでしょやれば」

 

抵抗するのも無駄だというのはすでに分かっていたので、僕は矢澤先輩の突然の指名に僕は肩をすくませながらゲーム機のほうに歩み寄った。

これはのちにゲーム機について色々と書いてあるサイトから知ったことだが、このゲーム機は3ステージをある程度のスコア(ランクともいうが)でクリアするとEXTRA STAGEへの道が開けるようになる隠し機能があるとのことだ。

そのことに改めて彼女たちのレベルの高さを思い知ることになるのであった。

それはともかく、ゲーム機の足場に立った僕は苦戦していた。

 

(どれを選べばいいんだ?)

 

収録曲は優に50を超える。

その中でどれを選べばいいのかがわからなかった。

 

(難易度はどれを見れば……)

 

「ああ、もういい! 適当に選んでやる!」

 

いい加減面倒くさくなってきた僕は、啖呵を切って現在選択している曲に決定した。

 

(revolutionって、他にもあるのか?)

 

そんなどうでもいいことを思いながら、難易度選択画面が表示された。

 

(プロデューサーなんだし、最高難易度のほうでいいだろ)

 

「って、あんた! それは無謀よ!」

「なぜ?」

 

難易度を確定したところで、それを見ていた矢澤先輩から驚きに満ちた声がかけられた。

 

「その曲は、最強とも言われているほどに難しい曲よ! 無理すれば怪我じゃすまないわよ!」

「それ、もう少し早く言ってほしかった」

 

確定させてしまったのだから、もうどうすることもできない。

 

「大丈夫だよ! 無理しなければいいんだから」

「まあそうね。無理そうならそのまま放置すればいいんだし」

 

(なんで無理を前提に話を進めるんだ?)

 

向こうとしては僕の身を案じてくれているのかもしれないが、僕からすればそれはへたくそだと言われているようなものでもあった。

 

(プロデューサーたるもの、歌やダンスはある程度のレベルまで鍛える必要がある)

 

だから、多少の難易度であれば、僕にとっては問題はない。

それどころかその方が燃えるというものだ。

そんなことを考えていると、ついに曲が始まったようだ。

次々と一番上のアイコンに流れてくる矢印と同じ方向の踏み台を押していく。

 

「あ、あれが最凶とも呼ばれた曲」

「す、すごい量だにゃ」

 

確かに密度がすごい。

だが、裁けないほどではない。

集中すればしっかりと見ることができる。

まあ、体が付いていければだが。

途中で流れがゆっくりになった。

どうやらそういう演出のようだ。

 

(いきなり早くなった!?)

 

突然スピードを上げたのに対応できなくて譜面をいくつかミスしてしまったが、何とか体制を整えた。

そして駆け巡るように終わりを迎えた。

 

「ふぅ。これで、終わり――「じゃないわよ! まだあるわよ!」――え? のわ?!」

 

矢澤先輩の声に画面のほうに視線を向けると大量のアイコンが流れてきたので、慌ててそれを裁いていく。

最後は長押しでようやく曲が終わった。

 

(不意打ちとは……やるな)

 

僕は心の中で、感嘆の声を上げていた。

そして結果は

 

「トリプルA!?」

 

ミスをいくつかしたのに最高ランクだった。

こうして、今度こそ全員がプレイをし終えた。

 

「楽しかったね!」

「でも、なかなか差が開かないね」

 

全員の記録を書き終えた南さんが、満足した様子の高坂さんの言葉に相槌を打った。

南さんのひざ上に置かれたノートを覗き見てみると、確かにいいところはよく、悪いところは悪いというかなりメリハリの効いた結果となっている。

 

「まだよ! こうなったらもう一つので決着をつけようじゃない!!」

「えぇ~、まだやるにゃー?」

 

矢澤先輩の言葉に、星空さんがげんなりとした表情をうかべて相づちを打った。

気持ちもわからなくはない。

 

「そうよ! まだアイドルとして必要なことは残っているんだから!」

「………」

 

矢澤先輩の言葉に、僕はそれがどのような内容なのかがわかったような気がした。

 

「僕は先に部室に戻ってる」

「ちょっと、待ちなさい! あなたプロデューサーなんだから付き合いなさい!」

 

一つため息をついて、僕はみんなにそう告げるとその場を立ち去ろうとするが、矢澤先輩がそれを止めた。

矢澤先輩の言うことももっともだ。

だが

 

