ラブライブ!~たった一人の男子とスクールアイドル~(凍結)   作:TRcrant

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大変ご無沙汰しております。

かなり前に達成したUAの記念小説を投稿いたします。
今回は、内容がかなり重いです。
そして、この物語のある種の重要なキーワードにもなるお話になります。

ちなみに、オカルト要素がふんだんに存在しますので、苦手な方はご注意ください。


幕間4(UA通算7万達成記念)

あれから……のぞちゃんから転校の話を聞かされてから間もなくして、のぞちゃんが転校した。

結局のところ、またいつも通りだ。

僕は再び孤独へと戻ったのだ。

少しの間ではあるものの、のぞちゃんのおかげで僕は初めて同年代の人と遊んだり話したりすることができた。

今思えば、それがほかの子たちにとっては普通のことであり、それが普通ではない僕のほうが異常なのだ。

でも、僕にとってはそれが当たり前なのだから。

そんなある日の夜のこと。

 

「浩介」

「なに? お父さん」

 

リビングの方に忘れてきた筆箱を取りに行って自室に戻る途中で、僕は父さんに呼び止められた。

その表情は怖かった。

怒っているというものでは無いのは確かだが。

 

「何か私に話すことでもあるんじゃないのか?」

「何もないよ」

 

重苦しい雰囲気があたりを支配する中、僕は父さんに微笑みながら答えた。

 

「…………そうか。早く寝るんだぞ」

「うん、おやすみ」

 

長い沈黙ののちに、父さんは一言告げるとそのまま僕に背を向けて去って行く。

その背中に僕も声を掛けると自室のほうに逃げるように戻った。

 

(言えるわけがないよ)

 

僕は父さんに嘘をついた。

何もないわけがない。

 

「………」

 

僕は今朝の学校での一幕を思い返す。

 

 

 

 

 

のぞちゃんが転校して、僕は再び空気になった。

でも、それは慣れているので別に苦痛ではなかった。

だが……

 

「おい、高月」

「な、なに?」

 

教室に入るなり、僕は何人もの生徒に取り囲まれた。

取り囲んでいる者全員の目は、見下すような不快なまなざしで、そしてその顔からは言葉では形容しがたいほどの悪意に満ちていた。

 

「お前さぁ、この間卓様によくも恥をかかせやがったな」

 

その一言で理解できた。

神矢は他校の生徒なので問題がないと思っていた僕の考えの浅はかさを。

彼の信奉者はどうやらここにもいたようだ。

いや、もしかしたらほかの学校の生徒もいるかもしれない、

なにせ、僕を囲んでいる生徒の中には全く見たことのない顔も見えるのだから。

 

「あんたみたいなカスが、卓様に勝てるわけないだろ」

「曲はお得意の強奪ですかぁ?」

「犯罪者だねぇ、犯罪者だねぇ」

 

次々に周りから独の言葉を浴びせられる。

 

「違うっ! あれは僕が創った曲だっ!!」

「うわぁ。みなさーん! ここにいる高月浩介君は極悪非道の大泥棒ですよ~!!」

 

僕の反論を聞いた一人の男子生徒は、わざとらしい口調で僕のことを非難する。

それをきっかけに周囲から”泥棒”という言葉が投げかけられる。

 

(こんなの嫌だ。早く終わって、お願いだから)

 

僕はその場にしゃがみ込んで耳をふさぐ。

誰かが助けてくれると信じて。

 

「お前たち! 何をしているんだ!!」

『っ!?』

 

そんな中、教室に響き渡った野太い男の声に罵り続けていた生徒たちはおろか、僕ですら体を震わせる。

角刈りの頭にがっしりとした体格の男性が、のぞちゃんが転校して少ししてからなった、僕たちのクラスの担任であった。

助かった。

心の中でほっと胸をなでおろした。

”これで終わる”そう思った時だった。

 

「かはっ」

 

言葉には表せ合いほどの痛みと共に、僕は反対側の壁まで吹き飛ばされていた。

一体何が起こったのか、自分でも理解が追い付かない。

 

