モンハン世界で産業革命だなんてバカげているにも程がある 作:H.K.416
──空の彼方より、赤い影がやって来た。緑の影も連れて。
ほんでその赤い影はあるところからこちらに向かって一気に急降下してきて──
「ぐるがあぁぁっ!」バッサバッサ
我々の目の前に着地した。
「うぅぅ、そろそろ一年は経つけど、まだまだ慣れそうにないのニャ・・・」
「そーかい。しかし、相変わらず元気そうだの、旦那。今日は嫁さんも一緒か?」
「がるる」
「そかそか。あ、今ちょうどアプトノス狩ったとこなんだけど、食べる?」
「がる!」
「んじゃあ、さっき剥ぎ取った残りがそこにあるでさ。焼く?それとも生でいい?」
「がるおっ」バリムシャァ
「りょーかい」
さて、そろそろ説明してやろう。
こいつはリオレウスの特殊個体。通称旦那。といっても、亜種や希少種だったり隻眼や破滅の翼だったりするわけじゃなくて、単に他の個体より思考能力が高くて聡明であるってだけだけど。おかげでこうしてある程度のコミュニケーションをとることができる。
私がこいつと遭遇したのは大体一年前、ハンター生活も二年目に入った頃だ。
確か、あのときはちょっとだけ背伸びしたくて森のやや深めなところに入っていったんだっけな。ほいだらレウスの旦那がばっさばっさと降りてきたもんで『食べないでくださ~い!』ってホールドアップしたらあら不思議、攻撃を中断してくれてさ。
その時はそのあとこんがり肉渡して逃げ帰ったんだけど、その翌日からちょくちょく我々に接触してくるようになってね、今ではこんなに距離も近くなったものだ。
「せっかくだし、我々もここで一服してくかね」
「それは別にいいと思うけど・・・」
「どした?何か問題が?」
「いや、その・・・ランポス達も来てるのニャ」
「ぎゃあぎゃあ!」
「ぎゅるるっ」
「あーね・・・」
平原のハイエナ枠、それがランポス。自分で狩りをすることもあるけど、それと同じくらい剥ぎ取り後のおこぼれを食べてる。
加えてここのランポス達もそこそこ知能指数はある方のため、大胆にも我々が焼いたこんがり肉をも食べようとしてくる。代わりに、直接襲われることは滅多に無いんだけどもさ。
「まぁいいや。肉焼いちゃうべ」
「いやいいんかい」
「ゆーてこんがり肉ちょろっと与えりゃいいだけの話じゃろ。どうせ我々も肉一個で満腹になっちゃうんだし」
「それもそうだニャ」
その後はなんやかんやみんなで昼食みたいな間食を食って、ほんでクエスト対象もちゃんと採取して帰りましたまる。
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「──人、ご主人!起きるニャ!」
「んぁ?どーしたアキヅキ・・・この声、レウスか?」
「そうだニャ!それもたぶん旦那さんニャ!」
「旦那が!?これまたどーして」
「わからない、けど緊急事態に変わりはないニャ。すぐに出撃するニャ!」
「了解、すぐ支度する!」
時刻は未明。それでも寝間着から戦闘服へ、文字通り四十秒で支度する。装備の点検も最低限だ。
「しかし、普段村や里には滅多に近付かない旦那がここまで来るとは、一体何が・・・」
「考えてないでさっさと支度するニャ!」
「今終わったとこだ!行くぞ!」
「ニャ!」
家から出ると、鳴きながら村の上空を周回するレウスの旦那とそれに慌てふためく村の皆やハンターの姿があった。
「先輩方!」
「おお、ハッランドか。皆の者!ハッランドが来たぞ!」
「ガンナー君ktkr!」
「これで勝つる!」
「ちょ、お待ち下され!先ずは状況をご説明頂きたい!」
「そ、そうか。あのリオレウス、追い払おうにも討伐しようにも、先程から一向に降りてこないのだ。まるで何かを待っているかのように──」
「がるるおおぉぉっ!!」
「なっ、お、降りてきた!?」
「入口だな!?旦那!」
「がるる!」
「了解!行くぞアキヅキ!」
「了解ニャ!」
「お、おい、ハッランド!?」
旦那は村の入口の方に降りるそうなので、我々もそちらに向かう。
「がるるあっ!」バッサバッサ
「一体どーしたというんだ、旦那」
「ぐるるっ」
「・・・え、まさか掴まれと?」
「ぐるがあっ!」
「わ、わかったよ!ほれ、アキヅキも」
「しょ、しょうがないニャぁ・・・」
「がるる・・・がるるおおぉぉっ!!」
「わわわわわ加速急すぎるっておいいいい!」
「お、おい待て!一体どこに行くつもりだハッランドぉぉぉ!!!」
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レウスの旦那の足にしがみついていること数分。我々は、未だ月明かりの射す平原の上空にいた。
既に問題があると思われる場所には旦那の奥さんやいつものランポス達が集結していたが、逆に言えばそれ以外のモンスターの姿は皆無である。ざっと周囲を見渡してもそうだし、夜行性のモンスターもその例外ではない。
「・・・静かすぎるのニャ」
「せやな。確かここには、夜行性の大型モンスターも生息していたハズだ。その姿が見えないとなると・・・もしかすると、古龍クラスのモンスターが関わっているかもしれない」
「ま、まさか。古龍なんて、お伽噺の存在ニャ」
「果たして本当にそうなのだろうか・・・っと、そろそろ地表だぞ」
地表に近づくレウスの旦那から飛び降り、急ぎ足で皆が集まってるところに向かう。
果たして皆の視線の先にあるモノとは。
「ぎゃぎゃ!」(←ランポスA)
「ぎゅるぎゃあっ!」(←ランポスB)
「がるっ!がるるっ!」(←レイア嬢)
「ちょちょ、皆落ち着け。一体何があったと・・・うせやん」
そこには、彗星、あるいは小型の隕石が落下してきたのかと錯覚するくらいには大きなクレーターがあり、そしてその中心には──
「──“天彗龍”バルファルク」
私が長年(※前世含む)追い求め、焦がれてきた龍の姿があった。ただし、全身に大小様々な傷を負い、横たわった姿で。