「プロデューサーは執事でも、お世話役でもない。皆のアイドル活動をサポートするのが役割。そして、ここから先にやろうとしていることはその役割を逸脱する可能性が高い。ゆえに、僕は部室のほうに戻りやらなければいけないことをやる。以上、何か反論があればどうぞ?」

「うぐ………」

 

僕の言葉(暴論)に、矢澤先輩は反論ができず悔しげな眼で僕をにらみつけるだけだった。

 

「無いようだから僕はこれで。あ、南さん」

「な、何かな?」

 

数歩歩いたところで、僕はあることを思い出し南さんに声をかけた。

 

「そのノート青で見せて。今後の練習のプランを寝るのに使うから」

「う、うん。わかった」

 

とりあえず、ノートの確保はできた。

今度こそ僕はその場を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学院に戻り、部室に向かっている途中で僕はある人物と鉢合わせになった。

 

(なんでよりにもよって生徒会長と)

 

少し前のほうからこちらに向かって歩いてくる生徒会長に、僕は心の中でため息をつくが今更遅い。

それに普通に歩いていればいいのだ。

徐々に距離が縮まり、やがて僕たちは何事もなかったかのようにすれ違って――

 

「待ちなさい」

 

行かなかった。

突然生徒会長が僕を呼び止めたのだ。

 

「はい、何ですか。生徒会長?」

 

生徒会長の部分だけを嫌味を込めて言いながら用件を尋ねた。

 

「ちょっと来てもらえるかしら」

 

そう言って生徒会長は僕に背を向け歩き出した。

本来であればついていく義理もないが、用件が気になったこともあり僕はそのまま生徒会長の後をついていく。

やがてたどり着いたのは生徒会室だった。

 

(何だこれは?)

 

生徒会室に入った瞬間に感じ取ったものに、僕は顔をしかめた。

生徒会室全体がかすかにではあるが。穢れていたのだ。

 

「何か?」

「あ、いえ。別に何も」

 

そんな僕に生徒会長が怪訝そうな表情をうかべて声をかけてくるので、僕は誤魔化すように肩をすくませて答えた。

本来であれば、小憎たらしい言葉でも口にした方がいいのかもしれないが、無用な争いは出来るだけ避けたかったので、やめておくことにした。

 

「それで、用は何ですか? まさかとは思いますが、またスクールアイドルをやめろということではないですよね?」

「わかっているようなら話は早いわ。このままいけば確実にこの学院にとって悪影響を与え―――――って、人の話は最後まで聞きなさい!」

 

予想通りの話題に、僕は聞いていられないと思い生徒会室を去ろうとするが、運悪く見つかってしまい生徒会長に呼び止められてしまった。

 

「お断りします。あんたのくだらない無駄話を聞きたくないので」

 

(あ、なんだか今の西木野さんっぽい)

 

最初の”お断りします”の部分だけだけど、微妙にそんなことを思ってしまった。

本人が知ったら顔を真っ赤にして怒って平手打ちが飛んできそうなので、絶対に口にはしないが。

 

「何度も言っているけれど、あなたのそれは先輩に対しての口調ではないわよ。先輩にはちゃんとした態度を取りなさい」

「まいったな」

 

僕は頭をかきながら生徒会長に向きなおった。

 

「これでも相応の経緯は払っているつもりなんだけど……伝わらないものだな」

「残念だけど、全く」

 

鋭い視線で僕の言葉に応じた。

 

「本来であれば、あんたとは口さえ利かない。というか、話しかけられても無視するんだから、こうして話しているだけでも泣いて喜んでほしいくらいだ」

 

(うわー、自分で言ってものすごい嫌悪感)

 

自分で言ったことのはずがものすごい嫌悪感に教わるというのはいったいどういう意味なのだろうか?

 

「それに敬意を払っているから、あんたの犯罪行為には目をつむってあげてるんだけどな」

「いつ私が犯罪を犯したっていうのよ!」

 

生徒会長の言葉に、僕は目を瞬かせた。

 

「本気でそれを言ってるんなら大したものだぞ? 僕のカメラの映像を盗んで、それを勝手にネットにアップしましたよね?」

「っ!?」

 

僕が具体的なことを口にすると、生徒会長の肩が震えた。

 

「ちなみに、証拠はこちらに」

 

犯人が必ず言いそうな言葉の一つである証拠の啓示を求めるセリフを遮るように、僕は生徒会長に二枚の紙を提示した。

 

「これは、動画サイトにμ'sの楽曲を勝手にアップした人物のアドレス。そしてこのアドレスから携帯会社を割り出して、その契約者を探した。その結果がこれ」

 

