ゼノブレイド2 A New Future With You   作:ナマリ

5 / 9
結構旧作からはストーリー展開なり、きっかけを色々変えているのですがどうでしょうか?
初めて読む方にも楽しんでいただけたらと思います


"ショットとバクエン"

 

ショットと少年が燃える刃を鍔競り合っていた頃、ミントは洞窟の奥にある牢屋へとたどり着いていた。

「見つけた! リストさーん!」

「ミント!? どうしてここに?」

牢屋の中にはリーダーであるリストを含めた他のサルベージャー達が捕まっていた。見る限り全員居ることから誰も殺されてはいないようだ。

「どうしてって、助けに来たに決まってるじゃないです……かっ!」

牢屋の鍵穴はなかなか古く、鍵が硬かったがなんとか力を入れて開錠することに成功する。扉を開けてその中からサルベージャー達が出ていく。

「しかし一人でこんな危ないことするなんて」

「大丈夫ですよ、強い助っ人が居ますから!」

そう言ってグッドサインを見せつける。なんとか全員出ることが出来たが、後ろから野盗たちが迫ってくる音が聞こえてきた。

「まずい! まさかここまで来たのがバレた!?」

野盗たちはナイフを手にこちらへと次第に迫ってくる。サルベージャーは戦闘をする仕事ではない。弱いモンスターなどであれば戦うことができるが、戦い慣れた相手には勝てない。

「クソッ、ここまでかよ!」

一応は護身用のナイフを手にするものの、このまま野盗にやられるのを覚悟する……しかし、突然こちらに迫る野盗たちは吹き飛んで壁に叩きつけられた。土煙と共に。

「この攻撃……」

「リリオだ!」

野盗たちの後ろにはボロボロになりながらもツインリングを手にクロヒョウと共に立つリリオの姿があった。まだ動ける野盗はリリオに向かって襲い掛かるが、ドライバーとただの野盗、相手になるはずもなく一撃で倒されてしまった。

「おい、お前ら大丈夫か!?」

「大丈夫……ってそれはこっちのセリフだよ、そんなボロボロになってるんだから」

「あの少年と敵のドライバーが戦ってる隙に逃げてきたんだ。クロヒョウもなんとか解放してな」

「ええ。ドライバー相手には難しいけど、ただのチンピラ程度屁でもないわ」

「ありがとうリリオ、全く金以上の仕事をしてくれるな」

「いやいや、むしろ攫われるなんて傭兵として失格だ。今回はタダでいいですよ」

「ともかく、今はここから逃げましょう、他に何人野盗が居るか分かりませんし」

サルベージャーの一人が怖気付いた声でリストに話しかける。

「そうだな。ここから出るまでの間の護衛も頼むリリオ」

「もちろんだ。行くぞクロヒョウ!」

リリオを先頭にサルベージャー達は洞窟から脱出する。

 

「コイツ、本当に強い……」

少年はショットに押されていた。それもそのはず、世界各地の様々な場所を襲いコアクリスタルを力づくで奪っているテロリスト、ペルフィキオの一員なのだから。実力も単純なパワーもこちらより上。さらに同じ属性。こちら側の攻撃の威力が半減される。

「なんだよ、喧嘩売ってきてその程度か? せっかくの仕事が台無しになるんだからもっと楽しませろよッ!」

刀によるさらに強い一撃が剣に叩きこまれる。しかしこのまま何も打たずに剣が壊れるまで防ぐわけにはいかない。

「ダブルスピンエッジ!」

次の攻撃はかわし、その勢いで思いきり回転斬りをショットに打ちこむ。しかしその攻撃も防がれ、相手のダメージにはならない。

「随分面白いアーツじゃねぇか、誰に習った?」

「母さんとひいじいちゃんからだ……これでも戦いには自信がある!」

「ほう? にしては随分と押されてるみたいだなぁ!」

ショットは剣で防ぎながら、思いきり少年の腹を蹴り上げる。ガハッとツバを吐いてその場に少年は倒れ込む。今の一撃ななかなかだったらしい。

「さて、そろそろ終わらせてやるよ」

刀を振り上げ、倒れる少年に振りかざす。その瞬間、どこからかナイフが飛んできた。

「やめろーっ!」

ナイフを投げたのはミントであった。投げたナイフは簡単に弾かれてしまったが、野盗から奪ったものがもう一本ある。ショットに向かってそのまま突進する。

「おいやめろ、来るな……」

少年が止めようとするが止まりはしない。ショットが困惑している間に加速し、思いきりその腹にナイフを突き刺す……

 

