淫魔と戦う方法はデュエルでした   作:火壁

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ブルアカをやってみました。ツバキちゃんがデッカくて可愛いかったです。


TS義兄がこんなにえっちなわけがない

 『TS症候群』に発症した者は多くが美男美女と化している。中には二目と見れない醜男が絶世の美女になり雑誌の表紙を飾る事もある。そんなTSに一縷の希望を見出す自身の容姿に自信の無い男女はTS症候群が発症する方法を日夜探している。しかし、その思いが実ことはなく、彼らのあずかり知らぬ場所でまた一人性転換した者が現れた。

 

 「にしても、やっぱり治し方知ってる人はいないか」

 

 自室のパソコンから目を放し、半ば分かり切っていた結果に嘆息する男は『五代恋次(ごだい れんじ)』。大学に通いながら異種族とのデュエルに胸を躍らせる*1

 

 しかし鳴かず飛ばずで早3年。友人数名は作れたが、異種族の知り合いも出来ず、来年就活という考えが頭をよぎる頃、事件は起きた。

 

 「TS症候群…かぁ……」

 

 彼の義兄である『五代薫(ごだい かおる)』が数日前、とある奇病に侵された。それが先述したTS症候群である。所謂陰キャであった彼と朝に顔を合わせた時、恋次がどのような表情をしたのかは言うまでもない。医師からの診断でも治療法も特効薬も判明しておらず、両親も騒然としていた。その後もどのように接していいか分からず、ギクシャクしていたが、薫が母と話している内容を聞いて背筋が凍った。

 

 『あんたそんな身体になっちゃったけど、今ってどうなの?好きなタイプとか』

 

 『どうって…別に普通だよ。まあ…』

 

 『まあ?』

 

 『最近友達がね、押しが強いっていうかね』

 

 友達とは薫の所属する遊戯王サークルである。恋次も何度か交流があった面子であるが、オタク特有の限界集落的狭量さに耐えられなかった過去がある。贔屓目抜きにしても今の薫は美人であり、誰もが振り向くようなプロポーションであるが、根がオタクであることを知るのは恋次と家族、残るはサークルメンバーのみである。性転換してこれからの人生設計全てを滅茶苦茶になったと涙ながらに相談しに来た兄を知る恋次としては今は性自認と同じくらいに周囲の信頼が必要だと思っている。

 

 しかし、そんなことはサークルメンバーにはあずかり知らぬラッキーハプニング。最初は驚きこそすれ、自然とデュエルによって関係は元通りとなった。しかし、薫は自身の肉体を理解しておらず、それがサークルメンバーを獣へと堕とした。

 

 エロ漫画から出てきたのかと言わんばかりの豊満な肉体。それでいて腰のくびれははっきりと表れており、その下方へ目を向けると男が()()を打ち付ける為に育ったのかと見紛う程に存在感を放つ尻。そのような容姿を持ちながら自身の趣味を肯定し、共有してくれる異性に対し、彼らは何一つ抗う事ができなかった。オタサーの姫ばりのもてはやしが始まり、薫はその変わり様に困惑していたが、その居心地に言い出せずにいた。それが短い期間とはいえ今回過剰なスキンシップという名のセクハラという形になったのである。

 

 薫もそのような扱いを求めている訳ではなく、辞めるように言うがそこは村社会的クローズドサークル。多数の圧力に半ば屈した薫はこの頃表情が暗い。押しが強いなどという話ではなく、いつ手を上げられるのか恐々としているのだ。恋次が彼らとの付き合いをやめるように言うと

 

 『本当はそうするのがいいんだろうけどな、でもあいつらといないと僕には居場所がないんだよ。僕も、恋次みたいに一人でも上手くやれたらよかったな』

 

 「違う…違うんだよ兄さん。俺はただのコミュ障なだけなんだよ。それにあいつら何なんだよ。気に入らないからってアンティ仕掛けてくんなよ。全部巻き上げたけど」

 

 恋次は薫のサークルメンバーによく思われていなかった。始めは薫の弟ということで共にデュエルを楽しんでいたが、薫が女になってから『義姉と仲よくイチャイチャデュエル!ふじこふじこ』という訳のわからない言い分でサークルから除外されてしまった。元々閉鎖的なサークルで大学でも別のデュエルサークルが出来る程であったが、恋次は未だに薫があのサークルに関わっているのか理解できない。

