ゼノブレイド2 A New Future With You   作:ナマリ

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ゼノブレイド3まであと六か月かぁ、終わるかなぁ
ひと月で二話ずつ終わらせれば行けなくはない!?


“輸送船襲撃”

 

 

領事館に入って行くリュウギとミントの姿を見たリストの証言によって、なんとかリュウギとミントは野盗疑いから晴れることとなった。二人を野盗と疑っていた兵士も苦い顔をしながら二人に謝罪した。

「まったく、こんな純真無垢な少女が野盗なわけないでしょ? 第一サルベージャーの格好してるし。そっちはまだ分かるとして……」

「なんだよ、俺が野盗みたいだって言うのか?」

「いや、そういう訳じゃないけど……」

ミントはリュウギから目を反らして答える。

「まったく、兵士たちがとんだ無礼を働いたよ。俺たちを助けてくれたって言うのにね」

リストがリュウギの顔を覗き込むようにして現れた。

「君が俺たちを助けてくれたっていう子だね。本当にありがとう。サルベージセットは失ったし損害は大きいが、命には代えられないよ」

「まぁ、俺は半ば脅されて行ったようなものですけど……」

リュウギがそっとミントのほうを見つめるが、ミントは口笛を吹いてごまかしている。

「それでさ、これからどうする? まずは奪われたオルゴールを取り返しに行かないとだけど……」

「ああ。少なくともヤツはまだグーラからは逃げてないはずだ。とにかくグーラを探し回って見るか……」

「おいおい、それって今すぐ行かないといけない話なのか?」

リストからの言葉に、リュウギは言葉を返そうとするが、それよりも先に腹の鳴る音が響いた。

 

「ほら、腹減ってるみたいじゃないか。それに疲れてるだろう? 何よりもまずは休むことが大事じゃないか?」

「確かに……。昨日の夜から何も食ってないし、ろくな休憩も取ってなかったしなぁ……」

思えば、昨日の夜に野盗がキャンプを襲撃してからはミントと共にサルベージャーを救出しに行ったので、ほとんど休みが無かった。さらに野盗と勘違いされて拘束され、解放はされたもののもう夜となってしまった。

「サルベージャーはまずどこかのサルベージポイントに行く前にあらかじめ行きと帰りの宿をとっておいてあるんだ。ちょうど帰りの宿なら取ってある。今晩は一旦そこで休憩するといい」

「ありがとうございます」

「いいんだって。助けられたら助け返せ、それがサルベージャーの合言葉の一つだからな」

リュウギとミントはリストに連れられ、トリゴの町の入り口にあるという宿屋へと行くこととなった。

 

トリゴの町の宿屋、森林亭。かつては「フォレスト」という名前の宿屋だったが、ここ最近のトリゴの町の発展計画から、周辺の店を吸収して大きな宿屋へと姿を変えた。アルストが今の形に変わってから、トリゴの町は以前よりもより多くの人々が訪れるようになった。というのもちょうどどの国からも渡りやすい、経由地点として絶好のポイントに固定するようになったからだ。

「ここの宿、思えば初めて入るな」

リュウギが大きなこの宿屋を見て、はっと声を出した。

「ま、サルベージャーは結構儲かる仕事だからね~。こんな良い所にも泊まれるんだ!」

ミントが自慢気に腕を組んでリュウギのほうを見るが、リュウギは「ミントの金ではないだろ」と軽くあしらう。

「既に何人か仲間たちが中で泊まってる。そうだ、せっかくのお礼はちょっとした宴みたいな感じにしてみるか? ちょうどここのキッチンは解放されてるみたいだし」

「良いですね~! じゃ、私の出番かな!」

ミントは腕をまくってリュウギのほうを見る。

「出番って……、何するんだ?」

 