数日前に調べるように頼んでいた違法アップロード者に関する調査結果だった。

無理だと思えていた割り出しも、ココモ会社にいた知人のおかげでスムーズに進んだ。

携帯電話の契約者の苗字に絢瀬という字があった。

 

「私が被害届を出せば、あなたは完全に逮捕……ないしは補導されますね。一応、あの動画の著作権はμ'sにありますから」

「くっ!」

 

僕の逮捕という言葉に、生徒会長は表情を歪ませた。

 

「ですが、私はそのようなことはしません。あなたがそのようなことになると、それこそここの校風に瑕がつきますから。だから、見逃してあげます」

「その代わり、あなたたちの活動を認めろと脅迫する気?」

「まさか。あんたじゃないからそのようなこと、考えもしませんよ。それにこのことを知っているのは私だけ。私は誰にも口外する気はありませんし、この紙もあなたに差し上げます。煮るなり焼くなり好きに処理してください」

 

そう言って、踏査結果の紙を生徒会長に投げるように渡した。

 

「ちなみに、コピーを取るなどという姑息なことはしてないのでご安心を」

 

それは僕の完全勝利の瞬間でもあった。

 

「あ、それともう一つ」

 

生徒会室を出ようとしたところで、僕はもう一つの重要な案件を思い出したためもう一度生徒会長のほうを見た。

 

「生徒会長。あなた、ここ最近心霊スポット巡りやこっくりさんなどの如何わしいものをやったりしませんでしたか?」

「やるわけないじゃない」

 

僕の問いかけに、あきれた口調で生徒会長が返してきた。

 

「それじゃ、生徒会メンバーは?」

「知らないわ。それがどうしたっていうのよ」

 

当然だが、生徒会のここ最近の行動については知らないようだった。

 

「なんでもありません。少々ンまずいことになっているので、至急メンバー全員に確認をしてください。もし、そのようなことをしている人がいれば可及的速やかに私に伝えてください。災いを招きたくないのであれば」

「ちょっと、それはどういう―――」

 

僕は言うだけ言うと、生徒会長の言葉を最後まで聞かずに生徒会室を後にした。

 

「本当に、まずいことになるぞ。これ」

 

ふと、周囲を注意深く見回してみた。

すると、薄らとではあるが、周辺に穢れのような黒い靄が見えた。

それの発生源はよく見ると生徒会室から流れ込んできているようにも見受けられた。

僕は足早にアイドル研究部の部室へと戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「お帰り……って、なんだか矢澤先輩げっそりとしてるけど、何かあったのか?」

 

少しして戻ってきた高坂さんたちを出迎えた僕は、なぜかげんなりとしている矢澤先輩の様子に、思わず問い掛けてしまった。

 

「あはは……ちょっとね」

 

その空笑いだけでも、何が起こったのかがなんとなく把握できた。

 

「ちょっと見せてもらってもいい?」

「うん、いいよ」

 

僕は南さんから結果が記されたノートを受け取ると、それに目を通した。

 

「結局大して変わらないな」

 

その結果を目の当たりにした僕は、苦笑しながらつぶやくと、それを園田さんのほうに手渡した。

 

「ダンスが苦手な花陽は歌が良くて、歌の成績が悪いことりはチラシ配りが良くて」

 

(なんでチラシ配り?)

 

どうやらチラシ配りが最終戦だったようだが、それをやる真意が今一つつかめずにいた。

 

「それぞれの苦手なところと得意なところを補いあってるってわけか」

「というより、みんな同じって言った方がいいと思うよ」

 

僕の言葉に、南さんが相づちを打った。

 

「にこ先輩もみんなと比べて連取していないのにすごいですね」

「は、ははは……そうでしょ」

 

心ここにあらずという表情で、星空さんの賞賛の声にこたえた。

 

(そこまでしてリーダーになりたかったんだ)

 

なんとなく矢澤先輩の執念がとてつもないほどにすさまじいもののように思えてきた。

 

「でも、どうするのよ、リーダーは」

「やっぱり上級生のほうが……」

 

結局はそういうところになる。

 

「しょうがないわ―――」

「私はやらないから関係ないし」

 

再び矢澤先輩の言葉を遮って話し合いを続けるそれは、数時間前の光景と合致していた。

 

(さて、お手並み拝見と行こうか)

 

そんな中、矢澤先輩の向かい側に腰かけた僕は、高坂さんのほうへと視線を向けた。

僕の中では、すでにある結論が出ていた。

僕の担当しているGreen,Mintでも、同じような問題が起きたときのと同じ物が。

 

