「少し呼ばれているから校門で待っていてくれ。すぐに終わらせるから」
紅葉も落ち切った十二月の放課後、そう告げて幼馴染の『
「しかしまだ懲りずに告白してくるとはね。これでもう8回目だよ?人間くんって手に入らないものに熱くなるとは言うけどまさかこんなに僕にお熱とはね」
しかしむずがゆさ半分、落胆半分といった面持ちな彼女は勝弥以外へ向ける表情をつくり、倉庫の扉を開ける。そこには彼女の予想通りの人物が待ち構えていた。
「随分怖い顔をしてどうしたんだい?黒野くん」
「おいルー……てめえどういうつもりだぁ!この俺をここまでコケにしやがって!」
口を開くや否やルーに詰め寄る『
「とぼけんじゃねえ!人前で散々俺を振りやがって!あの後仲間内で俺は笑い物だ!」
「異種族に振られ続けた種無しって?確かに異種族は人間に甘いし好きだよ。でも僕たちにだって好みがある。人間の君にもあるようにね」
「うるさい!俺に恥かかせた罪は償って貰うぞ!」
「ふふ、人間が力技で僕たちに勝てるとでも?」
『人間は異種族には勝てない』
腕力、知力、体力とほぼ全ての能力で人間を上回る異種族。インキュバスのルーもその例に漏れず、自称体力自慢の弦司相手でもタイマンで勝てる程の力を持っている。たとえ力ずくでも組み伏せられる自信があった。
しかし、それを考えない程弦司も愚かでは無かったのだ。
「……あ、あれ?」
「くくくっ……効いてきたぞ」
ルーの身体から突如力が抜ける。弦司の手には薬品の名前が書かれたラベルの記されている瓶が見えた。
「『淫魔用筋弛緩剤』か。高かったが効果は抜群だな。打ち込む方法を考えたが、俺から渡しても警戒されるのがオチ。あいつにやらせて正解だったぜ」
「あいつ?……そういえば……」
ルーは6講時の終わりに同じクラスの女子から渡されたスポーツドリンク。体育の後でその女子がルーのファンであり、ファンの子からよく差し入れを貰っているルー自身疑うことなく飲んでいた。それに筋弛緩剤が入っているとは知らず。
「そういう事よ。あいつの穴も悪くなかったが、やっぱり極上と噂の淫魔の穴が手に入るならそれを選ばない手はないよなあ?」
「まさか……そんな事許される訳」
「許されるとかじゃねえ。俺がルールだ!さて、これでお前をたっぷり「そんな事だと思ったぜ」っ!」
「かつ……や……?」
「なんか嫌な予感がしてな。迎えに来た」
そこにいたのはルーの幼馴染であり、弦司の目の上のたん瘤である天城勝弥であった。
「てめえ……どうしてここが!」
「どうしてってルーの行先を見かけたってヤツ捕まえて教えてもらっただけだ。しっかし淫魔用筋弛緩剤とは、普通売ってないよな?どこで手に入れた?」
「そ、そんな事知ってどうするんだよ」
「普通に考えて学校でそんなのが流行ろうものなら大問題だ。さあ教えろ」
「黙れ!いつもいつも俺の邪魔しやがって……」
「ならデュエルと行こうぜ。お前が勝てば好きにしろ。俺もルーもな」
「ちょ、ちょっと勝弥!?」
「だが、俺が勝てばお前を警察に引き渡す。危険薬物所持は犯罪だ」
「……いいだろう。その言葉忘れるな!」
「こっちの台詞だ。だがその前に」
「ん?なんだよ、戦う前から命乞いか?」
「違う、場所替えだ。ギャラリーは多い方がいいだろう?」
学校の中庭につくられたデュエルフィールド。そこに立つ二人のデュエリストにギャラリーである生徒達は騒然としていた。
方や『暴虐騎士』の異名を持つ黒野弦司。デュエルに勝った際、敗者のカードを強奪する事から『追いはぎゴブリン』とも言われ忌み嫌われている。
方や『決闘先生』と呼ばれる天城勝弥。様々な生徒にデュエルやデッキのアドバイスをする様子から先生と呼ばれているが、インキュバスのルーと四六時中一緒に過ごしている事から『恋愛クソボケリア充先生』とも呼ばれている。
校内で話題の二人が一人の学校のアイドル的存在であるインキュバスをめぐりデュエルを行うとなればたとえ放課後であろうとも人だかりができるのは致し方ない。本来止めるべき教師陣営もギャラリーとして集団に紛れている。