「ダメじゃないか。しっかりと痛めつけてやらないとな」

 

そんな僕の耳に聞こえてきたのは、担任の教師の冷たい言葉だった。

 

「よし、お前らHRはこいつのタコ殴り会にするから、早く殴りな」

 

状況が飲みこめていない僕をよそに、担任の教師はクラスに向けてそう言い放つ。

次の瞬間、クラスの皆が一斉に僕のもとまで駆け寄ると、一斉に殴るけるの暴行を加え始めた。

それはまさにリンチと言っても過言ではない状況だ。

 

「顔とかはやめとけよ。こいつ成金だからなぁ。後女子は箒とか椅子を使え。なぁに、こいつは化け物だから死なねえよ」

 

教師のその言葉で、僕に浴びせられた攻撃は腹部に集中し始めた。

そのあとのことはよく覚えていない。

痛覚が狂ってしまったのか、最後のほうは椅子を振り下ろされようが、教師に踏みつけられようが痛みを感じなくなっていたのは覚えている。

だが、これはホンの始まりに過ぎなかった。

その次の日から学校で様々な事件が続発した。

ある時は授業で育てている植木鉢が粉々に割られたり、ある時は学校のガラスが割られたり、などなどだ。

そしてこの事件の結末はすべて同じものだ

 

「えー、今日学校のお金が盗まれました。犯人はこのクラスにいる」

 

朝のHRで突如先生がそう言い放った瞬間、教室中がざわつき始める。

だが、それは不安や驚きというのにはほど遠く、まるで目の前に自分の欲しいものが置いてあり、それを手にするのを今か今かと心待ちにしているような状態と言った方が適切だろう。

現に数人の生徒がこちらのほうを不気味な笑みを浮かべながら見ているのだから。

ゆっくりとこちらに向かって歩み寄る先生は、口の端を釣り上げながら静かに僕の肩に手を置く。

 

「お前が犯人だな、高月」

「……違います。私はそのようなことはやっていません」

 

身に覚えのない事件の犯人に次々にされていった僕はそのたびに否定の言葉を口にした。

だが、その口調はどこかあきらめの色が強くなり、説得力が低いものだった。

もちろん最初の頃は必死に否定していたのだが

 

「嘘をつくなっ。お前がやったのは分かってるんだ。嘘をつくとはさすが盗賊一家だな」

 

と、言われるのが落ちなので、最近はそんなに強く否定することはなくなっていた。

気が付けば僕はこの町一番の不良というレッテルを張られていた。

外を歩けば近所の人たちに”あの子よ、学校で悪さをしている不良っていうのは”という会話をしながら、後ろ指をさされる。

学校に行けばまた何がしらかの罪を着せられる。

着せられなかったとしてもHRでのストレス発散タイム(内容は僕を殴るけるもの)が待っている。

 

(僕は一人なんだよね)

 

僕に味方をする者も、手差し伸べてくれる人もいない。

でも、学校には毎日行っていた。

それは行かなければ行かないで悪名がさらに上書きされると無意識的に悟っていたというのもあるが、一番の理由は”僕はこんなことではくじけない”という無言の抵抗だったのかもしれない。

テレビのニュースでいじめを苦にした人が、自ら未来を閉ざすというのを聞いたことがある。

もしかしたら僕もそうすれば楽になれるのかもしれない。

誰もいない放課後の時間に、一回だけそれをやろうとしたことがあった。

屋上まで行ったのはよかったが、飛び降りることができなかったのだ。

それは、僕に度胸も覚悟もなかったから、

結局、僕はいつ終わるともわからない地獄の道を歩き続けるしかなかった。

 

 

 

 

 

(はぁ……)

 

一通り思い出した僕は、自室で深いため息をつく。

 

「……寝よ」

 

時計を確認すると時刻はいつも寝る時間より早かった。

いつもならピアノを弾いたりするのだが、あの一件以来ピアノを弾く気が起きなくなったのだ。

明かりを消して、ベッドにもぐりこんだ僕は静かに目を閉じて眠りにつく。

 

