ゼノブレイド2 A New Future With You 作:ナマリ
でもなんとか3発売までには完結……できなくても終盤まで行かないと……
ペースがぐちゃぐちゃにはなると思いますがよろしくお願いします!!!!
“サルベージャーの一団”
神暦4079年―――――
アルストが今の姿をとなってから20年。
世界の主要
雲海が無くなり、多くの巨神獣が一つになったことによる影響はとても凄まじいものだった。沈む世界に怯えることはなくなったことは良かったが、雲海が無くなったことによるサルベージャーの混乱、国が接続されたことによる国境や混乱の中でのクーデター、内紛…… それらは想像よりも恐ろしいものであった。しかし、何もできないまま沈む世界よりは良かった。荒れる時勢の中で人々は新たな道を見つけたのだ。
巨神獣もすべてがすべて一つになったわけではなく、島ほどもない小さな巨神獣や巨神獣船は未だ運用されている。国も争いの果てに新たな形となったところも多い。
特に一番この時代の恩恵を受けたのはサルベージャーであった。
最初は不気味な大きな湖ともいえる海に対し、一人のサルベージャーが青い海に勇気を出して飛び込むと、そこには雲海では見つからなかった新たな技術、旧文明の遺産が残っていた。結果サルベージャーは過去の職業となることはなかった。むしろ、より発展することとなった。多くのサルベージャーや商人を擁するアヴァリティア商会も巨大となり、大国の一部に吸収され、アルスト随一の商会となった。
先の見えないこの新たな時代に生きる者達は手探りで道を探していく。たとえその果てにあるものが絶えない悲しみだったとしても。
ほのかに木々の間から射す光だけが、唯一の光源となるこのグーラの深い森の中。
サルベージセットを乗せた大きな台車を運ぶ、一人の少女が居た。彼女の前には同じようなスーツを着込んだ者たちが5人ほど。つまりはサルベージャーだ。
「例のサルベージポイントまでまだまだだな。この調子で行けば明日の昼には着く」
「ええっ、まだそんなに時間かかるんですか!?」
先頭に立つスキンヘッドの男性に、最後列の少女が叫んだ。このスキンヘッドの男性がサルベージャー達のリーダーらしい。
「だとしてもそろそろ交代してくださいよリストさん……。前の交代から2時間ぐらい経ってますよ?」
「ルーキーとはいえその程度でへばるんじゃあまだまだだなミント。男でも女でもブレイドでも、その倍はやって当たり前だぞ?」
「さっき1時間半で交代したのに何言ってんだか……」
ミントと呼ばれた少女は小声で愚痴を呟いた。結局交代することになり、そのままサルベージポイントを目指してグーラの深い森を進む。
彼らがサルベージポイントを見つけたのは、アヴァリティア商会本部にあるとある掲示板であった。アヴァリティアで活動するサルベージャーや商人など、様々な者たちが利用する情報掲示板。アルストが今の姿になってからは分からないことだらけで、互い互いが新たに見つけた情報などを共有するため、助け合いのために利用しているのだ。
そんな掲示板の前に立つ、一人の細身ながらも筋肉質な男。なでつけた金髪を触りながらその掲示板に貼られている一枚の掲示を見つめている。そこには「マル秘 グーラサルベージスポット!」と大きく書かれていた。
そこに腰を大きく曲げた老人が現れ、その掲示をはがし棒をつかいながら丁寧に剥がしていく。
「なんでそれを剥がす?」
金髪の男が老人に聞いた。老人はやれやれと首をコキコキ鳴らしながら金髪の男へ顔を向けて淡々と話し始める。
「ガセ情報だよ。最近サルベージャーを狙ったモノが多くてね。上からこれはガセだと情報が入ったから剥がせと。全く助け合いの精神はどこに行ったんだろうねぇ。まぁ私は仕事があって退屈しないからいいんだが」
老人は小さく鼻歌を始め、その掲示を剥がし終わる。
「なるほど、随分考えるヤツらだねぇ」
金髪の男は満足そうな顔でその場をそそくさと立ち去って行った。
そんなことを知らぬまま、サルベージャーの一団は森の中を進んでいく。何の問題も無く進んでいても、日は落ちる。ただでさえ暗い森の中、いくらなんでもこの中を行くのは危険だ。
「さて、そろそろキャンプにするか」
サルベージャーのリーダー、リストがそう言うと、一斉に歩く足を止めて休憩。キャンプの時間となった。
「ふぃー……」
ミントが疲れた足を崩してその場に倒れるように座り込んだ。ずっとここまで歩きっぱなしであったため、さすがに疲れるだろう。途中に少しの休憩が何度か入ってはいたが、ほんの数分では完全回復できない。
「さてと……」と、持ってきた水筒に口をつけようとした瞬間、近くの草むらからガサガサと何かの音がした。ここはグーラの奥地。まさか…… その正体は当たった。飢えたカエルのモンスターがよだれをたらしながらこちらに狙いを定めている。しかも一体だけではない。ミントたちサルベージャーを囲むように。
