音の発生源へ着くと入り口が吹っ飛んでいて中から何かがぶつかる音が立て続けに響いていて、時折呻き声が聞こえる。
換気の終わった食堂へ入って様子を確認するとボロボロの艦娘がボロボロの艦娘を襲っていた。
襲われている方は理性的で最小限の動きで攻撃を弾いて防いでいる。一方襲撃者の艦娘は呻き声を上げながらまるで獣の様に我武者羅に攻撃を繰り出している。
取り敢えず全力で明度を上げて襲撃者に向けて目ライトを照射する。
暗闇に慣れていた目に強い光を浴びた襲撃者は目ライトの急襲に悶絶した。
その隙を突いて襲われている艦娘『那珂』に声を掛けて、手を取り外へ出た。
「そこの艦娘!今のうちに外へ出るぞ!」
「うんっ!」
正直神通なんじゃないかと思っていたが、アイドルだったことに驚きだ。
食堂からある程度離れると、眩み状態から復帰した暴走艦娘がヨツンヴァインで走ってきた。
「うわ...」
その酷い様相に言葉が出てこなかった。
顔が恐ろしいほど無表情なのに身体は臨戦態勢になっている。
よく見ると両目ともあらぬ方向を向いていた。
まるでホラー映画の様だ。
人差し指を暴走艦娘へ向ける。
それが合図になったのか、暴走艦娘がこちらに躍り掛かってくる。
僕はそれ同時に、向けている指から高出力のビームを放った。
いくら艦娘とはいえ空中で方向転換出来るはずもなく、頭を太い光線が粉砕して赤い肉片と血液を飛び散らし、光線に押し出される様に地面を転がった。
首から上は無く、光線に焼かれたからか断面は黒くなっていて湯気が立っていた。
これは戦闘とは言わない。ただの始末である。
あっけなく終わったことに那珂は固まっており、現実を理解できていない様だった。
それにしても指からビームが撃てるのはすごいな。
指一本につき光線一本だから両手で薙ぎ払う様に撃ったら対空も楽だろう。
僕が手の調子を確かめていると、那珂がやっと動き出した。
そこから僕の方を見るが、何かを話しかけてくることがなかった。
多分聞きたいことが多すぎてうまく言葉がまとまらないのだろう。なのでこちらから会話を始めてみることにした。
「大丈夫だったかな、お嬢さん。獣は見ての通り駆除した。安心してくれて良いよ」
思ってたよりキザったらしい台詞が出てきてしまったが問題はないはずだ。
「助けてくれてありがとー!那珂ちゃん感激だよー♪」
お、いつもの(よくゲームで見る)調子に戻ったな。
「そういえば貴方の名前教えて欲しいなー?」
確かに名乗って無かったな。
名前...髪色と制服の色が闇夜の空の様だから『夜天』でいいかな。安直なのは仕方ない。
僕はネーミングセンスに自信が無い。
その割に今回は良い感じの名前ではないだろうか。
それで、所属はどうしよう。
いや、答えなくて良いか。
しつこかったら神界軍という事に...いや、深海軍って認識される可能性があるな。だったら選ばれしものを自称して頭おかしい奴を演じておこう。
「僕の名は夜天。選ばれしものであり、この世界に舞い降りた最強の存在さ」
「そっか!これからよろしくね、夜天くん♪」
あれ?その反応するの?
普通こんな自己紹介したらドン引きするでしょうよ。
好意的な反応に逆に僕の方がドン引きだよ。
「んじゃあ、私の番だねっ♪私は川内型軽巡洋艦3番艦の那珂ちゃんだよっ♪艦隊のアイドルでもあるよー!」
よっ!艦隊のアイドルっ!
とは言え別に僕は那珂ちゃんのファンではないのだがね。
まだストックはある。
あと別作品の2次創作も始めたのでそちらも是非。
やっぱ原作ラノベだと必然的に文が長くなるんですね...。