ラブライブ!~たった一人の男子とスクールアイドル~(凍結)   作:TRcrant

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こんばんは、TRcrantです。
大変お待たせしました。

何とか最新話が完成しました。
ここからアニメでは第7話の内容に入ります。


第27話 衝撃の事実

「……ぅ」

 

目を開けた僕の視界に広がったのは、全く見覚えのない天井だった。

試しに辺りを見回したところで

 

(あぁ、病院か)

 

今いる場所がどこなのかを知ることができた。

 

(なんだか懐かしい夢を見ていたような気がする)

 

それはどうでもいいことだろう。

重要なのは、自分がどうしてこうなったのかだ。

 

「どう考えても、この間のと同じだよな。これ」

 

この間というのは、僕が生徒会長の前で倒れた一件のことだ。

あの時の原因は生徒会長にあったのは確か。

そして、今回もそれと同じということは……

 

「目が覚めたのか」

「……父さん」

 

何時からそこにいたのか、僕の傍らには父さんが立っていた。

その表情はどことなく強張っていた。

 

「それは、定期検診のこと? それとも」

「両方だ」

 

だとすれば、あきれたような口調も混ざっていることに納得がいった。

 

「お前は貧血の兆候があるんだから、定期的に検診しろと言っているだろ」

「僕は病院が嫌いなだけだ」

 

病院というのは一番、生と死が近い場所だ。

それゆえそういうものをよく見ることがあり、僕にとって病院はあまり好きな場所ではなかった。

 

(目の前でダンスパーティーを開かれた時は驚いたものだ)

 

なんでもダンスが得意な人だったらしく、仲の良くなったお仲間さんと僕の病室に集まっては夜な夜なダンスパーティーを催していたのだ。

しまいには僕にも踊れと言ってくる始末だし。

僕がダンスができるのは、その人のおかげだというもあるのであれなのだが。

 

「それはちょっと残念だわ」

 

そんなことを思っていると、僕に声をかけてくる人がいた。

 

「西木野院長」

「目が覚めたようでよかったわ。何度も検診に来るようにお知らせしたはずなのに」

 

おしとやかそうな印象を纏うその女性こそが、この病院の院長なのだ。

かかりつけ医のため、これまで何度も顔を合わせているのだ。

院長は呆れたような表情をうかべて口を開いた。

 

「自分の体のことは自分がよくわかってます。なので、大丈夫です」

「そうは言っても、倒れているんだけれど」

 

確かに、院長先生の言うとおりだった。

 

「わかりました。これからはちゃんと検診に行くようにします」

「はい、わかりました」

 

定期検診に行くことを約束した僕に、院長は満足げな笑みを浮かべた。

この先生はお金儲けという意味で言っているのではなく、純粋に患者さんのことを気遣って言っているのだ。

それは頻繁に通っている僕がよくわかっていた。

 

「って、西木野?」

 

話がひと段落したところでふと、父さんが口にした院長の名前が気になった。

 

「最初に紹介されたはずだが?」

「すみません、頻繁に来る気がなかったので」

 

覚えようとしていなかったとはさすがに口に出来なかったが父さんには意味が伝わったのか呆れたような溜息をついた。

 

「それじゃ、これを機会に覚えてね。私は西木野 洋子よ。ここ西木野総合病院の院長をしているわ」

 

どうやら、自分の苗字を病院名にしているようだ。

 

(なんだか、よく聞いたような苗字だな)

 

音ノ木坂学院でスクールアイドルμ'sとして活動している人物とか。

 

「あの、つかぬ事を伺いますがお子さんはいらっしゃいますか?」

「ええ、いるわよ。ちょうどあなたと同年代の子が。まあ女の子だけどね」

 

なんだかもうリーチがかかってしまったような気もするが、まだ確定ではない。

可能性はある。

 

「もしかしてその子の名前は真の姫と書いて真姫だったりしますか?」

「よく知ってるわね」

 

どうやら確実にビンゴのようだ。

 

(ということは西木野さんは院長の娘さん!?)

 

世界は狭いなということ以前に、これはかなりまずいのではないだろうか?

