ラブライブ!~たった一人の男子とスクールアイドル~(凍結) 作:TRcrant
まだ、原作キャラが登場していません。
次話のほうで登場する予定ですので、今しばらくお待ちください。
第1話 日常の終わり
「おっす、高輔!」
「朝からテンションが高いよな、お前は」
教室にいつもの時間帯に到着すると、先に来ていた一人の男子生徒がものすごくハイテンションで僕に挨拶をしてきた。
彼の名は佐久間 慶介(さくま けいすけ)だ。
ここに来て最初に仲良くなったのが彼だ。
そのきっかけはありきたりなものだ。
『お、お前が俺の後ろの席のやつか。俺は佐久間 慶介。よろしくなっ』
ただ席が前になっただけ。
それでも、僕にとっては十分すぎる切っ掛けだった。
その後何度か話をするうちに、僕たちは友人のような間柄になっていた。
今まで友人などを作ったことがない僕にしてみれば、これはある意味奇跡なのかもしれない。
「高輔はテンションが低いぜ! 見ろ! あと数か月過ぎれば女子の服装はもっと露出が増えていくんだぞ! それは男のロマンだ! さあ、一緒に―――ごふぁ!?」
「誰が言うか。というか、馬鹿なことを言ってると潰すぞ」
女子からの冷ややかな視線に負けずにバカげた主張をする慶介をつぶした僕は、忠告した。
「も、もう潰してるから………」
とりあえず、地面に突っ伏す慶介は無視して僕は鞄を自分の席に置く。
「あ、今日は生徒会の作業はそんなにないみたいだから部活に行っていいぞ?」
「そう? それじゃ、お言葉に甘えて」
いつものように驚異的な回復力で回復した慶介の言葉に、僕はそう返した。
これでも僕は生徒会長だったりする。
横にいる慶介は副会長だが。
生徒会会長でありながら、僕は少林寺拳法部にも所属している。
理由としては会得している護身術のレパートリーを増やすため。
僕はある理由で暴漢に襲われやすい。
その暴漢を撃退する武力を増強させているのだ。
「にしても、日増しに強くなるよな、高輔」
「そうか? 僕的にはまだまだのような気もするけど」
慶介が漏らした感想に、僕は首をかしげながら聞きかえした。
実際問題、まだ自分が納得する動きができないでいる。
もう少しだけ素早く動ければ問題はないのだが。
「おら、HRを始めるぞ」
「っと、それじゃまたあとでな」
そんな中、教室に入ってきた教師の言葉に、慶介はそう言うと自分の席に戻っていった。
その後、教師からいつもの連絡事項を受けて最初の授業が始まる。
あと数回授業を受ければ昼休みを迎える。
昼休みでは慶介とバカなことをしながら昼食をとっていく。
「でさ、あそこは左じゃなくて右だったんだよ」
「あっそ」
慶介のどうでもいい話を聞きながら、僕はお弁当(自作だが)のおかずを口に入れる。
「本当にどうでもよさげだな」
「だって、どうでもいいから。というか、ゲームを持っていないやつにする話か?」
呆れたような表情を浮かべる慶介に、僕は目を閉じながら反論した。
ちなみに今の話はとあるRPGゲームの攻略についてだったりする。
「高輔って、ゲーム機自体持ってないもんな」
「持ってたとしてもやる時間がない」
学校では遅くまで生徒会活動や部活動をして、家に戻っても予習や復習に仕事などなどで、遊ぶ時間は到底ないのだ。
「色々大変だよな。生徒会長も」
「まったくだ」
口ではそう言うが、僕はこの会長職にそれほど嫌ってはいなかった。
大変ではあるがやりがいは十分にあるし、何より自分の努力が報われるというのは、とても喜ばしいことなのだから。
「ま、俺もいるんだしな」
「慶介はどちらかというと生徒会のお飾りのようなもんだと思てたんだけど?」
「な、なんだってー!?」
ウインクする慶介に、僕は心の底から驚いた表情で相槌を打った。
「冗談だ」
「か、勘弁してくれよ。高輔の冗談はシャレにならないから」
冗談だと分かると、慶介は力が抜けたように机に突っ伏した。
「悪い悪い」
そんな慶介に、僕は適当に謝るのであった。
そんな何気ない日常が、いつまでも続くと思っていた。
”それ”がすぐ目の前に忍び寄っているとも知らずに。
「よし、着替えるか」
少林寺拳法部の更衣室に入った僕は、柔道着に着替えるべく制服を脱ぎ始めた。
「高輔大変だっ!!!」
「……………」
ちょうどシャツを脱いだところで、ノックをしないでドアを開け放った慶介の叫び声が響き渡った。
「慶介、今すぐ貴様の頭を大変なことにしてやろうか?」
「し、失礼しましたっ!」
ちょうど更衣室に置かれていた木刀を構えながら言い返すと、慶介は慌ててドアを閉めた。
「ったく、あいつは少し礼儀というのを叩きこんだ方がいいかな」