 

 「恋ちゃん、ちょっといい?」

 

 「かあさん?どうしたのさ急に」

 

 「いやね、薫が急に出かけるって言いだして妙におめかししてたから、何か知らない?」

 

 「急に…おめかし……!」

 

 恋次の脳裏にはもう、母の声は聞こえていなかった。普段使いの鞄にデッキとスマホを入れ、デュエルディスクを腕に付けた彼は家を飛び出し、愛用のバイクに跨り走らせる。目的地に着くよりも早く、目当ての人影を見つけた。兄の薫だ。

 

 「おい兄貴!!」

 

 「っ!れ、恋次…」

 

 会いたくない。そういう相手を見たかのような反応を示す。気丈に振舞おうとしているのに目の前の相手に縋りたいという気持ちがないまぜになって(かのじょ)の表情がぐちゃぐちゃになっている。

 

 「何しに来たの。恋次には関係「あるに決まってんだろ!弟だぞ!!」…義理の、だけどね」

 

 あくまでも突き放さんとする姿勢を崩さないように冷静に努める。しかし、自分の言った台詞が自分に突き刺さり、少し涙目になる薫を見て恋次は薫が変わっていない事に安堵する。

 

 「義理だからなんだよ。それでも俺はあんたの弟だ。家族がヤバい事やらされそうになってんのに黙ってられっか!」

 

 「……じゃあどうすればいいのさ。

 

 大学であそこ以外に居場所がない。異種族の人達ともデュエルできない。そんな僕が皆といるにはあんな要求でも応えなきゃいけないんだよ。それにね、皆僕の身体を見てるとき凄い興奮してくれるんだよ。ズボンがテント張ってるの丸わかりなんだ。それに気づかずに鼻息荒くしてあれしろこれしろ、そう言ってその後トイレに駆け込んだ時は思わず笑っちゃったよ。まあぶっかけられるよりはマシだけど、恋次を忘れるならそれも「やめろ!!!」…ほら、こういう人間なんだよ僕は。だからもう関わらないでよ。これ以上恋次が嫌な顔するなら、もう僕に関わらないのがベストなんだ」

 

 それは誰に対しての告白なのか、もしくは義弟への懺悔なのか。自分はもう穢れていると言えば彼が諦めると考えている(かのじょ)には自分を貶す事が一番の方法だと信じたのだ。

 

 しかし、そんな事で引き下がる恋次ではない。

 

 「なら、居場所があればいいのか?」

 

 「え?ちょっ」

 

 恋次はヘルメットを投げ捨て、薫の腕をとる。男と女の力量差を知っている薫はそれでも恋次の手を離そうとするが、そんな薫の口を恋次の口が塞いだ。

 

 所謂マウストゥーマウスである。

 

 「っ……!?」

 

 自分の事を男と分かっている、自分が他の男から穢されている、それらを用いて義弟を拒絶する3テンポから唐突に口づけされてしまった事に脳がパニックを起こしていた。

 

 「ちょ…恋次…⁈」

 

 「兄貴は居場所がないのが怖いのか?だからあいつらの所にいるのか?」

 

 「……そうだよ。居場所がこれ以上作れなかったからあそこに逃げたんだ。それの何が悪いの?逃げたっていいじゃん。今まで苦しんで来たんだから楽な方に進んでもいいじゃん!」

 

 もはや駄々をこねているだけだが、恋次にも薫の気持ちは理解出来ている。母と現在の父が再婚した時、本当の父との思い出が消えてしまうのではと薫を忌避していたが、薫の頑張りで恋次も父親と和解出来ている。

 

 ならば、今度は自分が薫を助けたいと思うのは自然だった。少なくとも彼にとっては。

 

 「だったら、俺が兄貴の居場所になれば解決か?」

 

 「…………え?」

 

 「だから

 

 

 

 

 

 俺が兄貴とずっと一緒にいるって言ってんだよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世界が静止するという表現が存在するが、今の彼らにとって世界の静止など些末事だろう。今恋次の脳は言った台詞がリフレインしており、薫に至っては言われた台詞に現実味を持てずに呆けている。家族としての意味だろうか、もしくは()()()()()()なのだろうか。それを確かめる為にも口を開かなければならない。

 

 しかし、それを阻む者が現れた*2

 

「薫氏、何をやっているでありますか?」

 