森林亭の貸し出しているキッチン。ミントはサルベージャーの仲間たちが近くの肉屋で買ってきてくれた巨大な肉塊を取り出し、鮮やかな包丁さばきでそれを7つに分ける。分けられた肉塊はほどよく脂身が乗っており、焼く前の状態でもよだれが垂れるほどだ。さっそくこれらをフライパンで焼き上げる。町で買える一番安い油をまわして、そこに肉を載せる。安いとはいえどんな食材も作り手の技量で絶品のものに仕上がる。強火でまずは外側を焼いたら、今度は弱火にする。肉の中をじっくりと焼くためだ。ある程度弱火で焼いたら、焼いている間に仕上げた特製タルタリソースを肉からあふれ出た脂に絡ませる。肉とソースがよく絡み、キッチンには肉とソースの良い匂いが充満している。

皿の上に焼きあがった肉を載せ、ソースをかけた後に香草を載せれば、ミント特製タルタリ焼きの完成だ。

「はいっ! どうぞ!」

「これって……俺の大好物のタルタリ焼きじゃないか!!」

リュウギはいままで見たことが無いほど輝き、それを見る目はまるで子供のようであった。

「大好物なのか、それは随分と運が良い。ミントの作るタルタリ焼きはサルベージャーの間でも話題になるぐらいの絶品だからな!」

リュウギは溢れ出るよだれをナプキンで拭き取った後、勢いよくフォークを肉に突き刺し、そのまま口の中へと放り込んだ。

「なんだこれ…ッ! 上手すぎる…ッ! なんちゅう美味さだッッッ!!!!」

まさしく至高のタルタリ焼き。その上これ以上ないほど腹が空いているのもあって、まさしく極楽であった。食事を超えた食事である。

「えへへ、喜んでくれて良かった!」

「お前、もしかして前職は料理人か!? それも五つ星の!」

「いやいや、そんな大層なものじゃないよ。私の得意なことなんて料理ぐらいしか無いから、とことん伸ばそうと思っただけだよ」

ミントの言葉を聞きながら、次々と肉を口に運ぶ。もちろんリュウギだけでなく、他の仲間たちもほっぺを落としながら絶品タルタリ焼きを食している。しかしリュウギだけは他と比べて少々汚い食べ方だ。

「おいおい、もうちょっと丁寧に食べてくれよ」

それを見ていた仲間のサルベージャーの一人が注意した。

「いいじゃないか、長い間あまり飯を食べてなかったみたいだし、その上ミントのタルタリ焼きが美味しすぎるんじゃないか?」

「またまた~」

食事に大事な物。それは美味しい料理だけでなく、楽しいという環境も必要なのだ。

「……本当に美味しい」

リュウギの顔をふと見てみると、彼は恍惚とした笑みをしていた。

 

サルベージャー達に歓迎されるリュウギ。それと同時刻。

トリゴの町にはスペルビアの基地が存在する。未だにグーラはスペルビアの領地。だからこそ他の国に奪われない様に、テロリストなどに襲われない様に基地が残っているのだ。さらにグーラは経由地点としても使われており、それも存在する理由のひとつである。そこの港はトリゴの港とは異なり、特に重要な貨物を運ぶ船がやってくる。例えば、コアクリスタルの輸送船などだ。

 

「総員、コアクリスタル保管室を死守せよ!」

グーラ、スペルビア基地。停泊しているコアクリスタル第二輸送船の中から銃声が響いた。

「止まれ!出なければ発砲する!」

大きな扉の前で、6人の兵士が機関銃を迫る一人の男に向ける。しかし男は立ち止まる気配が無い。

「もう一度警告する! 武器を捨てなければ発砲する!」

「撃ちたいならどうぞ」

男は武器を捨てるどころか、こちらを煽ってくる。男が腰の刀に手を伸ばしたのを見て、兵士たちのリーダーと思しき兵士が「撃て!」と命令する。その掛け声とともに六発の銃声が響く。

「お前らじゃ俺には敵わないだろ? ドライバーと、そうでもない兵士じゃ格が違う」

男の前には黄色いバリアが張られていた。ブレイドの持つバリアの力だ。彼の後ろには胸に青いコアクリスタルを持った男が居た。この男たちはドライバーとブレイドだ。

「次はこっちからだ」

ドライバーの男は走り出した。攻撃が無効化されたことに怯えて動けない一人の兵士に向かい、その刀を振りかざした。

 