「こんなに人を集めるなんてな。そんなにお前が負ける所を皆に見てもらいたいんだな」
「……ここで改めて、互いに勝利した時の敗者への命令権の内容を確認する」
「ん?」
勝弥が言い出した命令権。先程聞いていた弦司は何をいまさらといった面持ちだが、ルーにはその思惑を察した。
「お前が勝てば俺はルーには金輪際近寄らない。ルーの事もお前の好きにしろ」
「おお、そうだぞ天城!お前は負けたらルーは俺のものだ!」
「そしてお前が使った淫魔用筋弛緩剤の事も俺からは秘密としておく」
「おお……ん?」
勝弥の台詞に違和感を抱く弦司。そしてその違和感に気づいたのは周囲の反応からだった。
「え?筋弛緩剤?」
「そんなの使ってたのか?でも誰に?」
「まさか……ルー様に使ったの?」
「おい黒野!お前筋弛緩剤を使ったのは本当か!」
ギャラリーは勝弥の発言が嘘か真かを知る前に弦司ならやるという自信に弦司へ野次を飛ばす。弦司は勝弥の思惑をようやく理解し胸倉へ掴みかかる。
「てめえ!」
「おいおい落ち着けよ。まだここに証拠はない。今はなんと言われても証拠不十分で逃げられる。尤も、俺に勝ったらだけどな。そして俺が勝ったらお前は塀の中だ」
「……後悔させてやる」
「「デュエル!」」
「俺の先攻だ!俺はカードを1枚伏せて発動!『
ギャラリーの中から「俺のカード!」と声が聞こえる。弦司がカードを強奪していたという噂はこれで嘘ではないと証明される事となった。
「お前……」
「人聞きの悪い事言うなよなあ!これはもらったんだぜ?友情の印ってな。まだまだ続くぜ、『幻影騎士団』が特殊召喚に成功した場合、『幻影騎士団ステンドグリーブ』の効果発動!こいつを特殊召喚する。『終末の騎士』を召喚し効果発動。デッキの闇属性モンスター『幻影騎士団ダスティローブ』を墓地へ送る。ダスティローブを除外して効果発動。デッキから『ファントム』魔法・罠カード『
大きく展開される弦司のフィールド。勝弥とルー、そして昔からデュエルに傾倒している者からすればまだ展開すると読める上、幻影騎士団は多く見るテーマ故にレイダーズ・ナイトをここで出した理由が逆に読めていない。反対に最近デュエルを始めた者は弦司のタクティクスに舌を巻いていた。
「まだ俺のターンは終わっていないぜ。レベル3のダスティローブとサイレントブーツをリンクマーカーにセット!『彼岸の黒天使ケルビーニ』をリンク召喚!ケルビーニの効果でデッキのレベル3モンスター『幻影騎士団ラギットグローブ』を墓地へ送りその攻撃力1000をレイダーズ・ナイトに加える」
レイダーズ・ナイト
ATK2000→3000
「攻撃力3000か……」
「こんなのでビビってんじゃねえ!ラギットグローブを除外して効果発動。デッキから『ファントム』魔法・罠カード、2枚目の幻影霧剣を墓地へ送る。そしてそのまま幻影霧剣を除外して効果発動。墓地の『幻影騎士団』モンスターのサイレントブーツを特殊召喚する。リンク2のケルビーニとサイレントブーツをリンクマーカーにセット!『幻影騎士団ラスティ・バルディッシュ』をリンク召喚!そして効果発動!」
「それは止める!手札の『灰流うらら』を捨てて効果発動!デッキからカードを墓地へ送る効果を無効にする!」
「ちぃ!だが墓地のサイレントブーツを除外して効果発動だ!デッキの『ファントム』魔法・罠カード『
長いターンを終え、勝弥は思案する。弦司が構えた妨害札を、それをどうやって躱すかを。
(俺の手札にバックを割るカードは無い。逆に相手は返しのターンにレイダーズ・ナイトの効果でブレイクソードを呼び出してその効果で割れる。手札は1枚、俺のターンで墓地から発動できるカードは無い)
「信じてるぜ。俺のターン!俺は手札の『ジェット・シンクロン』と共に捨てる事で『ジャンク・コンバーター』の効果発動。デッキから『シンクロン』チューナーモンスター『ジャンク・シンクロン』を手札に加え召喚。そして効果発動」
「させるかよ!
