石の世界で先生頑張ります   作:暇人のお話

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どうも暇人です。
自分が思ってたより高評価だったのでまた書いてみました。
ちょっと長めになりましたが楽しんでいってください。
原作にちょいちょい手を加えただけなんでオリジナリティーは無いかもですがゆっくりしていってね。


F=2 先生、科学でファンタジーを乗り越える

体についた何かをなるべく崩さないように体を起こし、周囲の状況について再確認をした。

周りにあるのは森、森、そしてすぐ後に洞窟。どうやら意識を失っている間に洪水か土砂崩れで学校からどこかに流されたらしい。

現状の確認はこれくらいにして取りあえず石神千空に色々訊くことにした。

 

「石神さん、あのあと怪我とか無かった?もししてたら何でも言ってくれ。あといつ起きたの?」

「ククク落ち着いてからの第一声がそれかよ・・・根っからの教師だな先生はよぉ」

 

異常な状況でも子どもの無事と安全を確認しようとする姿に多少あきれつつ答えた。

 

「ああ、石になった状態が無事かどうかはさておき今のとこ問題ねーな。これで三人目の復活者だ。もう年齢や役職なんて関係なくなっちまったからな、たっぷり働いてもらうぞ」

「お、おう?無事なら何より・・・・・・復活者って何だ?」

 

無事であったことに安心した彼であったが“復活者”という聞き慣れない単語に首をかしげた。そのことについて周りを見てみろと言われ、周りを見渡す。

そこにあるのはやはり森、森、洞窟だった。

 

「違う。もっと下だ。ってか足下周辺をもっと見てみろ」

 

そう言われ、自分の足下を見てみる。そこにあるのは石の欠片のようなもの。その他にはよくある地面が広がっている。不思議なことは特にない。

 

「自然あふれている以外変わったこと無いような・・・・・・」

「足下に変な形の石片が転がってるだろ。あとスッポンポンだぞ。これ着ろ」

「あら、いやんH」

「気持ちわりぃな、とっとと着ろ」

 

自分が素っ裸だったことに一切気がついていなかったが、指摘されたことでちょっと顔を赤くし、千空が持っていたタオルのようなものを貰い、腰に巻いた。どうやらシカの毛皮を鞣したものらしい。暖かいけど少しくすぐったい。

 

「悪いね石神さん。それでこの石ってひょっとして僕の周りについていたやつかい?」

「ククク正解100億点。あともう名字とかどうでもいいから名前でいいぞ。もう文科省通達のジェンダー配慮なんて意味ねーからな。そもそも今オスしかいねーし」

「ん~その発言は色んな所に喧嘩売りそうだけどまあその人の希望次第で変えるかな。そんで?この石片がどう関わってくるんだい?」

「あぁ、死ぬほど関わってくる。・・・・・・まあ見た方が早いな」

 

そう言うと千空は歩き始めた。裸足で歩くのは草や石が転がっていて少し歩きにくいが歩けないほどではなかったがとがった石が草の下に隠れており、ちょくちょく切れてしまった。ジミ~に痛い。

そんなこんなで歩くこと30秒。目的地に着いた。思ったより近かった。

 

「それでここに何があるんだ?」

 

千空は何も言わずただ顎を少し動かしそちらを見ろと言わんばかりの行動をした。

千空の見る先にあるのは石像だった。ただその石像は考える人や二宮金次郎のようなよく見る像では無く、まるで生きた人間がそのまま凍り付き石にされたようだった。そこで彼はある考えが浮かんでしまった。それは・・・・・・

 

「ひょっとしてあのときの光って人間を石にする光だったのか?そして僕たちは長い年月をかけて石化から戻ったのかい?」

「ククク大正解100億万点。さすがにこのくらいの予想はつくよな。じゃあその次、どうして俺らは復活できた?」

「ん~ありきたりな意見だと石片の風化、それ以外だと石化には石化する条件と解除する条件があって解除時にその条件を満たしたってことになるのかな」

「ああ、このナゾの鉱石の腐食だとして、復活した時間間隔が短いのが気になる」

「復活した時間間隔?そもそもどれだけ石化してたのか分からないのに誤差も糞もなくない?」

「あ?ただ数えてただけだ。他に方法あんのかよ?」

「はい??マジで言ってんの?」

「もしも意志の力で起きれても裸一貫で冬に目覚めりゃ食料調達やそもそも寒さで即ゲームオーバーだ。春スタートが生き残りの絶対条件で正確な暦がどうしても必要な情報だっただけだ。ってかこの説明すんの2回目だな・・・・・・これから復活したやつ全員に言うとなるとめんどいな」