院長は僕の正体を知っている。

もし娘である彼女にそれを話してしまえば、僕は万事休すだ。

 

「あー。大丈夫よ。あの子には言わないから。その代わり」

「はい、ちゃんと定期検診をうけますので、お願いします」

 

事情を察したのか、安心させるように笑みを浮かべながら言ってきたが、条件を付けてきた。

何となく院長が策士だと思えてきた瞬間だった。

 

「そういえば、ここに来るとき受付のほうで騒いでる赤髪の少女がいたが、浩介の知り合いかね?」

「そのような人物は……」

 

何かを思い出したようで僕に尋ねてくる父さんに答えようとした僕は思わず院長のほうに視線を向けた。

 

「私の娘です。お恥ずかしながら、こちらに入院されているされていないで騒ぎを起こしていまして。”香月高輔という人物が入院したはずだ。病室を教えて”と」

「あの……僕は何日寝ていましたか?」

 

院長の説明に、僕は少しだけ気になったので尋ねてみた。

 

「丸一日ね。でも、その様子だともう大丈夫そうだからすぐに退院しても問題はなさそうね」

「そうですか、でもどうして受付の人は、入院していないと? 院長先生が根回しでもしたんですか?」

 

僕の問いかけに、院長はまさかと言わんばかりに肩をすくめた。

 

「理由は単純だ。今浩介は、”香月高輔”ではなく、”高月浩介”として入院しているからだ」

「へ?」

 

父さんの口から告げられた真相に、僕は思わず目を瞬かせた。

 

「救急車で搬送される際に、身分証の確認の際に財布にここの診察券があったらしいがその名義は”高月浩介”名義だったために救急隊員がその名前で搬送したのだよ」

「そういえば、あの時慌ててたから診察券を取り違えていたのかも」

 

特に意味はないが、父さんから”診察券はいつも持ち歩いとけ”と言われたので、仕方がなく持ち歩いていたこの病院の診察券を持ち歩いているようにしたのだ。

とはいえ、香月高輔として生活していくために、父さんがいろいろな場所に根回しをしてどうやってかは知らないが戸籍まで作ってしまったため保険証はおろか、診察券なども二つ持つ羽目になってしまったが。

つまりは、記録上ではここにいるのは高月浩介で、香月高輔は入院していないということになってしまうのだ。

僕の事情を知っているのは院長しかいないため、受付の人が僕の名前など把握することもできず、そして騒ぎに発展してしまったということだろう。

 

「まあ、あの子もここまで探しに来ることはしないはずだから、見つかることはないと思うけど見つからないように気を付けるようにね」

 

そう言って院長は仕事があるのか病室を去って行った。

 

「さて、もう一つの要件に移るか」

 

院長が去って行ったのを見計らって父さんが神妙な面持ちのまま口を開いた。

 

「前は見過ごしていたが、今回の一件はさすがに見過ごすことができない。何があったのかはしっかりと把握できていないが、本人に無意識に自殺をさせるそれを放置するのがどれほど危険なのかは、浩介には分かっているはずだ」

「ええ、もちろんです」

 

父さんが言っているのはあの生徒会長のことだ。

 

「これが神合から届いた執行者リストだ。確認し次第すぐに対応せよというのが長の命だ」

「……」

 

父さんが差し出した赤封筒から取り出した黒革の手帳(リスト)に目を通していく。

そこには様々な人物の名前に住所が書き記されていた

その中には生徒会長の名前も記されていた。

 

「わかりました。すぐに対応します」

「よし、それじゃすぐに着替えて帰るぞ」

 

父さんの指示の下、僕は病院着から私服へと着替えるとそのまま病室を後にした。

そして受付へと向かう道中、

 

「あっ」

 

前方のほうからよく見た赤髪の女子がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。

 

「なるほど、彼女が院長の娘さんか」

 

父さんも西木野さんに気付いたのか関心した様な声を上げる。

 

「って、そんなことよりも隠れないと―――――ゲッ!?」

 

父さんにため息をつきながら声をかけると、ふと西木野さんと目が合った。

 

「おー、すさまじい速さでこっちに向かってくるな」

「”くるな”じゃない! とにかく父さんはこのまま外に! 僕も後で合流するから!」

 

僕は父さんの返事も聞かずにそのまま脇道へと駆けていった。

 

*病院内では走ってはいけません

 

西木野さんならば、この病院内の構造をしっかりと把握しているはずだ。

ならば、普通に逃げたところで捕まることになるのは確実。

通路をかけていき、突き当りを横に曲がったところで

 

「じょわ!」

 

天井に張り付いた。

そして少しして西木野さんが僕の真下を駆けていく。

 

(行ったかな?)