ことは叶わなかった。ショットはミントの手を掴み、そのまま奪った。

「無茶しやがって、仕方ねぇなァ!」

ショットは奪ったナイフを抵抗のできないミントの胸へと突き刺した。そして投げた。

胸から血をドクドク流しながら、ミントは苦悶の声を上げる。

「あ…う…」

「この……野郎!」

再び剣を持ってショットに挑む。しかし歯は立たないままだ。

「まったく面倒くせえんだよ! やれ!バクエン!」

少年の攻撃を弾き飛ばし、遠くまで離れたのを確認しショットは再びバクエンに刀を投げて渡す。

「ああ、とどめ刺してやる!」

バクエンは刀に自身のエネルギーを込める。それを空中に浮かべ、少年の周りで回転させる。やがて刀から炎が噴き出し、その炎は竜巻のように渦を巻き始める。

「これは…!?」

「同じ属性でも、さすがにこの攻撃には耐えられない!」

渦はやがて炎の肌の焦げるような熱い竜巻へと姿を変え、逃げ道をふさぐように少年を包んだ。そしてそのまま黒焦げになってしまう……

 

否、そうはならなかった。刀がショットの手元に戻った瞬間、炎の竜巻は流れるような激流の竜巻へと姿を変えた。少年を包む炎は水へと突然変化したのだ。

「何だ!?」

竜巻の向こう側に見える少年。彼の持つ剣の中心の円には「水」という文字が浮かび上がっている。

「あんまりこの力は表に出したくないってのに……!」

水の竜巻は形を変え、荒れる波へと姿を変えてこちらへと向かってくる。すぐさまショットは炎の力で水を蒸発させようとするが突然のことで力が追い付かない。

「ぐああああーっ!」

バクエンも水の攻撃を受けて苦しみだす。火の天敵は水である。

「バカな、アイツの属性は炎だったはずだ! 水の攻撃などできるはずが無い!」

「違う、属性を変えたんだ!」

ショットは再び刀を構え、水を操る少年に向かっていく。

同じ炎の力なら勝てない。だが反する属性である水の力ならこの状況を打開できる!

「アクアスラスト!」

ショットが最も自分に近づいたタイミング、そこで思いきり剣から水を放出し、その勢いで吹き飛ばした。

予想外の攻撃にショットは狼狽える。刀をまずは置いて少年の動きを見る。

「どうするショット!?」

「チッ、野盗どもは使えねぇし…… 仕方ねぇ、このまま力を削られて戦ったって分が悪い。退散するぞ。それにちょうどいい仕返しもできることだしな……」

ショットの手の中にはあのオルゴールが握られていた。

「それは!? お前いつの間に俺のオルゴールを!?」

「さっきそこのガキが近づいてきた時にくすねたんだよ、これってお前だったのか?」

「それを……返せ!」

感情のままに剣を振りかざす。しかしさきほどと違って考えたうえでの動きではない。簡単に避けられてしまった。

「悪いな、コイツだけでも取って俺たちは逃げさせてもらうぜ?」

「待て! 逃がすか!」

「おいおい、こんなオルゴールより大事なもの、あるんじゃねぇのか?」

ショットの指を指した先には血を流して倒れているミント。一体どちらを優先すれば……

数秒の思考の末、ショットのほうを睨もうとするが、既にそこにショットたちの姿は無かった。完全に逃げられてしまった。

 

「……まったく! おい、大丈夫か!?」

今から追えば間に合うかもしれないが、やはり放ってはおけない。倒れたミントの近くへと行く。

「ごめん、私のせいであんたの大事な……オルゴール……」

「喋んな! 傷口が開くだろ!」

少年は着ていた上着を脱いで少女の胸の傷に押し当てる。

「もう遅いみたい。わざわざあんな無茶頼んだりして、ごめんなさい……」

言葉を紡ぐ間に何度も咳をする。口からも血が流れる。

「待てよ、俺は目の前で人を死なせたくないんだよ! 目を閉じるな! 意識をしっかり持て!」

「私は……いいの、これで。サルベージャーになってそこそこ楽しかったし、短かったけど今までの中だったら一番マシだから……ようやく、パパとママに……会えるから……」

次第に声が小さくなっていく。

「でも、最後に人に迷惑かけて死ぬのだけは……嫌だな……」

 

 

少年は必死に少女の手を握るが、その手はこちらをもう握らなかった。

 

 

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