「・・・・・・ちなみに今って西暦何年?」

「今日は西暦5738年10月6日だ」

 

彼は千空の言ったことに耳を疑わずにはいられなかった。いくら石化中は周りからの雑念が無く、数えるのに集中できるとはいえ2019年から5738年まで実に3719年。仮にうるう年と地球の自転の速度の減衰を考慮しない場合1年でおおよそ3153万6千秒、つまり3719年経過したことを考えると約1172億秒を超える時間、千空は数え続けたことになる。

ただ一言“異常である”そのことしか思いつかなかった。色々口にしたいことをグッと押し込み、本来の内容に話を戻した。

 

「それで、君が起きたのが確か半年前。で、僕がついさっきか・・・・・・確かに3000年ってことを考えると少し風化は微妙だな。もし風化がそうだったら他に復活者がいてもいいし、なんなら川とか海に近い人の方がもっと早く復活してもいいはずだ。その上で僕ら以外に復活していないとするとやっぱり特別な条件があるね」

 

取りあえず感じたことと状況から分かることで仮説を立ててみた。かなり大雑把な仮説だったが千空は満足したようで満面の笑みを浮かべていた。

 

「ああ、俺も先生もこの洞穴付近に流されている。あとデカブツもな」

「おお!大木くんもか!そっちもそっちで無事でよかった。ってか先に言えよその大事なこと」

「あーどっかの誰かさんが急に復活して忘れてたわ・・・・・・・・・お?噂をすればなんとやらだ」

「??」

「おおーい!!!千空―!!!・・・と誰だ?」

 

突如大きな声が聞こえ、振り返ってみると背中のかごにキノコや山菜など様々な山の幸を背負った大男がいた。そして、彼はその大男を知っていた。

 

「大木くん!!無事だったのか!」

「おおー??!!先生!!先生も復活したのかー!!」

「クククこれで今現状復活者全員が揃ったわけだ」

 

その後しばらく昔懐かしの面白話や復活してからの生活について情報共有をし、これからについて話し合うことになった。

 

「さて、昔懐かしのお話でお涙ちょうだいしたところで、これからのことを話し合ってくぞ。そんでもって二人にクイズ。今やるべき最優先課題は何だ?」

 

千空のクイズに対し少し考える二人。とはいえこの状況でやるべきことはただ一つ、

 

「「人を復活させる」」

「ああそうだ。そんで次、俺らはどうして復活できた?デカブツ」

 

次の質問は大樹を指名し考えさせた。先生はある程度考えがまとまっているから言わせてもらえないのは仕方が無い。

 

「石が腐った?」

「ああ、先生と取りあえずの答えは同じだな。そんでこのナゾの鉱石の腐食だとして、ククク三人ほぼ同時ってのが妙じゃねぇか。3700年の半年差だぞ?それにお前らなんて一日じゃねぇか。偶然には必ず!合理的な理由がある!!」

「なるほど・・・・・・そうなると復活したときの共通点が絡んでくるな」

「ああ、俺もデカブツも先生も洞穴付近に流されてんだが、そこにある液体があるんだ」

 

そう言いながら三人は洞穴の中に入っていく。その洞穴の中はコウモリのキキキという鳴き声とともにポタッ・・・ポタッと水が垂れる音がしている。そして水が垂れる音の先に土器のコップが置いてあった。

 

「見ろそのポタポタ垂れてんの。こいつはコウモリの糞から生まれた奇跡の水、硝酸だ」

「硝酸・・・・・・」

「なにー硝酸か!!ってなんだー!すまん千空。俺には全く分からん!!」

「言うと思ったぞデカブツ。めんどくせぇから欠片も説明しねぇ」

「いやいやそれはなしでしょ。いいかい大樹くん、硝酸。それは中学校でも習う三大強酸のうちの一つ。ちなみに硫酸と混ぜると金すら溶かす王水を作ることができる。硝酸単体でも危険だから使う際は厳重注意だぞ。これ先生とのお約束。これを見てる皆も必ず先生に頼んでね」

「誰に言ってんだ?」

 

そんな茶番はともかく、硝酸を持って千空が作った拠点に戻った。正直家の出来栄えにめちゃくちゃ驚いた。しかも千空一人で作ったのだというのならなおさらだ。

そして千空が採取した硝酸をツバメにかけているところだった。

 

「つまり!そのナントカ酸をかければ、石が腐って復活するのか!?」

「そう単純なら苦労はしねえがな」

 