そのうちの一体がついにこちらにとびかかってきた。粘液のまとわりつくこのモンスターに襲われれば、まず逃げられないだろう。しかしそのモンスターに一閃。光と共に真っ二つになり、ぬかるんだ地面に落ちた。
「すまない、大のほうも出ちゃって……」
チャクラムのような武器、ツインリングを片手に持つグーラ人が目の前に立っていた。彼のそばには、黒い毛が凛々しい、胸に青い宝石を持つ獣型のブレイド。
「ほんと困るわよね。依頼されてるのにトイレ行ってて遅れるなんて……」
「仕方ないだろ、中途半端な状態で戦えるかっての!」
そう自らのブレイドに反論した後、グーラ人のドライバーは両手のツインリングを指で回しながら、モンスターの群れへと突っ込んでいく。
一匹のモンスターがドライバーのもとへ飛び掛かる。攻撃を躱し、ツインリングでカウンター。モンスターの左半身を切り裂く。しかしそれを見て仲間も黙ってはいない。今度は2体が舌で彼の足を引っかけて転ばす。倒れた衝撃でツインリングを落としてしまう。
「えいやっ!」
それを見ていたミントは、腰に携行していたダガーでカエルモンスターの舌を貫く。痛みのあまり舌を引っ込ませたことで、なんとか動ける状態となり、ツインリングを手に戻した。
「サンキュッ!いくぜクロヒョウ!」
「まったくドジ踏まないでよね……」
ドライバーはツインリングを投げ、クロヒョウと呼ばれたブレイドの前へと移動した。バブルリングのようにクロヒョウの前にツインリングが浮かんだ。
「ランディックブラスト!」
そう叫んだ途端、リングの中を通った空気が硬い石や土へと変質し、大きな渦となってモンスター達を吹き飛ばした。
「ま、ざっとこんなもんかな」
ドライバーはツインリングを手にし、腰からぶら下げた。
「いやいや助かったよリリオくん。さすがドライバーさんだ、護衛につけていて良かった」
「ははっ、どうもどうも!今後ともアニマ傭兵団をよろしく頼みます!」
「まだこれで終わりじゃないっての。帰るまで依頼してるんだからね」
手を出したリリオに、リストは握手で返す。それを見て「トイレで遅れてたのに……」と白い目でミントは見ていた。
ふと、崖の上からガサガサという音が聞こえた。ミント以外には聞こえていないらしい。ふとそこに目をやると赤い、何かを背負った誰かがこちらを見ていた。
「さすがにここならモンスターも来ないだろう。キャンプにするぞ」
先ほどモンスターに襲われたところでキャンプをするのはさすがに危険だった、あれから少し移動し、木々と崖に囲まれた場所でキャンプをすることになった。
「ふぅ、ようやく休憩だ!」
ミントは腕を伸ばしながら、地面にひいたシートの上に倒れこむ。
「さてと、腹減ったなぁ……」
リリオは腹をさすりながらサルベージャーの間で交代しながら運んだ台車を漁る。
「あー、ちょっと待ってちょっと待って!そういえば今回の食事当番私だったんだ!」
リリオをはねのけ、ミントが台車の中から様々な料理道具を出していく。鍋にフライパンにいくつかの皿、そして大きな肉の塊を取り出した。
「おっ、もしかして何か作るのか?」
「もっちろん!私の腕すごいんだから、見てなよ~?」
ミントはフライパンを手にリリオの方を横目に見つめた。ちょっとだけ引くリリオ。
コンロも準備し、早速ミントは料理にとりかかる。さっと包丁を取り出し、肉塊を大きく7つに分け、油を撒いたフライパンの上に載せる。火を強めて肉からある程度油を出したら、今度は弱火にしてじっくり焼いていく。豪快ながらも考えられたやり方だ。ジュージューと焼かれる音と共に良い匂いが辺りを満たす。
「ん~、良い匂い……。なぁクロヒョウ、この匂いにモンスターが釣られて来たりしないか?」
「大丈夫よ。この辺りのモンスターが好きなのは血の匂いだから。」
ミントはマヨネーズと塩と胡椒、醤油を油の中に放り込む。特製タルタリソースだ。
「今日はタルタリ焼きか。ミントの得意料理だな」
リストがよだれを垂らすリリオに語りかける。
最後に焼いた肉とソースを絡ませて皿に乗せる。いくつかのハーブのミックスをふりかけてついに完成。ミントとリリオとクロヒョウを含めた8人でキャンプの焚火の前を囲む。
「それじゃ、いただきまーす!」
「「「いっただきまーす!」」」
ミントの合図の後に全員でいただきますの挨拶を行う。この旨そうな香りは食べずにはいられない。一斉にタルタリ焼きにがっつく。
「すげぇ旨いな……お前サルベージャーの前は料理人か?」
「それ褒めてる? 貶してる?」
「褒めてるんだよ。こんな美味いのはそうそう食ってないな」
「リリオ、自炊してもいつも中途半端なものばかりだからねぇ。傭兵団も賃金低いし」