「「っ!」」

 

 二人が声のした方向へ顔を向けると、そこには互いに見知った連中がいた。容姿としては中の下といった4人の青年は、さも自分達がNTRれたかのような表情をしている。

 

「薫氏、恋次氏との関係は解消するとの話ではなかったのですか?それを条件に我らと結婚するのではなかったのですか?」

 

「そ、それは「結婚とかふざけたこと抜かしてんじゃねえぞクソ共」れ、恋次!」

 

「あんたらが今までと変わらない関係でいたら俺だって何も言わなかった。でも兄貴が女になって変貌したあんたらをこれ以上許すわけにはいかねえ」

 

「な、何を言うかと思えば!そう言うなら我々が勝った際は金輪際何も言わせんですぞ!」

 

「それで構わねえ。いくぜ」

 

 

「「デュエル!!」」

 

五代恋次

VS

加藤哲夫

 

「先攻は貰う。俺のターン!俺は手札から魔法カード『予想GUY』を発動。デッキからレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚する」

 

「特に無いですぞ」

 

「なら『魔鍵銃士-クラヴィス』を特殊召喚だ。そしてフィールド魔法『魔鍵施解』を発動。発動処理の効果でデッキから『魔鍵』モンスターを手札に加える」

 

「それも無いですぞ」

 

「なら『魔鍵銃-バトスバスター』を手札に加える。魔法カード『魔鍵マフテア』を発動。手札、フィールドのモンスターを素材に融合、または儀式モンスターを呼び出す。更に、俺のフィールドに通常モンスターが存在する場合、デッキから通常モンスター1体を墓地に送る事で素材に出来る」

 

「よく回りますな」

 

 何もない代わりに皮肉を言うが、恋次は構わず続ける。

 

「デッキの通常モンスター『サファイアドラゴン』を墓地へ送り、儀式召喚!魔鍵銃-バトスバスター!」

 

 魔鍵銃-バトスバスター ☆4

 機械族 儀式 闇

 ATK2000/DEF2200

 

「バトスバスターの効果でデッキから『魔鍵』カードを手札に加える。『大魔鍵-マフテアル』を手札に加えてマフテアルの効果。自分フィールドに『魔鍵』モンスターが存在する場合、手札のこのカードを相手に見せる事でこのターン、俺は『魔鍵』モンスターの召喚権を増やす」

 

「成程、因みに」

 

「なんだよ」

 

「マフテアルを召喚し、効果を使えば

 

 

 

 

 いったい何度目の特殊召喚なのでしょうな」

 

「!」

 

 相手が召喚回数を訪ねる理由など一つしかない。召喚・特殊召喚を五回以上した瞬間、恋次のモンスターは全滅する。次のターン、それを見逃さない相手では無い事が分かっている以上、ここで止まるのも手だが

 

「四回目だな。更に召喚していけば()()()も出てくるだろうが、俺はやるしかない。大魔鍵-マフテアルを召喚し、効果発動!サファイアドラゴンを特殊召喚する。そして魔鍵銃士-クラヴィスに大魔鍵-マフテアルをチューニング!シンクロ召喚『魔鍵変鬼-トランスフルミネ』!!」

 

 魔鍵変鬼-トランスフルミネ ☆8

 雷族 シンクロ 炎

 ATK2800/DEF2800

 

「トランスフルミネの効果発動!デッキから『魔鍵』魔法・罠カードを1枚、俺のフィールドにセットする。『魔鍵錠-(アンロック)』をセット!『魔鍵施解』の3つ目の効果!デッキから『魔鍵マフテア』を手札に加え、手札1枚をデッキの一番下に戻す。戻すのは…これだ。魔鍵マフテア発動!デッキの通常モンスタークラヴィスと手札の『ガガギゴ』を融合!『魔鍵召獣-アンシャラボラス』を融合召喚!!」

 

 魔鍵召獣-アンシャラボラス ☆4

 獣族 融合 闇

 ATK2200/DEF2000

 

「アンシャラボラスの効果!融合召喚に成功した場合、墓地の魔鍵マフテアを手札に戻し、三度発動!デッキの通常モンスター『しゃりの軍貫』とアンシャラボラスで融合!『魔鍵召竜-アンドラビムス』を融合召喚!!」

 