 

しばらくしても戻ってこないのを確認した僕は、下に降り立つとそのまま駆け足で外で待つ父さんのもとへと合流するのであった。

こうして、僕は何とか西木野病院を退院するのであった。

 

 

★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

首都東京千代田区某所

 

夜の帳も降り、周囲が暗くなった時間帯。

人通りが限りなくゼロに近い通りがあった。

街灯は申し分程度に設置されており、防犯面でもかなり問題視されている個所だった。

そこは様々な犯罪活動の温床ともなっており、今宵もまた、それが行われようとしていた。

 

「おらぁ!」

「うわぁ!」

 

一人の男性が強引にもう一人の男を地面にたたきつけた。

金髪に鼻や口にはピアスという見るからに異様な雰囲気を待とうその男は、地面に倒れている黒髪のひ弱そうな雰囲気を醸し出している男を威圧するようににらみつけた。

 

「兄ちゃんよぉ、俺の飲み物をパーにしやがって、どうしてくれるんだ? あぁん?」

「す、すみません。誤りますから! この通り―――ぐはぁ!?」

 

土下座をして謝罪する男性の腹を、金髪の男は容赦なく蹴り上げた。

 

「謝罪だけとかなめてんじゃねえぞ! 金に決まってるだろ!! 10万で許してやるよ」

「そ、そんな大金持ってなんか――――がっ!」

 

お金がないと口にした瞬間、男性の腹部に再びけりが入れられた。

この金髪の男性の正体は、かつあげだ。

わざと人にぶつかり服が汚れたなどのいちゃもんをつけて膨大なお金を巻き上げるのが手口だ。

被害者は住所を知られており、警察に行ったら殺すという脅しをされているため、刑事事件には発展していない。

 

「ウソついてんじゃねえよその財布にはさっき銀行で下した金が入ってんだろ? そいつをよこせ。さもないと」

「ひっ!?」

 

尾行していたのか、男性が大金を手にしていることを把握していた金髪の男は、ナイフを取り出すとそれを男性ののど元に突き付けた。

 

「真っ赤な飛沫が上がるぜ?」

「は、はい! わかりま――――」

 

脅しに屈服した男性が、財布からお金を取り出そうとした時だった。

 

「なっ!?」

「うわぁ!?」

 

突如として飛来した”何か”が、男の手にしていたナイフを吹き飛ばしたのだ。

 

「矢だとぉ?」

 

男たちのななめ右側の地面に突き刺さっている矢に、金髪の男は怒りに目を細めた。

 

「っ! 貴様かこの俺に矢を放った奴は!!」

「いいえ、違います」

 

ゆっくりと男たちのもとに近づく足音に、男は視線を音のする方向に向けながら問いただすと、落ち着いた声色で返ってきた言葉は否定だった。

 

「その言葉は違います。正確には、”弓を射った奴”です」

「てめぇ、俺にケンカを売ってんのか?」

 

徐々に近づく人影に、男は威圧するように声をかけるが、その人影はひるむこともなく男たちに一定の間隔で近づいてきていた。

 

「そこの方。お逃げなさい。安心してください。あなたの身の安全は私が保証いたします」

「は、はい!!」

「てめぇ、こら待ちやがれ!!」

 

男の物とみられる呼びかけに答えるように、男性はその場から走って逃げていった。

 

「貴様、よくも金づるを奪ってくれたな」

藤島(ふじしま) 恭弥(きょうや)さんですね?」

 

低い声を上げる金髪の男に対して、相手の男性が告げたのは、名前だった。

 

「なっ!? どうして俺の名前を……貴様、何者だっ!!」

 

自分の名前を言い当てられた金髪の男……恭弥は、相手にそう怒鳴り散らした。

 

「申し遅れました」

 

その言葉とともに、ついに声の主は恭弥の前に姿を現した。

 

「私、神社協同組合中央区担当の者でございます」

 

そう名乗った人物の服装は、明らかに不自然だった。

梅雨も明け、夏に向かって暑さが増す中、フード付きの真っ白なコートという服装は、不気味さを醸し出すのに十分だった。

 

「突然ですが、あなたはこの土地において、非常に有害な存在として認定されましたので、大変申し訳ないですがあなたのお命を頂戴いたしたいと思い、参上いたしますした」

「はぁ?」

 

男性の言葉に、恭弥は小馬鹿にしたような声を上げた。

 

「馬鹿にすんじゃねえ! なんだ、神社協同組合とは? 聞いたことがねえな」

「神社を適正に運営するための組織ですから、知らなくても当然です」

 

恭弥の言葉に、男性は淡々とした口調で答えた。

 

「それになんだ、俺を殺すってか? 殺せるもんなら殺してみやがれってんだ」

「かしこまりました」

 

恭弥の挑発に乗った男性は、頷くと一本の刀を構えた。

 