クロヒョウの余計な一言に「んなこと言うなっつの!」とつっかかるリリオ。ミントも自分の料理ながらよく出来たと思い、タルタリ焼きを食べ進める。
「でもまぁ仕方ないだろ。うちの傭兵団安いのが取り柄みたいなもんだし」
「安い分、トイレで遅れたりするんだね……」
ここでミントが小さな皮肉を言った。
「あれはたまたまだって! それに俺強かっただろ? ま、大手のフレースヴェルグに比べたら劣る傭兵団なのは否めないけどさ」
「でも恩があるからねぇ。なかなか辞められないのよ」
クロヒョウが苦い顔でリリオの方を見つめて言った。リリオは作り笑顔をミントのほうへ向けながらタルタリ焼きを食べ進める。
「リリオはさ、どうしてドライバーになったの?」
「ん、そうだなぁ、昔の仲間への仕送りのためかな。前はサルベージャーやってたんだけどドライバ―の方が何かと安定するからさ」
リリオは何か思うようにして、胸から下げたロケットペンダントを開き、その中を見た。
「俺の両親。故郷含めてもう亡くなっちゃったけどさ」
「そう、なんだ……」
ミントは食べていた手を止めてしまった。
「あぁ、ごめん湿っぽい話になっちゃって。昔の話だし、今は充実してるから良いんだよ。もっと明るい話にしようか?」
「え?ああそうだね。出来たらそっちのほうが良いかな~」
ミントは再び食べる手を進め始めた。リリオも笑顔で話を続ける。
「そんな俺に手を差し伸べてくれた人が居てさ。サルベージャーでドライバーだったんだ。その人のおかげで今の俺があるんだ」
リリオはそう言うと感極まったのか立ち上がって言葉をつづけた。
「いつか、俺はその人を超えたい。サルベージャーとしてもドライバーとしても」
「それじゃあまずは依頼が終わるまでしっかりドライバーとして働いてね? またトイレで居なくならないように!」
ミントはリリオの手を引いて座らせた。
「そりゃもちろん!」
そうした会話を続けるうちに、やがてタルタリ焼きは全て無くなった。リリオ、リストら他のサルベージャー達は満腹となって重い腹をさすっている。ミントはみんなの汚れた皿を手に取り、台車の中へと雑に置いた。
「皿洗いするか?」
リストがミントの肩を叩く。
「あ、明日朝起きてからやるから大丈夫です!」
「そうか。それじゃそろそろ寝る時間だし、テント張って体を休めるとしよう。ミントもあまり無理しないようにな」
「そう言ってまた明日台車やらせるんじゃあ……」
「ミントに限らず全員そうだろ」
もう日が落ちてから随分と立つ。夜更かしする理由もないため、今日は早く就寝することに。テントを台車から取り出してその場で作り、グーラの奥地であっても寝苦しくない寝袋を取り出してすぐに寝る準備は整った。しかしミントは寝る前に小さなオルゴールをポーチから取り出した。]
「ん、どうしたんだそのオルゴール?」
「あ、これアヴァリティアで売ってて。良い音色だなって思って買ったんです」
ミントはオルゴールの奏でる綺麗な音色に耳を澄ませている。
「この曲、グーラの子守唄だな」
オルゴールの音を聞き、リリオが隣のテントから現れた。
「うわっ、びっくりした! グーラの子守唄?」
「ああ、昔母さんがよく歌ってくれたなぁ。グーラじゃ有名な曲で、グーラ人なら幼い頃から聞かされてるんだ。遺伝子に刻まれてるっていうか」
「へー、だからこんな心に沁みるのかな……」
「俺も昔トリゴの町のトリゴリウト弾きが歌ってたの聞いたことあるな」
「私も一度本物聞いてみたいなぁ」
「ま、とにかく今日はもう寝たほうが良い。明日は今日の倍は歩くだろうからな」
「げっ、そんなに歩くんですか……」
「サルベージャーには朝飯前だぞ。しっかり休んで体力回復しとけ」
リストは寝袋を閉じ、そのまま寝床についた。ミントもオルゴールの音色を聞くのはまた明日ということにし、大きなあくびをしてから寝袋の中へと入った。
「おやすみなさーい……」
明日のため、眠い目をこすりながら眠りにつこうとする。しかし、何か足音が聞こえる。他のサルベージャー、もしくはリリオだかが外で散歩でもしてるのか、トイレにでも行っているのか……
こういうことにどうしても気になってしまい、眠れないのがミントの最近の悩みだ。
ズザッ、ズザッ―――――
少なくともこの足音は、モンスターのものではないだろう。人のものらしき、丁寧な歩き方に聞こえる。まるで、忍び足をしているような……
テントから見えるその影は人の姿。少し体を起こして周りを見てみるが、仲間のサルベージャーではなさそうだ。
「確かこのテント……」
声から察するにそれは少年だった。誰も起こさない様に小さな声で何かを探しているようだ。ミントは目を閉じて眠るふりをしながら、少年の動きを探る。
「あったあった……」
少年はミントのカバンの中をガサガサと漁り、あのオルゴールを手にした。これが目的のようだ。用事を終えた少年はゆっくりと、忍び足でテントの外へと……