モンハン世界で産業革命だなんてバカげているにも程がある 作:H.K.416
──私が長年(※前世含む)追い求め、焦がれてきた龍の姿があった。ただし、全身に大小様々な傷を負い、横たわった姿で。
「う、嘘ニャ・・・ボクは夢を見ているニャ・・・?」
「馬鹿野郎現実だ!それよりも酷い怪我だ、携帯医療キットを!」
「なっ、正気ニャ!?」
「でなければ殺しに行ってるわ!早く!」
「り、了解ニャ!」
「あ、あと旦那と協力してウチの医療資材持って来い!」
投げられた携帯医療キットから応急薬を取り出しつつ、そう指示を飛ばす。
「ニャ!?流石に無茶ニャ!村人への状況説明もまだだってのに──」
「『事は一刻を争う』とでも言っておけば大抵はまかり通る!」
「・・・ええいこうなったらヤケクソニャ!行くニャ、旦那さん!」
「がるるっ!ぐるる・・・がるるおおぉぉっ!!!」バッサバッサ
「さてとだが・・・おい君!大丈夫か?意識あるか!?」
「──きゅ、あ・・・?」
「良かった、意識はギリギリあるっぽいな。今治療したるでな」
そう声を掛けて、比較的傷の深い箇所を中心に応急薬を振り掛け、塗り込んでいく。
「ぎゅあ゛っ・・・!?」
「痛いか?だろうな。だがちょっと我慢してくれな。大丈夫だ、すぐ善くなる」
「・・・きゅるる」
「よーしいい子だ」
そうしてデカイ傷には応急薬を塗り込んで一先ず出血を止め、小さい傷には食糧セットから引っ張り出してきたハチミツを軟膏代わりに塗って蓋をする。
「しかし、イメージより全然小さいな。まだ子供なのかね?としたらなぜこのようなところで、いや、このようなところに・・・」
するとそこへ、
「──おーいご主人~!持ってきたニャ~!」
「がるるおおぉぉ!」バッサバッサ
「おぉ、助かる!これは・・・回復薬グレートに、造血剤だな。しかし樽ごととはまた大胆な・・・」
「でもこれが一番早かったのニャ!」
「わかってる、ありがと。したらば早速飲ませるぞ」
食事セットから器を持ってきて、回復薬グレートと造血剤を慎重に飲ませていく。加えて回復薬グレートについては傷口にも直接塗り込み、再生を促進させる。
横を見ると、レイア嬢も顎先の給餌器で手伝ってくれてる。後で肉奢ってやろう。あ、なら医療資材運んできてくれたレウスの旦那にも奢らなだし、ランポス達も地味に周辺の警戒をしてくれてるし。
「・・・?どうしたニャ?ご主人。考え事してるみたいだけど」
「あぁいや、手伝ってくれた皆には後で肉奢ってやらなと思ってな」
「!それなら宴がいいニャ!是非そうするニャ!」
「そうだな。こいつが完治したら、その祝いに宴でも開くとしよう」
「がる!?」(←旦那)
「ぎゃぎゃ!」(←ランポスC)
「ぎゃっぎゃっ♪」(←ランポスD)
「ちょっ、貴様ら落ち着け!まだ予定は未定だし、ちゃんとこいつが回復してからだっ!」
わいわい、がるがる、ぎゃーぎゃー、にゃーにゃー
『・・・ふふっ』
────────────────────
それからは、日の出までは二交代制で仮眠をとって過ごし、朝になったらなったで状況確認にやって来た先輩方やギルド職員の方にいろいろ説明した。
結果、事が落ち着いてからでいいからと私はギルドの中央の方から召集をかけられまして。はぁ、めんど。
「しかし、いくら古龍とはいえ、モンスターを治療することの何がいけなかったんですかねぇ。あれか?一応野生扱いだからか?」
「そら常識的に考えてそうだろうニャ。てかそんなこと言ったらご主人、それ以外にもいろいろハンターとしてやらかしてるところあると思うのニャ」
「どこがぁ」
「野生のリオ夫妻と勝手に仲良くなって勝手に狩りの成果物分けたり」
「「がる!?」」(←リオ夫妻)
「こんがり肉に
「「ぎゃぎゃ!?」」(←ランポスB及びC)
「ぎゃっぎゃっ!」(←ランポスA)
「ぎゃるる・・・」(←ランポスD)
「そんなに悪いことかなぁ・・・ワシぁ、平和でいいことだと思ったんだけどなぁ・・・」
「嗚呼・・・ご主人といると今まで積み上げてきた常識が日に日に瓦解していくのニャ・・・」
そうして雑談してたときのことだった。
『あ、あの・・・』
「ん?」
「ニャ?」
聞き慣れない声が聞こえたのは。
『どうして、私を助けてくれたの?』(←注:バルファルク)