そう言いつつツバメに硝酸をかける。しかしツバメに一切の変化は無く、ただ硝酸が流れていっただけだった。

 

「既にアホほど試してんだよ。手を変え品を変えな・・・・・・何回も何十回も――」

 

研究室と書かれた倉庫には石になったツバメが大量に棚に置かれていた。そこには試した条件のメモとともに・・・・・・その数実に100近く。これを見ただけで彼がどれだけ試してきたのかがうかがえる。

 

「そもそもファンタジーの領域だ。現状鉱物なのか?細胞なのか?今となっちゃ調べる機材もねえ」

「科学ではわからんこともこの世にはあるってことか・・・!」

「ククク出・た・よ、その常套句。だから仮説と実験を繰り返してんだろが!地道なもんだカガクは」

 

千空の言ったことに共感しつつも今現状硝酸が石化解除に作用するという情報しか無く、手詰まりじゃね?と思っていた。

しかし千空は違った。この状況でも次の一手を考えていた。

 

「酒さえあればそのアルコール、つまりエタノールがありゃ硝酸+エタノールでナイタール液が作れる。もろ工業用の腐食液だ」

「アルコールって・・・・・・麹もなければ酵母菌もどうやって集めるんだよ・・・・・・あと硝酸とエタノールって爆発しなかった?」

「ああ、だから作るときは微調整を繰り返しまくる。問題はやっぱアルコールだな」

「今なんて言った千空?」

 

ここで会話の内容につい来られなかった大樹が口を開いた。

 

「あ?ナイタール液だよ。鉱物のフェライト粒界を・・・」

「ちがう!難しい話しは俺にはわからん!」

 

安心してくれ、先生もその内容はわかんない。

 

「酒さえあれば?もしやブドウってワインの・・・・・・」

 

そういって大樹は背中のかごに入っていたブドウを取り出した。

僅かな静寂の後に千空が口を開いた。

 

「やるじゃねえかデカブツ!!」

 

そこからは早かった。

まずワインを作る。

千空が手でブドウを少しずつ潰していく。一方・・・・・・

 

「うおおおおおおおおおおお!」

「あ、うん。肉体作業はもう全部チート体力のテメーに任せる。んのが合理的だ」

「そうだね。あとワインをブドウから作るときは手より足で潰した方が菌が増えやすいからそっちの方がいいらしいしね」

 

その後搾り取ったブドウ汁を壺に入れ混ぜまくる。これを毎日3週間ほど繰り返しワインが完成した。ちなみにワインが出来るまで蒸留のための土器や硝酸採取などを行い時間を有効に活用した。

 

 

3週間後・・・・・・

 

「そろそろだな」

 

完成したワインを試しに飲んでみる。味は・・・・・・

 

「おぉ!思ったよりイケんじゃねぇか。市販品の約100億倍酷ぇがな」

「ゲホッ・・・ワインって!ブドウさえあればこんな簡単にできるもんだとは・・・!」

「うえぇ・・・・・・まっず」

 

おいしくない。いや、素材の味を活かしたと言えばいいんだろが、まずい。そもそも先生はワインが嫌いですもとから。・・・・・・うん、もう絶対ワイン飲まない。

そしてあることに気がついた。

 

「あれ?そういえば僕はともかく君らは未成年飲酒・・・・・・」

「クククとっくに3700歳越えてんだろうが。1㎜も問題ねえ」

「ああ、うん。そうだねそれでいいのか?」

 

誰か法律に詳しい人教えてください。

 

「地道に一歩一歩!な!こっから先はちーと骨が折れんぞ。はじめようワインの蒸留!!ブランデーの作り方だ」

「なにー!蒸留か!全然わからん!!」

「言うと思ったぞ。熱して冷ましてたらしてアルコール濃くすんだよ」

「大樹くん・・・中学校レベルだ蒸留は・・・・・・しっかり勉強し直してくれ」

「グッ・・・ガンバリマス」

「はぁ・・・・・・それで?土器で蒸留って大丈夫か?」

「なァ~に紀元前メソポタミア文明の連中も土器で蒸留してたんだ。やってやれねえことはねぇ。唆るぜこれは!!・・・・・・あー?」

 

突如土器が蒸留の際の熱に耐えきれず突如瓦解する。

 

「うーんどうやらこの土器は縄文土器に近いから高温に耐えきれなかったんだね。とは言ってもかまどが無いと高温で焼くことも出来ないから厚くするしかないね」

「ああ、こちとらトライアンドエラーしまくってんだぞ・・・・・・今更だろ」

 