「こちらコアクリスタル保管室前! 謎のドライバーの男が襲撃……」

輸送船の中に取りつけられている伝声菅の先の声はその言葉を最後に途絶えた。伝声菅の先は輸送船の運転室。

「こちら運転室、保管室前どうした? 応答しろ!」

「今のを聞く限り、まさか輸送船に侵入者が!?」

ひとたびパニックになる運転室。運転室に居る者は基本的に操縦を中心とする兵士。戦い慣れしていない者が多い。戦闘員は基本的に保管室や輸送船の前で警備をしている。こちらは向かっても足手まといになるだけだ。この部屋にいる、一人の女性を除いては――――

「監視装置で確認せよ、そのドライバーはまだ保管室前に居るか?」

女性が運転室のリーダーの兵士に確認した。

「いえ、既に運転室の扉は破られ、中にいるとのことで……」

「ならば事を急がねばならないな。一部の者はグーラの領事館にこのことを報告せよ。襲撃したドライバーは私が相手をする」

女性はその腰に携えたサーベルに手を載せ、運転室から出ていく。彼女のブレイドも共に。

 

「いくらなんでも派手にやりすぎなんじゃないかショット?」

「構わねぇよ、ここの兵士共は相手にならねぇ」

黒焦げになった兵士を足蹴に、二人はコアクリスタル保管室の中へと入った。大量のコアクリスタルを収容するためのこの部屋はとても広い。しかしライトのようなものはついていない。なぜならこれだけのコアクリスタルの数。青く光るコアの光で眩しすぎるほどだからだ。

「いやはや、最初からサルベージャー狙わずにここ来れば良かったんじゃねぇか?」

手に取ったコアクリスタルを上に投げて、キャッチしながらショットは呟く。

「しかしここに輸送船が止まるのは月に一度、数日間だけだ。それに直接スペルビアに喧嘩を売るようなもの、何度もできることじゃない」

「けど、こうやって簡単に来れただろ? あとは持ち帰ればいいだけだ。これでガーンもろとも“ボス”からクビにされなくて済む」

ショットがコアクリスタルを入れるための袋を取り出した途端、その袋に火が点き、燃え始めた。しかしこの炎は自分たちのものではない。赤い炎でなく、蒼い炎だ。

「何だ!?」

蒼炎の軌跡はコアクリスタル保管室の外から続いていた。その先には、軍服を身にまとった、二刀のサーベルを持つ女性。その後ろには蒼く燃え上がる髪をしている細目のブレイドの女性。この特徴、まさか……

「マジかよ、“炎の輝公子”がこの船に乗ってるなんて聞いてねぇぞ!?」

「随分と大胆な犯行だな。貴様らが暴れたせいで大事な兵士を失った」

炎の輝公子と呼ばれた女性は燃え上がる刀をこちらに向けて迫ってくる。彼女から感じるオーラはただのドライバーのものではない。

「メレフ様、この者、手配犯です」

メレフと呼ばれた彼女のブレイドが、ショットの顔を見てそのことに気づく。

「ペルフィキオのショット。炎のブレイド、バクエンを連れて様々な場所、様々な方法でコアクリスタルを奪う……。噂には聞いていたがまさかこれほど大胆なやり方とはな」

メレフは蒼炎のサーベルをしならせて振りかざし、ショットとバクエンを炎で囲んだ。

「行くぞ、カグツチッ!」

「はい、メレフ様!」

「チッ、やってみろよ!」

飛び上がり、サーベルをこちらに向かって振り下ろすメレフ。ショットも黙って喰らう訳には行かない。刀を手に攻撃を防ぐ。その時にぶつかったサーベルと刀が強風を生み出す。保管されているコアクリスタルが吹き飛ばされて地面に転がる。

「クッ、さすがはスペルビア一のドライバー。そこらの兵士とも、ドライバーの連中とも格が違う!」

ショットは隙を探して攻撃を叩き込もうとするが、メレフの攻撃は早い。そして重さも違う。一撃一撃がまるでハンマーのように強く、刀の形がだんだんと変わっていくのが分かる。このままでは押されるままだ。こちら側からの攻撃することは一旦考えず、まずは攻撃を避けることだ。