「だが、いいのか? 殺しでもしたら、お前は殺人に――「お命、御免!」――がっ!?」

 

恭弥の揺さぶる言葉を遮るように、男性は何の躊躇もなくまるで風のような素早さで恭弥を斬った。

 

「そんな……馬鹿……な」

 

恭弥はそうつぶやきながら、その場に横たわった。

それを確認した男性は、刀を一振りすることで刀についた血を振り払い、鞘へとしまった。

 

「もしもし、私です。状況終了しました。これより撤退します」

 

地面に横たわる恭弥を見向きもせずに、携帯電話を取り出した男性はそう告げると、携帯電話をしまうとそのまま去って行くのであった。

その場に人がいることも知らずに

 

 

★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

「くぅ~、冷たい~!」

 

朝、僕は朝の鍛錬を終えてお風呂場で水浴びをしていた。

とはいえ、ただ水を浴びているというのではなく、ちゃんとした儀式の一環でもある。

真っ白な服を身に纏い行っているそれは、”禊”といい穢れを取るための儀式として知られているものであった。

あることをした後は穢れを洗い流すためにこの禊を欠かさずに行っているのだ。

夏はいいが冬場になるとかなり地獄ではあるが。

 

「よし。これで大丈夫」

 

僕はそう打つぶやくと、桶を手にお風呂場を後にした。

そして、早朝練習の練習着に着替えると鞄を手に家を出た。

毎朝欠かさないランニングをかねて神田明神へと向かう。

 

(この時間なら30分くらいは余裕がある)

 

地脈の浄化作業はそこそこではあるが進んでいた。

とはいえ、まだ全体の1割にも達していないので、状況はあんまり芳しくはなかった。

浄化作業がこれまでに比べて効率が悪くなり始めたのだ。

 

(やっぱり何かが地脈に負荷をかけてるんだよね)

 

その何かは分からないが、それ以外には考えられなかった。

 

(とにかく、やれることをやるしかないか)

 

それが僕に出来ることなのだから。

 

 

 

 

 

「あれ、香月君?」

「いつも通りだな」

 

いつものように浄化作業を終えて待っていた僕のもとに、高坂さんたちがやってきた。

 

「あんた、ここに来て大丈夫なの? 倒れたっていうのに」

「ええ、大丈夫です。軽い貧血みたいなものだから。矢澤先輩もすみませんね。ご迷惑をおかけしたみたいで」

 

記憶が正しければ、倒れた場所は部室。

しかもその場には矢澤先輩がいたはず。

矢澤先輩は僕の命の恩人ということにもなるのだ。

 

「まったくよ。過労か貧血だかよくわからないけれど、倒れるだなんて」

「とか何とか言って心配してたくせ――――にゃ~!?」

 

そっぽを向きながら答える矢澤先輩に、両腕を頭の後ろのほうで組みながら突っ込んだ星空さんの頬を矢澤先輩が勢いよく引っ張った。

 

「つねるわよ!」

「も、もうふへっふぇふひゃ」

「……」

 

矢澤先輩と星空さんが言い合っている中、僕の方をじっと見てくる西木野さんの姿があった。

 

「な、なに?」

「別に」

 

声をかけると西木野さんはそっぽを向きながら答えた。

 

(どうして聞かないんだろう?)

 

西木野さんの聞きたいことはなんとなくではあるがわかっていた。

病院に入院しているはずなのに、入院していないという扱いになっていたということだと。

はっきり言えば、聞かれてしまえばぼくとしては困ったことになるので、聞かれなくてよかったことには変わりないが、微妙に気になった。

 

(まあ、いいか)

 

下手に墓穴を掘ることもないだろうという結論に至った僕は、疑問を頭の片隅へと追いやるのであった。

 

「それじゃ、ランニングを始めますよ」

 

園田さんの号令によって、僕たちは早朝練習が幕を開けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「香月君、部室に行こう!」

「言われなくても行くから、大きな声で呼ばないで」

 

放課後に突入するや否や大きな声で誘われた僕は、心の中でため息をつきながらお願いした。

 

「え、なんで?」

「なんでって……もういい」

 

恥ずかしいからと言えるわけもなく、僕はお願いするのを諦めることにした。

 

「あ、ちょっと待ってよ!」

「穂乃果ちゃん、待ってよ」

 

一人で教室を後にする僕に続いてついてくる高坂さんとそのあとを追ってついてきた南さんたちとともに、部室へと向かうのであった。

この後、とんでもない情報が飛び込んでくることになるとも知らずに




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