――この時、僕はすでに死にかけていたのかもしれない。

”心という名の命が”

 

それが、取り返しのつかない大事件に発展するとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはある日の朝のことだった。

 

「行ってきます」

「浩介、今日は学校休め。顔色が悪いぞ」

 

いつものように学校に行こうとする僕をで止める父さんの表情はとても神妙な面持ちだった。

あれからどれだけの日が経ったのかはわからない。

ただ、仕事で忙しくあまり会う機会が少ない父さんでさえ僕の異変に気付いてしまうほどにまでなっているのだけは確かだった

 

「大丈夫。ちょっとだけ寝不足なだけだから。行ってきます」

「あ、おい!」

 

呼び止めようとする父さんを振り切るようにして、僕は通学路をかけていく。

あの時、父さんに一言真実を告げればよかったのだ。

そうすれば、あれは避けられたのかもしれない。

だが、この時の僕にはその選択肢など皆無であり、進も地獄もドルも地獄の状態にまで追い込まれていたのだ。

そんなこんなで、学校に到着した僕を最初に待ち構えていたのは土や泥やらごみなどがこれでもかと詰め込まれたげた箱だった、

 

「……」

 

このようなことはいつものこと。

最初は新品のようにきれいにしていたのだが、きれいにしても次の日には見事に同じ状況になっているので、最近はきれいに掃除するのを必要最低限にとどめるようにしている。

 

「おい見ろよ。あいつまた来てるぜ」

「良く来れるよな」

「きっと心がないんだぜ」

「そうだな、化け物だもんな」

 

そんな僕に聞こえるような大きさで陰口を叩く生徒にももはやなれたものだ。

 

(こんなものでいいかな)

 

一通り掃除を終えた僕は、泥によって薄汚れた上履きを履いて教室へと向かう。

HRという名の地獄が始まる5分前だった。

 

「えー、今日校長先生から我がクラスはこの学校の中で一番汚いというお叱りをされました」

 

担任の教師のそんな言葉で始まったHR、周囲のクラスメイト達はこちらをにやにやと不気味な笑みを浮かべながら見ていた。

 

「これは、存在自体が汚い高月のせいだ」

 

先生の主張に″そうだそうだ″という賛同の声が上がった。

 

(またか……)

 

今日の″指導理由″は存在自体が汚いというもののようだ。

この後は、クラスの全員から指導という名の暴行がはじまる。

それがいつもの朝の出来事だ。

 

「みんなの指導でも高月は良くならない。だからまずはみんなの前で、謝罪をして貰おうか」

 

だが、今日はいつもとは違い、謝罪の言葉を言うように指示された。

 

「とっとと前に出ろ!」

 

僕は先生に怒鳴られながら、黒板の前まで移動した。

すると、僕の隣まで不気味な移動してきた先生が口角を吊り上げながら僕の耳元に近寄る。

その時の気持ちは、これから何をされるのかという不安なのか、それとも先生という存在に対する恐怖のどちらなのかが分からなかった。

 

「お前は今から俺が言う言葉を口にしろ」

 

そう前置きをしてから先生は一呼吸置くとその言葉を告げた。

 

「僕はどうしようもない変態の犯罪者です。私は家のお金を皆にあげて、一生奴隷として生きていくことでこの罪を償います」

「っ!!」

 

先生から告げられた言葉に、僕は体中に寒気を走らせるのに十分だった。

 

″その言葉を口にしてはいけない″

 

その思いが僕の心の中に強く根付いていた。

それを口にすれば、僕は僕でなくなるという予感のような物を感じていたからかもしれない。

 

「おら、さっさと言えよ!」

「うっ!」

 

担任の先生のの足蹴りが胸の部分に命中する。

一瞬ではあるものの息苦しくなる。

 

「ゲホッ。僕……は」

 

息が整うまで黙っているとまた蹴られるので咳き込みながらではあるが、僕は先生に言われた通りの言葉を口にする。

 

「どうしようも……ない変態の」

 

口にするたびに、僕が大事にしていたものがなくなって行くような喪失感に襲われた。

 

″お前は何がためにここにいる″

 

得体の知れない何かが、心の中で僕に声をかけてくる。

僕は一体何をしてるのだろうか。

僕はここに自分のすべてを否定するためにいるのか?