「だったら、無くてもいいんじゃないかな?」

「はい?」

 

そして出された高坂さんの意見に、矢澤先輩が首をかしげた。

 

「だって、そのために色々練習してきたんだし」

「確かにそうかもしれませんが……」

「素晴らしい。合格だよ、高坂さん」

 

高坂さんの奇抜な意見に戸惑いの色を隠せない園田さんたちをよそに、僕は手をたたきながら高坂さんの出した意見に賞賛の声を送った。

 

「僕は、高坂さんの意見に全面的に賛成だ」

「ありがとう、香月君」

 

賛同を得られるとは思っていなかったのか、僕の意見に、驚きとうれしさをにじませながら高坂さんはお礼を言ってきた。

 

「でも、リーダーのいないアイドルなんて聞いたことがないわよ!」

「それは、君の視野が狭いだけだよ。リーダーのいないアイドルグループはちゃんと存在するはずだ。今回のようにそれぞれが苦手な部分や得意な部分を補いあうという状態であれば、下手にリーダーは決めないほうがいい。矢澤先輩曰く、リーダーが変わればグループの雰囲気は一気に変わる可能性だってある。ならば、特にそれを設けないで全員が秘めている可能性を大きく伸ばしていく方向なら、それぞれのプラスを伸ばすことができる、と僕は考えている」

 

反論してきた矢澤先輩に、僕は即答で答えた。

Green,Mintの時は、個性が強すぎて、リーダーを決めると収拾がつきそうにもなかったので、全員がリーダーであるという形式にした。

そのおかげかどうかは分からないが、メンバー間での確執はほとんどなくなった。

 

「でも、それだとセンターが」

「それなんだけど、私他のアイドルの動画を見て思いついたんだけどね。皆がセンターでいいんじゃないかな?」

 

残された問題も、高坂さんの中ではすでに解決策ができていた。

それが

 

「皆で順番に歌えたら素敵だなーって思ったんだ。無理かな?」

 

全員で順番に歌っていくというものだった。

 

「歌はできるけど」

「そういうの悪くはないわね」

 

園田さんの問いかけの視線を受けた西木野さんが不敵な笑みを浮かべながら答えた。

 

「振り付けとかはどうかな?」

「うん、今の七人ならできると思う」

 

振り付けのほうも問題はないようだった。

 

「PVはどうかな?」

「全く問題ない。逆にその方がいい感じに構成ができると思う」

 

高坂さんの問いかけに、僕は即答で頷きながら答えた。

皆が順番に歌えばそれに応じてカメラを向けていけばいいのだから、非常に構成としては簡単になる。

もちろん、そこに何らかのひねりを加えなければ、出来は悪くなるが。

 

「私は穂乃果ちゃんの意見に賛成」

「勝手にすれば」

「凛もソロで歌うんだにゃ」

 

南さんが笑みを浮かべながら賛成をあらわにしたのを皮切りに、次々と賛成の声を上げていく皆。

西木野さんは相変わらずだけど。

 

「しょうがないわね。その代わり、私のパートはかっこよくしなさいよ」

「了解しました」

 

ある意味矢澤先輩らしいことばだった。

こうして、リーダーなしでみんながセンターという形式で進んでいくことが決定した。

 

「でも、本当にリーダーはなくていいんでしょうか?」

「それならもうすでに解決済みですよ」

 

練習に向かう途中で口を開いた小泉さんに、園田さんが柔らかい笑みを浮かべながら答えた。

 

「何にもとらわれず、やりたいことや面白いものには一直線に進んでいく力……」

「それに何より、リーダーとしてみんなを引っ張っていく力強さを兼ね揃えている高坂さんこそリーダーにふさわしいのかもしれないな」

 

園田さんの言葉に続くように、僕は口を開いた。

まだまだ頼りないところはあるが、そこもまた彼女らしいのかもしれない。

 

(本当に、面白いグループだ)

 

こちらが投げ入れる材料に、次から次に面白い反応を示すのだから、プロデューサーとしては楽しくて仕方がないのだ。

 

(さて、記念すべき初のフルプロデュースの曲。頑張りますか)

 

振り付けから演出まですべてをプロデュースするのはこれが初めてだ。

その初めての曲が、間もなく完成しようとしていた。




次話の投稿時に、ヒロイン希望アンケートの途中経過を活動報告で追記の形でお知らせいたします。
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