 魔鍵召竜-アンドラビムス ☆8

 ドラゴン族 融合 風

 ATK2800/DEF2000

 

「レベル4魔鍵銃-バトスバスターとサファイアドラゴンでオーバーレイ!エクシーズ召喚『深淵に潜む者』!!」

 

 深淵に潜む者 ★4

 海竜族 エクシーズ 水

 ATK1700/DEF1400

 

「これでターンエンド。エンドフェイズに入るが、何かあるか?」

 

「いいえ何も、しかし壮観ですな」

 

「二ビル警戒させてその言い草は皮肉か?そっちのターンだ」

 

「では、我のターンですぞ!我は『相剣師-莫邪』を召喚。効果を発動。『龍相剣現』を見せてトークンを特殊召喚ですぞ」

 

「トークン特殊召喚時にトランスフルミネの効果発動。墓地のモンスターと同じ属性を持つ相手モンスターが召喚・特殊召喚に成功した場合、そいつを破壊する」

 

「莫邪を破壊しなかったのは突っ立っているこのモンスターをトランスフルミネでバトルするためであるか」

 

「更にアンドラビムスの効果だ。俺の墓地に存在するモンスターと同じ属性を持つ相手モンスターが戦闘・効果で破壊された場合、デッキから1枚ドローする」

 

「しかし、これで妨害はあと1、2枚。しかもこのタイミングで引いたカードが誘発の確率…12%!龍相剣現を発動!」

 

「魔鍵錠-解を発動。無効にして破壊する。その後、そっちのフィールドのモンスターは全て闇属性として扱う」

 

「仕方なし。これを通すには必要な犠牲なり。魔法カード『サンダーボルト』を発動!!」

 

「なっ!?」

 

「これでそちらのモンスターは全滅!折角の盤面も水泡に帰しましたな」

 

「っ……だが、深淵に潜む者の効果はフリーチェーン。発動してこのターン、あんたは墓地のカード効果を発動できないぜ」

 

無問題(モーマンタイ)!我は手札の『天威龍-ヴィシュダ』を捨て、『相剣軍師-龍淵』と相剣トークン

を特殊召喚ですぞ!」

 

「龍淵の召喚にチェーンして『増殖するG』の効果発動!こいつを捨ててこのターン、特殊召喚する度、俺は1枚ドローだ」

 

「ふむり…何事も無く行くと考えていたが、成程。通しましょう。1枚お引きなさい」

 

「……ドロー」

 

「相剣軍師-龍淵に相剣トークンをチューニング!『フルール・ド・バロネス』をシンクロ召喚!!」

 

 フルール・ド・バロネス ☆10

 戦士族 シンクロ 風

 ATK3000/DEF2400

 

「来やがるか」

 

「バトルですぞ!莫邪からダイレクトアタック!」

 

「くう!」

 

五代恋次

LP8000→6300

 

「続いてバロネスでダイレクトアタックですぞ!!」

 

「がああっ!!」

 

LP6300→3300

 

「これにてターンエンド。龍淵の効果が使えなかったのが残念ですな」

 

(『アークネメシス・プロートス』。正直サンダーボルトを先にした方が得でしたかな?)

 

「…クソ、いいようにやられたな」

 

 最大限に敷いた布陣をあっさりと突破された。更にライフを大きく削られ、手札は不明。バロネスも考えれば二妨害を前提に動かなければならないが、恋次の手札にそれを解決する術は無い。何よりバロネスを突破する術もないのだ。

 

「かなり、マズいか」

 

「左様。潔くサレンダーされるがいい。姉上は我等で大切に愛でるが故」

 

 哲夫はもう勝ったつもりでいる。しかし

 

「はあ?何言ってるんだよ」

 

「はて?」

 

「まだ俺は負けてねえ。勝手にサレンダー勧めるな」

 

 まだ彼の意志は砕けていない。それは大切な兄を助ける為、姉となろうとも揺るがない自分の家族を失わない為。今ここで、折れる訳にはいかなかった。

 

「俺のターン!『妨げられた壊獣の眠り』発動。互いのフィールドを全破壊だ!」

 

「しかし、バロネスはそれを無効にする効果を有する!通しませんぞ?」

 

 ほぼ全ての効果を無効にし、破壊するバロネスの効果。逆転の手がひとつ潰えたが、まだ手札は二枚ある。

 

