楽しい楽しい料理人修行生活   作:食戟のソーマはいいぞぉ

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料理は書くのもやるのも難しい。


第6話

「……え?お化け屋敷?」

 

たまらず出た言葉。

学校の授業も終わり、暇になったので俺がこれから暮らしていく寮に早速行こうということで来たわけだけど……、

 

「……いや、まあ住めば都と言うし……、いや、やっぱり限度はあるだろ」

 

草木が生えまくり、建物には蔦が巻き付き、カラスが周りで鳴いている。

 

親から、『ここに行きなさい』とおすすめされた寮。どうやら在籍中に両親ともに暮らしていた寮らしいが……oh…。

いや、両親がいた時は綺麗だったのかもしれない。見た感じかなり大きいし、豪華な寮だったんだろうね。

 

でも今じゃもう、妖怪アパートですこれは。

いやまあしかし、

 

「行くあてもないですしおすし。行くしかないか……」

 

覚悟を決め俺は中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中は意外と綺麗だった。

外装は褒められはしないけど中はすごい。豪邸感を感じるシャレオツ空間。人は見た目じゃないとは言うが、まさか建物にも当てはまる言葉だとは……恐れ入る。

 

「ん〜?誰だい?」

「おん?」

 

ぼーっと中を見回していたら背中越しに聞こえてきた声。

振り返ってみるとそこに居たのは1人のおばあさん。

 

「あー、あんた編入生の……うちに入りたいってことでいいのかね」

「あぁ、ども。……まあ、そういう認識でいいですね」

「そうかい。それなら食材は持ってきてるんだろうね?」

 

……What?

 

「ん?食材?」

「そうさ。……なんだい?もしかして知らなかったのかい?ここ極星寮に入りたいって言うなら、極星名物腕試し。それをする必要があるんだよ」

 

……まじ?

おい、我が親おい!ちゃんと教えておいてくれよ!あのバカ!

それにしても極星名物腕試し……男塾名物直進行軍とかそういう危険なやつじゃないよね?

 

「腕試し?」

「そうさ。持ち込んだ食材で料理を作る。それをあたしが食べて合格だったら入寮」

「……不合格は?」

「もちろん野宿さ」

 

……この学園はバカばっか。

4月の夜ってくそ寒いから。そんな中で野宿とか朝には死体へと早変わりだわ。

 

「で?食材は?」

「……ないね、うん」

「じゃあ不戦敗だね。出直してくるこった」

 

俺はたまらず頭を抑えて天井を見上げた。

この態度、ガチで野宿コースだ。

 

「諦めな、厨房には使い残しの食材があるだけだ。ろくなもんは作れないよ」

 

……ふむ。食材はあるにはあるのか。

 

「今日は運が悪かったと「ねえ」……なんだい?」

「使い残しの食材は使っていいのね?……案内してくださいよ、厨房」

 

 

ほうほう、広いね。さすが料理学校。

寮母のおばちゃんに案内されてやってきた厨房。屋敷の外観とは違いかなり手入れされていて長年使ってるだろうに真新しさを感じるほどの清潔感。

そんな厨房を、まじまじと見ていると、

 

「……アタシはね虚勢を張るガキは嫌いなんだよ」

「……はあ」

「どれほどの数の学生の料理を食べてきたと思ってるんだい。急ごしらえの料理なんかに合格なんて出すと思ってるのかい」

「……」

 

兎にも角にも残ってるものを確認しない限りはなんとも言えないし、無理なら無理で素直に諦めるが……、大根やら人参やら野菜類の使いかけ豆腐が少し、ネギ……もある。

お酒は……あるな。

後は……なるほど、

 

「いけんね」

「っ!?」

 

俺のツマミも使ってそうだなぁ……アレ作るか。

 

「てなわけで、えーと……そういや寮母さんの名前って」

「……ふみ緒だよ。大御堂ふみ緒」

「なるほど。よしじゃあ寮母さん、今から作るんでちょいとお待ちを」

「……アタシ名乗った意味あるのかい?」

 

そんな言葉を耳に残しつつ俺は調理を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーし、お待ちどーさん」

「……なんともまあ、一体どんな手を使ったんだい」

 

数分後。

俺が出した料理、それは、

 

「なんでこんな立派な"じゃっぱ汁"が出来るんだい…!?」

 

じゃっぱ汁、青森の郷土料理。

 

「さば味噌の缶詰あったんでね、それ使わせてもらいましたよ」

「缶詰…!」

 

さば味噌の味噌、それを使って汁を作りそれを元に材料をぶち込んで作っただけの味噌汁。

 

「いや、でも、缶詰で作った汁なんて━━」

 

そう言って汁を飲む寮母さん。

しかし、予想に反しその目は見開いていた。

 

「なんだいこれは!?魚の生臭さも消えて……魚介の風味も…!」

「それはこれだね」

 

そう言って取りだしたのは授業で作ったツマミ。

 

「それは…!」

「今日授業で作ったアクアパッツァのあまりで作ったつくね。スープも多少入れてたからそれを使っただけですわ」

「アクアパッツァ。……貝と魚を使ったイタリア料理。なるほどそれならこの魚介風味の汁も納得できる…」

 

そう言って恐る恐る箸をじゃっぱ汁の中にあるつくねへとのばした寮母さん。

そのまま掴み取り口の中へ。

 

「…!…美味い」

 

そう言って吐き出された言葉。

それを皮切りに一緒に出した白米と交互に口へと運び、そして、

 

「……よろしゅうおあがりでした」

 

しっかりと完食。

口元をナプキンで拭き取り、

 

「よろしい、合格だ!入寮を認めよう!あんたの部屋は204号室だよ!」

 

そう言って渡される1つの鍵。

それを受け取り、

 

「ありがとございまーす」

 

そんな言葉を吐きつつ厨房を後にした。




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