楽しい楽しい料理人修行生活 作:食戟のソーマはいいぞぉ
「本日の試験官を任されました。薙切えりなと申します」
……試験か…え?学生?
おいおいどういうことだってばよ。
会場について時間まで馬の擬人化たちを育てるソシャゲして暇を潰してたらワラワラ受験生たちが入ってきて、その後試験官が入ってきたと思ったら金髪の可愛い女子生徒だった。
……よくわかんねえなこれ。
いや、本当の大人の試験官が来るまでの繋ぎか?なるほどそれなら納得だ。
「入試課からの通達は?」
「読み上げます」
あ、違うわ。モノホンの試験官らしいわ。
なんか隣の秘書っぽい……秘書子って呼ぶか。
秘書子ちゃんがすごい読み上げてる。入試の説明読み上げてる。……てか入試内容が多い。面接やって?実技やって?通過者をさらに「下らない」……What?
下ら…へ?試験官がそんなこと言ってもいいの?大丈夫?後で上から怒られない?
「━━そうね。調理台をここへ」
試験官のえりなちゃんがそう言うと運ばれてくる調理台。そこには様々な食材が乗っていた。
……手際が良すぎ。サッと調理台が出てくるってどゆことよ。
「メインの食材は卵、1品作りなさい。私の舌を唸らせたものに遠月への編入を許可します。
なお━━」
━━いまから1分間だけ、受験の取りやめを認めましょう
彼女のその言葉に一斉に逃げ出す受験生たち。
え?取りやめOKなんですか!?なら俺もこの間に……。
そう重い俺も踵を返し、出口へ向かおうと、
バキッ!
「ゴハッ!」
ガンッ!
「〜〜〜っ!」
コ、コノヤロウ…!振り向きざまに俺のみぞおちに拳をめり込ませた野郎覚えてろ…!
しかもその勢いで壁に思っきし激突したし。顔いてぇ〜!
そうやって壁に手を付きながらもう一方の片手で顔を押さえていると、
「作る品はなんでもいいの?」
「……卵さえ使用しているなら自由よ。でも本当にやる気?」
……なんか俺が悶絶してる間に話が進んでる。
なんかあの受験生すごい煽ってない?てかお前さっき試験前に食の上流階級様(笑)にキレられてたやつじゃね?
「ハッ、そこまで言うなら味わってさしあげるわ。料理業界底辺の味をね」
「喜んで。ウチの取っておきを出してやるよ」
━━お待ちを、薙切試験官どの!
そう言ってハチマキを巻き始めた受験生。
それにしてもあの試験官、どっかで……。
……いや、思い出せないことを考えても意味もないか。とりあえずあの受験生の料理でも見ておこう。
「お待ちどぉ」
その言葉と共に出された皿。
ふむふむ、面白い。受験生の言っていた【化けるふりかけ】。その正体。発想がすごいな。
まあ、件の試験官はと言うと、
「………話にならないわ。試験はこれにて終了です」
食べもしないでおしまい宣言。ほんとに試験官か?
どこぞのファミマツナマヨ事件のおっさんじゃないんだからさ。
「所詮二流料理人の仕事ね。全く食指が湧かなかったわ」
「……その料理、こっからなんじゃないの?」
「「「!?」」」
あれ?なんか俺が声をかけた途端すごい勢いで3人がこっち見た。
え?あんたらまさか……、
「い、いつからいたんだ?」
「いや、ずっと」
「そこで何を!?」
「いや、料理見てたけど」
「目的は何…?」
「いや、試験……」
3人が各々で質問を投げかけてきた。
うん、いや、ほんと……うん。マジかぁ。
「影薄いとは自覚してるけどさ……え?俺そこまで?まじ?俺人じゃないのかもしれない?」
「え?あ、いや……すまん」
「そ、そんな落ち込まなくてもいいじゃない」
「だ、大丈夫ですよ」
謝んないでよ。逆に悲しくなる。
あと、秘書子ちゃんは何が大丈夫なの?
「と言うよりその格好はなんですか!?到底試験を受けに来た人とは思えません!」
「………」
そう言って指さしてくる試験官さん。
いや、うん。
「それはマジでごめん。俺だって好きでこの格好でここに来たわけじゃないんだもん。はぁ……」
「え、あ、いや……そ、そこまで落ち込まなくていいでしょう!」
なんか慰められたわ。逆に泣くからそういうの。
「てか、はよそっち終わらせてよ」
「え?お、おぉ、悪いな。そんじゃ気を取り直して……何処まで話したっけ?」
受験生の言葉に俺を含めて3人がずっこけた。ドリフかな?