それは否。

この場所には、僕のすべてを否定する資格のある者はいない。

 

「そんなやつに」

「あん?」

 

この時、僕は自分が覚えている限りではあるが、初めて″怒り″と言う感情を抱いたかもしれない。

 

「僕のことを批判する資格はないっ!!」

 

そう怒鳴った瞬間、教室が静寂に包まれた。

それもそのはずだ。

これまで、僕は人前で怒鳴ったりすることはなかった。

その僕がたった今怒鳴ったのだから、その驚きは大きかったのかもしれない。

だが

 

「お前、自分の置かれた立場が分かってねえみたいだなあ?」

 

そんな僕の一言は、先生やクラスの全員の怒りを買うのに十分だった。

 

「クズは死ななきゃ直らないみたいだなぁ」

 

狂気に満ちた笑みを浮かべながら先生が取り出したのは、どこにでもあるハサミだった。

刃先をこちらに向けていなければ、だが。

それを手にこちらに迫ってくるため、僕は後ずさりをすることで距離をとろうとする。

だがすぐに窓際まで追い込まれたが、今度は壁沿いに移動する。

 

「おまえら! こいつを殺せば全科目満点にしてやろう」

 

その発言をきっかけに、傍観していたクラスの者の目の色が変わった。

各々が慌てて武器になるような物を持ち始めたのだ。

ある者はハサミを。

またある者は椅子を。

またまたある者は、どこに置いていたのか、植木鉢を手にこちらに迫ってくる。

一瞬のうちに僕の周囲は彼らに包囲された。

もはや逃げ場など無かった。

 

「殺せるものならやってみろよ」

 

先生の冷たい言葉が僕にかけられる。

 

「この化け物」

 

その言葉がきっかけだったのだろうか?

僕の中で何が音を立てて崩れ落ちた。

 

「……て」

「何だ? 命乞いか?」

 

今まで自分が超えないようにしていたライン。

 

「僕を傷つけ、おとしめる人は皆皆消えて!!」

 

僕はそれを超えてしまった。

僕の言葉は池の中にものを投げ入れた時のようなさざ波となって周囲に伝わっていくような感じがした。

 

「京ちゃん!」

「何? 友ちゃん」

 

その声が聞こえたのは、それとほぼ同時だった。

その子はこれまで僕に行われていたリンチを笑みを浮かべながら観ていたクラスメイトだった。

呼ばれた子は、首をかしげながら呼んだ人の方に顔を向ける。

呼んだ子(友ちゃん)は、顔面蒼白で震える手で京ちゃんと呼ばれた女子の足の方を指さしながら

 

「あ、足が……消えてる」

 

と、震えた声を上げた。

 

「え? きゃあっ!?」

 

京ちゃんと呼ばれた女子は、自分の足を見ると顔を真っ青にさせて悲鳴を上げた。

見ると確かに彼女の足は、薄くなっており、後ろの方が見える状態になっていた。

 

「わ、私どうなるの!? ねえ!」

 

顔面蒼白で声を荒げる女子の足が完全に消えてなくなり、胴体が薄くなり始める。

 

「い、嫌だ。死にたくない」

 

目の端に涙を浮かべる女子をあざ笑うように、消える速度は増していく。

いつの間にか、彼女の胴体は完全に消えており、今度は顔の方が薄まり始めていた。

 

「お願い。助け――」

 

彼女の最期の言葉はそれだった。

言い切る前に、彼女は完全にこの場所からその姿を消した。

その一部始終を見ていたクラスメイト達は一様にざわめきだした。

 

「高月、貴様ぁ――」

 

先生の言葉を遮るように、再び悲鳴があがる。

それも教室のいたる場所からだ。

見ればクラスメイト達の体が、先ほどと同じように薄まり始めていたのだ。

今度は先ほどとは違い、1分もしないうちにクラスメイト達の姿形が見えなくなっていた。

気がつけば、教室にいるのは僕だけとなっていた。

僕をリンチしていたクラスメイトや先生は、一瞬のうちにこの世から姿を消してしまった。

 