「まあ初動を潰すのは常套手段だよな。でも……手札の『ボルト・ヘッジホッグ』を墓地へ送り魔法カード『ワン・フォー・ワン』を発動。手札・デッキからレベル1のモンスター『チューニング・サポーター』を特殊召喚。チューニング・サポーターはシンクロ素材とする際、レベル2として扱う。レベル2となったチューニング・サポーターにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!『ジャンク・スピーダー』をシンクロ召喚!そして効果発動!デッキからレベルの異なる『シンクロン』チューナーモンスターを可能な限り特殊召喚する。チェーンしてチューニング・サポーターの効果発動。シンクロ素材として墓地へ送られた場合、1枚ドローする。そしてスピーダーの効果でジェット・シンクロン、『サテライト・シンクロン』、ジャンク・シンクロン、『スターダスト・シンクロン』を特殊召喚」
「モンスターが一気に5体に!」
「スターダスト・シンクロンの効果発動。召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから『スターダスト・ドラゴン』が記された魔法・罠カード『光来する奇跡』を手札に加える。フィールド魔法『スターライト・ジャンクション』を発動し、効果発動。チューナーモンスターであるスターダスト・シンクロンをリリースし、レベルの異なる『シンクロン』モンスター『シンクロン・キャリアー』を特殊召喚する。レベル2のシンクロン・キャリアーにレベル3ジャンク・シンクロンをチューニング!『
「ハイパー・ライブラリアン……」
勝弥の展開を見たルーは呆れながら背筋を震わせる。
「勝弥……やりすぎだよ。これ下手をすれば……」
----ワンターンキルだよ。
「レベル5のジャンク・スピーダーにレベル1のジェット・シンクロンをチューニング!『スターダスト・チャージ・ウォリアー』をシンクロ召喚!スターダスト・チャージ・ウォリアーの効果とハイパー・ライブラリアンの効果で合計2枚ドロー。永続魔法『光来する奇跡』発動。発動処理としてデッキからレベル1ドラゴン族の『想い集いし竜』をデッキトップに置く。レベル6スターダスト・チャージ・ウォリアーにレベル2サテライト・シンクロンをチューニング!飛び立て『スターダスト・ドラゴン』!!」
勝弥のフェイバリットカードの登場にギャラリーが騒ぎたてる。それを意に介さず処理を続ける勝弥に弦司は苦虫を噛み潰すように睨みつける。
「ハイパー・ライブラリアンの効果にチェーンし、光来する奇跡の効果を発動。シンクロモンスターを特殊召喚した場合、手札のチューナーモンスター『救世竜セイヴァー・ドラゴン』を特殊召喚。そしてハイパー・ライブラリアンで1枚ドロー。想い集いし竜はドローした時、このカードを相手に見せて発動。このカードを特殊召喚する。更にレベル8のドラゴン族シンクロモンスターが存在する場合、デッキからレベル1ドラゴン族モンスター『スターダスト・シャオロン』を特殊召喚。
レベル8スターダスト・ドラゴンとレベル1スターダスト・シャオロンにレベル1救世竜セイヴァー・ドラゴンをチューニング!」
「レベル10の……シンクロモンスター!」
「光来せよ『セイヴァー・スター・ドラゴン』!!」
セイヴァー・スター・ドラゴン ☆10
ATK3800/DEF3000
「……確かに攻撃力3000を超えるモンスター、普通のデュエリストなら脅威だろうが
「対策カードを発動したところ悪いがお前はこのターンで終わりだよ。ハイパー・ライブラリアンの効果と光来する奇跡の効果を発動。光来する奇跡はチューナーモンスターを特殊召喚する効果の他に、デッキから1枚ドローする効果もある。それぞれ1度しか発動できない効果だが、強力だろ?」
「うるせぇ!さっさとドローしろ!」
「そうだな。このデュエルの決着を付けるのに余計な事は言いっこ無しだよな。
だからとどめは容赦無く……な?」
「……は?」
突如空気の変わる勝弥。ドロリとへばりつくような感触が弦司を襲い、後ろを振り返る。しかし当然誰もいない。
「な、何が……」
「俺としてはお前がルーを好きになるなんざ別に問題じゃねえんだよ。あいつの気持ちは何となく察してる。それを見ないふりしてるのは俺の我儘だ。何も言えねえし、お前が俺にどうこう言うのも気にしなかった。中学の頃もよくある事だったしな」
「お、おい……お前何言って」
「だがそんな中でお前はタブーを犯した。それは