「魔法カード『月女神の鏃(アルテミット・スレイ)』!エクストラデッキの『虹光の宣告者(アーク・デクレアラー)』を墓地へ送りバロネスをデッキに戻す!」

 

「ぬう…小癪な」

 

「その喋り方うっとおしいぜ。虹光の宣告者の効果だ。デッキから儀式モンスター『魔鍵砲-ガレスヴェート』を手札に加える。墓地のレベル8モンスター、アンドラビムスを除外し、『八雷天神(ヤクサイカヅチノカミ)』を特殊召喚。その後、融合モンスターを除外したことで1枚ドローする。魔法カード『テラフォーミング』発動。魔鍵施解を手札に加えて発動してマフテアルを手札に加える。マフテアルを召喚して効果発動。墓地のガガギゴを蘇生。ガガギゴにマフテアルをチューニング!再び来い、トランスフルミネ!」

 

 恋次は諦める事無くカードを回す。それに応えるように魔王たちもその力を十全に発揮する。

 

「トランスフルミネの効果発動。デッキから『繋がれし魔鍵』をセットする。バトル!八雷天神で莫邪を攻撃!」

 

加藤哲夫

LP8000→7700

 

「トランスフルミネでダイレクトアタック!」

 

LP7700→4900

 

「これでターンエンド」

 

「いやはや。魔鍵でここまで捲られるとは思わなんだと言っておきましょうか。しかし、所詮はファンデッキ。完全制圧を見せて差し上げよう!我のターン!我は墓地のヴィシュダ、龍淵、莫邪を除外し、『アークネメシス・プロートス』を特殊召喚!」

 

 アークネメシス・プロートス ☆11

 幻竜族 効果

 ATK2500/DEF3000

 

「アークネメシス・プロートスの効果発動。フィールドのモンスターの属性を宣言し、その属性を持つモンスターをすべて破壊。次のターン終了時まで、互いにその属性を持つモンスターを特殊召喚できないですぞ。宣言するのは当然炎属性!」

 

 アークネメシス・プロートスから溢れる奔流がトランスフルミネに襲い掛かる。そして、まだ哲夫の展開は終わっていない。

 

「『相剣師-泰阿』召喚。そして墓地の龍相剣現を除外し、泰阿の効果を発動。相剣トークンを特殊召喚しますぞ。泰阿に相剣トークンをチューニング!『相剣大師-赤霄』シンクロ召喚!!」

 

 相剣大師-赤霄 ☆8

 幻竜族 シンクロ 効果

 ATK2800/DEF1000

 

「赤霄の効果発動。デッキから『相剣』カードである『相剣暗転』を手札に加えてバトルフェイズ!プロートスで八雷天神に攻撃!」

 

LP3300→2800

 

「ジャストキルですぞ。赤霄で「伏せ(リバース)カードオープン!」行きたかったですな」

 

「繋がれし魔鍵!墓地の通常モンスターまたは『魔鍵』モンスターを手札に加えて融合、または儀式召喚する。墓地の通常モンスター、サファイアドラゴンを手札に加えて手札のガレスヴェートとサファイアドラゴンで融合!再び来い、アンドラビムス!」

 

「なれば赤霄とアンドラビムスで相打ち!」

 

 赤霄の剣とアンドラビムスの炎が互いを消滅させる。再び恋次のフィールドはがら空きとなった。

 

「1枚伏せてターンエンド。恋次氏、次のターンでなんとかせねば我のターンで敗北は確定。いかがです?ここいらでサレンダーしても咎める者はおりませぬ。手札ゼロ、フィールドには魔鍵施解1枚だけ。そのような状況で逆転する術は、皆無。仮にマフテアルを召喚したとしても赤霄の効果により後続を呼び出すのは不可能。魔鍵施解を張り変えようとも暗転で除去すれば効果は使えない。それとも、ここから逆転するおつもりで?」

 

「口調完全にDOMANじゃねえか。それに、このデッキは必ず環境をぶっ潰すって覚悟を持って組んでる。環境落ちしたデッキに負けるわけにもいかねえんだよ。俺のターン!魔法カード『貪欲な壺』を発動。墓地のモンスター、マフテアル2体、八雷天神、アンドラビムス、ガレスヴェートをデッキに戻して2枚ドローする。魔鍵施解を張り替え発動。デッキからマフテアルを手札に加える。マフテアルを召喚し効果発動!」