と言いかっこつける千空だったが若干涙目だった。それもそのはず、一個の蒸留用の土器作るのに数日かかり、そもそも形作るだけでも非常にめんどくさいのだ。

・・・・・・がんばれ千空。

 

 

 

それから途方もない月日が流れた。ワインのためブドウをとれるだけ取りワインを作る。そして蒸留限界の96%まで蒸留を繰り返す。それと硝酸を混ぜナイタール液を作る。これは危険な作業なので千空以外行うことが出来ない。その間大樹と先生は冬を乗り越えるための食糧確保を行っていた。

 

「しかし先生、こんな川の上流に来て何をとるんだ?」

「産卵前の魚を捕まえるんだ」

「なにー!それはよくないことだ!!」

「うん、本当はこの時期は禁漁期っていって渓流の魚はとっちゃいけないんだ。生態系保存のためにね。でも正直釣りはこの時期あんまり釣れないし素潜りももう水温的に無理だ。でも冬を越すにはどうしてもカロリーが必須になる。僕たちだと狩りは安定しないから魚になるんだ。そしてこの時期の渓流魚は産卵前で油とか豊富だからカロリー高いんだよね」

「なるほど。でもどうやって捕まえるんだ?釣り竿もないのに」

「実は渓流での魚取りはとっても簡単なんだ」

 

そういうとまず自分が川に入り、上流に向かって少しずつ歩く。

そうすると魚は近くの岩などに隠れる習性がある。

その後大樹が隠れた岩に向かって大きな石を投げる。

そうすると・・・・・・

 

「おお!!魚が浮いてきたぞ!!」

「よっし成功だ。取り合えずこれだけ捕まえて帰ろう。取り過ぎはよくないからね」

「了解だ先生!だがなんで魚が浮いてきたんだ」

「魚って危険を感じると岩とかに身を隠すんだ。そこに岩とかぶつけて強い衝撃を与えるとショックで気絶するんだ。水の方が衝撃が伝わりやすいからね」

「なるほど!これで魚には困らないな!」

 

その後拠点に戻り燻製をつくり保存食にした。おいしかったです。

 

 

 

それからも月日が流れた。大樹のヒゲが伸びてヒゲを抜いたり、先生が軽い風邪をひいて少しハプニングがあったり色々あった。

そして千空が復活して1回目の春、もう何百回かわからないくらい実験をして半ば諦めていたとき、パキッという音がした。その音の出所では石化したツバメの羽の石が剥がれていた。

それを見た千空はすぐにその鳥の羽にかけたのと同じ分量でナイタール液を作る。

そしてそれをツバメにかけた。

 

「教えてやるよデカブツ、先生。『科学ではわからないこともある』じゃねえ」

 

ツバメの体に次々にヒビが入り、目が出てくる。

 

「わからねえことにルールを探す。そのクッソ地道な努力を科学って呼んでるだけだ・・・・・・!!」

 

その瞬間、この世界で唯一のツバメが翼をはためかせ大空に飛び立っていった。

 

「う・・・うおおおおおおお!!」

「はぁー感慨深いね、これは」

「実験始めて一年――第100何十回目か?意外と早かったな。ククク地道なもんだ。ファンタジーに科学で勝ってやんぞ。唆るぜこれは・・・!」

 

長かった。起きてからずっと失敗の連続だった。失敗しては試し、失敗しては試すを繰り返した。その回数実に183回。硝酸が一日で一つ器に貯まるかどうかなので半年間一日一回分程しか出来なかったため焦っていたが、そんな苦労からたった今開放された。

 

「大樹、テメーのブドウの手柄だ。最初に助ける人間くらいテメーが決めろ」

「ありがとう千空!答えはもちろん決まっている・・・!!」

 

貴重な石化復活液、ナイタール液の最初の使用権はアルコール発見の大手柄を立てた大樹の元へと渡った。復活させる人は決まっている。

そう、3700年越しに思いを伝えたいあの人を呼び覚ますために、あの場所へと向かう。

 

 

 

 

そして、彼らの背後に危険が迫っていた・・・・・・・・・・・・・・・

 

 




いかがでしたでしょうか?
次はいよいよあの男の登場です。
どうしようかなこれから先の展開。
どうやって村に行く口実を作ろうかめちゃ悩んでます。
ゆっくり待っててね。



追記:千空が数えていた秒数に間違いがありました。131万4千秒は1年ではなく365時間の秒数であったため、3719年分の秒数ももっと多いです。誤った情報を載せてしまい、申し訳ありませんでした。
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