人類発祥の地は阿弗利加大陸であるらしい。その根本の始祖を『the Bible』は「アダムとイブ」と書いているが宗旨違いなので『the Bible』を所有していないしmoneyを出してまで求めたり、引用文を掲示していたらキリがないので今回は止めておく。しかし、最初の人類は「alphabet」の基となった「北セム系言語であるフェニキア語」をまだ発明も思いつきもしてはいないだろうから、イヌの祖先であるオオカミの群れ同様にアイコンタクトかボディランゲージか簡単な呻き声でのコミュニケーションだったのだろうと思われる。
「ええと……」
ここ、天熊総合学園大学史学部史学科「世界史概論」担当の里見屯兵准教授が小さく呟いた。「Twitter」ではない。あえて言うなら「Tweet」だが、里見は超アナログ人間で執筆には今だにワードプロセッサー……と言いたいところだが最後の専用機が七年前にお釈迦になって以降はジャストミートシステム(株)の『魁三太郎(ver.4.0)』を使用している。ただ、彼はローマ字入力で濁点・半濁点・鼻濁音などの変化球が投げられないので、五十音入力である。「親指シフト」という響きに魅力を感じたが、彼はMacintoshしか使わない主義(楽だから)なので富士通とはねえ。
「ここまでで質問や疑問、いちゃもんのある人がいれば……」
里見が訊ねるが二十人ほどいる学生たちは全くもって音沙汰無しの構えである。
いつものことだ。やる気のある学生など滅多にいないのだ。この学問への姿勢に厳しい学園であっても。
全てはデジタル化のせいだと里見は考えている。
便利な社会は人間をバカにしてしまう。特に日本人は効率化を求めるから、どんどん便利な世の中になり、どんどんバカになっていく。厳しく不便な環境こそが人間を強く、賢くするのだと里見は思うのである。
ここで、里見は学生たちに向かって、
「学問を志さぬ者は去れ!」
などと怒鳴ったり怒ったりはしない。なぜなら、学生たちがみな教室から出て行ってしまうからだ。
不人気講義はすぐに理事長である町田広の元にデータ化されて送られ、受講者0の講義は即、休講となり、准教授といえどもすぐに庶務などの職員に配置転換され、給与も下がる。六つ子(!)の親である里見はいくらテレビ局からドキュメンタリーの出演料を貰っていても生活費の大半はこの学園での講義量である。
「ああ、有象先生のように人気もあり、書籍もまた売れ出した人気講師になりたいものだ」
里見は心でため息をつくのであった。