「あ……ぁ」

 

目の前の現実を目の当たりにした僕は、口が震えてうまく声を出すことができなかった。

それがこの惨状を生み出したことに対する恐怖なのか、それとも別のものによるものかは分からない。

 

(僕の……せいだ)

 

ただはっきりと分かっているのは、これが僕のせいで起こったことであるということだけだ。

そしてそれは、″言霊″によるものであった。

僕は口にした言葉を(死者をよみがえらせるのは無理だが)現実にしてしまう力を持っていた。

いつもはちゃんと自分で制御をしているので暴発のようなことにはならない。

だが、どうやら心が乱れると、その制御ができなくなってしまうということが分かったのは、それから数年後のことだった。

それはともかく。

言霊の力は正しく働いた。

 

″僕を傷つけていた皆を、消したのだから″

 

でもそれは

 

「僕が……皆を」

 

殺したということと、イコールでもあった。

 

(そんなの、僕は望んでなんていないっ!)

 

僕はただこの地獄を平和的に終わらせたかっただけなのに。

 

「こんなのってないよ」

 

残酷な現実が、僕の心を容赦なく痛めつける。

僕はあのまま皆に殺されているべきだったのだろうか?

そうすればこの惨状を生み出すことはなかった。

自分を責めていると、足に違和感を感じたので視線を足に向ける。

 

「あ……」

 

僕の足はクラスメイト達同様、透明になりかけていた。

それが意味するのは、僕自身も消えるということだけだった。

 

「何で」

 

思わず疑問の声を出してしまったが、それは明白だった。

僕が口にしたのは、″自分を傷つける皆を消してほしい″という内容。

そして、今僕は自分を責めていた。

そこのとで傷つけたという解釈になってもおかしくはなかった。

 

(それだったら、それでいいや)

 

このまま誰にも知られずにいなくなれば、僕はこれ以上苦しまずにすむのだ。

永遠に行方知れずになっても、心配する人は両親くらいだ。

僕は生きることをあきらめていた僕は、消えていくのに抗うことなく、心を委ねるようにそっと目を閉じた。

やがて僕は自分の体の感覚を完全に失った。

おそらく、もう僕の体はなくなったのだろう。

 

(暖かい)

 

そのはずなのに、心地よい温もりが僕を包み込む。

その違和感に、目を開ける。

肉体はないはずなのに、目を開けようと思った瞬間には今いる場所の景色を見ることができた。

そこは一面真っ白で何もない、いわば無の世界だった。

他の人はいるのかとあたりを見回してみるが、人の姿は一切見えなかった。

 

(もう、いいよね)

 

誰に問いかけているのかは分からなかったが、僕は再び目を閉じようとすると、一面真っ白な景色に一瞬で黒の幕が下りた。

こうして僕は無とも言える世界で永遠にひとりで過ごす。

 

――はずだった。

 

 

 

 

 

「――――ぞ」

 

突如、黒い幕を照らすように入ってきた橙色の光と聞こえてきた男のものとみられる声は、聞こえるはずがないものだった。

その声に導かれるがままに目を開けてみると、そこには

 

「おい、生きてるぞ!」

「大丈夫か?! すぐに救急車が来るからね」

 

懐中電灯を片手に声を掛けてくる二人の男の人の姿があった。

そこは教室ではなく野外だった。

目の前にいる二人の男の人の姿が、月明かりでぼんやりとではあるが見えるようになった。

どちらも頭にはつば付きの帽子に、服装は青っぽいシャツを着ていた。

それはどことなくある職業の制服のように見えた。

 

「お、おい。意識が――――」

「しっかり――――」

 

―――僕の目の前にいるのは警察官だ。

 

そう思いながら、僕は意識を手放すのであった。




次回はUA通算8万を達成したときになります。

本編のほうも早めに更新できるよう努力いたしますので、今しばらくお待ちください。
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