メレフの攻撃を一度跳ね返し、後ろに下がる。まずは態勢を立て直さなければ。

「まったく、伊達じゃねぇヤツだぜ……」

メレフはサーベルを手に再びこちらへと向かってくる。しかしメレフはこの状況に置いて油断はしていない。こちら側のブレイドは帝国の宝珠とも呼ばれるほどの強力なブレイド。普通のドライバーであれば太刀打ちできないはずだ。これほどの身のこなし、弱くはない。

「そちらこそ、さすがはペルフィキオの一員といったところだな」

「褒めてくれてどうも、貴公子様」

「一つ質問なのだが、なぜコアクリスタルを狙う? もっともコアクリスタル狩りは珍しい話ではないが」

メレフはショットにサーベルを構えて問いただす。ショットはため息をついて刀を地面に突き刺す。

「そりゃあ仕事だからに決まってんだろ。それ以外に理由がいるか?」

「仕事だから……か。もっとまともな仕事が今のアルストには溢れているぞ。20年前以上にな」

「これが俺の天職なんでね」

「それで、あなたに仕事を与えているペルフィキオのボス、一体誰なのか教えてくれない? こう面と向かってペルフィキオと会うことはそうそうに無いから」

カグツチが顎に手を触れて質問する。

「俺の直属の上司はガーン。手配書で10万Gの懸賞金かかってるノポンだ。まぁアンタらはもう知ってるだろうがな。どうだ? つまらない情報だろ」

「そのガーンより上に居るペルフィキオの“ボス”とやらを教えろ。そうすれば罪を軽くしてやっても構わない」

蒼く燃えるサーベルを手にショットを脅すメレフ。しかし彼の反応は意外だ。にやついて話し始める。

「取引しようってのか? 嬉しいが『言うな』というのが絶対条件でね。それにアンタが知ったらきっと自暴自棄になっちまうと思うぜ?」

「取引に乗るつもりは無いか……。ならば覚悟しろ!」

メレフはサーベルでもう一度ショットに切り込む。だがショットは攻撃を避ける。いくらやっても避けられてしまう。だがショットは反撃のチャンスを持たないため、このままでは避けることだけしかできない。こちら側から攻めることは不可能だ。何か策は無いのか?

「奴は只者ではありません。しかしこちら側に攻撃できるほどの技量は無い」

「ならばここでケリを着けるぞ。カグツチ!」

メレフは二本のサーベルをカグツチに渡した。両手ががら空きとなってしまうが、次の一撃で決めれば問題は無い。

「燐火!」

カグツチはサーベルを両手に回転し切りつける。蒼炎が波状となってショットを襲う。

「アチィなッ! だがこれで隙が出来た!」

「何だと!?」

ショットはすぐさまバクエンに刀を渡す。ブレイドの必殺技で出来た隙を狙っていたのだ。

バクエンは渡された刀を空中で回転させ、炎の竜巻を生成させ、メレフの方へと放つ。カグツチはすぐさまメレフにサーベルを渡し、ブレイドのバリアで竜巻を防ぐ。

「このままでは…っ!」

メレフはサーベルに力を込め、竜巻を二つに分けるように切り裂いた。メレフは切り裂いた炎の無い隙間に向かい回転しながら思いきり切り込む。

しかしそこにはショットとバクエンの姿は無かった。そこにあるのは炎の力で焼き切ったであろう大きな穴だけであった。

「クソッ!」

メレフはすぐさま穴に向かって走り出す。そして穴の向こうに逃げたショット達を追おうとするが、もう完全に消えてしまっていた。

「逃げられたか……」

「申し訳ありませんメレフ様。私があの時敵の意図を理解していれば……」

「いや、隙を見せてしまった私の責任だ。結局私は彼に油断してしまった。力量が違うと甘く見てしまった」

メレフは地面に転がってしまったコアクリスタルを眺める。様子を見るに、ショットはいくつか盗んでいったようだ。

「明日の出航は取り止めだな……」

メレフは壁に空いた大きな穴を見て呟いた。

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