 

「シンクロ召喚なぞさせる訳があるまいて。伏せ(リバース)カードオープン。相剣暗転により、プロートスと魔鍵施解、マフテアルを破壊しますぞ。更にチェーンにより赤霄の効果で泰阿を除外してマフテアルの効果を無効。逆順処理でマフテアルを無効にした後、破壊いたす」

 

「っ…」

 

「申し訳ありませんねぇ…しかし、これで「赤霄をリリース!」は?」

 

「『海亀壊獣ガメシエル』を特殊召喚!」

 

 海亀壊獣ガメシエル ☆8

 水属 効果 水

 ATK2200/DEF3000

 

「成程。しかし、次に引くカードでそちらの敗北は決定する。それはご存じで?」

 

「……ろよ」

 

「はて?」

 

「やってみろよ。できるんならな」

 

 敗北が決定的な場面でも、恋次は絶望に染まっていなかった。寧ろ、この状況を楽しんですらいる。ここで笑みさえ浮かべる恋次に哲夫は一歩退く。

 

「ならば、このガメシエルで引導を渡してあげましょう!我のターン!…ふむ、悪運はいいようですね」

 

「!」

 

「しかし、ガメシエルのバトルはできますぞ!ガメシエルでダイレクトアタック!!」

 

LP2800→600

 

「がああッ!!」

 

「これにてターンエンド。そして教えておきましょう。このカードは『灰流うらら』。デッキを用いる効果のほとんどを封殺するこのカードがある限り、あなたのデッキの半分は封じたと言っていいでしょう」

 

 サーチやドロー効果を封じられた今、恋次のデッキで封じられたカードは『テラフォーミング』、魔鍵施解、予想GUY、貪欲な壺、魔鍵マフテアもデッキから素材を使用できるため、妨害できる。尤も、この状況で引けば敗北確定だが、

 

「これでもまだ諦めないのですか?そこまでして姉上を守っても、結婚なぞできませぬぞ?できたとして、貴方は元男を愛することができるのですか?」

 

「恋次……」

 

 哲夫の煽りは普通の家庭には深く突き刺さるものであった。この世界でも近親婚は法律で禁止されており、従姉弟でもそのケースはほぼないと言っていい。義理なら探せばあるかもしれないが、そのような関係になるのは相当稀だろう。それが元男ならば尚のこと。

 

「……」

 

「よくお考えなさい。ここで退き、姉上の幸せを「これ以上ふざけたこと言うならその口縫い合わすぞ」ほう?」

 

「兄貴は俺を救ってくれた。なら今度は、俺が兄貴を助ける番だ。自分の居場所が無いって言うなら、俺が居場所になるってな!」

 

 恋次の思いは揺るがない。その思いがデュエルの結果を徐々に引き寄せていた事に、気づいている者は誰もいない。

 

「俺のターン!大魔鍵-マフテアルを召喚!」

 

「っ!よくもまあここまで引けるものですな」

 

「マフテアルの効果!墓地の通常モンスター、クラヴィスを特殊召喚!魔鍵銃士-クラヴィスに大魔鍵-マフテアルをチューニング!三度来い、トランスフルミネ!!」

 

 そう、デュエリストが諦めない限り、モンスターたちも戦い続ける。その闘志を打ち砕くのは、更に激しい闘志のみだろう。

 

「トランスフルミネの効果でデッキから魔鍵錠-解をセット。セットする効果はうららじゃ止まらねえ!バトルだ!トランスフルミネでガメシエルを攻撃!」

 

LP4900→4300

 

「ンンンンンンンン!!中々にマズいですかな?」

 

「完全になりきってんな。これでターンエンド!」

 

「いやはや、まだデッキには見捨てられていないということですかな?我のターン。ふむ…相剣師-泰阿を召喚」

 

「通さねえ。トランスフルミネの効果で破壊だ」

 

「これはマズいですねえ!ターンエンド」

 

「俺のターン。魔鍵銃士-クラヴィスを召喚。バトルだ!クラヴィスでダイレクトアタック!」

 

LP4300→1500

 

「ンンンンンンン!!こ、このような事が…!」

 

「トランスフルミネ…ダイレクトアタックだ!!!」

 

LP1500→0

 

「こ、これが…汝の……グオオオオオオオオ!!!」

 

 トランスフルミネの一撃は哲夫を打ち砕き、

 