ルーを嵌めて泣かせようとした事だ」
ただのデュエル。ただのソリッドビジョン。なのに勝弥から発せられる殺気が弦司の身体をいくつも突き刺さる。嫌な汗がいくつも伝い、呼吸が浅くなる。
「そんなお前に元より容赦する気は無い。自分の罪を塀の中で自覚しろ。レベル10のセイヴァー・スター・ドラゴンにレベル1の想い集いし竜をチューニング!招来せよ『シューティング・セイヴァー・スター・ドラゴン』!!!!」
シューティング・セイヴァー・スター・ドラゴン ☆11
ATK4000/DEF3300
「勝弥!」
「こ、攻撃力4000だと!で、でもそれ以外はレイダーズ・ナイトを下回る。それなら「本当にそれで終わると信じているのか?」っ!」
「手札のモンスター『妖醒龍ラルバウール』を捨て、ジェット・シンクロンを特殊召喚。『死者蘇生』を発動し、チューニング・サポーターを蘇生。レベル1のチューニング・サポーターにレベル1ジェット・シンクロンをチューニング!『フォーミュラ・シンクロン』をシンクロ召喚!フォーミュラ・シンクロンの効果にハイパー・ライブラリアンの効果、そしてチューニング・サポーターの効果を発動。カードを合計3枚ドロー。『シンクロ・オーバーテイク』発動。エクストラデッキの『ジャンク・ウォリアー』を見せて指定されている素材のモンスターであるジャンク・シンクロンを墓地より特殊召喚。
レベル5のハイパー・ライブラリアンにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!『アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴン』!アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴンの効果発動。シンクロ召喚に成功した場合、墓地のレベル2以下のチューナーモンスターであるサテライト・シンクロンを蘇生。更にアクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴンをリリースして効果発動。エクストラデッキのスターダスト・ドラゴンをシンクロ召喚扱いで特殊召喚し、俺のフィールドのモンスターでシンクロ召喚を行う。レベル8スターダスト・ドラゴンにレベル2フォーミュラ・シンクロンをチューニング!」
二体を墓地へ送った瞬間、フィールドに風が吹き荒れる。それは本来、空間を飛び越える程の速度に達した瞬間のみ成せるスピードの極致。
「アクセルシンクロ!!!!
シューティング・スター・ドラゴン!!!」
シューティング・スター・ドラゴン ☆10
ATK3300/DEF2500
「攻撃力……3300……だ、だがレイダーズ・ナイトは「いちいちうるせえんだよ!!」ひっ!」
「心配しなくてもそいつ毎吹き飛ばしてやる。墓地のボルト・ヘッジホッグは俺のフィールドにチューナーモンスターが存在すれば蘇生できる。レベル2のボルト・ヘッジホッグにレベル2のサテライト・シンクロンをチューニング!『アームズ・エイド』をシンクロ召喚。アームズ・エイドの効果でこのカードをシューティング・セイヴァー・スター・ドラゴンに装備。これで攻撃力が1000アップする」
「攻撃力……5000って……」
「それだけじゃない。シューティング・セイヴァー・スター・ドラゴンは通常の攻撃に加え、墓地の『スターダスト・ドラゴン』及びその名前が記されたシンクロモンスターの数だけ攻撃できる。つまり」
「攻撃力5000の……5回攻撃!!」
「バトルだ!シューティング・セイヴァー・スター・ドラゴンでラスティ・バルディッシュを攻撃!」
黒野弦司
LP8000→5100
「まだだ!アームズ・エイドを装備したモンスターが相手モンスターを破壊した時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える。2100のバーンダメージだ!」
「嘘だろ!」
LP5100→3000
「とどめだ。シューティング・セイヴァー・スター・ドラゴンでレイダーズ・ナイトへ連続攻撃!」
「嘘だ……こんなの……」
LP3000→1500→0
「嘘だあああああああああああああああああ!!!」
デュエルが終わった後、ルーが呼んでいた警察によって弦司は危険物取扱法違反により連行されていった。事情聴取に同行した勝弥とルーが帰宅できたのは日も落ちた真夜中であった。
「勝弥……」