ため息交じりにつぶやいた僕は、脱いでいたシャツを再び着て制服を身に纏うと更衣室を出た。
「それで、何が大変なんだ?」
外の方でも待っていた慶介に、僕は用件を尋ねることにした。
(どうせ、生徒会関係だろ)
そんなことを思いながら、僕は慶介の言葉を待つ。
「高輔が、今日付けで転校することになってるぞ!」
「………………ハイ?」
人間、驚きすぎると声も出なくなるとは言うが、まさしく僕はその状態だった。
それほど僕にとっては驚きのことだった。
もっと言えば、寝耳に水の話だ。
僕は急いで事実かどうかを確かめるために、理事長室に向かっていた。
「香月です」
『どうぞ』
理事長室のドアをノックして、中に声を掛けると入室が許可されたので、僕はドアを開けて理事長室に足を踏み入れた。
そこはアンティーク調の家具が置かれ威厳のある雰囲気を醸し出している一室だった。
「突然ですが、私が転校することになっている噂は本当のことですか?」
「……ああ。その通りだ。先ほど、そうするように言われたんだ」
しばらく黙りこんでいた理事長だったが、観念したのか重い口を開いて話し始めた。
「一体どこの誰ですか?」
「上の方からだ。命令に背けばここを続けていくのも困難になる」
理事長はそう言ってはいるが、『辞めたくない』という意思がはっきりと伝わってくる。
つまり、自分の身を守るために、この僕を転校させたのだ。
「私は最後まで断ったんだ。だが、本校の生徒を考えれば――「もう結構です」―――」
嘘にまみれた理事長の言葉を、僕は遮った。
「貴方の本心は分かりました。私は潔く、ここを出ましょう」
「そ、そうか」
私の言葉に、理事長はほっと胸をなでおろす。
その姿に、僕の中で怒りが一気に爆発した。
「ッ!?」
僕は手にしていた学生帳を勢いよく机に叩きつけた。
「お前は、教育者失格だっ! 恥をしれッ!!」
僕は理事長にそう言い放って、理事長室を後にするのであった。
「……高輔」
「何だ、聞いてたのか」
外には慶介の姿があった。
ばつが悪そうな表情を浮かべる慶介をしり目に、僕は彼に背を向ける。
「高輔!」
そんな僕の背中に、慶介は声を掛けて呼び止める。
「また、会えるよな?」
「…………………運が良ければ」
それは限りなく0に近い可能性。
だが、可能性はないわけではないため、その答えになった。
「そっか。またな、高輔」
「…………ああ」
僕はこれが最後ではないという意味の言葉をに相槌を打つと、振り返ることなくその場を後にした。
こうして、僕の学生生活は幕を閉じた。
「これでいいだろ」
自宅に戻った僕は、今日提出する仕事用のデータを全て提出してから荷物をまとめていた。
一人暮らしなだけあって、荷物はすぐにまとめ終えることができた。
「そろそろかかってくる頃だし」
僕にはわかっていた。
この後、僕を強引に退学させた黒幕から電話がかかってくるということを。
それが”あいつ”のやり口なのだから。
そう思っていると、携帯電話が鳴りだした。
僕は携帯電話を手にすると、それに出た。
「もしもし」
『おう、久しぶりだな。我が息子よ』
電話口からわざとらしい口調で話す男の声が聞こえた。
「御託はいい。これは一体どういうことだ?」
『これとは、退学の件か?』
とぼけているような口調で返す相手の声に、僕の怒りはさらに強まっていく。
「それ以外ないだろっ」
『まあまあ、そう怒るなちゃんと説明する。だが、電話ではあれだから、直接会って話したい。外のほうに迎えをよこしている。そいつに乗ってこい』
「………………」
言うだけ言って、相手は電話を切った。
窓から外を見ると、そこには黒い高級車が止まっていた。
「はぁ……行くしかないか」
ここにいても話は始まらないので、僕はため息交じりにつぶやくと荷物を手にして自室を後にする。
「長いようで短い一人暮らしだったな」
玄関口で振り返った僕は、そうつぶやいてここでの思い出に浸る。
とはいえ、それほど重いでもないので、すぐに現実に戻ってきたが。
「さてと……」
僕はそこで気分を入れ替える。
ここから先は気が抜けないのだ。
「お待ちしておりました。お荷物をお預かりします」
「ありがとう」
外で待っていた黒いスーツに身を包んだ執事のような男の人に手にしていた荷物を手渡しながらお礼を告げた。
「どうぞ、お乗りください」
「……」
男に促されるまま、僕は高級車の後部座席に乗り込む。
すると、ドアが締められ男の人が運転席に乗り込んだ。
そして車はゆっくりと動き出した。
こうして僕は、どこかわからぬ場所へと連れて行かれるのであった。
感想やアドバイス等がありましたら、何なりとどうぞ