「・・・」(←ワシ)
「・・・」(←アキヅキ)
「「「・・・」」」(←その他モンスター組)
『あ、もちろんまずはありがとうなんだけど──』
「「「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!」」」(←ハンターさんと愉快な仲間達*1)
『わっわわわっ!?』
「おいおいおい、マジかよおいおいおい」
「がるるあ・・・」(←レウスの旦那)
「古龍が人語を解するなんて情報あったニャ!?」
「少なくとも現代においては皆無、しかし神代文明世界の伝承などではそのような記述が云々・・・」
「ぎゃぎゃ・・・?」(←ランポスA)
「がうう・・・ぐるるあ?」(←レイア嬢)
「ぎゃ?ぎゃるる・・・」(←ランポスC)
『え?あ、あの・・・』
「あ?あぁ、すまなかったね。ちょっとあまりの衝撃に脳ミソがオーバーフローしちゃってね」
『おーばー、ふろー・・・?』
「あぁいや、気にしないで。ってかお主、人語喋れたん?」
『え、ええ。ミラお姉さまから教わったの』
「ミラお姉さま、とな?そのお姉さまというのはボレアスか?それともルーツか?あるいは白か黒かで答えても」
『お姉さまは確か、ミラルーツって名乗ってたわ。体の色は、白か黒だったら白だったと思う』
「だってよアキヅキ」
「そんな、ボクに言われても・・・」
な、なんか話が一気にヤヴァイ方に転がりだしてきたぞぉぉ。なんだって?人語教えてくれたのはミラお姉さま(ミラルーツ)だって?
「ちなみに、こんな大怪我をしちゃった理由を聞いても?」
『あぁ、これね。実はちょっと恥ずかしいことなんだけど・・・』
「あ、嫌だったら話さんでもええでな」
『大丈夫、気にしないで。先日、ちょっと散歩のつもりでいつもは行かない方を飛んでたの。そしたらそこを縄張りにしてる別の同族に襲われちゃって・・・』
「あぁ、縄張り争い的な」
『まぁ私が勝手にお邪魔しちゃった形だから、悪いのは私なんだけどね』
「・・・はっきり言って間抜けニャ」
「言ってやりなさんなアキヅキ。で、その襲われところってのはここからどのくらい離れてるん?」
『それはよく分からないけど、襲われてからはほぼ垂直に落下していった記憶があるわ』
「ってことはご主人・・・!」
「うむ、これはひじょーにマズイぞ」
『そうなの?』
「そーなの。其方の証言が誠であれば、つまり君を襲ったヤツはここら一帯の上空を縄張りとしているワケで。そうすると地上に降りてきて再び襲ってくる可能性も無きにしも非ずだし、そもそもそんな状況じゃあ君、飛んで帰ろうにもまた堕とされるぜよ?」
『あっ・・・!』
「しっかし、またギルドに報告することが増えちゃってもー・・・」
『あ、なんかその・・・ごめんなさい』
「いいよいいよ、君が気にすることじゃないし」
つまり纏めるとこうか。
①人語はミラルーツから教わった(ミラルーツを『お姉さま』と呼称していたことからなかなかに親密な関係だったことを思わせる)。
②散歩のつもりで遠出したら別のバルファルクの縄張りに領空侵犯してしまい、撃墜されたところを我々に救助され、今に至る。
・・・絶対ノーマルモードの序盤で出てきていい状況じゃないってぇ。ハードコアだってぇ、絶対。
え?モンハン世界にノーマルモードもハードコアもないって?そんなぁ。
『って考え込んでるところ悪いけど!私の質問にも答えてよ!』
「え?あっ、失礼。で、何だって?」
『どうして私を助けてくれたのかって聞いたの!』
「あぁ、それね。・・・そーいえばなんでやろな。あの時はホントほぼ衝動的にって感じだったから」
『えっ、そうなの?』
「まぁ、ご主人は度々よく分からないことするからニャ」
『そうなんだ』
「まぁまぁ体はともかく心の生い立ちがアレなので」
「だそうだニャ」
『・・・もしかして、異世界転生系?』
「なんで知ってんの」
『ミラお姉さまが教えてくれたの』
「バケモンかよ。いやバケモンだったわ」
『バケモンとは失礼な。いや確かに
「「「えっ?」」」(←一同*2)
まさしく鶴の一声。そう形容して然るべき言葉とともに、白いアイツが降りてきた。
それは誰かって?んなの決まってんじゃん。
『ミラお姉さま!?どうしてここに?』