楽しい楽しい料理人修行生活   作:食戟のソーマはいいぞぉ

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0からレシピ作る人ってすごい。


編入試験
第1話


「じゃ、頑張るのよー。終わりごろ迎えに来るからねー」

 

そう言って走り去る車。

目の前には巨大な門。奥に見える巨大な建物。

俺の嫌な予感は的中した。

 

 

時間は数日前に戻る。

夕食を食べ終え自室に戻ろうとしたところで親父に呼び止められた。

そして、親父の口から出た言葉。

 

「遠月学園に行ってもらう」

 

もう、思わず天井を見上げたよね。

シミ一つない綺麗な天井だった。

 

「嫌って言ったら?」

「それでも行け。いやもう行くことになってる」

「……は?」

 

俺の頭の中は疑問符だらけだ。

思わず母親の方を見たらにっこり笑顔を返された。

まさか、

 

「この前竜胆来てたけど……」

「……うふふ」

 

あのクソパイセンか!

あいつが母親となんか結託しやがったなこんにゃろう!

 

「りんちゃんね。遠月学園の十傑評議会っていう教師よりも色々権限を持ってるところに入ってるんだけどね」

 

怖。なにそれ?教師の立つ顔もねえな。

しかもあのバカがそこに入ってる?……終わりだろ、その学校。

 

「で、編入試験を無理やり受けさせようってことで私が申請書書いてりんちゃんがそれを持っていったの」

 

……俺の意思はどこへ消えたのだろうか。

 

「でももう応募期間とか終わってる━━」

「だからこそりんちゃんよ。彼女は十傑、それくらいの融通はきかせられるわ」

 

……俺知ってる。それ、職権乱用って言うんだよね。

 

「……なんでそこまでして俺を通わせたいんだよ」

 

そう聞くと口を開いたのは親父だった。

 

「父さんたちはな、そこの卒業生なんだ」

「ええ、だからやっぱり息子のあなたにも行ってもらいたいのよ」

「お前の料理の腕は俺たちから見てもハイレベルだ。料理を作る腕は確か。でも、お前は料理を創る(▪▪)のは苦手だろう?」

「レシピ作り、その力をそこで学んできて欲しいのよ」

 

なるほど。言いたいことはわかった。でも、

 

「……別に家でもできるくね?」

「ほらまたこの子ったらそういうこと言って」

「兎にも角にも遠月でトップ……いや、まあ、卒業するまで店では働かせん!いいな!?」

 

腕組みして叫ぶ親父。

ところで、

 

「つか、お袋よ」

「ん?なに?」

「親父の口調何?なんかテンション高くない?」

「あー、ほら、ドラマとかでよく見る厳格な父親に憧れてるのよ。こういう機会にやってみようってことで、ね?テンション上がってるのよ」

 

母親の言葉を聞き親父の顔を見る。

眉間に皺を寄せながらどことなくドヤ顔の面影がある顔。

 

「似合わないわよねー」

「ぐふっ……」

「ドヤってるのも腹立つ」

「ガハッ!」

 

俺と母親の言葉にうずくまった親父。

身体を震わせ、そして顔を上げた。

 

「いいじゃん!たまにはかっこいいお父さんになりたいじゃん!」

 

はいもうかっこいいお父さんとは程遠い男になりましたね。お疲れ様です。

 

「ダンディにさ、なりたいじゃん!最近ワックスとか買って慣れないながらハリウッド俳優の髪型真似てるんだよ!?」

 

あ、そうだったんだ。無駄な努力だと僕思うなー。

 

「髭もちょっと生やしてさ!お客さんからも最近、『ダンディになりましたねぇ』って言われるようにもなったんだよ!」

「……何がダンディだ。ムーディ勝山みたいな顔しやがって」

「いいだろムーディ勝山!お父さんは好きだぞあの顔!」

 

怒るとこそこ?

 

「右から♪右から♪何かが来てる〜♪」

 

なんか歌い出した。

 

「それを♪僕は♪左へ受け「それでお袋」え、あ、ちょ……」

「ん?」アノーボクノウタ

「一応聞くけど試験の日にちはいつよ?」モウスコシキイテクレタリハ?

「うーん、確か……来週の水曜日とかだった気がするけど」ア、キカナイ、キカナイノネ

「水曜ねぇ…」スゥー

 

それなら水曜日予定があるとかでサボるか。

試験の段取り組まされても行かなきゃ入学なんてならんだろうし、流石に試験も受けない男を権力だけで受からせるのは無理があ━━

 

「左へ受け流すぅぅぅう!!!」

「「うるせぇッ!!!(うるさい)」」

 

 

とまぁそんな感じでサボろうとしてたら、まさかの俺の熟睡時のどんなことしても起きない性質を利用して起きたら車内だった現象で無理やり連れてこられていたわけで。

 

「……俺の包丁」

 

バッグの中にもちゃんとケースにしまわれたマイ包丁があった。用意周到、さすがママン。こういう時の手回しというかなんというか、すごいなほんと。

もっとこう手心と言うか…。

 

「はぁ、行くかぁ」

 

そんなだるさを体に残しつつ門をくぐった。

 

 

 

 

 

帰りたい。門をくぐってすぐに思ったことだった。

周りを見れば高級車ばかり、キラキラと身だしなみが整ってる受験生たち。

 

「ば、場違い感…」

 

しかも寝てるとこで無理やり連れてこられたわけで、つまりは部屋着。

半袖の黒Tシャツに膝丈までの半ズボン。そこにパーカーを羽織ったサンダルの少年がこの中を歩いてるので変に目立ってる。

 

てか視線が怖い。

なんでお前みたいなクソガキがいるんだ感をひしひしと感じる。

話しかけろって?そんなことしてみろ。『庶民ごときが僕と同じステージに立ててると思ってるのかな!?うんぬんかんぬん』とか言われて終わりだよ。

 

「この僕と並んで座るなぁあー!!!」

 

遠くの方から怒声が。

……ああ、俺と同じ庶民ごときが食の上流階級様(笑)に話しかけちゃったのね。

ほら見た事か。

さ、俺は巻き込まれんうちに試験会場に行きますか。

 

……騒ぎに気を取られるかと思ってたけど存外俺の背中に視線が突き刺さってて気まずかった。




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