 

 

 

 

 

 

 恋次は次の勝負に出ることになった。

 

 

 

 ---------------------

 

 

 帰路につき、恋次の自室で二人は向き合っている。一人は神妙な面持ちで、もう一人は俯き、表情は見えない。

 

「兄貴…」

 

「……」

 

 恋次は薫の表情を確認しようとするが、長くなった前髪が邪魔になり確認できない。今どのような表情をしているのか、恋次には確かめようがなかった。

 

「俺は、自分の選択が間違っていたとは思わない。あのサークルにはいられなくなったけど、兄貴がそんなに身体を安売りする必要ないよ。俺も頑張るからさ。デュエルが強ければなんとか生活できるご時世だ。俺が勝ち続ければ「んふっ」?」

 

「くふふ…あーはっはっは!」

 

 突然笑い始めた薫に恋次は呆然とする。いったい何が面白かったのか、今はシリアスなシーンではないのか。

 

「ご、ごめんね。恋次には大事な場面だもんね」

 

「な、何が面白いんだ?」

 

「うん、でもその前にネタ晴らしするね」

 

 薫は手を叩く。恋次の部屋の扉が開き、先ほどのサークルメンバーが入ってきた。

 

「え、な、なんで……」

 

「実はね、さっきのは皆に頼んでやってもらったんだ。恋次の思いが聞きたくてね」

 

「俺の……思い……?」

 

 恋次の動悸が激しくなる。イメージしうる最悪が呼び起され、息が荒くなる。

 

「うん、恋次が来てくれなかったらそのまま皆に輪姦(まわ)されるつもりだったけど、恋次が来てくれたからその必要もなくなったんだ。実は結構ギリギリだったんだよ?」

 

 薫は朗らかに笑うが、恋次はまだ気が気でない。ここで『今から義弟くんには私の汚される様を見てもらいまーす』となっては心が粉微塵になる上に人間不信どころか自殺直行までいける。

 

「でも、恋次は来てくれた。そして、加藤君を打倒して僕と…一緒にいてくれるって言ってくれた。……なんで息荒くなってるの?」

 

「だ、だって……ここで実は完落ち済みでした宣言なんてされたら俺…ここにいる人間皆殺しにしちまうよ」

 

「怖いな!?大丈夫だよ。昼間に言ったセリフも全部嘘だから。だって…

 

 

 

 

 

 

 

 恋次が貰ってくれるんだもんね?」

 

「え、ちょっと……」

 

「では我々はこれで」

 

「恋次氏、誤解させてすまなんだ。薫氏のこと、幸せにしてあげるんですぞ」

 

「恋次氏、先のデュエルは中々楽しかったですぞ。まさか本気の相剣でやって勝てないとは驚きましたぞ」

 

 続々と薫のサークルメンバーが退出していく。本当に何がしたかったのか疑問だが、恋次は今それどころではない。

 

「恋次、もう我慢しなくていいんだよね?もう、僕を愛してくれるんだよね?」

 

「え?え?え?え?ちょっと待ってどういう状況これもうわかんない」

 

「恋次

 

 

 

 

 

 

 ず~~~~~~~~~~っと一緒にいようね♡

*1
勿論アレな意味である

*2
お約束の展開




キャラクター紹介

五代恋次
 TSした義兄に見事に捕食(意味深)されたスレ主。今となっては毎日おっぱい枕に埋もれてヘコヘコしてる。TS性癖は薫に刷り込まれた。

五代薫
 TSしたことをいいことに義弟にイロイロ性癖を刷り込んだ張本人。TSした時点で今回の作戦を思いつく。現在は恋次のあらゆる場所をしゃぶりつくして(意味深)楽しんでいる。実はTSした理由は大学内にいる淫魔。女顔の薫が「TSしたら絶対えっちじゃん!」という理由でTSウィルスを摂取させる。その後義弟と付き合う事になった知らせを聞いて脳が破壊される。

母親
 薫の気持ちをずっと昔から知っていた良心()。家族でそんな関係はいいのか逡巡したが、薫に「愛があればそんなの関係ない!」と言われあっさり落ちる(少女漫画好き)

デュエルサークルメンバー
 実は薫にデュエルでフルボッコにされて言う事を聞かせられていた。皆古のオタク気質なためか、しゃべり方が鎌倉時代。


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