「ふりかけの本領発揮の所まででしょうが」
「あー、そうだそうだ。サンキュー。てなわけでそいつの言ってるとおり俺のふりかけはこっからだ」
「ど、どういう意味かしら?」
その言葉に受験生はニヤリと笑みを浮かべてそのふりかけをご飯の上へと落とした。
するとその中に入っていた卵……と別の茶色い四角の物体。
その四角の物体は白米の熱で溶け粒へ、卵へとまとわりついていく。
……いい匂いだな。
「お前も食うか」
「ん?あー、こいつはどうも」
朝飯も食ってなかったからちょうどいいな。
受験生からよそわれた椀を貰いその匂いを嗅ぐ。これは美味しい。確実に。
「……一口だけ、味見してさしあげます。し、審査してほしければ器を寄越しなさい!」
俺が椀の熱で手を温めてたら試験官がそう言った。
そうだ、食え食え。
さて俺も1口。
そう思いながら箸を伸ばして掴み取る。そのまま口の中へ、
「うん、うんうんいいねこれ」
「お、だろだろ!」
俺がうなづいていると肩を組んでくる受験生。あなた距離感近いね。
「これは…」
驚いた顔で料理を見つめる試験官。
そのまま二口目へと、
「あれー…、二口目イっちゃうの?確か一口だけって聞いた気がするけど?」
意地悪な受験生。まあ俺は遠慮なく食べさせてもらうがね。腹減ってるし。
「冗談だってば、ゆっくり食いなよ」
そう言われ赤い顔で食べる試験官。こう見ると可愛んだけどな。
それにしても、これ、
「煮凝り使うってのは斬新だよね」
「お!分かるか!?」
「っ!」
すごい驚いた顔で試験官に見られた。怖い。
「そうさ、この四角いのは手羽先の煮凝りだ!」
『煮凝り』
ゼラチン質の多い肉や魚の煮汁が冷えてゼリー状に固まったもの。
これをふりかけに利用するとは。面白い。
料理最中の横でずっと火にかけていた大鍋はこれだったわけだ。
「どーよどーよ、食わずに帰らねーでよかっただろ」
「だ、黙りなさい!まだ審査は途中よ!」
「ありふれたメニューでも創意工夫で逸品に化けさせる。これがゆきひらの料理だ!」
ゆきひら……覚えておこう。後で食べに行ってみたいな。
そしてその受験生の合否は……、
「……良かったの?あれで」
「……なによ。文句でもありますか?」
「………」
結果、【不合格】
受験生落ちる。
マジか。あれで落ちるのか。こうなりゃ受かる人なんていないんじゃないの?
『不味いわよ』
受験生が試験官に詰め寄った結果言い渡された言葉。それを聞いて驚いた顔のままこの部屋を後にしたあの受験生。
はっきりいえばあれは不味いわけが無い。
「……あれで落ちるって終わってんな」
「っ!」
「お前…!えりな様の判断を━━」
「はいストップ。くだらん押し問答は好きじゃない」
「っ」
さて、これからどうしようか。
「もう俺もここにいる意味もなくなったしな」
「……受験の辞退ですか。良いでしょう認め━━」
「勘違いやめてね。あの受験生みたいな料理人がいるってなったら俺もこの学園に興味があったよ。でも、自分たちの料理が、世界が正しいと玉座にふんぞり返ってる阿呆しかいないってなったら入る意味もない。あんたらが俺に価値ないと思うように、俺自身もこの学園に価値はないって思っただけだよ」
「「っ!?」」
「料理は……作らなくていいね?どうせもう作る意味もないし。……あ、あと竜胆に会ったら伝えといてー。『この場所は俺とは合わん』って」
「「……」」
険しい顔。そんな表情が背中に突き刺さりながら俺はその部屋を後にした。
安心してください、主人公は学園に入学します。
感想、評価待ってます。
そういえば出してなかったなってことで、この先物語の中でもタイミングもないしここで出しときます。
本作主人公
身長168cm、体重55kg
料理の腕はピカイチ、ただレシピ作りは大の苦手。
黒髪の短めザンバラ髪。常に眠たげな目をしてる。
身長188cm、体重69kg
主人公の父。遠月卒業生。
第72期生で元十傑第一席。
銀と城一郎と面識あり。
黒髪短髪オールバックの糸目筋肉。最近ダンディを目指して髭伸ばし中。
身長173cm、体重秘密
主人公の母、遠月卒業生。
第71期生で元十傑第一席。しかし、後輩の和光に食戟で負け、第一席の席を譲り第二席へ。それをきっかけに交際スタート。
銀と城一郎と面識あり。
青みがかったロングのストレートヘアー。切れ長の目でスタイル抜群。歳に比べ若々しい。若々しすぎる。