「正直すまないと思ってる」
「それは僕に?それとも黒野?」
バツの悪い顔をする勝弥だがルーはそんな事知らないといったようにルーは詰め寄る。ルーは勝弥がデュエルする前にデュエルディスクの設定を弄っていた事を理解していた。
「ソリッドビジョンのダメージフィードバック、どれだけ高くしたの」
「最高レベル」
「馬鹿!昔もそうやって一人病院送りにしたの忘れたの?」
「お前が泣く羽目になるよりマシだ!」
「犯罪者になるところなんだよ?その自覚あるのかい?」
「……」
ルーに責められ勝弥は何も言えなくなる。ダメージフィードバック値変更は上限が存在する。その上限を上回る数値でのデュエルは法律で禁止されており、勝弥は今回その上限ギリギリでデュエルを行っていた。
「君が僕に泣いてほしくないように、僕も君に危険な事をしてほしくないよ。だって僕は……」
「ルー……」
「なんてね。とにかくこれからは危ない事はしない事。君が「好きだ」……?」
何と言われたのか分からないといったように目をまるくして勝弥を見つめる。そんなルーに勝弥は畳みかけるように言葉を続ける。
「最初は危なっかしいから俺がいないとって思っていたんだ。でも中学に上がってからお前は皆と打ち解けて、俺と離れていた時があったろ?その時こう……胸がぽっかりと空いたような気持ちになって、ルーがいると安心したんだ」
「やめて……やめてよ」
「それで今回の件ではっきりした。俺はお前と……ルーと一緒にいたいんだ。俺は「やめてって言ってるでしょ!」ルー……」
「言わないで……僕にこれ以上、君を必要とさせないで……君が僕のせいで傷つくのは、僕が君を傷つけるのはもう耐えられないよ……」
それはルーの独白。自身の“D”に込められた“Despair”の意味。『絶望』を振りまく自分が、それに愛する者を巻き込んでしまう自分が許せなかった。
「だからもういいんだ。君は僕じゃない誰かと共に歩んでくれ。お願いだ」
「ルー
俺がそれを聞いてはいと言うと思うか?」
「勝弥!だから僕は」
「迷惑なんていくらでもかけろ!それでも俺はルーとどんな未来だって生きていきたい!」
「んんっ!君はいつもそうやって勘違いさせるような台詞を」
「勘違いじゃない予想通りだ!」
「んんん!?」
ほぼ告白のそれはルーの脳を刺激するのに十分な威力であった。彼女のどことは言わないが濡れて身に着けている制服をも濡らす。愛する人から全ての欲求を受け入れると言われ喜ばない者はいないのだ。
「勝弥……本当にいいの?僕、インキュバスなんだよ?元とはいえ男なんだよ」
「構わないさ。惚れた弱みってやつかな」
「もう……」
ルーは呆れるようにため息を吐く。そして勝弥は息を整えルーに向き直る。
「ルー、長い付き合いだが改めて言わせてもらう。
俺と付き合ってくれ」
「……………………はい!」
ルーは勝弥の胸に飛び込み、彼の匂いを胸いっぱいに吸い込む。最早麻薬のように彼女に作用する彼の匂いは、彼女をトリップさせ、淫魔の欲を覚ます事となる。
「勝弥、付き合う事に当たって最初のお願い聞いてもらえる?」
「ん?」
「………………えっちする時はゴム無しでお願い♡」
「そ、それは結婚の目途が立つまで待ってほしいけどな」
「大丈夫!僕これでも両親の仕事を手伝ってかなり貯金があるんだ!卒業してからは大学に通いながら会社の一部を引き継ぐことが決まっているからお金の事は心配しなくていいよ!」
「んー本当にいいのかそれ?」
「そ、それともやっぱり僕とはシたくない?」
「お前……それはズルいって」
「ふふ……じゃあ」
「でもせめて高校を卒業してからな。それまではゴム付けて」
「もう、仕方ないね。それで妥協してあげる」
「すまん」
「じゃあ早速シよ!僕ずっとこの日を待っていたんだ!」
「はは……やっぱルーって他の人がいる時と二人きりの時でキャラ変わるな」
「ふふふ……
こんな姿を見せるのは君だけだよ」
書いてる内になんかシリアスになってんなってなりました。なんでやろなあ。
ルー・D・フォーチュン:この後半年しない内に妊娠。ゴムに穴開けていたので実質生と変わらなかったが中々当たらない事に悩んでいた。出産後更に4人の子供を儲け、勝弥を自分と同じ寿命まで生かす為に試行錯誤を始める。
天城勝弥:実は付けていたゴムが全て穴あきなのが判明しガチ説教をしたらルーに逆レされかける。
黒野弦司:刑務所服役中インキュバスに連れ去られハーレム(白目)状態となって今日も今日とて絞られている。